更新日:2026年10月8日 (木)

公開日:2026年10月8日 (木)

B型肝炎給付金の申請期限が延長へ|対象者が今すぐ確認すべき手続きのポイント

B型肝炎給付金の申請期限が延長へ|対象者が今すぐ確認すべき手続きのポイント B型肝炎給付金の申請期限が延長へ|対象者が今すぐ確認すべき手続きのポイント

サマリー

B型肝炎給付金の申請期限が2032年3月まで延長される見通しです。対象者の要件や申請手続き、注意点を弁護士が解説します。

B型肝炎訴訟をめぐる給付金について、国の申請期限が延長される見通しであることが報じられました。

B型肝炎、申請期限延長へ 国給付金、32年3月まで
出典:Yahoo!ニュース(共同通信)

2026年10月1日に配信された共同通信の報道によれば、現行の申請期限(2027年3月まで)がさらに2032年3月まで延長される方向で調整が進んでいるとのことです。本コラムでは、B型肝炎給付金制度の概要や対象者の要件、申請手続きの流れと注意点について、法律的な観点から解説します。

B型肝炎給付金制度とは

B型肝炎給付金は、幼少期に集団予防接種等で使用された注射器の連続使用によりB型肝炎ウイルスに感染した方(いわゆる「集団予防接種等によるB型肝炎感染被害者」)を救済するための制度です。この制度は、「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」(以下「特措法」)に基づいて運用されており、国を被告とする訴訟上の和解を経て給付金が支給される仕組みになっています。

給付金の額は、病態(発症の有無や症状の重さ)によって異なり、最高で3,600万円が支給されるケースもあります。無症候性キャリアの方であっても、一定の要件を満たせば給付金の対象となり得ます。

この制度は時限立法であり、申請期限内に訴訟を提起しなければ給付金を受け取ることができません。今回報じられた期限延長は、まだ給付金を受け取っていない多くの感染者にとって重要な意味を持ちます。

申請期限延長の内容と今回の報道のポイント

特措法に基づく給付金の請求権には除斥期間が設けられており、これまで複数回にわたり法改正によって期限が延長されてきた経緯があります。現行法では2027年3月31日が提訴期限とされていましたが、今回の報道では、これを2032年3月まで延長する方向で国が調整しているとされています。

B型肝炎ウイルスの持続感染者は全国に多数存在すると推計されている一方で、給付金制度の存在自体を知らなかったり、手続きの煩雑さから提訴に至っていなかったりする方が少なくないのが実情です。期限延長が実現すれば、こうした未提訴の方々にとって救済の機会が改めて確保されることになります。

ただし、報道段階では延長が「調整されている」という内容であり、国会での法改正手続きを経て正式に決定される必要があります。現時点では法案が成立したとの確定情報ではないため、今後の国会審議の動向を注視する必要があります。

給付金請求の要件と必要な証拠

給付金を受けるためには、主に次のような要件を満たす必要があります。

第一に、満7歳になるまでに集団予防接種等を受けたことが記録等によって確認できることです。母子健康手帳が重要な証拠となりますが、紛失している場合でも、接種痕の有無や当時の接種状況に関する陳述書、医学的知見等を組み合わせて立証する方法があります。

第二に、母子感染(母親からの垂直感染)ではないことを医学的に証明する必要があります。具体的には、母親がB型肝炎ウイルスに感染していないことを示す検査結果などが求められます。

第三に、その他の感染原因(輸血、性交渉等)が認められないことも要件とされています。

これらの要件を満たすことが確認できた場合、国を被告として損害賠償請求訴訟を提起し、和解を経て給付金が支払われる流れとなります。訴訟提起にあたっては、特措法に定める除斥期間内に提訴することが不可欠であり、期限を徒過すると原則として給付金を受け取る権利が失われる点に最大限の注意が必要です。

申請手続きの流れ

申請の大まかな流れは次のとおりです。まず、医療機関でB型肝炎ウイルスの感染状況や病態に関する診断を受け、必要な医療記録を収集します。次に、母子健康手帳や接種痕の有無など、集団予防接種等を受けたことを示す資料を集めます。これらの資料をもとに、国を被告とした訴訟を提起し、裁判所において要件の充足が認められれば、国との和解が成立し、特措法に基づく給付金が支払われます。

病態によっては、追加給付金(定期検査費用や世帯内感染者に対する給付等)を請求できる場合もあり、請求できる範囲は個々の事情によって異なります。証拠収集には一定の時間を要するため、期限ぎりぎりでの相談では十分な準備ができないおそれがあります。

まとめ

今回の報道により、B型肝炎給付金の申請期限が2032年3月まで延長される可能性が高まっていますが、これはあくまで現時点での調整段階の情報であり、正式な法改正を待つ必要があります。期限が延長されるとしても、母子健康手帳の確認や医学的証拠の収集には時間がかかるため、できるだけ早期に専門家へ相談し準備を始めることが重要です。

ご自身やご家族がB型肝炎ウイルスの持続感染者であり、集団予防接種等が原因である可能性がある場合、給付金の対象となるかどうかは個別の事情によって判断が分かれます。要件の該当性判断や必要書類の収集、訴訟提起の手続きなど、B型肝炎給付金の申請・手続きでお困りの場合は、弁護士法人ネクスパート法律事務所までご相談ください。

コラム監修者

RUI SATO

RUI SATO

所属:代表(東京オフィス)

明治大学付属中野高校卒業、明治大学法学部・法科大学院修了。2012年弁護士登録(東京弁護士会)、2016年ネクスパート法律事務所を創設。一般民事・企業法務に加え、ブロックチェーン分野にも注力し、海外法人設立支援業務などにも取り組む。AIを活用した弁護士業務の改善・事業開発に取り組み、一般社団法人 イノベーション法務支援機構代表理事就任。公正取引委員会・中小企業庁講師、日弁連代議員、東京弁護士会常議員等を歴任。

弁護士詳細を見る