解決結果のサマリー
※プライバシー保護のため、事例の内容は特定できないよう一部変更し、金額は概数で記載しています。
※解決結果は個別の事案の内容に基づくものであり、同種の結果を保証するものではありません。
事例の概要
ご依頼者のAさんは、40代の独身女性です。仕事を通じて知り合った既婚男性Bさんとの関係がBさんの妻Cさんの知るところとなり、当事務所が受任通知で謝罪の意を伝えるとともに、Cさんの意向を照会したところ、Cさんの弁護士から条項案が示されました。その内容は、慰謝料300万円に調査費用を上乗せした約440万円の解決金に加え、求償権の放棄、接触禁止と高額の違約金、さらにAさんの仕事に関わる条件まで求めるものでした。当事務所は、Aさんの仕事に関わる条件について業務上の接触を避ける具体策を示して代替を提案し、そのうえで「求償権を放棄しない形であれば、調査費用相当の約140万円で応じる」と提示。相手方はこれを受け入れ、求償権放棄条項と仕事に関わる条件を除いた修正案を示し、接触禁止条項には求償権行使のための連絡を例外とする文言が明記されました。最終的に約140万円・一括で合意しています。担当は北條さやか弁護士です。
約440万円の請求に対し、合意額は約140万円(約68%減)。慰謝料300万円の部分は実質的に上乗せされず、相手方が支出した調査費用相当額のみの解決金です。手続はすべて代理人限りの書面交渉で進み、訴訟にはなっていません。
ご相談時の課題
表面上の課題
- 相手方に弁護士が付き、慰謝料に調査費用を上乗せした約440万円を求められた
- 求償権の放棄、接触禁止と高額の違約金まで条件として示された
- さらに、Aさんの仕事に関わる条件まで求められていた
- 仕事に関わる条件を受け入れれば、転職などで費用も生活の負担も生じる状況だった
本当の課題は3つ
- 仕事に関わる条件をどう扱うか——相手方が求めた仕事に関わる条件は、Aさんの生活に長く重い影響を及ぼします。受け入れずに済む代替策を示す必要がありました
- 求償権を放棄するか残すか——仕事に関わる条件の影響で費用がかかる以上、求償権を放棄する形での支払いは困難でした。求償権を残す形を条件に、金額と組み合わせて交渉する必要がありました
- 慰謝料部分の水準——ご夫婦が婚姻を継続している事案であり、慰謝料の水準はこの点に左右されます。調査費用と慰謝料を切り分けて考える必要がありました
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 関係が発覚した段階で相談・依頼し、以後の相手方対応はすべて事務所へ
弁護士の対応
(1) 受任通知で謝罪の意を伝え、意向を照会する
受任後、当事務所は受任通知で謝罪の意を伝えるとともに、Cさんの意向を照会しました。相手方からは、約440万円の解決金に加え、求償権の放棄、接触禁止と高額の違約金、Aさんの仕事に関わる条件を含む条項案が示されました。
(2) 仕事に関わる条件に、業務上の接触を避ける具体策で代替を提案する
当事務所は、相手方が求めた仕事に関わる条件について、それを受け入れる代わりに、業務上の接触を避けるための具体策——勤務形態の工夫や、将来の異動・転職の予定など——を示して代替を提案しました。相手方の懸念は「今後の接触」にあります。その懸念に具体策で応えることで、Aさんの生活に重い影響を及ぼす条件を受け入れずに済む道を探りました。
(3) 「求償権を放棄しない形なら調査費用相当で応じる」と提示する
そのうえで当事務所は、仕事に関わる条件の影響で転職などの費用がかかる以上、求償権を放棄する形での支払いは困難であると説明し、求償権を放棄しない形であれば、相手方が支出した調査費用相当の約140万円で応じると提示しました。慰謝料部分と調査費用を切り分け、ご夫婦が婚姻を継続している事案での慰謝料の水準も踏まえた提示です(交渉途中の金額は概数です)。
(4) 相手方の修正案で、求償権を残し、仕事に関わる条件も外れる
相手方はこの提示を受け入れ、求償権放棄条項と仕事に関わる条件を除いた修正案を示しました。接触禁止条項には、求償権行使のための書面送付や代理人経由の連絡を例外とする文言が明記されています。当事務所は支払期限の調整を要請し、相手方から調査費用の裏付け資料の提示を受けて内容を確認したうえで、約140万円・一括で締結しました。
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 仕事の状況と、業務上の接触を避けるために取り得る具体策を整理して共有
- 求償権を残す形と金額の組み合わせの意味の説明を受け、提示方針を確認
- 相手方の修正案について、求償権行使の例外や条項の意味の説明を受けて判断
解決結果
ご依頼前、Aさんは約440万円という金額と、仕事にまで及ぶ条件に追い詰められていました。
解決時には、金額は約440万円から約140万円へ。慰謝料300万円の部分は実質的に上乗せされず、相手方が支出した調査費用相当額のみの解決金となりました。求償権は放棄せず残り、接触禁止条項には求償権行使のための書面送付や代理人経由の連絡を例外とする文言が明記されています。相手方当初案にあった仕事に関わる条件は、最終合意に含まれませんでした。支払いは一括で、すでに履行を終えています。相手方本人とAさんが直接やり取りする場面はありませんでした。
担当弁護士からのコメント(北條さやか弁護士)
慰謝料の請求に、調査費用や、依頼者の仕事に関わる条件まで付いてくることがあります。金額だけを見て応じてしまうと、生活に長く重い影響が残りかねません。本件では、相手方の懸念である「今後の接触」に具体策で応えて仕事に関わる条件を外し、求償権を残す形を条件に、調査費用相当額のみでの解決にまとめました。金額と条項を一体で設計することが、依頼者の今後を守ります。
この事例に関するよくある質問
Q1. 慰謝料に調査費用まで上乗せして請求されました。払う必要がありますか?
調査費用が損害として認められるかどうかは事案によります。慰謝料部分と調査費用を切り分けて検討し、ご夫婦の状況などを踏まえた水準を主張することができます。本事例では、慰謝料300万円の部分は実質的に上乗せされず、調査費用相当額のみの解決金となりました。
Q2. 相手が、仕事に関わる条件まで求めてきました。応じるしかないのでしょうか?
必ずしもそうではありません。相手方の懸念は「今後の接触」にあることが多く、業務上の接触を避ける具体策を示して代替を提案できる場合があります。本事例では、仕事に関わる条件は最終合意に含まれませんでした。
Q3. 求償権を残す代わりに金額を上げる、という交渉はできますか?
はい。求償権を放棄するかどうかと金額は一体で交渉できます。本事例では、求償権を放棄しない形を条件に調査費用相当額で応じると提示し、相手方が受け入れました。あわせて、接触禁止条項に求償権行使の例外を明記させ、権利の行使手段まで確保しています。
Q4. 相手に弁護士が付いています。対等に交渉できますか?
代理人を立てれば、金額の交渉から条項の設計、代替策の提案まで、対等に進められます。本事例でも、ご本人が相手方と直接やり取りすることはなく、書面交渉で解決しました。