更新日:2026年6月19日 (金)
公開日:2026年6月19日 (金)
家族信託の相談ができる専門家は?弁護士に相談するメリットを解説
家族信託とは、所有している不動産や金銭を信頼できる家族に託し、預ける目的に従って管理・処分をしてもらうものです。
本制度を利用すれば、認知症などを理由に財産の管理ができなくなっても安心です。
この記事では、家族信託について相談できる専門家と弁護士に相談するメリットについて解説します。
家族信託の相談ができる専門家は?
家族信託の相談ができる専門家は、以下のとおりです。
弁護士
弁護士は、裁判、法律相談、交渉、契約書作成等の法律事務全般が行えます。
そのため、家族信託に関する相談に対して幅広く対応できます。
具体的には、以下の事項を相談できます。
- 信託契約書の作成
- 家族信託に関する相談やアドバイス
- 代理人として関係者への対応
- 信託財産の登記手続
- 紛争解決
もちろん、弁護士はそれぞれ注力分野が異なりますので、全ての弁護士が家族信託の知識や経験が豊富とは限りません。
弁護士に依頼する場合は、家族信託の知識に精通した弁護士を選びましょう。
司法書士
司法書士は登記の専門家ですので、不動産を信託財産とする場合は、司法書士に相談するとよいでしょう。
司法書士が家族信託でできることは、以下の2点です。
- 契約書の作成
- 信託財産の登記手続き
ただし、司法書士は代理人として交渉や訴訟(認定司法書士の場合は、訴額140万円以下の簡易裁判所における訴訟や訴訟外の代理業務の対応が可能)はできません。
そのため、家族信託に関して紛争が生じる可能性がある場合は、弁護士への相談が適切です。
税理士
税理士は税務関係の専門家ですので、相続税等の税務相談が可能です。
ただし、すべての税理士が相続税に詳しいわけではありません。
相続税法に関する知識や実務経験が豊富な税理士であれば、家族信託について、以下の点についてアドバイスを受けられるでしょう。
- 信託の設計段階で課税関係
- 信託期間中や信託終了時の税務申告 など
行政書士
行政書士は、行政へ許認可申請が必要な場合の書類作成等を行う専門家です。
書類作成に関する相談はできるものの、法律相談や代理人として交渉はできません。
そのため、家族信託に関しては、信託契約書の作成のみ対応が可能です。
信託銀行の窓口で家族信託の相談はできるか?
信託銀行や信託会社では、基本的には、家族・親族を受託者とする家族信託の相談はできません。
信託銀行や信託会社でも家族信託という名前のサービスを提供していますが、信託業法の免許を受けて営業として行う商事信託の一つです。
家族・親族ではなく、信託銀行や信託会社が受託者となって財産を管理するもので、家族信託とは内容が違います。
- 家族信託
- 商事信託
- 財産を託す相手(受託者)
- 家族・親族
- 信託銀行・信託会社
- 報酬
- 受託者に対する報酬の設定は自由に決められる(ただし、専門家が関与する場合は、別途専門家への報酬が発生する)
- 必ず報酬が発生する(初期費用、管理費用、各種手数料など)
- 信託財産
- 当事者間で自由に決められる
- 信託銀行や信託会社が提供するサービス内容による(収益物件等が対象になる場合もあるが、基本的には金銭のみに限定される)
信託銀行や信託会社でも、家族・親族を受託者とする家族信託をサポートするサービスを提供しているところもあるようです。しかし、家族信託について専門知識を持っている人は少ないため、結果的に弁護士等の専門家を紹介されるケースが多いです。
家族信託を弁護士に相談するメリットは?
家族信託を弁護士に相談する主なメリットは、以下の3つです。
家族信託のメリット・デメリットが明確に説明できる
弁護士であれば、家族信託のメリット・デメリットについて明確な説明ができます。
家族信託は、認知症になっても信託した財産は受託者が管理できるため、資産凍結を防げるメリットがありますが、受託者は身の上監護(生活、治療、療養、介護などに関する法律行為を代わりに行うこと)ができません。
身上監護については家族が代わりに手続きできるため、特段問題になることは少ないですが、家族が海外や遠方に居住している場合等には、身上監護について別途対策が必要なケースもあります。
家族信託そのものに節税効果はありませんが、財産の承継方法や時期を工夫することで、結果的に相続税の負担を抑えられる場合もあります。
人によっては家族信託を選択しないほうが良かったり、家族信託に向かなかったりするケースもありますので、弁護士のアドバイスは参考になるでしょう。
以下の表で家族信託のメリットとデメリットを簡単にまとめましたので、参考にしてください。
| 家族信託のメリット | 家族信託のデメリット |
|---|---|
| 認知症になっても信託した財産が凍結されない | 医療・介護に関する契約はできない |
| 成年後見制度に比べると制限・負担が少ない | 家族信託そのものに、節税効果はない |
| 不動産に関するトラブルが避けられる | 遺留分侵害額請求の対象になる可能性がある |
| 複数の世代にわたり、財産の承継先が指定できる | 所得税の損益通算ができない |
将来のトラブルを防止の観点からアドバイスができる
弁護士であれば、将来家族間で生じうるトラブルを予見し、それを防ぐためのアドバイスが可能です。
例えば、家族信託では、受益者への利益配分が他の遺留分を侵害している場合、後に遺留分侵害額請求の対象になることがあります。そのため、信託契約を設計する段階で、他の相続人の立場にも配慮した内容にしておくことが重要です。
弁護士であれば、こうしたリスクを踏まえ、将来の紛争を回避するための信託設計について、法的根拠に基づいたアドバイスが可能です。
手続きの併用や他の選択肢を提案できる
弁護士であれば、手続きの併用や他の選択肢を提案できます。
家族信託は柔軟な制度ですが、すべてのケースに万能なわけではありません。
弁護士であれば、個々の事情や目的に応じて、家族信託を他の制度と併用する必要性や、代替手段を提案できます。
例えば、信託できない財産(預貯金債権)の行先を遺言で指定すれば、相続の円滑化を図れる場合があります。家族信託と任意後見契約を併用することで、本人の判断能力が低下した後の身上監護の問題を解消できる場合もあります。
財産を託す親族がいなかったり、信頼できる親族がいなかったりする場合は、成年後見制度を利用したほうがよい場合もあります。
家族信託だけでなく、他の制度も含めて最適な選択肢が提案できるのが弁護士の強みです。
まとめ
家族信託は、専門家に相談・依頼したほうがスムーズに進められます。
費用面でためらう人もいらっしゃるかもしれませんが、将来のトラブルの予防や、信託の目的を確実に実現するためには、専門家のサポートが欠かせません。
ネクスパート法律事務所には、相続全般に強い弁護士が在籍しています。
家族信託や相続手続きのサポートが必要な方は、お気軽にお問合せください。
コラム監修者
Shunsuke Teragaki
所属:東京オフィス
広島県広島市出身。修道高校、慶應義塾大学商学部、青山学院大学法科大学院を卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、個人・法人問わず幅広い分野の相談・交渉に取り組む。ネクスパート法律事務所の代表弁護士として、依頼者に最適な見通しと戦略的な解決策を示すことを信条とし、丁寧かつ粘り強い対応で信頼を築いている。