解決結果のサマリー
※プライバシー保護のため、事例の内容は特定できないよう一部変更し、金額は概数で記載しています。
※解決結果は個別の事案の内容に基づくものであり、同種の結果を保証するものではありません。
事例の概要
ご依頼者のAさんは、家庭のある女性です。知り合った既婚男性Bさんと一度だけ関係を持ち、その後は連絡も途絶えていたところ、数か月後に知らない番号から着信があり、折り返すとBさんの妻Cさんの代理人弁護士でした。書面はなく、電話で、求償権を放棄したうえで慰謝料70万円を一括で支払えば示談に応じると告げられ、回答の期限まで電話で約束させられた状態でご相談に来られました。当事務所は受任後、まず受任通知で連絡窓口を代理人に一本化し、謝罪の意向を伝えるとともに、相手方ご夫婦の別居・離婚の有無と、Bさん本人への請求の有無を照会。回答を踏まえ、求償権を放棄する条件で50万円を提示したところ、相手方はその内容で合意書案を作成し、締結に至りました。担当は北條さやか弁護士です。
電話で求められた70万円に対し、合意額は50万円(約3割減)。支払いは一括で、受任から締結まで数週間。手続はすべて代理人間の書面でのやり取りで進み、Aさんが相手方や相手方代理人と直接話す場面はありませんでした。
ご相談時の課題
表面上の課題
- 書面は届いておらず、電話だけで70万円と回答期限を告げられていた
- 一度だけの関係で、その後の連絡もなかったのに、なぜこの金額なのか分からなかった
- 相手方代理人と自分で話すことが怖く、対応を任せたかった
- 家族に知られずに終わらせたかった
本当の課題は3つ
- 電話だけの請求への向き合い方——請求の根拠も金額の内訳も書面で示されていない状態でした。相手方代理人と本人が直接やり取りを続ければ、その場の言葉が記録に残らないまま話が進むおそれがありました
- 「一度だけ」の事案の水準——慰謝料の水準は、関係の期間や回数、相手方ご夫婦の婚姻関係への影響で変わります。本件が相場のどこに位置するのかを、事実を確認したうえで整理する必要がありました
- 求償権の扱い——Aさんが支払った後にBさんへ負担を求める権利(求償権)をどうするかは、金額と一体の論点でした。相手方が最初から求償権放棄を条件にしていたため、これを交換材料として使えるかがポイントでした
Aさんはご相談時に「とても脅されている感じで怖いです」「家族にバレずに済ませたい」「早く終わらせてしまいたい」と話されていました。
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 電話で回答期限を告げられた段階でWebフォームから相談し、期限前に依頼
弁護士の対応
(1) 受任通知で窓口を一本化する
受任の当日、当事務所は相手方代理人に受任通知を送り、以後の連絡は当職宛にするよう求めました。電話で回答期限を約束させられていた状態から、書面で交渉する土俵に移す最初の一手です。これにより、Aさんが自分で相手方代理人と話す必要はなくなりました。
(2) 金額の前に、事実を照会する
当事務所は、謝罪の意向を伝えるとともに、相手方ご夫婦が別居や離婚に至っているか、Bさん本人に慰謝料を請求し、受け取っているかの2点を照会しました。前者は慰謝料の水準を左右する事情であり、後者は同じ不法行為について二重に賠償を受けることを防ぐための確認です。相手方からは、別居も離婚もしておらず、Bさんから受領した金銭もないとの回答がありました。
(3) 求償権放棄を条件に、50万円を提示する
回答を踏まえ、当事務所は、一度だけの関係で婚姻関係が継続している事案として、求償権を放棄したうえで50万円を支払う旨を提示しました。相手方は当初から求償権放棄を条件にしていたため、放棄そのものを当方から差し出すことで、金額の引き下げと引き換えにする構成です。相手方は、この内容で合意書案を作成して送付してきました。
(4) 条項を確認して締結
合意書には、謝罪、慰謝料50万円の一括払い、Bさんに対する求償権の放棄、Bさんへの連絡を控える取り決め、清算条項が置かれました。当事務所は条項の意味をAさんに説明したうえで応諾し、双方が記名押印して締結。Aさんは期限内に振り込み、終結しました。
この解決のポイント
- 書面のない電話請求に対し、受任通知で窓口を代理人に一本化し、書面で交渉する形に切り替えたこと
- 金額を出す前に別居の有無と相手方配偶者への請求の有無を照会し、事案の位置づけを固めたこと
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 照会の結果と提示方針について説明を受け、金額を確認
- 相手方の合意書案について条項の意味の説明を受けて判断
解決結果
ご依頼前、Aさんは電話で告げられた70万円と回答期限を前に、相手方代理人からの連絡そのものに怯えていました。
解決時には、金額は70万円から50万円へ。求償権を放棄する条件と引き換えに、当方の提示額がそのまま合意額になりました。相手方が作成した合意書には、慰謝料の支払い、Bさんへの接触を控える取り決め、清算条項が置かれ、支払いは期限内の一括払いで終結しています。受任通知の後、相手方からAさん本人への連絡はなくなり、以後のやり取りはすべて代理人間の書面で進みました。受任から締結まで数週間です。
担当弁護士からのコメント(北條さやか弁護士)
書面が届く前に、電話だけで金額と期限を告げられるご相談は少なくありません。そのまま本人が電話で応じ続けると、根拠の分からない金額を前提に話が進んでしまいます。本件では、受任通知で窓口を代理人に移し、別居の有無と相手方配偶者への請求の有無を確認してから金額を提示しました。求償権の放棄は、相手方が求めているなら交換材料になります。電話で期限を切られても、まずは書面の土俵に移すことから始めてください。
この事例に関するよくある質問
Q1. 書面ではなく電話で慰謝料を請求されました。応じる必要はありますか?
電話だけの請求でも、請求そのものが無効になるわけではありません。ただし、根拠や内訳が示されていない段階で金額を承諾する必要はありません。本事例では、受任通知で窓口を代理人に移し、事実を照会したうえで、70万円の請求に対して50万円で合意しました。
Q2. 一度だけの関係でも慰謝料を払うのですか?
既婚者と知りながら関係を持った場合、回数が1回でも不法行為が成立し得ます。ただし、金額は関係の期間や回数、相手方ご夫婦の婚姻関係への影響などで変わります。本事例は一度だけの関係で婚姻関係が継続している事案として、50万円で解決しました。結果は事案によって異なります。
Q3. 求償権を放棄すると、何が変わりますか?
求償権は、あなたが支払った後に不倫相手へ負担を求める権利です。放棄すると、支払った分を不倫相手に請求できなくなります。一方で、相手方にとっては配偶者に請求が及ばない利益があるため、金額の引き下げと引き換えにできることがあります。本事例では、この放棄を条件に50万円で合意しました。
Q4. 家族に知られずに解決できますか?
代理人が付けば、相手方からの連絡は原則として代理人宛になります。書面の送付先や連絡方法も調整できますので、初回相談でご事情をお伝えください。ただし、相手方の対応によって事情は異なりますので、確約はできません。