更新日:2021年6月25日 (金)

公開日:2021年1月15日 (金)

不起訴と執行猶予の違いは?有罪になるのかどうかについて詳しく解説

不起訴と執行猶予の違いは?有罪になるのかどうかについて詳しく解説 不起訴と執行猶予の違いは?有罪になるのかどうかについて詳しく解説

サマリー

不起訴や執行猶予は共に罪に問われた方にとっては有利な結果です。

もっとも、両者を明確に区別できない方もおられると思いますから、以下で両者の違いなどについて詳しく解説してまいります。

不起訴とは

不起訴とは起訴と同様に検察官が行う刑事処分の一種です。

起訴は検察官が裁判所に対して刑事裁判を開くことを求めることですが、不起訴はその反対です。

つまり、不起訴は刑事裁判を開かないという刑事処分のことです。

懲役、禁錮、罰金などの刑罰は刑事裁判を開かなければ科されないため、不起訴となった場合は刑罰を科されません。

また、刑罰を科されない限り前科はつきませんので、不起訴となった場合は前科もつきません(ただし、前歴はつく(※))。

※前科と前歴の違い
前科は刑事裁判で有罪判決を受けたことです。前科の情報は検察庁で管理されています。

他方で、前歴は検挙歴ともいわれますが、捜査機関による捜査を受けたことです。

逮捕されたこと、不起訴になったことなども記載されます。前歴の情報は警察で管理されています。

前科・前歴の情報は公的な職業に就く人以外には公開されません。

もっとも、不起訴になった後も、稀にですが、再度、捜査機関による取調べや逮捕などの捜査を受けることがあります

特に、検察官と再犯防止等につき一定の約束をした上で「起訴猶予」による不起訴となった場合は注意が必要です。

もともと、起訴猶予による不起訴は、検察官が、犯罪が成立することは明らかと認めたことが前提、つまり「起訴しても刑事裁判で有罪を獲得できる」と考えた事件について起訴を見送ったということを意味しています

それにもかかわらず、不起訴となった後に一定の約束を破り、再犯に及んだ場合などは、再犯のおそれが高いなどとして、不起訴となった罪と新たに犯した罪とを併せて捜査を受ける可能性があります。

また、「嫌疑不十分」による不起訴となった場合でも、不起訴後に新証拠が発見され、その証拠が罪の立証のために必要不可欠で、不起訴前に発見することができなかったなどの極めて例外的な場合には、捜査機関による捜査を受ける可能性は僅かではありますが残されています。

判決で無罪となった場合、再捜査は許されませんが、不起訴は無罪と異なりますので上記のような再捜査が許容されます。

不起訴の理由(種類)

検察官は不起訴とするにあたって不起訴の理由を考え、不起訴裁定書という書類を作って不起訴処分を行います。

不起訴の理由は数十種類ありますが、以下では実務でよく見る「起訴猶予」と「嫌疑不十分」について解説いたします。

起訴猶予

起訴猶予とは、検察官が警察から送致された証拠や自身で集めた証拠を基に「犯罪は成立することは明白である」と認めたものの、被疑者の性格・年齢、犯罪の軽重、情状等を考慮した場合に「起訴を必要としない」と判断した場合の不起訴理由です。

例えば、スーパーでの万引き事案で、万引き行為が保安員により現認されているなど、窃盗罪が成立することが明らかな場合でも、被疑者がその後お店側と示談を成立させた場合には示談が成立したこと、お店側の処罰感情が緩和されている場合にはそうした事情などを考慮して起訴猶予による不起訴とすることがあります。

嫌疑不十分

嫌疑不十分とは、検察官が警察から送致された証拠や自身で集めた証拠をもってしても「刑事裁判で犯罪の成立を立証するための十分な証拠がない」と認め、「起訴しても刑事裁判で有罪を獲得できない」と判断した場合の不起訴理由です。

つまり、証拠不十分で不起訴、という場合が嫌疑不十分です。

証拠不十分には量的に不足していることはもちろん、質的に不足していることも含まれます。

例えば、先ほどのスーパーの万引きの事案で、保安員の万引き行為を現認した証拠(供述)がないという場合が量的な不足です。

他方で、現認したという内容の供述はあるものの、保安員の立ち位置から万引きの場所までの距離が遠いなど、本当に被疑者が万引きしたかどうかその供述のみでは判然としない、という場合が質的な不足です。

執行猶予とは

執行猶予とは、裁判官が刑の執行を猶予することです。

判決で有罪との認定を受けると、本来であれば刑の執行を受ける、すなわち懲役・禁錮であれば刑務所に服役し、罰金であればお金を国に納付しなければなりません。

しかし、執行猶予付きの判決を受けると、一定期間(1年~5年の間)、刑務所に服役する、罰金を納付する必要がなくなります

そして、一定期間、何事もなく無事に過ごせば、刑の執行を受ける必要がなくなる、これが執行猶予の制度です。

もっとも、執行猶予は有罪あることが前提ですから無罪とは異なります。

また、有罪であることが前提ですから、執行猶予付き判決を受けても前科は付きます。

執行猶予は刑の執行が猶予された(見送られた)だけで免除されたわけではないことにも注意が必要です。

執行猶予の種類

執行猶予は「全部執行猶予」と「一部執行猶予」があります。

また、全部執行猶予は「(初めての)全部執行猶予」と「(再度の)全部執行猶予」があり、一部執行猶予は「刑法上の一部執行猶予」と「薬物使用等の罪を犯した者に対する一部執行猶予」があります。

全部執行猶予とは、判決で言い渡された全部の期間、刑の執行を猶予することです。

(初めての)全部執行猶予は、初犯者(前科を有しない方)、前に執行猶予付き判決を受けた場合でも、執行猶予期間が経過した方などが対象です。

他方で、(再度の)全部執行猶予期間は、判決時に執行猶予期間中である方が対象です。当然、(再度の)全部執行猶予の条件の方が厳しいです。

一部執行猶予とは、実は、実刑判決の一部です。

つまり、判決で言い渡された刑期のうち一部を実刑とし、残りの期間を、一定期間(1年~5年の間)、執行猶予とするものです。

たとえば、判決では、「被告人を懲役2年に処する。その刑の一部である懲役6か月の執行を2年間猶予する。」などと言い渡されます。

この判決は、「1年4か月は刑務所に服役し、残りの6か月は服役しなくてもいいですが、2年間、刑を猶予するだけで、その間はまだ刑務所に服役しなければならない可能性は残されていますよ。」ということを言っています。

刑法上の一部執行猶予は初犯者のほか判決時に執行猶予中の方なども対象です。

他方で、薬物使用等の罪を犯した者に対する一部執行猶予は、出所後からの経過年数にかかわらず服役経験がある方でも対象となるのが特徴です。

まとめ

不起訴は検察官が行う刑事処分の一部、執行猶予は裁判官が行う判決内容の一部です。

不起訴を受けた段階では有罪か無罪か確定していません。他方で、執行猶予は有罪であることが前提です。

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