サマリー
不同意性交等罪で有罪・無罪が判断される際には、供述内容だけでなく、客観的な証拠が重要な判断材料となります。
2023年の刑法改正によって不同意性交等罪が創設され、被害者が同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態にさせられた場合や、その状態に乗じて性交等が行われた場合には、犯罪が成立する可能性があります。
もっとも、実際の刑事事件では、「同意があったのか」「当時どのような状況だったのか」などが争点となることも少なくありません。
そのため、防犯カメラ映像やSNS・メッセージのやり取り、診断書、DNA鑑定などの客観的証拠が重要な役割を果たすことがあります。
また、不同意性交等罪の事件では、被害者側と加害者側の双方にとって、証拠の有無や内容が捜査や裁判の結果に大きな影響を与える可能性があります。
この記事では、不同意性交等罪の成立が問題となる事件において、どのような証拠が重要視されるのかを解説します。
また、被害者側・加害者側それぞれの立場から見た証拠の重要性や、証拠を保全する際の注意点についてもわかりやすく説明します。
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不同意性交等罪とは?|2023年の法改正による主な変更点
2023年7月13日に施行された改正刑法により、従来の強制性交等罪は「不同意性交等罪」へと改められ、成立要件も大きく見直されました。
改正前は、被害者の反抗を著しく困難にする程度の暴行や脅迫があったかどうかが重要な争点となることが一般的でした。
しかし、改正後は、被害者が「同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態」にさせられた場合や、そのような状態に乗じて性交等が行われた場合にも処罰の対象となります。
そのため、明確な暴行や脅迫が認められないケースであっても、当時の状況や当事者間の関係性、被害者の心身の状態などによっては、不同意性交等罪が成立する可能性があります。
処罰の対象となる「同意しない意思を形成・表明・全うできない状態」とは

改正後の刑法では、被害者が同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難になる代表的な事情が列挙されています。
例えば、暴行や脅迫を受けた場合のほか、心身の障害、アルコールや薬物の影響、睡眠その他意識が明瞭でない状態などが挙げられます。
また、不同意の意思を示す時間的余裕を与えない場合や、恐怖や驚愕によって正常な判断が困難となった場合、虐待による心理的支配を利用した場合、経済的・社会的な地位に基づく影響力を利用した場合なども、処罰の対象となる可能性があります。
特に実務上問題となることが多いのが、飲酒を伴うケースです。
例えば、お互いが合意の上で飲酒していた場合であっても、相手が泥酔して正常な判断ができない状態にあったにもかかわらず性交等を行ったと認定されれば、不同意性交等罪が成立する可能性があります。
「無理やり酒を飲ませたわけではない」「相手も楽しそうだった」「ホテルに一緒に行ったので同意があると思った」といった事情があったとしても、それだけで犯罪の成立が否定されるわけではありません。
実際には、「相手が泥酔していたため拒否できなかった」「翌日になって記憶がないことが判明した」「ブラックアウト状態で意思決定能力が失われていた」などが争点となるケースも少なくありません。
そのため、飲酒を伴う性交等については、本人が同意しているように見えたとしても、後になって「自由な意思による同意がなかった」と判断される可能性があることに注意が必要です。
従来の暴行・脅迫要件がなくても成立する可能性がある

今回の法改正における大きな変更点の一つは、従来のように暴行や脅迫の有無だけが判断基準ではなくなったことです。
改正前は、被害者の抵抗を著しく困難にする程度の暴行や脅迫があったかどうかが重要な争点となるが多くありました。
しかし、改正後は、被害者が自由な意思決定を行い、同意しない意思を形成・表明・全うできる状態にあったかどうかが重視されるようになっています。
そのため、殴る、脅すといった明確な暴行や脅迫が認められない場合であっても、当時の状況や被害者の状態などを総合的に考慮した結果、不同意性交等罪が成立する可能性があります。
13歳未満と13歳以上16歳未満では適用されるルールが異なる

法改正により、性交同意年齢は13歳から16歳へ引き上げられました。
もっとも、年齢によって適用されるルールは異なります。
まず、13歳未満の者(12歳以下)については、同意の有無や年齢差にかかわらず、性交等が行われれば不同意性交等罪が成立します。
いわゆる絶対的な性交同意年齢とされており、「本人が同意していた」といった事情によって犯罪の成立が否定されることはありません。
これに対し、13歳以上16歳未満の者(13歳から15歳)については、相手方との間に一定の年齢差がある場合に処罰の対象となります。
具体的には、行為者が被害者より5歳以上年長である場合には、相手方が同意していたとしても、不同意性交等罪が成立する可能性があります。
そのため、相手が同意しているように見えた場合であっても、年齢要件を満たす場合には刑事責任を問われる可能性があります。
また、未成年者との性交等が問題となる事件では、当事者間の認識や年齢確認の状況などが争点となることもあり、事案ごとに慎重な判断が必要となります。
不同意性交等罪は被害者の証言だけで有罪になる?|供述と客観的証拠の重要性
不同意性交等罪は、ホテルや自宅などの密室で行われることが多く、第三者の目撃証言や物的証拠が十分に残らないケースも少なくありません。
そのため、「被害者の証言だけで逮捕されるのか」「証拠がなくても有罪になるのか」と不安を感じる方もいるでしょう。
実際、不同意性交等事件では被害者の供述が重要な証拠となることが多く、捜査機関もまず被害者の供述をもとに捜査を進めます。
もっとも、最終的に有罪判決を言い渡すためには、裁判所が供述の信用性や客観的証拠との整合性を慎重に検討し、合理的な疑いを差し挟む余地がない程度まで犯罪事実が証明される必要があります。
ここでは、不同意性交等罪において被害者の供述がどのように扱われるのか、また客観的証拠がどのような役割を果たすのかについて解説します。
被害者の供述は捜査の出発点となり、逮捕や勾留につながることもある
不同意性交等罪のような密室で発生する事件では、被害者の供述が捜査の出発点となることが少なくありません。
実務上、被害者が具体的かつ一貫した供述をしている場合には、客観的証拠が十分に揃っていない段階であっても、警察や検察が逮捕や勾留を請求することがあります。
そのため、「証拠がないから逮捕されない」「被害者の証言だけでは事件にならない」と考えるのは危険です。
また、逮捕後の取調べにおける供述内容は、その後の捜査や裁判において重要な証拠となる可能性があります。
特に、迎合的な供述や不正確な内容を含む調書が作成された場合には、後になって内容を覆すことが容易ではないケースもあります。
そのため、不同意性交等罪の疑いをかけられた場合には、早い段階で弁護士の助言を受けながら慎重に対応することが重要です。
警察や検察は供述を裏付ける客観的証拠の収集を進める
警察や検察は、被害者の供述内容を検証するため、さまざまな客観的証拠を収集します。
例えば、
- 防犯カメラ映像
- ホテルや施設の利用記録
- LINEやSNS、メールなどのメッセージ履歴
- 通話履歴
- 診断書
- DNA鑑定結果
- 被害直後の相談記録
- 第三者の証言
などが証拠として利用されることがあります。
これらの証拠は、性交等の事実の有無だけでなく、当時の状況や当事者間の関係性、被害者の状態、双方の認識などを判断する重要な材料となります。
特に、飲酒を伴う事件では、防犯カメラ映像や会計記録、同行者の証言などが、被害者の酩酊状態や行動状況を裏付ける証拠として重視されることがあります。
証拠が少ない事件では供述の信用性そのものが重要な争点になる
不同意性交等事件では、客観的証拠が十分に残っていないケースも少なくありません。
そのような場合には、被害者と被疑者双方の供述の信用性が重要な争点となります。
裁判所は、
- 供述内容に具体性や一貫性があるか
- 大きな変遷や矛盾がないか
- 防犯カメラ映像やメッセージ履歴などの客観的事実と整合しているか
- 不自然な点がないか
- 虚偽の供述をする動機が存在しないか
といった事情を総合的に検討し、供述の信用性を慎重に判断します。
例えば、
- 配偶者や交際相手に浮気が発覚することを避けるために「無理やり性交された」と説明したケース
- 性交後に関係が悪化し、相手に対する怒りや報復感情から被害を訴えるに至ったケース
- 示談金や金銭の支払いを求める目的で被害を主張しているケース
などが、弁護側から供述の信用性を争う事情として主張されることがあります。
もっとも、このような事情があるからといって直ちに虚偽の申告であると判断されるわけではありません。
裁判所は、LINEやSNSのやり取り、防犯カメラ映像、第三者の証言などの客観的証拠も踏まえながら、供述の信用性を個別具体的に検討します。
そのため、不同意性交等罪の事件では、「被害者の証言だけだから有罪」「証拠がないから無罪」と単純に決まるわけではありません。
実際には、被害者と被疑者双方の供述の内容や、その供述を裏付ける客観的証拠の有無・内容を総合的に考慮しながら、慎重な判断が行われます。
【被害者の方へ】不同意性交等罪の立証に役立つ証拠の具体例
不同意性交等罪の被害に遭った場合、被害状況を裏付ける証拠をできる限り保全しておくことが重要です。
もっとも、精神的ショックが大きく、自ら証拠を集めることが難しい場合も少なくありません。
そのような場合には無理をせず、警察や医療機関、弁護士などへ早めに相談することが重要です。
ここでは、不同意性交等罪の事件で証拠となり得る代表例を紹介します。
DNA鑑定につながる下着や衣類
被害当時に着用していた下着や衣類には、加害者の体液や毛髪などが付着している可能性があります。
これらはDNA鑑定の対象となり、性交等や身体接触の事実を裏付ける重要な証拠となる場合があります。
そのため、被害直後はつらい状況ではありますが、可能であれば下着や衣類を洗濯せず、そのまま保管したうえで、速やかに警察や医療機関へ相談することが望ましいでしょう。
怪我や精神的被害を示す医師の診断書
抵抗した際に生じたあざや擦り傷、性器周辺の損傷などについては、医師の診断書が重要な証拠となることがあります。
また、事件後に不眠や抑うつ症状、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などが生じた場合には、精神科や心療内科の診断書が、被害後の精神的影響を示す資料として用いられることがあります。
時間の経過によって傷跡が消えてしまうこともあるため、できるだけ早く医療機関を受診することが重要です。
LINEやSNS、メールなどのやり取り
LINEやSNS、メールなどのメッセージ履歴は、当事者間の関係性や当時の状況を判断する重要な資料となることがあります。
例えば、
- 性行為を拒否する趣旨のやり取り
- 被害後に送信した相談や抗議のメッセージ
- 相手からの謝罪や弁解の内容
- 飲酒状況や待ち合わせの経緯に関するやり取り
などは、双方の認識や事件前後の状況を検討するうえで重要な証拠となる可能性があります。
証拠となり得るメッセージは削除せず、スクリーンショットを保存しておくことも有効です。
防犯カメラ映像やホテルなどの利用記録
駅や飲食店、ホテル、マンションなどの防犯カメラ映像は、当日の行動状況を客観的に示す資料となることがあります。
また、
- ホテルの利用記録
- タクシーや配車アプリの履歴
- クレジットカードの利用明細
- 飲食店の会計記録
なども、当時の行動経過を裏付ける証拠となる可能性があります。
特に、飲酒を伴う事件では、防犯カメラ映像や会計記録、同行者の証言などが、被害者の酩酊状態や当時の状況を判断するうえで重要視されることがあります。
もっとも、防犯カメラ映像の保存期間は数日から数週間程度で上書きされる場合もあるため、早期に警察へ相談することが重要です。
被害直後の相談記録や第三者の証言
被害直後に家族や友人、警察、性犯罪・性暴力被害者の相談窓口などへ相談していた場合、その記録が残っていることがあります。
また、
- 被害直後に相談を受けた友人
- 当日の飲み会や食事に同席していた知人
- 被害後の精神状態を目撃した家族
などの第三者の証言は、供述内容の信用性を判断する際の参考資料となる可能性があります。
被害直後のメッセージや通話履歴、録音データなどが残っている場合には、後の捜査や裁判で重要な意味を持つこともあります。
スマートフォンの位置情報や写真データ
スマートフォンに記録された位置情報や撮影日時のデータも、当時の行動状況を示す客観的資料となる場合があります。
また、事件直後に撮影した怪我の写真や、衣服の乱れ、室内の状況などを記録した画像が残っている場合には、被害状況を裏付ける証拠として利用される可能性があります。
そのため、スマートフォン内のデータを不用意に削除せず、保存しておくことが重要です。
【疑いをかけられた方へ】同意の有無を判断する際に参考となり得る証拠
不同意性交等罪の疑いをかけられた場合には、当時の状況や当事者間のやり取りを示す客観的な資料が重要となることがあります。
刑事裁判では、有罪であることを証明する責任は検察官にあります。
しかし、被疑者側としても、自身の認識や当時の状況を裏付ける資料を適切に保全しておくことが重要です。
もっとも、特定の証拠が存在するだけで直ちに無罪となるわけではありません。
裁判所は、個々の証拠だけでなく、事件当時の状況や当事者双方の供述などを総合的に検討して判断します。
ここでは、弁護活動において参考となり得る代表的な証拠を紹介します。
性行為前後の会話や録音・録画データ
性行為の前後における会話が録音・録画されている場合には、当時の状況を判断する資料となる可能性があります。
例えば、
- 行為に至る経緯
- 当事者同士の会話内容
- 行為後のやり取り
- 飲酒状況や酩酊の程度
などは、双方の認識や状況を検討する際の参考資料となり得ます。
LINEやSNS、メールなどのメッセージ履歴
LINEやSNS、メールなどのやり取りは、当事者の関係性や事件前後の状況を示す重要な資料となることがあります。
例えば、
- デートの約束
- 飲食店やホテルへ向かう経緯
- 行為後のやり取り
- 日常的な連絡内容
- 相手から好意的なメッセージが送られていた事実
などは、当時の状況を検討する際の参考資料となる可能性があります。
もっとも、親密な交際関係にあったことや、過去に性交渉があったことだけで、問題となる行為について同意が認められるわけではありません。
重要なのは、問題となっている時点で自由な意思に基づく同意が存在していたかどうかです。
そのため、メッセージ履歴は削除せず、スクリーンショットやバックアップなどによって保存しておくことが重要です。
防犯カメラ映像や施設利用記録
飲食店やホテル、駅、商業施設などの防犯カメラ映像は、当事者の行動状況を示す客観的な資料となることがあります。
また、
- ホテルの利用記録
- タクシーや配車アプリの利用履歴
- 交通系ICカードの利用履歴
- クレジットカードの決済記録
- 店舗の会計記録
なども、当日の行動経路や飲酒状況を確認する資料として利用される場合があります。
特に、飲酒を伴う事件では、防犯カメラ映像や同行者の証言などが、相手方の酩酊状態や当時の状況を検討するうえで重要な証拠となることがあります。
友人や同席者など第三者の証言
事件当日に同席していた友人や知人の証言が重要となることもあります。
例えば、
- 飲み会の様子
- 当事者の会話内容
- 酩酊の程度
- ホテルへ向かう際の状況
などを知る第三者の証言は、当時の状況を客観的に判断する材料となる可能性があります。
性交同意書や同意記録アプリの記録
近年では、性交同意書や同意記録アプリを利用するケースもみられます。
これらは当事者の意思表示を示す資料となる可能性がありますが、その存在だけで不同意性交等罪の成立が否定されるわけではありません。
裁判所は、
- 同意書の作成経緯
- 当時の精神状態
- 飲酒や心理的支配の有無
- 自由な意思に基づく同意であったか
などを含めて総合的に判断します。
そのため、性交同意書や同意記録アプリは、あくまでも判断材料の一つとして扱われるのが一般的です。
証拠を削除したり相手に接触したりすることは避けるべき
不同意性交等罪の疑いをかけられた場合、不安からLINEの履歴や画像データなどを削除したり、相手方に直接連絡して話し合おうとしたりする方もいます。
しかし、このような行為は、証拠隠滅や被害者への働きかけと受け取られ、かえって不利に評価される可能性があります。
また、供述内容や証拠の保全状況は、その後の捜査や裁判に大きな影響を及ぼすことがあります。
そのため、疑いをかけられた場合には自己判断で対応するのではなく、できるだけ早い段階で刑事事件に詳しい弁護士へ相談することが重要です。
不同意性交等罪の疑いをかけられた場合に取るべき対応
不同意性交等罪の疑いをかけられた場合、動揺や不安から誤った対応をしてしまうことがあります。
しかし、初期対応はその後の捜査や処分に大きな影響を及ぼす可能性があります。
ここでは、不同意性交等罪の疑いをかけられた場合に検討すべき主な対応について解説します。
できるだけ早く刑事事件に詳しい弁護士へ相談する
不同意性交等罪の疑いをかけられた場合には、できるだけ早い段階で刑事事件の弁護経験が豊富な弁護士へ相談することが重要です。
警察から任意の事情聴取を求められた段階であっても、弁護士から助言を受けることで、今後の対応方針を整理しやすくなります。
また、弁護士は、
- 取調べへの対応方法に関する助言
- LINEやSNSなどの証拠の保全
- 防犯カメラ映像などの収集方法の検討
- 被害者側との示談交渉
- 不利益な供述調書の作成を避けるためのサポート
など、事案に応じた弁護活動を行うことができます。
不同意性交等罪は重大事件として扱われることが多いため、早期に弁護士へ相談することが重要です。
取調べでは安易に供述調書へ署名しない
刑事手続では、自己に不利益な供述を強要されない権利として、憲法第38条の黙秘権が保障されています。
そのため、事実関係が整理できていない段階で曖昧な説明をしたり、記憶が不確かなまま供述したりすることには注意が必要です。
特に、不同意性交等事件では、最初の供述内容がその後の捜査や裁判に大きな影響を及ぼすことがあります。
一度作成された供述調書は重要な証拠として扱われるため、内容を十分に確認しないまま署名・押印することは避けるべきです。
もっとも、黙秘権を行使すべきかどうかや、どのように供述すべきかは事案によって異なります。
否認事件なのか、一部事実を認める事件なのかによっても適切な対応は変わるため、取調べを受ける前に弁護士へ相談することが望ましいでしょう。
LINEや画像などのデータを削除しない
不同意性交等罪の疑いをかけられた場合、不安からLINEやSNSの履歴、写真や動画などを削除したくなることがあります。
しかし、このような行為は刑法第104条の証拠隠滅と評価されるおそれがあり、かえって不利な事情として扱われる可能性があります。
また、メッセージ履歴や画像データ、防犯カメラ映像などは、自身の認識や当時の状況を裏付ける重要な証拠となることもあります。
そのため、スマートフォンのデータや関係資料は削除せず、できる限りそのまま保全したうえで弁護士へ相談することが重要です。
被害者側へ直接連絡を取らない
疑いを晴らしたいという思いから、本人や家族が被害者側へ直接連絡を取ろうとするケースがあります。
しかし、こうした行為は口裏合わせや証拠隠滅、被害者への働きかけと受け取られる可能性があります。
また、新たなトラブルに発展するおそれもあるため、本人や家族が独断で接触することは避けるべきです。
事案によって示談交渉を行う必要がある場合には、弁護士を通じて進めることが一般的です。
必要に応じて弁護士を通じた示談交渉を検討する
事案によっては、弁護士を通じて被害者側との示談交渉を進めることが選択肢となる場合があります。
示談が成立した場合には、被害回復や反省の意思を示す事情として、捜査機関や裁判所に考慮される可能性があります。
もっとも、不同意性交等罪は非親告罪であるため、示談や告訴の取下げがあったとしても、それだけで不起訴や無罪になるわけではありません。
そのため、示談は重要な事情の一つではあるものの、事件の内容や証拠関係などを踏まえて総合的に判断されることになります。
不同意性交等罪の疑いをかけられた場合には、自己判断で対応するのではなく、できるだけ早い段階で弁護士へ相談し、事案に応じた適切な対応を進めることが重要です。
刑事事件の示談交渉については、以下の記事も合わせてご参照ください。
示談交渉とは?刑事事件の示談の流れや注意点・示談金相場を徹底解説
「不同意性交等罪 証拠」に関するよくある質問(FAQ)
ここでは、不同意性交等罪の証拠や立証に関して、よく寄せられる疑問について解説します。
Q. 不同意性交等罪は被害者の証言だけで有罪になることがありますか?
法律上、被害者の供述のみを根拠として有罪認定が行われること自体は禁止されていません。
もっとも、供述だけで有罪を認定するためには、高度の信用性が認められる必要があり、裁判所は供述の具体性や一貫性、客観的事実との整合性などを慎重に検討したうえで判断します。
Q. LINEやSNSのやり取りは証拠になりますか?
はい、LINEやSNS、メールなどのメッセージ履歴は重要な証拠となる可能性があります。
例えば、
- デートの約束や当日のやり取り
- 飲酒状況に関する会話
- 性行為後のメッセージ
- 謝罪や説明を求める内容
- 双方の関係性が分かる日常的なやり取り
などは、当時の状況や当事者双方の認識を判断する資料として用いられることがあります。
そのため、事件に関連するメッセージや画像などは削除せず、保存しておくことが重要です。
Q. 性行為の証拠が残っていなくても立件されることはありますか?
あります。
不同意性交等罪では、DNA鑑定資料や診断書などの物的証拠が残っていないケースも少なくありません。
そのような場合でも、
- 被害者や被疑者の供述
- 防犯カメラ映像
- ホテルや施設の利用記録
- 通話履歴
- 第三者の証言
- LINEやSNSの履歴
などの間接証拠を総合的に検討し、事実認定が行われることがあります。
そのため、「証拠がないから事件にならない」と自己判断することは危険です。
Q. 不同意性交等罪の立証責任は検察官と被告人のどちらにありますか?
有罪であることを証明する刑事訴訟法第336条の立証責任は検察官にあります。
被告人側に無罪を証明する法的義務はありません。
もっとも、被告人側がLINEの履歴や防犯カメラ映像、位置情報、第三者の証言など、自身の主張を裏付ける資料を提出することによって、事実認定に影響を与える場合があります。
裁判所は、提出されたすべての証拠を踏まえて総合的に有罪・無罪を判断します。
まとめ
不同意性交等罪では、飲酒や泥酔を伴うケースを中心に、「同意があったのか」が大きな争点となることが少なくありません。
実際の事件では、被害者の供述だけでなく、LINEやSNSのやり取り、防犯カメラ映像、ホテルの利用記録、DNA鑑定資料など、さまざまな客観的証拠が重要な判断材料となります。
被害を受けたと考える方は、衣類や診断書、メッセージ履歴などの証拠を可能な限り保全したうえで、早期に警察や医療機関、弁護士へ相談することが重要です。
一方、不同意性交等罪の疑いをかけられた場合には、初期の取調べ対応や供述内容がその後の手続に大きな影響を与える可能性があります。
LINEやSNSの履歴、防犯カメラ映像、位置情報など、自身の主張を裏付ける資料を保全するとともに、できるだけ早い段階で刑事事件に詳しい弁護士へ相談することが重要です。
ネクスパート法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が多数在籍しています。
初回相談は、30分無料です。
ぜひ一度ご相談ください。
コラム監修者
Shunsuke Teragaki
所属:代表(東京オフィス)
広島県広島市出身。修道中学・高校を経て、慶應義塾大学商学部で経営・会計・商取引を学ぶ。その後、青山学院大学法科大学院を修了して2011年に新司法試験に合格し、最高裁判所司法研修所を修了(65期)。2013年1月に第二東京弁護士会に弁護士登録し、都内法律事務所で個人・法人を問わず幅広い分野の相談・交渉に取り組む。
2016年1月に佐藤塁と共にネクスパート法律事務所を創業し、共同代表として、東京オフィスを拠点に、企業のコーポレート法務、M&A・事業承継、薬事・医事法務を中心に取り扱う。商学部で培った経営の視点を生かし、法的な可否にとどまらず、事業への影響や実行可能性まで含めた選択肢を示すことを重視している。
また、一般社団法人薬機法医療法規格協会の代表理事、一般社団法人日本美容サロン協議会の監事、一般社団法人睡眠ヘルスケア協議会の外部有識者(認証評価委員)を務め、医療・美容・ヘルスケア分野の広告規制や業界の自主的なルールづくりにも関わっている。依頼者に最適な見通しと戦略的な解決策を示すことを信条とし、丁寧かつ粘り強い対応で信頼を築いている。