更新日:2026年8月14日 (金)

公開日:2026年8月6日 (木)

遺言書が見つかったら|銀行での相続手続きの流れや必要書類等を解説

遺言書が見つかったら|銀行での相続手続きの流れや必要書類等を解説 遺言書が見つかったら|銀行での相続手続きの流れや必要書類等を解説

サマリー

遺言書が見つかったら|銀行での相続手続きの流れや必要書類等を解説をテーマに、手続きの流れや必要な対応を解説。相続手続きを進める前に確認しておきたいポイントを整理します。

遺言書がある場合の銀行口座・預金の相続手続きは、多くの方にとって初めて経験する相続実務の一つです。特に、預金の払い戻しや口座解約、名義変更などの手続きは、遺言書の種類や遺言執行者の有無によって進め方が異なるため、事前に流れを把握しておくことが重要です。銀行での相続手続きを円滑に進めるためには、必要書類や提出先、検認の要否などを事前に確認し、実務上の流れを正しく理解しておくことが重要です。
この記事では、遺言書を銀行へ提出して預金の払い戻しや口座解約などの相続手続きを行う際の具体的な流れ、必要書類、注意点について、実務上のポイントを踏まえて分かりやすく解説します。

相続発生後、銀行口座はどうなる?

相続が発生し、口座名義人が亡くなった事実を金融機関が把握すると、一般的にその銀行口座は不正な出金防止や相続財産の保全を目的として凍結されます。
一度口座が凍結されると、原則として入出金や自動引き落としなどの取引が停止され、預金を払い戻すためには金融機関所定の相続手続きを行う必要があります。

銀行口座が凍結されるタイミングとその理由

銀行口座は、銀行が口座名義人の死亡の事実を把握した時点で凍結されます。これは通常、遺族からの申し出によって知られます。口座が凍結される主な理由は、預貯金を含む相続財産を保護し、遺産分割が確定する前に一部の相続人が無断で預金を引き出すことを防ぐためです。相続人が確定し、正式な手続きが完了する前に一部の相続人が勝手に預金を引き出すといったトラブルを防ぎ、全ての相続人の権利を守る役割があります。

遺言書を銀行へ提出する前に確認すべきこと

遺言書を用いて銀行の相続手続きを進める前には、まず遺言書の内容を正確に把握することが大切です。
誰がどの預金を相続するのか、遺言執行者が指定されているかといった点を確認します。
これらの内容によって、手続きの方法や必要書類が異なるため、全体像を理解した上で準備に取り掛かることがスムーズな進行につながります。

相続預金の払い戻し手続きの基本的な4ステップ

銀行預金の相続手続きは、一般的に以下の4つのステップで進みます。

①口座のある銀行へ連絡し、相続が発生した旨を伝えます。
②銀行から指示された必要書類を収集し、窓口へ提出します。
③銀行側で提出された書類の審査が行われます。
④不備がなければ預金の払い戻しや名義変更の手続きが完了します。

遺言書を銀行へ提出するのに最適な時期とは

遺言書を銀行へ提出する手続きに、法律で定められた明確な期限はありません。
しかし、相続税の申告・納付には、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内という期限が設けられています。この期限内に相続手続きを終える必要があるため、一つの目安として、なるべく速やかに手続きを開始することをお勧めします。
相続手続きを長期間放置すると、戸籍謄本などの必要書類の収集に時間を要したり、金融機関との確認作業が複雑化したりする可能性があります。

【種類別】遺言書によって銀行での手続きはどう変わる?

遺言書にはいくつかの種類があり、代表的なものに自筆証書遺言と公正証書遺言があります。どちらの遺言書かによって、銀行での相続手続きの進め方や必要となる準備が異なります。特に、家庭裁判所での検認手続きの要否が違いとなるため、手元にある遺言書の種類を正しく理解しておくことが重要です。

自筆証書遺言の特徴と手続きのポイント

自筆証書遺言は、遺言者本人が全文、日付、氏名を自書し、押印して作成する遺言書です。
手軽に作成できる反面、形式の不備で無効になるリスクがあります。自宅などで保管されていた自筆証書遺言については、銀行で相続手続きを行う前に、原則として家庭裁判所による検認手続きが必要になります。
ただし、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用している場合は検認が不要となり、手続きが簡略化されます。

公正証書遺言の特徴と手続きのポイント

公正証書遺言は、公証役場で公証人と証人2名以上の立ち会いのもと作成される遺言書です。
作成には一定の費用と手間がかかりますが、公証人が内容や方式を確認して作成するため、一般的には形式不備によって無効となるリスクが低く、証拠力や信頼性が高い点が特徴です。銀行での手続きにおいても、家庭裁判所での検認が不要なため、自筆証書遺言に比べてスムーズに手続きを進めることができます。

家庭裁判所の検認は必要?不要?ケース別に解説

遺言書を使った相続手続きにおいて、検認が必要かどうかは重要なポイントです。
検認とは、家庭裁判所が遺言書の形状や内容の状態を確認し、遺言書の偽造・変造を防止するとともに、遺言書の内容を証拠として保全するための手続きを指します。これは遺言書の有効性を判断するものではなく、あくまで遺言書の存在と内容を保全するためのものです。
遺言書の種類によって検認の要否が異なるため、裁判所での手続きが必要か事前に確認しましょう。

検認手続きが必須となる自筆証書遺言

自宅などで保管されていた自筆証書遺言や秘密証書遺言を発見した場合、銀行手続きの前に家庭裁判所で検認の手続きを受けることが法律で義務付けられています。
検認を経ずに遺言を執行した場合や、封印のある遺言書を家庭裁判所外で開封した場合には、民法上の過料の対象となる可能性があります。手続き後、検認済証明書が付与され、これが銀行での手続きに必要な書類となります。

検認が不要になる公正証書遺言と法務局保管制度の自筆証書遺言

公正証書遺言は、公証人が作成に関与し、その原本が公証役場で保管されているため、偽造のリスクが低く検認は不要です。また、2020年7月から始まった「自筆証書遺言書保管制度」を利用して法務局に保管されている自筆証書遺言も、検認を受ける必要がありません。
この場合、法務局で「遺言書情報証明書」の交付を受け、銀行手続きに使用します。

銀行の相続手続きで必要になる主な書類

銀行での相続手続きを円滑に進めるためには、戸籍謄本や印鑑証明書、遺言書原本などの必要書類を漏れなく準備することが重要です。遺言書の有無や種類、遺言執行者の指定の有無によって必要書類は異なります。
以下に一般的なケースで必要となる書類をリストアップしますが、金融機関ごとに独自の書式や追加の書類を求められる場合もあるため、手続きを始める前に必ず取引銀行に確認してください。

遺言書がある場合に共通して必要な書類

遺言書がある場合の相続手続きでは、以下の書類が必要となるケースが多いです。

遺言書(原本)
家庭裁判所の検認済証明書または法務局の遺言書情報証明書(※必要な場合)
被相続人(亡くなった方)の死亡が確認できる戸籍謄本(または除籍謄本)
預金を相続する方(相続人・受遺者)の実印と印鑑証明書
手続きを行う方の本人確認書類(運転免許証など)
被相続人の通帳、キャッシュカード、証書など

遺言執行者が手続きする場合の追加書類

遺言書によって遺言執行者が指定されている場合、共通の書類に加えて、遺言執行者の資格を証明するための書類が必要です。
具体的には、遺言執行者本人の実印と印鑑証明書、本人確認書類が求められます。
家庭裁判所によって選任された遺言執行者の場合は、その資格を証明する「選任審判書謄本」の提出も必要になるなど、手続きが異なります。

相続人が手続きする場合の追加書類

遺言書に遺言執行者の指定がない場合は、預金を相続する相続人が手続きを行います。
その際、共通書類に加えて、被相続人の出生から死亡までの一連の戸籍謄本や、相続人全員の戸籍謄本など、相続関係を証明する書類の提出を求められることがあります。
ただし、遺言書で財産を受け取る人が明確に指定されていれば、その方の書類のみで手続き可能な場合もあります。

遺言執行者がいる場合の相続手続きの流れ

遺言書がある場合で、特に遺言執行者が指定されているケースでは、銀行の相続手続きをスムーズに進めることが可能です。遺言執行者は、民法上、相続人に代わって遺言内容を実現する権限を有しており、単独で預金口座の解約や払い戻しなどの相続手続きを進められる場合があります。これにより、相続人全員の協力が不要となり、手続きの負担が軽減されます。

遺言執行者が単独で手続きを進められるメリット

遺言執行者がいる最大のメリットは、相続人全員の実印や印鑑証明書を集める必要がなく、単独で銀行の相続手続きを行える点です。
相続人が多数いる場合や、遠方に住んでいる、あるいは関係性が良くないといったケースでも、遺言執行者が代表して手続きを進められるため、迅速かつ円滑に遺言の内容を実現できます。

金融機関への提出書類と手続きの進め方

遺言執行者が手続きを行う場合、まず被相続人の口座がある金融機関に連絡し、相続が発生したことと自身が遺言執行者であることを伝えます。その後、金融機関の指示に従い、遺言書の原本や遺言執行者の印鑑証明書といった必要書類を提出します。書類に不備がなければ、遺言執行者は単独で預金の解約や指定された相続人への送金といった手続きを完了できます。

銀行へ遺言書を提出する際の注意点

遺言書を銀行へ提出した場合でも、遺留分侵害や遺言内容の有効性を巡る争いなどがあると、必ずしもすべての相続手続きが円滑に進むとは限りません。遺言書の内容に不備があったり、相続人間で争いがあったりすると、銀行が手続きを中断することもあります。トラブルを未然に防ぐため、事前に注意すべき点を理解しておくことが大切です。

相続人間で意見が対立している場合の対処法

遺言書の内容について一部の相続人が不満を持ち、遺留分侵害などを主張して対立している場合、銀行はトラブルに介入できないため、預金の払い戻し手続きを保留することがあります。
このような状況では、まず相続人間での協議や遺産分割の話し合いによる解決を図ることが一般的です。話がまとまらない場合は、家庭裁判所での調停や、弁護士など専門家を交えての協議が必要となります。

遺言書の内容に不備があり手続きが滞るケース

自筆証書遺言に多いケースとして、法律で定められた形式(日付や押印の漏れなど)を守らずに作成されたために無効と判断されることがあります。
また、財産の記載が「A銀行の預金」といった曖昧な表現で、支店名や口座番号が特定できない場合も、銀行は手続きを進められません。こうした形式不備や記載漏れを防ぐためには、遺言書の作成段階で弁護士や司法書士、公証人などの専門家へ相談することが有効とされています。

相続手続きで困ったら弁護士に相談すべき3つのケース

遺言書を用いた相続手続きは、時に複雑な問題に直面することがあります。
相続人同士の対立や遺言書の有効性に関する疑問など、当事者だけでの解決が難しい場合は、弁護士への相談を検討するのが賢明です。専門家が介入することで、法的な観点から問題を整理し、円満な解決へ導くことが期待できます。弁護士への相談には費用が発生する場合がありますが、相続人間の紛争予防や手続き負担の軽減、法的リスクの回避につながるケースもあります。

相続人同士のトラブルで話が進まないとき

遺産分割の内容を巡って相続人同士の意見が対立し、感情的なもつれから話し合いが進まないケースは少なくありません。
このような場合、弁護士が代理人として交渉の窓口となることで、冷静かつ論理的な話し合いが可能になります。
法的な根拠に基づいた解決策を提示し、当事者間の合意形成をサポートします。

遺言書の内容が無効になる可能性があるとき

遺言書がある場合でも、その形式に不備があったり、作成時の遺言者の意思能力が疑われたりすると、遺言の有効性を巡って争いになることがあります。
遺言書が無効となれば、法定相続分に従って遺産を分けることになります。
弁護士に相談すれば、遺言書の有効性を法的に調査し、無効を主張するための手続きや、逆に有効性を守るための対応を任せることができます。

相続財産が多く手続きが複雑なとき

相続財産に預貯金だけでなく、不動産、株式、投資信託などが含まれる場合、それぞれの手続きが煩雑になります。
また、相続人の数が多かったり、戸籍謄本の収集に手間取ったりすることもあります。
このような複雑なケースでは、弁護士に手続き全体を依頼することで、時間的・精神的な負担を大幅に軽減できます。費用負担は生じますが、専門家へ依頼することで、相続手続きをより正確かつ円滑に進められる可能性があります。

遺言書 銀行 提出に関するよくある質問

遺言書がある場合の銀行口座の相続手続きに関して、多くの方が抱く疑問について解説します。
個別の事情によって対応が異なる場合もあるため、最終的には取引先の金融機関に確認することが重要ですが、一般的な知識として参考にしてください。

Q.複数の銀行に被相続人の口座がある場合、手続きはどうすればよいですか?

A.金融機関ごとに個別の手続きが必要です。
戸籍謄本などの必要書類は基本的に共通ですが、各銀行所定の相続届など、独自の様式があるため、それぞれの銀行窓口で手続きを進めなければなりません。
一つの銀行で手続きが完了しても、他の銀行に自動で適用されることはありません。

Q.遺言書の内容に納得できない相続人がいても、預金の払い戻しはできますか?

A.遺言執行者が指定されている場合は、原則として他の相続人全員の同意がなくても、単独で預金の払い戻し手続きを進められるとされています。もっとも、金融機関によっては追加書類や確認を求められる場合があります。
ただし、遺留分を侵害しているなど、相続人間で具体的な紛争が生じていることを銀行が把握した場合、トラブル回避のために手続きを一時的に保留することがあります。

Q.銀行に提出した戸籍謄本や遺言書の原本は返却してもらえますか?

A.原本還付を依頼すれば、原則として返却してもらえます。
銀行側で必要書類のコピーを取った後、原本は返されるのが一般的です。
手続きの際に「原本還付希望」の旨を明確に伝えましょう。
金融機関によっては、申し出ないと返却されない場合もあるため注意が必要です。

まとめ

遺言書がある場合の銀行での相続手続きは、遺言書の種類(自筆証書か公正証書か)や、遺言執行者の有無によって進め方が大きく異なります。
特に自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所の検認が必要になるなど、事前の準備が重要です。
手続きを円滑に進めるためには、まず取引銀行に連絡を取り、必要書類や手順を正確に確認することが不可欠です。
もし相続人間の対立や遺産分割協議、遺留分対応などに不安がある場合は、弁護士など相続実務に詳しい専門家へ相談することも有効な選択肢となります。
ネクスパート法律事務所には、相続全般を手掛ける弁護士が在籍しています。銀行関連の相続手続きにお困りの方は、一度ご相談ください。

コラム監修者

Shunsuke Teragaki

Shunsuke Teragaki

所属:代表(東京オフィス)

広島県広島市出身。修道高校、慶應義塾大学商学部、青山学院大学法科大学院を卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、個人・法人問わず幅広い分野の相談・交渉に取り組む。ネクスパート法律事務所の代表弁護士として、依頼者に最適な見通しと戦略的な解決策を示すことを信条とし、丁寧かつ粘り強い対応で信頼を築いている。

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