解決結果のサマリー
※プライバシー保護のため、事例の内容は特定できないよう一部変更し、金額は概数で記載しています。
※解決結果は個別の事案の内容に基づくものであり、同種の結果を保証するものではありません。
事例の概要
ご依頼者のAさんは、40代の独身男性です。仕事を通じて知り合った既婚女性Bさんとの関係について、Bさんの夫Cさんとの間で以前に示談をしていましたが、その後も関係が続き、再びCさんに知られることになりました。Cさんの代理人弁護士から、再度の不貞を理由に慰謝料200万円を求める通知が届き、通知には、求償権の放棄や接触禁止に加え、違反した場合には違反のたびに高額の違約金を求める旨も記されていました。当事務所は受任後、相手方ご夫婦の別居・離婚の有無とBさん本人への請求の有無を照会し、求償権を放棄する条件で請求額の4分の1程度から交渉を開始。相手方は100万円を超える額と、接触禁止に解決金と同額の違約金を求めてきましたが、電話での協議を経て、解決金を大きく上回る違約金を受け入れる代わりに解決金を85万円とすることで折り合い、Aさんの支払能力に合わせて月々の分割で締結しました。担当は北條さやか弁護士です。
請求200万円に対し、合意額は85万円(約6割減)。支払いは初回にやや多めの額を置き、以後は月々一定額の分割で、現在も履行を続けています。手続はすべて代理人間の書面と電話で進み、訴訟にはなっていません。
ご相談時の課題
表面上の課題
- 以前に示談した相手方から、再び関係を持ったとして200万円の請求が届いた
- 通知には、違反のたびに高額の違約金を求める旨まで記されていた
- 前回の示談を担当した弁護士には、今回は対応できないと言われた
- 一括では支払えず、前回と同じように分割にしたかった
本当の課題は3つ
- 「2回目」であることの重み——一度示談した後に再び関係を持った事案は、相手方の心情も交渉の姿勢も、初回とは異なります。相手方が示した違約金の水準は、その表れでした
- 違約金と解決金のバランス——相手方は、接触禁止などの条項に高額の違約金を置くことを強く求めていました。違約金は将来の違反がなければ発生しない一方、解決金は確実に支払うものです。この2つをどう組み合わせるかが、交渉の設計そのものでした
- 支払能力に見合う分割——Aさんが確実に払い続けられる額を確保しなければ、合意しても履行が滞ります。分割の条件を当方から具体的に提示する必要がありました
弁護士の対応
(1) 前提事実を照会し、定型の手順を崩さない
受任後、当事務所は謝罪の意向を伝えるとともに、相手方ご夫婦が別居や離婚に至っているか、Bさん本人に慰謝料を請求しているかを照会しました。2回目の請求という悪い材料がある事案でも、慰謝料の水準を左右する事実の確認から始める手順は変えません。相手方からは、別居・離婚には至っておらず、Bさんへの請求もないとの回答がありました。
(2) 求償権放棄を条件に、4分の1程度から入る
回答を踏まえ、当事務所は、求償権を放棄する条件で請求額の4分の1程度の解決金を提示しました。相手方は、前回の示談交渉中から関係が続いていたことなどを挙げて100万円を超える額を示し、あわせて、接触禁止に違反した場合には解決金と同額の違約金を支払う条項を求めてきました。
(3) 違約金を受け入れ、解決金を抑える
ここから先は電話での協議も交えて進みました。当事務所は、相手方が重視する違約金については、将来の違反がなければ発生しないものである以上、解決金を大きく上回る水準でも受け入れる方針を取り、その代わりに確実に支払う解決金を引き下げる構成を提案。相手方は85万円の示談書案を作成し、接触禁止・記録の削除などの条項に違約金を置く内容で送付してきました。示談書案では接触禁止の対象に相手方のお子さんも含まれていましたが、最終的な合意にはこの部分は含まれませんでした。
(4) 分割条件を当方から提示して締結
当事務所は、Aさんが確実に払い続けられる額を確認したうえで、初回にやや多めの額を置き、以後は月々一定額とする分割を当方から具体的に提示。相手方はこれを反映した示談書案に改め、締結に至りました。締結後に相手方から振込先の記載に誤りがあった旨の訂正連絡があり、初回分の支払期限が繰り延べられるという場面もありましたが、以後は月々の分割を継続しています。
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 受任後、相手方からの連絡はすべて事務所へ
- 照会の結果と提示方針について説明を受け、金額を確認
- 違約金と解決金の関係について説明を受け、受け入れる範囲を判断
- 月々払える額を率直に共有し、分割条件の土台に。締結後は月々の分割を継続中
解決結果
ご依頼前、Aさんは前回の示談を担当した弁護士に断られ、2回目の請求と違約金の予告を前に、どこから手を付けてよいか分からない状態でした。
解決時には、金額は200万円から85万円へ。相手方が求める違約金の水準を受け入れる代わりに、確実に支払う解決金を抑える構成で合意しました。支払いは初回にやや多めの額を置き、以後は月々一定額の分割で、Aさんは現在も無理のない範囲で履行を続けています。合意書には、求償権の放棄、接触禁止、関係する記録の削除、清算条項が置かれ、支払いが滞った場合の取り扱いも定められています。相手方本人とAさんが直接やり取りする場面はありませんでした。
担当弁護士からのコメント(北條さやか弁護士)
一度示談した後に再び請求を受けた場合、相手方の姿勢は初回より厳しくなるのが通常です。それでも、慰謝料の水準を決める事実——別居や離婚の有無、不倫相手本人への請求の有無——を確認する手順は変わりません。本件では、相手方が重視する違約金を受け入れる代わりに、確実に支払う解決金を抑える構成で解決しました。違約金は、約束を守れば発生しません。何を守り、何を差し出すかを整理することが、2回目の交渉では特に大切です。
この事例に関するよくある質問
Q1. 以前に示談した相手から、また慰謝料を請求されました。前回と同じように減額できますか?
事案によります。一度示談した後に再び関係を持った場合、相手方の姿勢は初回より厳しくなるのが通常で、違約金の条項を求められることもあります。本事例では、違約金を受け入れる代わりに解決金を抑える構成で、200万円の請求が85万円での合意となりました。
Q2. 合意書に高額の違約金を入れると言われました。応じるべきですか?
違約金は、接触禁止などの約束に違反した場合にだけ発生します。約束を守る前提であれば、違約金の水準を受け入れる代わりに、確実に支払う解決金を引き下げる交渉が成り立つことがあります。本事例でもその構成で合意しました。ただし、条項の範囲と違約金の額は慎重に確認する必要があります。
Q3. 分割払いにしてもらえますか?
支払能力は、支払い方法を決めるうえで重要な事情です。月々確実に払える額を代理人と整理し、分割の条件を具体的に提示することで、相手方が受け入れることがあります。本事例では、初回にやや多めの額を置き、以後は月々一定額とする分割で合意しました。
Q4. 前回の示談を担当した弁護士に断られました。別の事務所に頼めますか?
はい。前回の経緯を整理して伝えていただければ、別の事務所でも対応できます。本事例でも、前回とは別の事務所として受任し、解決に至りました。