解決結果のサマリー
※プライバシー保護のため、事例の内容は特定できないよう一部変更し、金額は概数で記載しています。
※解決結果は個別の事案の内容に基づくものであり、同種の結果を保証するものではありません。
事例の概要
ご依頼者は2人です。女性のAさんと、Aさんが仕事を通じて知り合った既婚男性のBさん。Bさんの妻Cさんの代理人弁護士から、AさんとBさんのそれぞれに慰謝料300万円を求める通知が届き、期限までに送金がなければ裁判にするとされていました。当事務所は、2人の利害が対立した場合の取り決めをしたうえで共同で受任。受任通知の後、初回の回答で、「それぞれ300万円」とは合計600万円の趣旨か、2人が連帯して300万円の趣旨かを問いただし、合計600万円であれば裁判例に照らして過大であるとして、連帯して150万円を提示しました。相手方は連帯300万円なら合意するとし、以後、当方200万円、相手方250万円と応酬。相手方が交渉限りの最終提示とした連帯250万円・一括で合意しました。担当は北條さやか弁護士です。
各300万円(計600万円)の請求に対し、合意額は2人で連帯250万円。支払いは一括で、受任から締結まで数週間。手続はすべて代理人間の書面のやり取りで進み、訴訟にはなっていません。
ご相談時の課題
表面上の課題
- 相手方に弁護士が付き、AさんとBさんにそれぞれ300万円の請求が届いた
- 期限までに送金しなければ裁判にすると記されていた
- 合わせて600万円という金額は、とても払えるものではなかった
- Aさんは、関係の当初はBさんが既婚であることを知らなかった
本当の課題は3つ
- 「各300万円」の意味——不倫の慰謝料は、不倫の当事者2人が連帯して負う性質の債務です。相手方が2人に同じ額を請求している場合、それが合計600万円の趣旨なのか、連帯して300万円の趣旨なのかで、交渉の土台がまったく変わります。まずこの点を確定させる必要がありました
- 2人を一緒に受任するかどうか——不倫の当事者2人は、通常は互いに求償の関係に立ち、利害が対立し得ます。一方で、2人を一緒に受任すれば、連帯債務として一体で交渉でき、求償の問題も生じません。利害対立時の取り決めをしたうえで共同受任する判断が必要でした
- 相手方代理人からの直接連絡——受任通知の後にも、相手方代理人がAさん本人に連絡してくる場面がありました。窓口を代理人に一本化することを、書面で改めて求める必要がありました
Bさんはご相談時に「とても払える金額ではなく、減額を希望しています」、Aさんは「金額が妥当なのかも分からないので、減額できるのならばお願いしたいです」「最初不貞行為を行った時は既婚者だと知らなかった」と話されていました。
弁護士の対応
(1) 共同受任と、窓口の一本化
当事務所は、AさんとBさんの利害が対立した場合の取り決めをしたうえで、2人を共同で受任し、受任通知を送りました。その後、相手方代理人がAさん本人に連絡してきたと聞いたため、以後の連絡はすべて当職宛にするよう、書面で改めて求めています。
(2) 「各300万円」の趣旨を問いただし、連帯の枠に引き戻す
当事務所は初回の回答で、それぞれに300万円を求める通知が、2人合わせて600万円の趣旨なのか、連帯して300万円の趣旨なのかを問いただしました。合計600万円であれば裁判例に照らして過大であり支払えないとし、2人が連帯して150万円を提示。相手方は、関係が続いていたことなどを挙げつつ、連帯して300万円なら合意する旨を回答しました。この時点で、交渉の土台は「2人で合計いくらか」に固まりました。
(3) 事実の主張は一文で否認し、金額に集中する
相手方は、AさんがBさんの離婚を促していたなどの事実を主張しましたが、当事務所はこれを一文で否認したうえで、連帯して200万円を提示しました。事実関係の応酬を広げず、金額の交渉に集中させる書面の運びです。相手方は、示談交渉に限った最終提示として連帯して250万円を示しました。
(4) 最終提示で合意し、締結
当事務所はAさんとBさんの意向を確認のうえ、250万円を期限内に一括で支払う旨を回答し、合意書案の作成を相手方に依頼。相手方の合意書案には、謝罪、連帯しての慰謝料の支払い、清算条項が置かれており、当方は修正なく応諾しました。合意書は3通を作成し、相手方が押印した原本に当方が記名押印して返送。2人は期限内に振り込み、終結しました。
ご依頼中のやりとり——AさんとBさんはどうサービスを使ったか
- 受任後、相手方からの連絡はすべて事務所へ。本人への連絡があった際は事務所が書面で是正を要請
- 「各300万円」の趣旨を確認する方針と、連帯での提示額について説明を受けて判断
- 相手方の提示が変わるたびに報告を受け、2人で方針を確認
- 合意書の条項(連帯・清算の範囲)について説明を受けて締結し、期限内に振り込み
解決結果
ご依頼前、AさんとBさんは、それぞれ300万円、合わせて600万円の請求と裁判の予告を前に、どこから手を付けてよいか分からない状態でした。
解決時には、金額は2人で連帯250万円へ。「各300万円」を連帯債務の枠に引き戻したうえで交渉し、相手方の最終提示で合意しました。合意書には、謝罪、連帯しての慰謝料の一括払い、清算条項が置かれ、清算条項は相手方とAさんの間、相手方とBさんの間のそれぞれについて債権債務がないことを確認する形で整理されています。2人が連帯債務者として合意しているため、Aさんが支払った後にBさんへ負担を求める求償の問題は生じません。受任から締結まで数週間でした。
担当弁護士からのコメント(北條さやか弁護士)
不倫の当事者2人にそれぞれ同じ額が請求されることがあります。不倫の慰謝料は2人が連帯して負う性質の債務であり、「各300万円」が合計600万円の趣旨なのか、連帯して300万円の趣旨なのかで、交渉の土台はまったく変わります。本件では、2人を共同で受任し、初回の回答でこの点を問いただして連帯の枠に引き戻しました。2人一緒に依頼する場合は、利害が対立したときの取り決めが前提になります。まずはご相談ください。
この事例に関するよくある質問
Q1. 不倫相手と私に、それぞれ同じ額の慰謝料が請求されました。2人分払うのですか?
不倫の慰謝料は、不倫の当事者2人が連帯して負う性質の債務で、相手方が受け取れる総額は一つです。それぞれに同じ額が請求されている場合、合計の趣旨なのか連帯の趣旨なのかを確認する必要があります。本事例では、各300万円の請求を連帯の枠に引き戻し、2人で連帯250万円で合意しました。
Q2. 不倫相手と一緒に同じ弁護士に依頼できますか?
できる場合があります。不倫の当事者2人は利害が対立し得るため、対立した場合の取り決めをしたうえでの共同受任になります。一緒に依頼すれば、連帯債務として一体で交渉でき、求償の問題も生じません。本事例はその形で進めました。
Q3. 相手の弁護士が、受任通知の後も私に直接連絡してきます。
代理人が付いた後は、原則として連絡は代理人宛に行われるべきものです。本事例でも、受任通知の後に本人への連絡があったため、書面で改めて窓口の一本化を求めました。直接連絡があった場合は、応じずに代理人へ伝えてください。
Q4. 相手が「示談交渉限りの最終提示」と言っています。応じるべきですか?
事案によります。本事例では、相手方の最終提示が当方の想定する水準に収まっていたため、意向を確認のうえで応じました。どこで応じるかは、裁判例の水準と依頼者の意向を踏まえて代理人と相談することをお勧めします。