▼基本情報(案件概要)
被相続人(父)が死亡し、遺産は自宅不動産のみでした。相続人は前妻の子4名(長男・長女・次女)と、後妻、後妻の養子の計5名です。父は「長男に全財産を相続させるが、後妻は死ぬまで無償で自宅に住むことができる」との公正証書遺言を残していました。その後、後妻の代理人弁護士から長男に対し、遺産分割協議と遺留分侵害額請求の申し入れがあり、対応に苦慮した長男ら前妻の子3名が当事務所(ネクスパート法律事務所)に依頼した事案です。
▼抱えていた課題
最大の課題は、遺産が現金ではなく自宅のみである点でした。遺言通り長男が家を取得しても、他の相続人から遺留分を請求されれば、長男は自己資金から多額の代償金(現金)を支払わなければなりません。また、後妻が住み続ける家に長男の利用価値はありませんでした。一方、家を売却して現金化・分配するにしても、名義人となる長男だけに譲渡所得税などの重い税金負担がのしかかるリスクがありました。
▼問い合わせ経緯
当初、長男は父の意向を尊重し「後妻にそのまま住み続けてもらい、金銭の支払いはしない」形を希望していましたが、法的に遺留分の支払いを免れることは困難でした。その後、後妻側も自宅の売却を希望するようになったため、長男は「自身の自腹による多額の金銭負担を回避しつつ、複雑な権利関係を適切に清算する方法」を求めて当事務所へご相談・ご依頼されました。
▼ネクスパートだからできたこと・発揮された強み
当事務所は、平成30年の相続法改正で導入された「配偶者居住権」の計算方法を応用した画期的な解決案を立案しました。家を売却し、その代金から後妻の取り分を「配偶者居住権の評価額」として算出し、残額を各相続人に分配する緻密なスキームです。
さらに、不動産売却に詳しい税理士と連携し、不動産譲渡所得税や給与所得税増加分などを正確に計算。これらを配分原資からあらかじめ控除する合意を取り付けました。不動産業者の選定・依頼から売却代金の決済まで、売却手続き全般に一貫して関与した点も当事務所の強みです。
▼得られた結果
相手方と粘り強く交渉した結果、当事務所が提示した独自の計算式と「税金・諸経費控除後の配分」に基づく遺産分割合意が無事に成立しました。不動産は約4,500万円で売却され、税金等を差し引いた約3,500万円を、遺留分侵害額の計算式に基づき、長男、後妻、他3名に配分しました。懸念された「長男の自腹での遺留分・税金支払い」を完全に回避し、ご依頼者様の持ち出し負担ゼロでの解決を実現しました。
▼ネクスパート担当者からのコメント
本件は「遺産が家のみ」「配偶者居住権が絡む遺言」「前妻の子と後妻の対立」と、非常に難易度の高い要素が詰まった事案でした。単なる遺留分計算にとどまらず、新しい法制度(配偶者居住権の評価)の柔軟な活用、税理士との連携による緻密な税務処理、そして不動産売却のトータルサポートといった当事務所の総合力が発揮されました。依頼者様の経済的負担をなくし、全員が納得できる着地点を見出せた意義深い事例だと考えています。ご依頼者様からは、事件終了後、「全てにおいて完璧を超えておりました、有難う御座いました。」とのお言葉を頂きました。