更新日:2023年10月20日 (金)

公開日:2023年7月28日 (金)

図解でわかりやすい|歩行者と車との交通事故の過失割合【状況別】

図解でわかりやすい|歩行者と車との交通事故の過失割合【状況別】 図解でわかりやすい|歩行者と車との交通事故の過失割合【状況別】

サマリー

歩行者は、自動車やバイク等と比べて交通事故に遭った場合に被害を受けやすく、致死率も高いため、交通弱者として扱われています。

そのため、車(四輪車・単車)と歩行者との事故では、車の運転者の責任が大きくなりやすいです。

ただし、事故が発生した場所・時間帯や歩行者の行動によっては、歩行者の過失が問われることもあります。

この記事では、歩行者と車の事故における過失割合をケース別に解説します。

歩行者と車の事故の過失割合|①横断歩道上の直進車と歩行者

ここでは、横断歩道上の直進車(四輪車・単車)と歩行者の事故の過失割合を解説します。

歩行者は、道路を横断する際、横断歩道がある場所の付近においては、その横断歩道によって道路を横断しなければなりません。

横断歩道は、歩行者の横断のために設置されている場所であるため、横断歩道を横断している歩行者がいる場合には、車は、当該横断歩道の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければなりません。

歩行者用信号機が設けられている場所では、歩行者は信号機の表示する信号に従わなければならないため、過失割合の判断にあたって、その信号表示が決定的な要素となります。

歩行者が青信号で横断を開始し、車が赤信号で進入した場合

歩行者が青信号で横断を開始し、赤信号で進入した車に衝突された場合の基本過失割合は、歩行者0:車100です。青信号で横断を開始した歩行者の対面信号が黄信号に変わった時点で、赤信号で進入した車に衝突された場合も同様です。

歩行者が青信号で横断を開始し、途中で黄信号に、さらに赤信号に変わった時点で、赤信号で進入した車に衝突された場合も、基本となる過失割合は歩行者0:車100です。

歩行者が黄信号で横断を開始し、車が赤信号で進入した場合

歩行者が黄信号で横断を開始し、赤信号で進入した車に衝突された場合の基本過失割合は、歩行者10:車90です。黄信号で横断を開始した歩行者の対面信号が赤信号に変わった時点で、赤信号で進入した車に衝突された場合も同様です。

歩行者専用信号機の青点滅信号は、黄信号と同一に扱われます。

歩行者が赤信号で横断を開始し、車も赤信号で進入した場合

歩行者が赤信号で横断を開始し、赤信号で進入した車に衝突された場合の基本過失割合は、歩行者20:車80です。

ただし、交差道路の信号が赤信号になったのを確認した歩行者が、対面信号か青信号に変わる前に横断を開始した場合などで、赤信号で進入した車に衝突された時点で歩行者の対面信号が青信号に変わっていた場合の基本過失割合は、歩行者10:車90です。

歩行者が赤信号で横断を開始し、車が黄信号で進入した場合

歩行者が赤信号で横断を開始し、黄信号で進入した車に衝突された場合の基本過失割合は、歩行者50:車50です。

対面信号が赤信号であるにもかかわらず、交差道路の信号が黄信号になったことから、「もう車は来ないだろう」と軽信して、歩行者が横断を開始するケースです。

歩行者が赤信号で横断を開始し、車が青信号で進入した場合

歩行者が赤信号で横断を開始し、青信号で進入した車に衝突された場合の基本過失割合は、歩行者70:車30です。

歩行者と車の事故の過失割合|②横断歩道上の右左折車と歩行者

ここでは、横断歩道上の右左折車(四輪車・単車)と歩行者の事故の過失割合を解説します。

歩行者が青信号で横断を開始し、車が青信号で交差点に進入・右左折した場合

歩行者が青信号で横断を開始し、青信号で交差点に進入・右左折した車に衝突された場合の基本過失割合は、歩行者0:車100です。

歩行者が青信号で横断を開始し、途中で黄信号に、さらに赤信号に変わった時点で、青信号または黄信号で交差点に進入して右左折した車に衝突された場合も同様です。

歩行者が黄信号で横断を開始し、車が青信号で交差点に進入・右左折した場合

歩行者が黄信号で横断を開始し、青信号で交差点に進入・右左折した車に衝突された場合の基本過失割合は、歩行者30:車70です。

黄信号で横断を開始した歩行者が、赤信号に変わった時点で、青信号で交差点に進入して右左折した車に衝突された場合も同様です。

歩行者が赤信号で横断を開始し、車が青信号で交差点に進入・右左折した場合

歩行者が赤信号で横断を開始し、青信号で交差点に進入・右左折した車に衝突された場合の基本過失割合は、歩行者50:車50です。

歩行者が黄信号で横断を開始し、車も黄信号で交差点に進入・右左折した場合

歩行者が黄信号で横断を開始し、黄信号で交差点に進入・右左折した車に衝突された場合の基本過失割合は、歩行者20:車80です。

歩行者専用信号機の青点滅信号は、黄信号と同一に扱われます。

歩行者が赤信号で横断を開始し、車が黄信号で交差点に進入・右左折した場合

歩行者が赤信号で横断を開始し、黄信号で交差点に進入・右左折した車に衝突された場合の基本過失割合は、歩行者30:車70です。

歩行者が赤信号で横断を開始し、車が赤信号で交差点に進入・右左折した場合

歩行者が赤信号で横断を開始し、赤信号で交差点に進入・右左折した車に衝突された場合の基本過失割合は、歩行者20:車80です。

ただし、歩行者が赤信号で横断を開始した後、青信号に変わった時点で、赤信号で交差点に進入して右左折した車に衝突された場合の基本過失割合は、歩行者10:車90です。

歩行者専用信号機の青点滅信号は、黄信号と同一に扱われます。

歩行者と車の事故の過失割合|③横断歩道外の車と歩行者

ここでは、歩行者が、横断道路以外の場所で道路を横断した場合の車(四輪車・単車)と歩行者の事故の過失割合を解説します。

信号機の設置されている横断歩道直近の車と歩行者の事故

信号機の設置されている横断歩道に進入して右左折した車横断歩道直近の道路を横断中の歩行者との事故の基本過失割合は、下表のとおりです。

【歩行者】青信号 【歩行者】黄信号 【歩行者】赤信号
【車】赤信号 歩行者5:車95 歩行者15:車85 歩行者25:車75
【車】黄信号 歩行者30:車70 歩行者40:車60
【車】青信号 歩行者10:車90 歩行者40:車60 歩行者70:車30

交差点進入前の車と歩行者の事故

交差点に進入しようとする車横断歩道の手前を横断した歩行者との事故の過失割合は、下表のとおりです。

【歩行者】青信号 【歩行者】黄信号 【歩行者】赤信号
【車】赤信号 歩行者10:車90 歩行者20:車80 歩行者30:車70
【車】黄信号 歩行者50:車50
【車】青信号 歩行者70:車30

交差点進入後の車と歩行者の事故

交差点から出た車と、横断歩道付近を横断した歩行者との事故の過失割合は、下表のとおりです。

【歩行者】青信号 【歩行者】黄信号 【歩行者】赤信号
【車】赤信号 歩行者5:車95 歩行者15:車85 歩行者25:車75
【車】黄信号 歩行者50:車50
【車】青信号 歩行者70:車30

横断歩道付近の車と歩行者の事故

信号機の設置されている横断歩道の直近以外の横断道路付近における車歩行者の事故の基本過失割合は、歩行者30:車70です。

なお、横断道路付近の距離関係は一概に定義できませんが、おおよその基準は以下のとおりです。

  • 幅員10m以内の道路の場合:横断歩道の端から外側に20~30m以内
  • 幅員14m以上で交通量の激しい道路の場合:横断歩道の端から外側に40~30m以内

歩行者と車の事故の過失割合|④横断歩道のない交差点での車と歩行者

ここでは、横断歩道のない交差点での車(四輪車・単車)と歩行者の事故の過失割合を解説します。

幹線道路または広狭差の道路における広路横断歩行者と直進車の事故

幹線道路や広狭差の道路において広路を横断する歩行者直進車の事故の基本過失割合は、歩行者20:車80です。

歩行者は、車道の幅が広く、かつ、交通量の激しい道路を横断する際には、通常の道路を横断する場合よりも重い左右の安全確認義務を負います。

幹線道路または広狭差の道路における広路横断歩行者と右左折車の事故

幹線道路や広狭差の道路において広路を横断する歩行者右左折車の事故の基本過失割合は、歩行者10:車90です。

幹線道路または広狭差の道路における狭路横断歩行者と車の事故

幹線道路や広狭差の道路において狭路を横断する歩行者直進車の事故の基本過失割合は、歩行者10:車90です。

広狭の優先関係のない交差点での歩行者と車の事故

広狭の優先関係にない交差点における横断歩行者直進車・右左折車との事故の基本過失割合は、歩行者15:車85です。

歩行者と車の事故の過失割合|⑤横断歩行者以外の事故

ここでは、横断歩行者以外の歩行者と車(四輪車・単車)の事故の過失割合を解説します。

対向ないし同方向進行歩行者と車の事故

歩道または歩行者の通行に十分な幅員を有する路側帯を通行する歩行者や、そこに立ち止まっている歩行者が、車道から道路外あるいは道路外から車道に出るために歩道等を横断する車に衝突・接触された場合の基本過失割合は、歩行者0:車100です。

歩道と車道の区別がある道路で車道を通行した歩行者と車の事故

歩道と車道の区別があり歩行者の通行が許されていない車道の端を歩く歩行者と、直進中または駐車場等に入庫するために道路外に出ようとした車が衝突した場合の過失割合は、歩行者20:車80です。

ただし、工事中や堆積土などで事実上歩道を通行できないなど、歩行者に車道の通行が認められる場合に生じた車道通行中の歩行者と車の事故の過失割合は、歩行者10:車90となります。

歩道と車道の区別がない道路での歩行者と車の事故

歩道と車道の区別がない道路で、道路の右端側を通行している歩行者対向ないし同方向進行中の車が衝突・接触した場合の基本過失割合は、歩行者0:車100です。

歩行者が許されていない左端通行をし、かつ右端通行をしていれば事故発生を容易に回避できた場合などには、基本過失割合として歩行者5:車95が適用されます。

後退車と歩行者の事故

歩行者が、後退中の車の直後を横断した場合の基本過失割合は、歩行者20:車80です。

後退直後以外の場合の後退車と歩行者との事故の基本過失割合は、歩行者5:車95です。

車と歩行者の事故における過失割合の修正要素

ここでは、車(四輪車・単車)と歩行者との事故における過失割合の修正要素について解説します。

基本過失割合は、あくまで標準的な交通事故の類型を前提としたものです。

実際の交通事故では、事故が発生した時刻道路状況道路の見通しなどの状況や、被害者の年齢など個別の事情を考慮し、基本過失割合に5~20%程度の修正を加えることがあります。これを過失割合の修正要素といいます。

修正要素には、一方当事者の過失相殺率を増加させる要素(加算要素)と、減少させる要素(減算要素)があります。

加算要素

歩行者の過失に加算される主な修正要素は、下表のとおりです。

加算要素 内容
夜間 交通事故が夜間に発生した場合
幹線道路 交通事故が幹線道路で発生した場合
直前直後横断、佇立・後退 ・歩行者が車の直前・直後で道路を横断した場合

・歩行者が徐行・減速している右左折車の直前で左右を確認せず横断を開始した場合

・歩行者が横断歩道上または道路上で特段の事情なく立ち止まったり、後退したりした場合

急な飛び出し 歩行者が車の進路に急に飛び出した場合
ふらふら歩き 歩行者が予想外に大きくふらついたために事故が発生した場合
横断禁止の規則あり 歩行者が横断禁止場所を横断した場合
歩車道の区別のある道路の車道 歩車道の区別のある道路で、歩行者が車道を通行した場合
後退警告 ・車が後退するに際し、バックブザーやアナウンスを流したりした場合

・歩行者が車の後退をあらかじめ知っていた場合

上記のいずれかに該当する場合は、基本過失割合に5~10%程度が加算されることがあります。

減算要素

減算要素 内容
住宅街・商店街等 人の横断・通行が激しい場所で事故が発生した場合
児童・高齢者 ・歩行者が6歳以上13歳未満の者である場合

・歩行者がおおむね65歳以上の者である場合

幼児・身体障害者等 ・歩行者が6歳未満の者である場合

・歩行者が身体障害者用の車椅子で通行していた場合

・歩行者が杖を携帯し、または盲導犬を連れている目が見えない者である場合

・歩行者が杖を携えている耳の聞こえない者である場合

・歩行者が道路通行に著しい支障がある程度の肢体不自由、視覚障害、聴覚障害または平衡機能障害のある者である場合

集団横断 歩行者が集団で道路を横断・通行していた場合
車の著しい過失 車の運転者に以下のような著しい過失があった場合

・脇見運転等の著しい前方不注意

・著しいハンドル・ブレーキの操作ミス

・携帯電話の使用等

・車が時速15㎞以上30㎞未満の速度違反

・酒気帯び運転

車の重過失 車の運転者に以下のような重過失があった場合

・酒酔い運転

・居眠り運転

・無免許運転

・おおむね時速30㎞以上の速度違反

・過労、病気・薬物等の影響により正常な運転ができないおそれがある状態で車両を運転すること

歩車道の区別なし 歩車道の区別のある道路以外の道路で事故が発生した場合

上記のいずれかに該当する場合は、基本過失割合から5~20%程度が減算されることがあります。

修正要素が考慮されない事故

青信号で横断歩道上を横断する歩行者や歩道上を通行する歩行者は、絶対的に保護されなければなりません。

そのため、以下の事故では、歩行者に直前直後横断や佇立・後退があっても修正要素は考慮されず、過失相殺はされません。

  • 歩行者が青信号で横断を開始し、車が赤信号で進入した横断歩道上の事故
  • 歩道等を通行する歩行者と車道から道路外・道路外から車道に歩道等を横断する車との事故

まとめ|歩行者と車の事故にお悩みの方は弁護士に相談を!

交通事故の発生について歩行者にも落ち度がある場合は、その過失の程度に応じて損害賠償額が減額されることがあります。

実務上、過失割合や過失相殺率を検討する上では、民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(別冊判例タイムズ38号)が用いられています。

しかし、現実の交通事故は多種多様であり、別冊判例タイムズの基準をそのまま適用しては妥当な過失相殺率を導けない場合もあります。

交通事故に詳しい弁護士に相談すれば、別冊判例タイムズにあてはまらない事故態様について、過失割合を判断するアドバイスを得られます。

歩行者と車の事故事案で、相手方と過失割合や過失相殺率で揉めている方は、ぜひ一度ネクスパート法律事務所にご相談ください。

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