解決結果のサマリー
※プライバシー保護のため、事例の内容は特定できないよう一部変更し、金額は概数で記載しています。
※解決結果は個別の事案の内容に基づくものであり、同種の結果を保証するものではありません。
事例の概要
ご依頼者のAさんは、男性です。SNSで知り合った既婚女性Bさんと関係を持ち、それがBさんの夫Cさんに知られました。Cさんの代理人弁護士から、慰謝料200万円を求める書面が届きます。当事務所は受任後、謝罪の意向とともに相手方ご夫婦の別居・離婚の有無とBさん本人への請求の有無を照会し、別居・離婚はなくBさんへの請求もないとの回答を踏まえて、求償権を放棄する条件で請求額の3割に満たない額を提示しました。相手方は求償権放棄を前提に100万円を示し、当方は放棄を条件に60万円と応じて、交渉は金額の詰めに入っていました。ところがその途中で、AさんがBさんと再び会ったことが相手方に知られ、相手方は求償権の放棄は不要として150万円を最終提示としました。当事務所は経緯を踏まえて交渉を続け、相手方が130万円の合意書案を作成。合意書には、謝罪、慰謝料の一括払い、Bさんへの接触禁止、清算条項が置かれ、Aさんは期限内に振り込んで終結しました。担当は北條さやか弁護士と鈴木諒弁護士です。
請求200万円に対し、合意額は130万円(35%減)。支払いは一括で、受任から締結まで数か月。手続はすべて代理人間の書面のやり取りで進み、訴訟にはなっていません。
ご相談時の課題
表面上の課題
- 相手方に弁護士が付き、200万円の請求が届いた
- Aさんは不貞の事実を認めており、争点は金額だった
- 相手方ご夫婦は別居・離婚しておらず、Bさん本人への請求もなかった
本当の課題は3つ
- 求償権放棄を材料にした引き下げ——Aさんが支払った後にBさんへ負担を求める権利(求償権)の放棄は、婚姻関係が続く相手方ご夫婦にとって利益があり、金額の引き下げと引き換えにできる材料でした
- 交渉中の行動が交渉に与える影響——交渉の途中で不倫相手と接触すれば、相手方は反省がないと受け止め、求償権放棄を条件とした譲歩を撤回することがあります。依頼者の行動が交渉の前提を変えてしまう点を、事前に理解しておく必要がありました
- 前提が変わった後の立て直し——相手方が求償権放棄を不要として増額してきた後は、それを前提に、どこで区切りをつけるかを判断する必要がありました
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
弁護士の対応
(1) 前提事実を照会し、求償権放棄を条件に提示する
受任後、当事務所は受任通知を送り、謝罪の意向とともに、相手方ご夫婦の別居・離婚の有無とBさん本人への請求の有無を照会しました。別居・離婚はなく、Bさんへの請求もないとの回答を踏まえ、当事務所は求償権を放棄する条件で請求額の3割に満たない額を提示しました。
(2) 求償権放棄を前提に金額を詰める
相手方は、求償権放棄を前提に100万円を示しました。当事務所は放棄を条件に60万円と応じ、交渉は金額の詰めに入っていました。
(3) 交渉中の接触が知られ、前提が変わる
その途中で、AさんがBさんと再び会ったことが相手方に知られました。相手方は、求償権の放棄は不要として150万円を最終提示とし、求償権放棄を条件とした低額での解決は通らなくなりました。
(4) 経緯を踏まえて詰め、130万円で締結
当事務所は、経緯を踏まえて交渉を続け、相手方が130万円の合意書案を作成しました。合意書には、謝罪、慰謝料130万円の一括払い、Bさんへの接触禁止(正当な理由がある場合を除く)、清算条項が置かれ、双方が記名押印して締結。Aさんは期限内に振り込み、終結しました。
この解決のポイント
- 接触禁止に「正当な理由がある場合を除く」の限定を置いて締結したこと
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 受任後、相手方からの連絡はすべて事務所へ
- 提示方針と、求償権放棄の意味について説明を受けて判断
- 交渉中にBさんと会ったことが知られた後、前提の変化と立て直しの方針について説明を受けて判断
- 合意書の条項の説明を受けて締結し、期限内に一括で振り込み
解決結果
ご依頼前、Aさんは200万円の請求を前にしていました。
解決時には、金額は200万円から130万円へ。交渉の途中でAさんがBさんと再び会ったことが相手方に知られ、求償権放棄を条件とした低額の提示は通らなくなりましたが、相手方の最終提示150万円からさらに詰めて130万円で合意しました。合意書には、謝罪、慰謝料の一括払い、Bさんへの接触禁止(正当な理由がある場合を除く)、清算条項が置かれ、求償権放棄の条項はありません。Aさんは期限内に一括で振り込み、終結しました。
担当弁護士からのコメント(北條さやか弁護士)
慰謝料の交渉中に不倫相手と再び会うことは、相手方に「反省がない」と受け止められ、それまでの譲歩が撤回される原因になります。本件では、求償権放棄を条件とした低額の提示が通らなくなり、相手方は金額を引き上げました。それでも最終提示からさらに詰めて130万円で区切りをつけましたが、交渉中の行動が結果を左右することは、ご依頼の初めに必ずお伝えしています。
この事例に関するよくある質問
Q1. 慰謝料の交渉中に、不倫相手と会ってはいけないのですか?
交渉中に会えば、相手方に反省がないと受け止められ、それまでの譲歩が撤回される原因になります。本事例では、交渉中の接触が知られて、求償権放棄を条件とした低額の提示が通らなくなりました。
Q2. 求償権の放棄とは何ですか?
求償権は、慰謝料を支払った後に、不倫相手へ負担を求める権利です。放棄すれば相手方の配偶者に請求が及ばないため、相手方にとって利益があり、金額の引き下げと引き換えにできることがあります。
Q3. 相手方が「最終提示」と言ってきた金額から、さらに下がりますか?
事案によりますが、本事例では、相手方の最終提示150万円から、さらに詰めて130万円の合意書案が作成されました。
Q4. 合意書に求償権放棄の条項がない場合、後で不倫相手に請求できますか?
合意書に求償権放棄の条項がなければ、支払った後に不倫相手へ負担を求める余地は残ります。実際に請求するかどうかは、別途の判断になります。