更新日:2026年10月22日 (木)

公開日:2026年10月22日 (木)

B型肝炎給付金の期限延長を議論へ─最新動向と申請手続きのポイントを解説

B型肝炎給付金の期限延長を議論へ─最新動向と申請手続きのポイントを解説 B型肝炎給付金の期限延長を議論へ─最新動向と申請手続きのポイントを解説

サマリー

特定B型肝炎給付金の請求期限延長が国会で議論されています。制度の概要、給付金額、申請の流れ、必要書類、弁護士への相談のメリットを解説します。

幼少期の集団予防接種等での注射器使い回しによりB型肝炎ウイルスに感染した方を救済する「特定B型肝炎給付金」について、請求期限の延長をめぐる議論が国会で進んでいます。2026年10月21日には、合同厚生労働部会においてこの問題が取り上げられたと報じられました。

特定B型肝炎救済給付金延長を議論 合同厚労部会
出典:公明新聞電子版プラス

現行制度では2027年3月31日が給付金の請求期限とされていますが、今回の議論はこの期限をさらに延長するかどうかが焦点となっています。本コラムでは、特定B型肝炎給付金制度の概要と、今後の期限延長議論を踏まえた申請の進め方について解説します。

特定B型肝炎給付金制度とは

特定B型肝炎給付金は、幼少期に受けた集団予防接種等で注射器(針・筒)が連続使用されたことによりB型肝炎ウイルスに持続感染した方とそのご遺族を対象とする給付金です。この制度は、国を被告とする集団訴訟の和解を踏まえて制定された「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」(平成23年法律第98号)に基づいています。

給付対象となるには、原則として①満7歳になるまでに集団予防接種等を受けたこと、②母子感染ではないこと、③持続感染者であること等の要件を満たす必要があり、カルテや医師の診断書、母子感染でないことを証明する検査結果などの資料を揃えて証明する必要があります。給付金額は病態に応じて50万円から最大3,600万円まで段階的に定められており、病態が重いほど金額が高くなる仕組みです。

請求期限の延長議論と現行の期限

特定B型肝炎給付金の請求期限は、特措法の改正によりこれまで複数回延長されてきた経緯があります。当初の期限から段階的に延長が重ねられ、現行法上の期限は2027年3月31日です。今回、合同厚生労働部会で議論されたのは、この期限をさらに延長するかどうかという点であると報じられています。

B型肝炎ウイルスの持続感染は自覚症状がないまま進行することも多く、感染の事実や給付金制度自体を知らないまま期限が迫っているケースが少なくありません。国会での延長議論が決着するまでは現行の期限が生きている以上、延長を前提に手続きを先延ばしにすることはリスクがあります。延長が実現するかどうかは今後の法改正の動向次第であり、確定事項ではない点に留意が必要です。

給付金請求の流れと必要な証明

給付金を受け取るためには、まず国を被告とする給付金請求訴訟を提起し、裁判上の和解を経て、その和解調書等をもとに社会保険診療報酬支払基金に給付金を請求するという二段階の手続きを踏む必要があります。訴訟といっても当事者間で激しく争うものではなく、要件を満たすことを資料で立証していく性質の手続きです。

立証の中心となるのは、①満7歳になるまでに集団予防接種等を受けた事実を示す母子健康手帳等の資料、②B型肝炎ウイルスの持続感染者であることを示す医学的検査結果、③母子感染や父子感染でないことを示す検査結果(母親や兄弟姉妹の検査結果を含む)です。母子健康手帳が残っていない場合でも、予防接種台帳や当時のカルテ等の代替資料により立証できる場合があるため、資料が手元にないという理由だけで請求を諦める必要はありません。

相続人による請求と時効の問題

感染者本人が既に死亡している場合、その相続人が給付金を請求できる場合があります。この場合は、感染者本人との続柄を証明する戸籍謄本等に加え、死亡診断書やカルテ等によって死因や病態を立証する必要があり、証拠収集がより複雑になる傾向があります。

また、特措法に基づく給付金請求権自体には消滅時効の問題は生じにくい一方、民法724条に基づく国家賠償請求権としての構成を考える場合には、損害及び加害者を知った時から3年(人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権については5年)、または不法行為の時から20年という時効・除斥期間の問題が理論上は絡んできます。もっとも、特措法に基づく給付金請求は、この除斥期間の制約を踏まえた上で請求期限が別途法律で定められている制度ですので、まずは特措法上の請求期限を基準に動くことが重要です。

まとめ

特定B型肝炎給付金をめぐっては、請求期限の延長が合同厚生労働部会で議論されている段階であり、延長が実現するかどうかはまだ確定していません。現行法上の期限である2027年3月31日を基準に、早めに証拠資料の収集と手続きの検討を進めておくことが望ましいといえます。

ご自身やご家族がB型肝炎ウイルスの持続感染者に該当するかもしれない、給付金の対象になるか分からない、母子健康手帳が見つからないといった状況でお困りの場合は、弁護士法人ネクスパート法律事務所までご相談ください。

コラム監修者

RUI SATO

RUI SATO

所属:代表(東京オフィス)

東京都杉並区出身。明治大学付属中野高校、明治大学法学部を経て、明治大学法科大学院を修了。2011年に新司法試験に合格し、最高裁判所司法研修所を修了(65期)。2012年12月に弁護士登録(東京弁護士会)し、都内の法律事務所での勤務を経て、2016年1月に寺垣俊介とともにネクスパート法律事務所を創業。代表弁護士として一般民事から企業法務まで幅広い分野を手がけるとともに、全国に拠点を持つ事務所の経営にあたる。

早くからテクノロジーと法務の融合に取り組み、2021年にはAIを利用した法律文書作成サービスを開発するLegal AI株式会社の代表取締役に就任(現在は退任)。当時はAI技術が発展途上で技術的な壁に直面したが、この挑戦を通じて「法務業務こそAIの力を借りれば飛躍的に変わる」という確信を得る。以来そのビジョンを持ち続け、生成AIが広く普及した現在は事務所の業務全体でAIの活用を進めている。2026年には日本弁護士連合会「弁護士業務改革シンポジウム」にパネリストとして登壇した。ブロックチェーン・Web3分野の法務や海外法人の設立支援にも取り組み、公益法人主催のセミナー等で講師を務める。

公正取引委員会・中小企業庁「適正取引推進講習会」講師、日本弁護士連合会代議員、東京弁護士会常議員を歴任。弁護士業務のかたわら、2014年に東京青年会議所に入会して以来、10年以上にわたりボランティア活動に取り組む。2017年からは国際的な社会奉仕団体であるライオンズクラブに所属し、2022年には東京数寄屋橋ライオンズクラブ第57代会長を務めた。献血の呼びかけ、障がい者スポーツ大会の支援、保護犬活動のほか、弁護士として小中学生への法教育や薬物乱用防止教育にも携わっている。

弁護士詳細を見る

関連記事を見る

B型肝炎給付金の申請期限が延長へ|対象者が今すぐ確認すべき手続きのポイント

2026.10.08

B型肝炎給付金の申請期限が延長へ|対象者が今すぐ確認すべき手続きのポイント

PREV
NEXT