解決結果のサマリー
※プライバシー保護のため、事例の内容は特定できないよう一部変更し、金額は概数で記載しています。
※解決結果は個別の事案の内容に基づくものであり、同種の結果を保証するものではありません。
事例の概要
ご依頼者のAさんは、女性です。既婚男性Bさんとの関係について、Bさんの妻Cさんの弁護士から、慰謝料500万円を短い期限で支払うよう求める内容証明が届きました。相手方は、ご夫婦が本件を機に深刻な状況に至ったとして事情を強く主張し、一定の額を下回る解決には応じず、応じなければ訴訟を提起すると示唆してきました。当事務所は受任後、金額の前に前提事実を照会し、段階的に提示額を引き上げつつ、提示には「交渉に限った提案」という留保を付けて、仮に決裂して訴訟に移行しても不利にならない形を保ちました。最終的に200万円・一括で合意書を締結し、訴訟を回避しています。担当は北條さやか弁護士です。
請求500万円に対し、合意額は200万円(6割減)。手続はすべて代理人限りの書面交渉で進み、訴訟には至りませんでした。
ご相談時の課題
表面上の課題
- 相手方に弁護士が付き、慰謝料500万円という非常に高い水準の内容証明が届いた
- 相手方は事情を強く主張し、一定の額を下回る解決には応じない姿勢だった
- 応じなければ訴訟を提起するとの示唆があった
- 職業上、事態が広がることをとくに強く懸念していた
本当の課題は2つ
- 訴訟の示唆に動じず、決裂時にも不利にならない形で交渉すること——交渉での提示額は、決裂して訴訟に移行した場合に「その額を認めていた」と扱われるおそれがあります。提示に留保を付け、交渉での譲歩が訴訟で不利に引用されない形を保つ必要がありました
- 金額の適正化——相手方が事情を強く主張する中で、事案の水準を根拠に減額を主張する必要がありました
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 高額な内容証明が届いた段階で相談・依頼し、以後の相手方対応はすべて事務所へ
弁護士の対応
(1) 前提事実を照会し、低い水準から入る
受任後、当事務所はまず、ご夫婦の状況や、相手方がBさん本人にも請求しているかを照会しました。相手方からは、ご夫婦が別居中で離婚に向けた協議を予定していること、Bさん本人には請求していないことなどの回答がありました。これを踏まえ、当方は請求額を大きく下回る水準を提示しました。
(2) 相手方の強い主張と、訴訟の示唆
相手方は、ご夫婦が本件を機に深刻な状況に至ったとして事情を強く主張し、当初の請求額から譲歩した額を示しつつも、それを下回る解決には応じず、応じなければ訴訟を提起すると示唆してきました。当方はさらに引き上げた額を提示しましたが、相手方は姿勢を変えませんでした(交渉途中の金額は概数です)。
(3) 「交渉に限った提案」と留保して、段階的に提示する
ここで当事務所が意識したのは、提示の付け方です。交渉での提示額は、決裂して訴訟に移行した場合に「その額を認めていた」と扱われるおそれがあります。当事務所は、提示に「交渉に限った提案であり、訴訟に移行した場合にはこの提案を前提としない」旨の留保を付けたうえで、200万円を提示しました。譲歩の姿勢を示しつつ、決裂時に不利にならない形を保つ書面の技術です。
(4) 200万円で合意し、訴訟を回避
相手方はこの提示を受け入れ、合意書案が示されました。当事務所は条項を確認・調整したうえで締結し、期限までに一括で支払って紛争を終結させています。訴訟には至っていません。
ご依頼中のやりとり——Aさんはどうサービスを使ったか
- 経緯と、職業上の懸念を共有し、方針の土台に
- 相手方から訴訟の示唆があった局面では、見通しと「留保を付けた提示」の意味の説明を受けて方針を確認
- 合意金額・条項の説明を受けて判断
解決結果
ご依頼前、Aさんは500万円という請求額と、訴訟の示唆に強い不安を抱えていました。
解決時には、金額は500万円から200万円へ。相手方が事情を強く主張して高い水準を維持し、訴訟を示唆する中で、当事務所は「交渉に限った提案」という留保を付けながら段階的に提示額を引き上げ、訴訟を回避して合意に至りました。合意書では、謝罪と支払い、清算条項を整理。支払いは一括で、すでに履行を終えています。相手方本人とAさんが直接やり取りする場面はありませんでした。
担当弁護士からのコメント(北條さやか弁護士)
交渉で金額を提示するとき、その額が後日の訴訟で「認めていた額」として引用されるおそれを意識する必要があります。本件では、提示に「交渉に限った提案」という留保を付け、譲歩の姿勢を示しつつも決裂時に不利にならない形を保ちました。相手方が事情を強く主張し訴訟を示唆する事案ほど、こうした書面の技術が意味を持ちます。高額な請求と訴訟の圧力に直面したら、まずは見通しをご相談ください。
この事例に関するよくある質問
Q1. 慰謝料500万円を請求されました。そんなに払う必要がありますか?
不貞慰謝料の水準は、関係の期間・態様や婚姻関係への影響などで判断され、500万円という請求が妥当な水準とは限りません。本事例では、相手方が事情を強く主張する中で、500万円の請求が200万円での合意となりました。結果は事案によって異なります。
Q2. 交渉で金額を提示すると、後で不利になりませんか?
交渉での提示額が、決裂後の訴訟で「その額を認めていた」と扱われるおそれはあります。そのため、提示に「交渉に限った提案」という留保を付け、訴訟に移行した場合にはその提案を前提としない形にすることがあります。本事例でも、この留保を付けて提示しました。
Q3. 相手が「応じなければ訴訟する」と言っています。
訴訟の示唆が示されても、その後にさらに動くことは珍しくありません。訴訟に移行した場合の見通しを踏まえて判断し、留保を付けた提示で段階的に着地点を探ることができます。本事例でも、訴訟に至らず合意しました。
Q4. 職業上、事態が広がることをとくに避けたいのですが。
進め方しだいで、多くの場合、事態を広げずに進めることができます。窓口を代理人に一本化し、書面のやり取りで完結させれば、直接のやり取りが可視化される場面は大きく減ります。本事例でも、ご本人が相手方と直接やり取りすることなく解決に至りました。