更新日:2026年6月16日 (火)

公開日:2026年6月16日 (火)

公正証書遺言とは何か?作成するメリット・デメリットを解説

公正証書遺言とは何か?作成するメリット・デメリットを解説 公正証書遺言とは何か?作成するメリット・デメリットを解説

遺言書の作成を考えた場合、どのような方法で行うか悩む方がいらっしゃると思います。
遺言書の作成は3つの方法がありますので、ぜひご自身に合った方法を見つけてください。この記事では、主に以下の点について解説します。

  • 公正証書遺言とは何か
  • 公正証書遺言を作成するメリットとデメリット
  • 公正証書遺言の作成の流れ
  • 公正証書遺言を作成するにあたって注意すべき点

公正証書遺言とは?

公正証書遺言とは、遺言者が公証人に遺言内容を伝え、公証人がそれを筆記し、2名以上の証人の立ち合いのもと作成する遺言書です。
遺言書は、公正証書遺言の他に自筆証書遺言と秘密証書遺言があります。
それぞれの違いについては、以下の表を参考にしてください。

公正証書遺言 自筆証書遺言 秘密証書遺言
作成者 公証人 本人 本人(代筆可能)
費用 公証役場の手数料(財産の金額の金額に応じて決定) ほとんどかからない
(自筆証書遺言書保管制度を利用する場合は手数料あり)
公証役場手数料
一律11,000円
保管方法 公証役場 本人
(自筆証書遺言書保管制度を利用する場合は法務局)
本人
検認 不要
(自筆証書遺言書保管制度を利用する場合は不要)
証人 2人以上 不要 2人以上

公正証書遺言を作成するメリットは?

公正証書遺言を作成するメリットは、主に以下の4つです。

方式の不備で無効になる可能性が低い

公正証書遺言であれば、方式の不備で無効になる可能性が低いです。
遺言書は法律で定められた方式で作成されなければ無効になります。
公正証書遺言は、高度な法的知識と豊富な実務経験を有する公証人が、遺言者から遺言内容を聞き取り、法的な要件を満たしているかどうかを確認しながら作成します。
そのため、方式の不備で無効になる可能性は低くなります。

偽造・改ざん・紛失の心配がない

公正証書遺言は、原本を公証役場で保管するため、偽造・改ざん・紛失の心配がありません。遺言者にも正本が渡されますが、万が一紛失しても再発行が可能です。

家庭裁判所の検認が不要

公正証書遺言は、家庭裁判所の検認が不要です。
検認とは、遺言書の存在や内容を相続人全員に知らせ、遺言書の状態を確認する手続きです。検認は、家庭裁判所に申立てをしてから検認期日まで1~2か月程度かかります。
公正証書遺言であれば、検認を申立てる手間がなくなります。

文字が書けない人でも作成ができる

公正証書遺言は、文字が書けない人でも作成ができます。
自筆証書遺言の場合、財産目録以外は手書きで作成しなければいけません。
公正証書遺言は、病気等で手が不自由になり手書きが難しい状態でも、公証人に依頼して遺言ができます。

公正証書遺言を作成するデメリットは?

公正証書遺言を作成するにあたっては、3つのデメリットがあります。

公正証書遺言の作成費用がかかる

公正証書遺言の作成には費用がかかります。
作成費用は公証人手数料令で定められており、以下のとおりです。

相続財産額(時価) 手数料
100万円以下 5,000円
100万円を超え200万円以下 7,000円
200万円を超え500万円以下 11,000円
500万円を超え1,000万円以下 17,000円
1,000万円を超え3,000万円以下 23,000円
3,000万円を超え5,000万円以下 29,000円
5,000万円を超え1億円以下 43,000円
1億円を超え3億円以下 43,000円 + 5,000万円を超えるごとに13,000円増加
3億円を超え10億円以下 43,000円 + 5,000万円を超えるごとに11,000円増加
10億円を超える場合 24万9,000円 + 5,000万円を超えるごとに8,000円増加

2人以上の証人を見つけなければいけない

公正証書遺言の作成には、2人以上の証人を見つけなければいけません。
証人を頼める人がいない場合は、公証役場で手配ができますが、証人への謝礼として別途費用がかかります。

公証役場へ出向く手間がかかる

自筆証書遺言であれば場所を問わず作成できますが、公正証書遺言の作成は、公証役場へ出向かなければいけません。
ただし、入院中などの事情がある場合、公証人が病院に出向くことは可能です。この場合は、手数料のほか、交通費や日当などの費用が発生します。

公正証書遺言を作成する流れは?

公正証書遺言は、いきなり公証役場へ行って作成できるものではありません。
作成に関してはあらかじめ準備が必要ですので、流れを解説します。

財産の調査をする

相続の対象となる財産の調査をしましょう。代表的なものとして、以下のような財産が挙げられます。

不動産

登記識別情報(権利証)や固定資産税評価証明書等で、所有している不動産の内容を調べましょう。

預貯金

所有している金融機関、支店名、口座番号を一覧にしてまとめましょう。

有価証券・生命保険

証券会社の口座情報や加入している保険会社の証券などの情報をまとめましょう。

借金

借り入れがある場合は、どの金融機関からいくら借り入れているかまとめましょう。
財産の全体像が見えてくると、誰に何をどう残すかを考えやすくなります。遺言書を作成する前に、まずは財産の内訳や状況を整理しましょう。

相続人の調査をする

ご自身の戸籍謄本を取得し、相続人の調査を漏れなく行いましょう。
公正証書遺言の作成時には、遺言で財産を渡す予定の推定相続人の戸籍謄本等を提出する必要があります。
推定相続人全員の調査は必須ではありませんが、後日トラブルが生じないよう、できるだけ正確に推定相続人の状況を把握することが望ましいでしょう。

遺言書の草案を作成する

どのような内容の遺言書にするか、遺言書の草案を作成しましょう。遺言書の内容によって必要書類が異なりますので、公証役場に連絡をする前に内容をまとめておきましょう。

公証役場へ連絡をして必要書類を確認する

公証役場へ連絡をして必要書類を確認しましょう。
公正証書遺言の作成の依頼には、一般的に、以下の書類が必要です。

  • 遺言者の戸籍謄本
  • 遺言者の本人確認書類(3か月以内に発行された印鑑証明書や運転免許証等)
  • 遺言者と財産を渡す予定の相続人との続柄が分かる戸籍謄本等
  • 相続人以外に財産を譲る場合はその人の住民票の写し
  • 遺言書に記載する財産の詳細や評価額がわかる資料(登記事項証明書、固定資産評価証明書、預貯金通帳の写しなど)
  • 証人予定者の氏名、住所、生年月日および職業を記載したメモ
    なお、事案に応じて、他にも資料の提出を求められる場合もあります。

証人を手配する

証人を2人以上手配しましょう。知人に依頼するか、適当な方がいらっしゃらない場合は公証役場に依頼をしましょう。

公証役場へ連絡して予約を取る

必要書類の準備が整ったら、公証役場に連絡をして、公証役場へ連絡をして、事前の打ち合わせを行います。
公証人は、遺言者が作成した草案や提出した資料をもとに、遺言公正証書の案を作成します。
このやり取りは、メールやファックス、郵便等でも進められる場合がありますが、公証人に直接聞きたいことや相談したいことがあれば、予約を取って公証役場を訪れても差し支えありません。
何度かやり取りをして、遺言書の内容が確定したら、遺言書を作成する日時を調整します。
この段階で、公証役場に支払う手数料についても説明があることが一般です。

予約した日時に証人とともに公証役場に出向く

予約した日時に証人とともに公証役場へ出向きましょう。
必要書類は、事前打ち合わせの段階で提出することが多いですが、コピーを提示している場合には、原本の持参を求められる場合もあります。作成日当日に持参すべきものは、事前に案内されるので、それに従いましょう。

公証人が遺言書の内容を遺言者と証人に読み聞かせる

公証役場にて、公証人が遺言書の内容を遺言者と証人に読み聞かせます。

遺言者と証人が署名・押印する

公証人が読み聞かせた遺言書に問題がなければ、遺言者と証人が証明・押印をします。

手数料を支払って正本・謄本を受け取る

必要な手数料を支払って、公正証書遺言の正本・謄本を受け取ります。受け取った正本と謄本は大切に保管しましょう。

公正証書遺言でもめないためにすべきことは?

公正証書遺言の作成によって、相続人同士がトラブルになるケースがあります。
もめないためにすべきことを解説します。

遺留分を配慮した内容にする

遺言書は、遺留分を配慮した内容にしましょう。
遺留分とは、遺言者の配偶者、子どもや孫、親や祖父母に保障されている遺産の最低限の取り分です。
例えば、相続人が配偶者、長男、次男だったとします。財産をすべて長男に相続させるという内容の遺言書にした場合、配偶者と次男の遺留分が侵害されます。
この場合、遺留分侵害額請求を申立てるなどのトラブルに発展する可能性があります。遺言書を作成する際は、遺留分に配慮して内容を検討することが望ましいです。

財産を漏れなく記載する

相続財産を漏れなく記載し、誰が何を相続するか明確にしましょう。
財産の記載漏れがあると、その部分を誰が相続するかまとまらず、トラブルのもとになります。

遺言執行者を指定する

遺言書どおりに間違いなく相続手続きを行いたい場合は、遺言執行者を指定しましょう。
相続手続きを安心して任せられる人に依頼すれば、トラブルが避けられます。

定期的に内容を見直す

遺言書の内容を定期的に見直しましょう。
所有していた財産を売却するなど、遺言書作成時から変更が生じるケースがあります。遺言書作成時から生活環境の変化が生じたり気持ちに変化があったりする場合もあるので、定期的な見直しは重要です。

公正証書遺言でよくあるQ&A

公正証書遺言に関して、よくあるQ&Aを紹介します。

公正証書遺言が無効になるケースは?

公正証書遺言でも、無効になるケースはあります。
例えば、以下のようなケースでは、無効となる可能性があります。

  • 遺言者が認知症などで遺言能力がなかった場合
  • 証人が適切でなかった場合
  • 遺言者が公証人に遺言の趣旨を口授していない場合
  • 詐欺・脅迫で遺言書を作成していた場合

証人になれない人は?

証人は誰でもなれるわけではありません。
以下に該当する人は、証人になれませんので気を付けましょう。

  • 未成年
  • 推定相続人
  • 遺言で遺産を受け取る人(受遺者)
  • 推定相続人・受遺者の配偶者や直系血族
  • 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および使用人

遺言書が死亡したら公証役場から相続人に連絡があるか?

遺言者が死亡しても、公証役場から相続人あてに連絡はありません。
自宅に公正証書遺言の正本が保管されていないかどうか確認しましょう。公正証書遺言を作成したと聞いているなら、公証役場の遺言検索システムを利用すれば探せます。

公正証書遺言の開封方法は?

公正証書遺言を見つけた場合、勝手に開封しても構いません。
自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認を受ける前に開封してはいけませんが(自筆証書遺言書保管制度を利用している場合を除く)、公正証書遺言は検認が不要なので、開封しても問題ありません。

まとめ

今回の記事では、公正証書遺言について解説をしました。
公正証書遺言は、安全・確実な遺言書作成ができますが、一定の費用がかかります。公正証書遺言がご自身に合った方法かどうかを見極めて利用するとよいでしょう。
ネクスパート法律事務所には、リーズナブルな金額で公正証書遺言の作成のサポートを承れます。
遺言書案の作成支援をご依頼いただいた方には、手続きについてもわかりやすくご説明しますので、ぜひご相談ください。
初回相談は30分無料となりますので、遺言書の作成を検討している方は、一度お問合せください。

コラム監修者

Shunsuke Teragaki

Shunsuke Teragaki

所属:東京オフィス

広島県広島市出身。修道高校、慶應義塾大学商学部、青山学院大学法科大学院を卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、個人・法人問わず幅広い分野の相談・交渉に取り組む。ネクスパート法律事務所の代表弁護士として、依頼者に最適な見通しと戦略的な解決策を示すことを信条とし、丁寧かつ粘り強い対応で信頼を築いている。

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