解決結果のサマリー
※プライバシー保護のため、事例の内容は特定できないよう一部変更し、金額は概数で記載しています。
※解決結果は個別の事案の内容に基づくものであり、同種の結果を保証するものではありません。
事例の概要
ご依頼者のAさんは、40代の独身女性です。仕事を通じて知り合った既婚男性Bさんと数か月の関係があり、Bさんの妻Cさんに知られて、Cさんの代理人弁護士から慰謝料300万円を求める内容証明が届きました。相手方は、関係の記録として動画を保管していると告げており、Aさんはそのとき初めて動画の存在を知りました。当事務所は受任後、謝罪の意向とともに相手方ご夫婦の別居・離婚の有無とBさん本人への請求の有無を照会し、別居しておらずBさんへの請求もないとの回答を踏まえ、求償権を放棄する条件で50万円を提示。相手方は90万円を示し、当方は60万円、相手方は80万円と応酬が続く中、相手方は別居を始めたとして金額の再検討を求めてきました。当事務所は、別居の客観的な証拠として住民票の提示を求め、証拠がない限り70万円が限度であると回答。相手方はこれに応じました。合意書の文言調整では、相手方が保管する動画の削除と署名入りの削除証明書の交付、接触禁止の違約金についてBさんから接触してきた場合を除くこと、その他の条項の相互化などを求め、締結版が整うまで文言の相違を差し戻しながら70万円・一括で締結しました。担当は北條さやか弁護士です。
請求300万円に対し、合意額は70万円(約77%減)。支払いは一括で、受任から締結まで数か月。手続はすべて代理人間の書面のやり取りで進み、訴訟にはなっていません。
ご相談時の課題
表面上の課題
- 相手方に弁護士が付き、300万円の内容証明が届いた
- 相手方は関係の記録として動画を保管していると告げていた
- 関係は数か月で、Aさんは不貞の事実を認めて謝罪していた
- 求償権を放棄して低い金額で解決したいという希望があった
本当の課題は3つ
- 交渉中の「別居」主張への対応——別居の有無は慰謝料の水準を左右します。交渉の途中で相手方が別居を始めたと主張してきた場合、客観的な証拠がなければ金額の前提を変えるべきではありません
- 動画という記録の扱い——相手方が保管する動画は、支払い後も残り続ければAさんの不安の種になります。削除だけでなく、削除したことの証明まで条項化する必要がありました
- 条項の細部の詰め——接触禁止の違約金がBさんから接触してきた場合にも及ぶのか、各条項が相互のものか片務のものか、締結版の文言が案と一致しているか。細部の詰めが依頼者の今後を左右します
Aさんはご相談時に「その時に初めて動画を撮られていたのを知った」「求償権を放棄して低い金額を支払いたい」と話されていました。
弁護士の対応
(1) 前提事実を照会し、求償権放棄を条件に提示する
受任後、当事務所は受任通知を送り、謝罪の意向とともに、相手方ご夫婦の別居・離婚の有無とBさん本人への請求の有無を照会しました。相手方からは、別居しておらず、Bさんへの請求もないとの回答がありました。当事務所は、求償権を放棄する条件で50万円を提示しました。
(2) 応酬の中で、相手方が「別居を始めた」と主張する
相手方は90万円を示し、当事務所は関係の経緯を踏まえて60万円を提示。相手方は80万円を示しました。その後、相手方は別居を始めたとして、金額の再検討を求めてきました。
(3) 別居の客観的な証拠を求め、70万円を限度とする
当事務所は、別居の客観的な証拠として住民票の異動の提示を求め、客観的な証拠がない限り70万円が限度であると回答しました。交渉の途中で示された別居の主張に、証拠なく金額の前提を変えない姿勢です。相手方は70万円で応じ、合意書案を送付してきました。
(4) 動画の削除証明書、違約金の除外など細部を詰めて締結
合意書案に対し、当事務所は、相手方が保管する動画を支払い後に削除し署名捺印済みの削除証明書をAさんに交付すること、接触禁止の違約金はBさんから接触してきた場合を除くこと、各条項を相互のものにすることなどを求めました。相手方は削除証明の条項を追加し、違約金の除外にも応じました。締結直前まで、届いた原本の文言が案と異なる箇所を複数回指摘して差し戻し、締結版が整ったところで70万円・一括で締結。Aさんは期限内に振り込み、相手方本人が署名した削除報告書と合意書の原本を受け取って終結しました。
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 受任後、相手方からの連絡はすべて事務所へ
- 関係の経緯と、動画の存在を知った経緯を共有し、条項の設計に反映
- 相手方の別居主張への対応方針について説明を受けて確認
- 合意書の条項(削除証明書・違約金の除外)の説明を受けて締結し、期限内に一括で振り込み。削除報告書を受領
解決結果
ご依頼前、Aさんは300万円の請求と、自分の知らないうちに撮られていた動画の存在を前にしていました。
解決時には、金額は300万円から70万円へ。相手方の別居主張に客観的な証拠を求めた結果、金額の前提は変わらずに合意しました。合意書には、不貞の事実の確認と謝罪、慰謝料の一括払い、Bさんに対する求償権の放棄、Bさんへの接触禁止と違反時の違約金(Bさんから接触してきた場合を除く)、再度関係を持った場合の違約金、相手方が支払い後速やかに動画を削除し署名捺印済みの削除証明書をAさんに交付する条項、清算条項が置かれています。Aさんは期限内に振り込み、相手方本人が署名した削除報告書を受け取って終結しました。
担当弁護士からのコメント(北條さやか弁護士)
交渉の途中で、相手方が「別居を始めた」として金額の再検討を求めてくることがあります。別居の有無は慰謝料の水準を左右しますが、客観的な証拠がなければ金額の前提を変えるべきではありません。本件では、住民票の異動の提示を求め、証拠がない限り70万円が限度と回答して合意しました。相手方が保管する動画については、削除だけでなく署名入りの削除証明書の交付まで条項にしています。金額と同じくらい、条項の細部がご依頼者の今後を左右します。
この事例に関するよくある質問
Q1. 交渉中に相手方が「別居を始めた」と言い出しました。金額は上がりますか?
別居の有無は慰謝料の水準を左右しますが、客観的な証拠がなければ金額の前提を変えるべきではありません。本事例では、住民票の異動の提示を求め、証拠がない限り70万円が限度と回答して、その額で合意しました。
Q2. 相手方が動画を持っています。支払った後も残るのが不安です。
合意書に、支払い後の削除と、署名捺印済みの削除証明書の交付を条項として置くことができます。本事例では、この条項を追加させ、相手方本人が署名した削除報告書を受け取りました。
Q3. 接触禁止の違約金は、不倫相手から連絡してきた場合にもかかりますか?
条項の書き方によります。本事例では、不倫相手から接触してきた場合を除くよう当方から求め、相手方が応じました。締結前に確認しておくべき点です。
Q4. 届いた合意書の原本が、案と少し違います。
文言の相違は、締結前に指摘して差し戻すべきです。本事例でも、届いた原本の文言が案と異なる箇所を複数回指摘し、締結版が整ったところで締結しました。