解決結果のサマリー
※プライバシー保護のため、事例の内容は特定できないよう一部変更し、金額は概数で記載しています。
※解決結果は個別の事案の内容に基づくものであり、同種の結果を保証するものではありません。
事例の概要
ご依頼者のAさんは、20代の既婚女性です。仕事を通じて知り合った既婚男性Bさんと数か月の関係があり、関係が終わった後に、Bさんの妻Cさんの代理人弁護士から慰謝料200万円を求める通知が届きました。通知には、示談の際には接触禁止と違約金の条項を入れる旨も記されていました。当事務所は受任後、謝罪の意向を伝えるとともに、相手方ご夫婦の別居・離婚の有無とBさん本人への請求の有無を照会。別居も離婚もしておらず、Bさんへの請求もないとの回答を踏まえ、求償権を放棄して50万円を提示しました。相手方は100万円を超える額を示し、当方に金額の根拠を求めてきたため、当事務所は、離婚も別居もしていない事案の裁判例の水準と、共同で責任を負う者の間の負担割合を掛け合わせた計算を書面で示して回答。相手方は70万円・求償権放棄で応じ、接触禁止に違約金を置く合意書で締結に至りました。担当は北條さやか弁護士です。
請求200万円に対し、合意額は70万円(65%減)。支払いは一括で、受任から締結まで数か月。手続はすべて代理人間の書面と電話で進み、訴訟にはなっていません。
ご相談時の課題
表面上の課題
- 相手方に弁護士が付き、200万円の請求書が届いた
- 不貞の事実はあり、争う余地は小さかった
- 200万円が妥当なのか、減額できるのか、そのまま払った方がよいのかが分からなかった
- 通知には、示談の際に接触禁止と違約金の条項を入れる旨が記されていた
本当の課題は3つ
- 金額の根拠をどう示すか——相手方が「根拠を示せ」と求めてきたとき、感覚的な数字では通りません。裁判例の水準と、負担割合の考え方を組み合わせて、計算として示す必要がありました
- 求償権の扱い——Aさんが支払った後にBさんへ負担を求める権利(求償権)を放棄するかどうかは、金額と一体の論点です。相手方は当初から求償権放棄を前提にしていました
- 違約金条項の範囲——相手方が求める接触禁止と違約金は、Aさんの今後の行動を縛るものです。Aさん側にも法的な権利行使の場面があり得るため、条項がそれを妨げないかを確認する必要がありました
Aさんはご相談時に「請求金額が妥当なのか、減額できるのか、もしくは弁護士さんに頼らずにそのままの金額を支払った方が良いのかわからないので相談したいです」と話されていました。
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
弁護士の対応
(1) 前提事実を照会し、求償権放棄を条件に提示する
受任後、当事務所は謝罪の意向を伝えるとともに、相手方ご夫婦が別居や離婚に至っているか、Bさん本人に慰謝料を請求しているかを照会しました。相手方からは、別居も離婚もしておらず、Bさんへの請求もしていないとの回答がありました。これを踏まえ、当事務所は求償権を放棄して50万円を提示しました。
(2) 相手方が「根拠を示せ」と求める
相手方は、当方の提示は低額であるとして100万円を超える額を示し、求償権放棄を前提とする姿勢を明確にしました。当事務所が電話で増額の余地はない旨を伝えると、相手方は、金額の根拠を示したうえで改めて提案するよう求めてきました。
(3) 「裁判例の水準×負担割合」を書面で示す
当事務所は、離婚も別居もしていない事案では裁判例上100万円程度が水準になること、そして不貞の慰謝料は不倫相手と依頼者が共同で責任を負うもので、依頼者が支払った後には不倫相手に負担を求める関係にあること——本件では相手方が求償権放棄を前提としているため、その負担割合を金額に織り込むべきこと——を書面で示し、負担割合を半分として50万円が相当と回答しました。金額の「なぜ」を、裁判例と負担割合の2つの要素に分解して示した局面です。
(4) 相手方が70万円で再提示、条項を確認して締結
相手方は、婚姻期間や不貞の期間など金額を引き上げる事情を挙げつつも、70万円・求償権放棄であれば示談に応じる旨を示しました。当事務所はAさんの意向を確認のうえ応諾。相手方の合意書案には、Bさんへの接触禁止と違反時の違約金が置かれていたため、当事務所は、Aさん側に法的な権利行使の場面があり得ることを踏まえ、条項がそれを妨げる趣旨ではないことを書面で確認したうえで締結しました。Aさんは期限内に一括で振り込んでいます。
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 受任後、相手方からの連絡はすべて事務所へ
- 照会の結果と提示方針について説明を受け、金額を確認
- 相手方の再提示と、条項の意味(求償権放棄・接触禁止・違約金)について説明を受けて判断
解決結果
ご依頼前、Aさんは200万円という金額の妥当性が分からないまま、どう対応すべきか決めかねていました。
解決時には、金額は200万円から70万円へ。裁判例の水準と負担割合を掛け合わせた計算を書面で示したことが、相手方の再提示につながりました。合意書には、不貞の事実の確認、損害賠償債務としての70万円の一括払い、求償権の放棄、Bさんへの接触禁止と違反時の違約金、清算条項が置かれ、Aさんは期限内に振り込んで終結しています。相手方本人とAさんが直接やり取りする場面はありませんでした。
担当弁護士からのコメント(北條さやか弁護士)
相手方から「金額の根拠を示せ」と求められたとき、感覚的な数字では通りません。本件では、離婚も別居もしていない事案の裁判例の水準に、共同で責任を負う者の間の負担割合を掛け合わせる形で、金額の「なぜ」を書面で示しました。相手方はそれを受けて再提示し、当初示した額から大きく引き下げた金額で合意に至っています。金額は根拠とセットで示すこと、そして求償権のような交換材料を整理しておくことが、交渉を前に進めます。
この事例に関するよくある質問
Q1. 慰謝料の金額に根拠はあるのですか?
裁判例には、離婚や別居の有無、不貞の期間などに応じた一定の水準があります。本事例では、離婚も別居もしていない事案の水準に、不倫相手との負担割合を掛け合わせた計算を書面で示し、200万円の請求が70万円での合意となりました。具体的な見立ては初回相談でお伝えできます。
Q2. 求償権を放棄すると、金額は下がりますか?
求償権は、あなたが支払った後に不倫相手へ負担を求める権利です。放棄すれば相手方の配偶者に請求が及ばないため、相手方にとって利益があり、金額の引き下げと引き換えにできることがあります。本事例では、求償権放棄を前提に、負担割合を金額に織り込む形で交渉しました。
Q3. 合意書に接触禁止と違約金を入れると言われました。応じるべきですか?
接触禁止と違約金は、不倫相手との今後の接触を防ぐ趣旨で置かれることが多い条項です。応じる場合でも、条項の範囲があなた側の正当な権利行使を妨げないかは確認が必要です。本事例では、その点を書面で確認してから締結しました。
Q4. 相手が少しずつ金額を下げてきます。どこで応じればよいですか?
事案によります。本事例では、相手方が100万円を超える額を示した後、当方が根拠を書面で示したことで70万円まで下がりました。どこで応じるかは、裁判例の水準と依頼者の意向を踏まえて代理人と相談することをお勧めします。