解決結果のサマリー
※プライバシー保護のため、事例の内容は特定できないよう一部変更し、金額は概数で記載しています。
※解決結果は個別の事案の内容に基づくものであり、同種の結果を保証するものではありません。
事例の概要
ご依頼者のAさんは、既婚の男性です。仕事を通じて知り合った既婚女性Bさんとの関係について、Bさんの夫Cさんの代理人弁護士から慰謝料600万円を求める請求を受けました。相手方は調査会社の報告を証拠として持っており、Aさんは受任前に相手方代理人の事務所を訪ねて事情を話してしまっていました。当事務所は受任後、謝罪の意向を伝えるとともに相手方ご夫婦の別居・離婚の有無とBさん本人への請求の有無を照会し、別居中だが離婚には至っていないとの回答を踏まえて、裁判例の水準として150万円前後を提示。相手方は金額の問題ではないとして応じず、当方が200万円前後まで引き上げても折り合わず、訴訟が提起されました。訴訟では、不貞の事実は認めたうえで、関係の開始時期と、別居がご夫婦の問題であることを争い、Aさん本人の尋問は行わない方針で進行。判決は250万円(請求の約4割)で、相手方は控訴せず確定し、Aさんは遅延損害金とともに一括で支払って終結しました。担当は北條さやか弁護士です。
請求600万円に対し、判決額は250万円。交渉開始から判決の履行まで1年半ほどを要しましたが、Aさんが法廷に出る場面は一度もありませんでした。
ご相談時の課題
表面上の課題
- 相手方に弁護士が付き、600万円の請求を受けていた
- 受任前に相手方代理人の事務所を訪ね、関係の期間などを自分で話してしまっていた
- 相手方は調査会社の報告を持っており、証拠の面で争う余地は小さかった
- 相手方夫婦は別居に至っており、金額が高くなる事情がそろっていた
本当の課題は3つ
- 「別居あり・離婚未了」の水準をどこに置くか——別居に至っている事案は、婚姻関係が継続している事案より慰謝料が高くなる傾向があります。一方で離婚には至っていないため、裁判例の水準を根拠に交渉する余地がありました
- 交渉が決裂したときの備え——相手方が金額の問題ではないとして交渉に応じない場合、訴訟は避けられません。そのときに何を争い、何を争わないかを、交渉段階から見据える必要がありました
- 本人の負担をどこまで抑えるか——訴訟になれば、本人尋問の可能性があります。ご本人が法廷に立たずに終える進め方が可能かどうかは、依頼者にとって大きな関心事でした
弁護士の対応
(1) 前提事実を照会し、裁判例の水準を提示する
受任後、当事務所は謝罪の意向を伝えるとともに、600万円は相場に照らして高額であるとの評価を示し、相手方ご夫婦の別居・離婚の有無とBさん本人への請求の有無を照会しました。相手方からは、婚姻は継続しているが別居に至っており、離婚の協議はしていない、Bさんへの請求はしていないとの回答がありました。当事務所は、別居中の事案の裁判例の水準として150万円前後を提示しました。
(2) 交渉が決裂する
相手方は、Aさんの今後の夫婦関係やBさんとの今後についての質問を書面で送ってきたのち、150万円前後では到底納得できないとして訴訟の準備に入る旨を通知。当事務所は交渉段階で200万円前後まで提示を引き上げましたが、相手方は応じず、訴訟が提起されました。
(3) 訴訟で「何を争わないか」を決める
訴訟では、不貞の事実そのものは認めました。証拠の状況からみて争う実益がなく、争えば判決で不利に評価されるおそれもあります。そのうえで、相手方が主張する関係の開始時期のうち、性的関係の裏付けがない古い時期については争い、別居はご夫婦の問題であって本件のみが原因ではないと主張しました。また、Aさん本人の尋問は申請せず、相手方がAさんの尋問を申請した際にも、尋問で明らかになる事情は少ないと反論して、ご本人を法廷に出さない方針を通しました。
(4) 判決と履行
判決は、相手方が主張した古い時期の関係については性的関係の立証がないとして算定から除き、250万円と遅延損害金の支払いを命じ、訴訟費用の一部をAさんの負担としました。相手方は控訴せず、判決は確定。当事務所は遅延損害金を計算し、Aさんは元金とあわせて一括で振り込み、当事務所が相手方代理人に完了を通知して終結しました。
この解決のポイント
- 別居中・離婚未了という事案の位置づけを踏まえ、裁判例の水準を根拠に交渉したこと
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 受任後、相手方からの連絡はすべて事務所へ
- 交渉の提示額と相手方の反応について報告を受け、方針を確認
- 訴訟提起後は、答弁書・準備書面の内容について説明を受け、争う点と争わない点を判断
解決結果
ご依頼前、Aさんは600万円の請求と、自分で話してしまった事情を前に、どう対応すべきか分からない状態でした。
解決時には、金額は600万円の請求に対し判決250万円へ。交渉段階の当方の最終提示(200万円前後)を上回る額となり、1年あまり分の遅延損害金(年3%)と訴訟費用の一部負担も加わりましたが、相手方が求めていた水準には遠く及ばない額で確定しました。Aさんは本人尋問を受けることなく、法廷に一度も出ないまま判決を迎え、当事務所が遅延損害金を計算して一括で支払い、終結しています。交渉開始から履行完了まで1年半ほどです。
- 判決後は遅延損害金の計算を事務所に任せ、一括で振り込んで終結
担当弁護士からのコメント(北條さやか弁護士)
交渉が決裂して訴訟になった場合に何が起きるのか、実例でお伝えできる事案です。本件では、交渉段階の当方の最終提示を判決額が上回り、遅延損害金と訴訟費用の一部負担も加わりました。一方で、相手方が求めていた600万円には遠く及ばず、ご本人は一度も法廷に立っていません。訴訟には、時間と費用のコストと、裁判所が客観的に金額を決めるという側面の両方があります。交渉で折り合えないときに何を選ぶかは、この両面を見たうえで判断してください。
この事例に関するよくある質問
Q1. 交渉で折り合わず、訴訟を起こされました。判決はどのくらいになりますか?
事案によります。本事例では、別居中だが離婚には至っていない事案で、600万円の請求に対し判決は250万円でした。裁判所は、不貞の期間や婚姻関係への影響、証拠で裏付けられる範囲を踏まえて金額を算定します。交渉段階の提示額と判決額の関係も事案ごとに異なります。
Q2. 訴訟になったら、必ず法廷に出なければなりませんか?
代理人が付いていれば、期日への出頭は代理人が行うのが通常です。本人尋問が行われる場合には出廷が必要になりますが、本事例では当方が本人尋問を申請せず、相手方の申請にも反論して、ご本人は一度も出廷しないまま判決に至りました。事案によって異なります。
Q3. 訴訟になると、交渉より不利になりますか?
本事例では、交渉段階の当方の最終提示より判決額が高くなり、遅延損害金と訴訟費用の一部負担も加わりました。一方で、相手方の請求額には遠く及ばない額で確定しています。訴訟には時間と費用のコストがある反面、裁判所が客観的に金額を決めるという側面もあります。
Q4. 相手の弁護士の事務所で事情を話してしまいました。もう手遅れですか?
話してしまった内容は、その後の交渉や訴訟で前提になることがあります。ただし、そこからどう対応するかで結果は変わります。本事例でも、ご本人が事情を話した後に受任し、争点を絞って対応しました。早めにご相談ください。