更新日:2022年1月24日 (月)

公開日:2021年1月28日 (木)

警察と検察の取調べの共通点と違いを詳しく解説

警察と検察の取調べの共通点と違いを詳しく解説 警察と検察の取調べの共通点と違いを詳しく解説

サマリー

取調べは警察に加え検察でも行われるのが通常ですが、両者の取調べはどう違うのか疑問に感じる方も多いのではないでしょうか?
今回は、警察、検察の取調べの共通点と違いについて詳しく解説してまいります。

取調べの種類

警察、検察が行う取調べの種類には、被疑者(起訴、不起訴などの刑事処分を受ける前の人)・被告人(起訴された後の人)に対する取調べがあります。

被告人に対する取調べ

起訴、不起訴などの刑事処分を受ける前の捜査期間中の被疑者を取調べすることは許容されるとして、起訴された後の被告人を取調べることは許されるのかという問題があります。

なぜなら、起訴された後の被告人は捜査機関の捜査の対象ではなく、罪を追及する検察官と対等の立場に立つ「訴訟当事者」だと考えられるからです。法律では、被告人が、被疑者が有しない証拠調べ請求権、証人尋問権などの各種権利を行使できると規定しており、このことからも被告人は被疑者と異なる立場であることが分かります。

また、捜査機関の出頭要求の根拠規定である刑事訴訟法198条1項は、単に「被疑者」としか規定していません。

以上の理由から、被告人に対する取調べは許されないという考え方があります。

しかし、実務では、被告人に対する取調べは行われているのが実情です。これは、被告人が取調べに任意に応じるのであれば、取調べを行ってもかまわないという考え方に基づいています。

確かに、刑事訴訟法197条1項にも「捜査については、その目的を達するため必要な取調をすることができる。」と規定されており、被疑者、被告人の区別なく取調べできると解されます。

もっとも、同項は「捜査は原則、任意捜査」とする旨の規定です。したがって、被告人の取調べは、上記のとおり、被告人が取調べに任意に応じ、検察官の公判の維持に必要な場合に限って許されます。被告人に対して、起訴前と同様の取調べをすることは許されません。

なお、被告人といえども、起訴されていない余罪に関しては被疑者ですから、余罪の被疑者として被告人を取調べることは許されます。

しかし、この場合でも、これまで述べてきた考え方に基づけば、被疑者の取調べと称して、被告人に対し、起訴された罪につき起訴前と同様の取調べを行うことは許されないことはお分かりいただけるかと思います。

警察、検察の(被疑者・被告人の)取調べの共通点

警察、検察が被疑者・被告人に対して行う取調べには共通点、相違点があります。以下では共通点について解説してまいります。

被疑者・被告人に認められる権利

警察や検察の取調べでも被疑者・被告人に認められる権利は同じです。取調べで被疑者・被告人に認められる権利は「黙秘権」、「増減変更申立権」、「署名押印拒否権」、「出頭拒否権・退去権」です。なお、参考人には黙秘権は認められていないことはすでに述べたとおりです。

黙秘権

黙秘権は、取調べ中、終始沈黙できる権利です。沈黙したこと自体を理由に不利な取り扱いをすることは許されません。ご自分に不利・有利なことを聴かれたとしても沈黙することができます。

壊滅変更申立権

増減変更申立権は、取調べが終わり、供述録取書が作成され、取調官(主に、警察官、検察官)から内容に間違いがないかどうか尋ねられた際、内容を付け加えて欲しい、あるいは内容を削除して欲しいと取調官に対して申し出ることができる権利のことです。

署名押印拒否権

署名押印拒否権は、取調官から供述録取書への署名・押印を求められた際に署名・押印を拒否できる権利のことです。ここで供述録取書に署名・押印してしまうと、供述が任意になされたものではないという疑いがない限りは、裁判で証拠となってしまう(証拠能力が認められてしまう)可能性が高いです。ご自身に有利・不利な内容が記載されている場合であっても署名・押印を拒否することができます。

出頭拒否権

出頭拒否権捜査機関から出頭するよう呼び出しを受けても拒否できる権利、退去権は、一度、取調室の中に入っても、いつでも取調室から退室することができる権利です。もっとも、以上の権利は、身柄事件の場合は認められないと解されています。

取調べ後に作成される供述録取書の形式、証拠能力

供述録取書は、取調官が被疑者・被告人から聴取した内容をまとめた書面のことです。取調官自らパソコンを使ってまとめる場合もあれば、取調官が第三者に対して口授し、その内容を第三者がまとめる場合もあります(検察では後者の方法を取られる場合が多いです)。

警察・検察の供述録取書の形式や証拠能力に違いはありません。証拠能力とは、先ほど少し触れましたが、裁判で証拠となり得る資格のことです。供述録取書に署名・押印してしまうと、この証拠能力が認められてしまう可能性が高くなります。

警察、検察の(被疑者・被告人の)取調べの相違点

次に、警察と検察の取調べの相違点です。

取調べの場所

警察の取調べは警察署の取調室で行われ、検察の取調べは検察庁の取調室(多くは検察官の個人の部屋)で行われるのが基本です。もっとも、検察官が警察署に出向いて警察署の取調室で取調べを行うこともあります。

取調べの回数、取調べで聴かれる内容

多くの事件ではまず警察官が捜査を行い、その結果を踏まえて検察官が捜査を行うが基本です。そのため、検察官よりも警察官の取調べの回数の方が自然と多くなります。また、警察の取調べでは、身上や事件に関するなど、ありとあらゆることを聴かれますが、検察では警察の取調べを踏まえ、的を絞った取調べが行われます。

裁判における証明力

証明力とは証拠の価値、つまり、有罪・無罪を決める裁判官に与える証拠のインパクトのことです。

検察官の供述録取書は警察の取調べを踏まえたものが多いです。そのため、一般的には、警察官の供述録取書よりも証明力が高いと考えられますが、絶対ではありません。

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まとめ

警察、検察の被疑者・被告人に対する取調べには大きな差はないといってよいです。

いずれの場合も黙秘権をはじめとする権利が補償されていることを忘れることなく適切に行使しましょう。

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