更新日:2026年7月14日 (火)

公開日:2026年7月14日 (火)

不同意わいせつで逮捕されたらどうなる?成立要件・逮捕後の流れ・弁護士に相談すべき理由を解説

不同意わいせつで逮捕されたらどうなる?成立要件・逮捕後の流れ・弁護士に相談すべき理由を解説 不同意わいせつで逮捕されたらどうなる?成立要件・逮捕後の流れ・弁護士に相談すべき理由を解説

「不同意わいせつで逮捕」という言葉をニュースやインターネットで見かけ、不安な気持ちで検索された方もいるのではないでしょうか。

自分自身が捜査の対象になっている場合はもちろん、家族や知人が突然逮捕されたというケースでも、何が起きているのか分からず強い動揺を覚えるのが通常です。
逮捕と聞くと、即座に有罪が確定し、人生が大きく狂ってしまうような印象を持たれがちですが、刑事手続において、逮捕はあくまで捜査の一段階にすぎません。

そこで本コラムでは、不同意わいせつ罪の内容と、逮捕後にどのような手続が進むのか、そしてどのような対応が重要になるのかを解説します。

不同意わいせつ罪とは?(2023年刑法改正のポイント)

不同意わいせつ罪は、2023年の刑法改正によって新設された犯罪です。

従来の強制わいせつ罪では、暴行や脅迫があったことが中心的な成立要件とされていましたが、改正後は、相手が「同意していない状態」で行われたわいせつな行為であるかどうかが判断の軸となりました。

改正法では、単に「同意がなかったかどうか」を形式的に判断するのではなく、どのような状況であれば同意があったとはいえないのかについて、具体的な類型が示されています。

同意が成立しない典型例(意思形成・表明ができない場合)

たとえば、相手が睡眠中であったり、泥酔や意識障害などにより正常な判断ができない状態にあった場合には、そもそも同意や拒否の意思を形成・表明することができません。

このような状態で行われたわいせつな行為は、条文上も「同意がないもの」として扱われます。

また、相手が恐怖や驚愕によって体がすくんでしまい、抵抗や拒否の意思を示せなかった場合や、精神的に強い圧迫を受けていた場合も、自由な意思に基づく同意があったとは評価されません。

ここでいう圧迫には、暴力や脅迫だけでなく、職場や学校などでの地位や人間関係を背景とした心理的な支配や影響力も含まれます。

たとえば、断れば不利益を受けるのではないかと感じ、やむを得ず受け入れてしまった場合には、形式的に拒否しなかったとしても、条文上は不同意と判断される可能性があります。

同意があっても有効とされない場合(誤信・心理的支配がある場合)

さらに、改正法では、相手が誤信させられていた場合、つまり、行為の意味や状況について誤った理解をしていた場合も、同意が否定され得るものとして整理されています。

相手が行為の内容を正確に理解していなかったり、重要な事情を知らされていなかった場合には、その同意は自由な意思に基づくものとはいえないと考えられているのです。

不同意わいせつ罪が想定しているもの

このように、不同意わいせつ罪では、「嫌だと言わなかった」「抵抗されなかった」といった表面的な事情だけで判断されるわけではありません。

条文が想定しているのは、相手が同意するかどうかを冷静に判断し、その意思を自由に示すことができる状態にあったかどうかです。

その前提が欠けていると評価される場合には、暴行や脅迫がなくても犯罪が成立する可能性があります。

法定刑は6月以上10年以下の拘禁刑とされており、重大な犯罪であることに変わりはありません。

どんな行為で「不同意わいせつ」として逮捕されるのか

先ほども述べたとおり、不同意わいせつとして問題になる行為は、必ずしも典型的な暴力行為に限られません。

たとえば、飲酒によって判断能力が低下している相手に対して身体に触れた場合や、職場や学校などの上下関係を背景に、相手が断りにくい状況で行われた行為は、不同意と評価されやすい傾向にあります。

当事者の一方が「同意があると思っていた」と感じていても、相手が内心では拒否していた場合、その認識のズレが捜査や逮捕につながることがあります。
被害者の相談や被害届をきっかけとして捜査が進み、供述や証拠の内容次第では身柄拘束に至ることもあります。

不同意わいせつで逮捕された後の流れ

不同意わいせつで逮捕されると、まず警察署に身柄を拘束され、原則として48時間以内に事件は検察官へ送致されます。
この段階では、警察が集めた証拠や被疑者の供述内容を踏まえ、検察官が今後の捜査方針を判断することになります。

送致後、検察官は、引き続き身柄を拘束して捜査を続ける必要があるかどうかを検討し、その必要があると判断した場合には、裁判所に対して勾留を請求します。

裁判所は、検察官の請求を受け、被疑者に逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがあるかどうかを検討します。
勾留が認められると、原則として10日間、さらに延長が認められた場合には最長で20日間、身柄を拘束されたまま捜査を受けることになります。

この勾留期間中に、検察官は事件を起訴するか、それとも不起訴とするかという重要な判断を行います。

起訴されると、刑事裁判が開かれ、被告人として法廷に立つことになります。

一方で、証拠が不十分であったり、事情を総合的に考慮して起訴の必要がないと判断された場合には、不起訴処分となり、裁判に進むことはありません。
不起訴となれば、前科はつかず、刑事手続はそこで終了します。

なお、逃亡や証拠隠滅のおそれが低いと判断された場合には、逮捕後であっても勾留されず、在宅事件として捜査が続くこともあります。
この場合でも、検察官は最終的に起訴・不起訴の判断を行うため、決して事件が終わったわけではありません。

いずれのケースであっても、逮捕直後から勾留の可否が判断されるまでの数日間は、処分の内容に大きな影響を及ぼす極めて重要な局面といえます。

「同意があった」と主張できるのか

不同意わいせつ罪において最大の争点となるのが、同意の有無です。

判断にあたっては、相手が自由な意思で同意できる状況にあったかどうかが重視されます。

これまで述べてきたように、相手が嫌だと言わなかった、抵抗しなかったという事情だけで、直ちに同意があったと認められるわけではありません。
他方で、当日のやり取りやメッセージの内容、行為に至るまでの経緯などから、同意があったと評価される余地がある場合もあります。

この判断は一律の基準で機械的に決まるものではありません。
行為が行われた時点での相手の状態や、その場の状況、当事者同士の関係性、やり取りの経緯などを一つ一つ丁寧に確認したうえで、相手が本当に自由な意思で同意していたといえるのかが総合的に検討されます。

そのため、似たような事案であっても、具体的な事情の違いによって結論が大きく異なることがあります。

早期に弁護士へ相談すべき理由

不同意わいせつで逮捕された場合、できるだけ早い段階で弁護士に相談することが重要です。

取調べでは強い心理的プレッシャーがかかります。
そこで不用意な発言をすると、後に不利な証拠として扱われることになります。

弁護士は、取調べへの対応について助言を行い、被疑者の権利が侵害されないようサポートします。
また、被害者がいる事件では、示談が成立するかどうかが処分に大きく影響することもあり、弁護士を通じて適切に交渉を進めることが不可欠です。

まとめ|「不同意わいせつで逮捕」されたら一人で抱え込まない

不同意わいせつ罪は、刑法改正によって判断基準が変わり、当事者の認識と法的評価が食い違いやすい犯罪類型となりました。
軽い気持ちだった、相手も同意していたと思っていたという事情があっても、刑事責任を問われる可能性は否定できません。

もし不同意わいせつで逮捕された、あるいはそのおそれがある場合には、一人で抱え込まず、早い段階で弁護士に相談することが、将来への影響を最小限に抑えるために重要となります。

ネクスパート法律事務所は、不同意わいせつ罪に対する知見が深く、逮捕された後に迅速で充実したサポートをすることができます。
もしかすると逮捕されるかもしれない、すでに事情を聴かれたという方は、ぜひ一度ご相談ください。

コラム監修者

RUI SATO

RUI SATO

所属:代表(東京オフィス)

明治大学付属中野高校卒業、明治大学法学部・法科大学院修了。2012年弁護士登録(東京弁護士会)、2016年ネクスパート法律事務所を創設。一般民事・企業法務に加え、ブロックチェーン分野にも注力し、海外法人設立支援業務などにも取り組む。AIを活用した弁護士業務の改善・事業開発に取り組み、一般社団法人 イノベーション法務支援機構代表理事就任。公正取引委員会・中小企業庁講師、日弁連代議員、東京弁護士会常議員等を歴任。

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