更新日:2026年6月22日 (月)

公開日:2026年6月9日 (火)

不貞行為の責任割合とは?責任割合分だけの慰謝料を支払うのは可能?

不貞行為の責任割合とは?責任割合分だけの慰謝料を支払うのは可能? 不貞行為の責任割合とは?責任割合分だけの慰謝料を支払うのは可能?

サマリー

不貞慰謝料を請求された方の中には、「なぜ自分だけが慰謝料全額を支払わなければならないのか?」「不倫相手には何らの責任も問えないのか?」との疑問を抱くかもしれません。
この記事では、不貞行為の責任割合を中心に、不貞行為の法的考え方を簡単に説明します。
「自分が支払う分を減らしたい。」「不倫相手にも責任を負わせたい。」とのあなたの希望を考慮した、2つの解決策も提示します。
この記事を読み、不貞行為の責任割合についての理解を深め、あなたにとってよりよい解決策を一緒に考えましょう。

不貞行為の責任割合とは?

不貞行為の責任割合とは、不貞関係にあった二人のうち、どちらにどれくらいの責任があるかを示すものです。
不貞行為の責任割合について、法律で明確な基準は定められていません。
責任割合は、必ず5:5になるとも限りません。
話し合いによる場合には、当事者の合意があれば自由に責任割合を決められます。
責任割合は、あくまで不貞を行った加害者間での責任の重さを示すものであり、被害者(不倫相手の配偶者)に対しては、全額の慰謝料を支払う義務があります(詳しくは、第3章で解説)。

不貞行為の責任割合はどのように決まる?【3つの要素】

不貞行為の責任割合は、交際開始の経緯や交際時の対応、当事者の年齢等を考慮して決められます。
例えば、初めに誘ったのは既婚者側であり、その後も既婚者側が積極的に関係を迫っていた事情があるケースでは、既婚者側の責任割合が大きくなります。
以下、責任割合を決める3つの要素について、詳しく解説します。

交際開始の経緯(積極性・主導性)

交際開始の経緯(積極性・主導性)です。
不貞関係を積極的に持ちかけ、主導的に継続させた側の責任が重く判断される傾向にあります。

交際時の対応

交際時の対応です。
例えば、既婚者側が「配偶者とは離婚予定だ。」などと独身者側を欺いて関係を持った場合や、既婚者であることを隠して交際を開始したなどの事情がある場合には、既婚者側の責任が重く判断される傾向にあります。

当事者の年齢(既婚・独身など)

当事者の年齢や立場(既婚・独身など)です。
一般的に、不貞関係において既婚者の方が独身者よりも重い責任を負うと考えられています。
未成年者と関係を持った場合や、不貞当事者の一方が若年者の場合には、もう一方の責任が重く判断される傾向にあります。
会社の上司と部下の立場にあるケースでは、上司側の責任が重く判断される場合もあります。

裁判例から見る不貞行為の責任割合

不貞行為の責任割合について判断された裁判例をご紹介します。

不貞行為の責任割合を既婚者:独身者=7:3とした事例

不貞行為の責任割合を既婚者:独身者=7:3とした事例です(東京地裁令和3年2月5日判決)。
この事例について、裁判所は、既婚者側が、結婚したい旨のメッセージを送信するなどして、積極的に不貞関係を発展させたことが認められたことから、既婚者側がその過半を負うべきものといわざるを得ないと示しました。

不貞行為の責任割合を既婚者:独身者8.5:1.5とした事例

不貞行為の責任割合を既婚者:独身者8.5:1.5とした事例です(東京地裁令和3年8月30日判決)。
この事例について、裁判所は、独身者側は当初未成年であり、性交渉を含む交際を誘起した責任は、主に既婚者側にあり、既婚者側における違法性は、著しく大きいものと評価できると示しました。

不貞行為の慰謝料を自分の責任割合分だけに減額して支払える?

不貞行為の責任割合を理解した方の中には、「自分の責任割合分だけを支払えないのか?」と考える人がいます。
しかし、慰謝料を自分の責任割合分だけに減額して支払えません。
不貞行為は、あなたと不倫相手の二人で行われたものです(共同不法行為)。
共同不法行為によって生じた慰謝料の支払い義務は、被害者(不倫相手の配偶者)に対して、不貞をした二人それぞれが全額を支払う責任を負います。
つまり、あなたは、被害者に対して、責任割合分だけでなく、慰謝料全額を支払う義務があります。
責任割合の考え方は、あくまで加害者間での責任の分担の話です。
したがって、あなたが被害者から慰謝料の全額を請求された場合には、「責任割合分しか支払いません。」との主張はできません。
慰謝料全額を支払った後で、共同で責任を負う不倫相手に対して、責任割合分を求償する形になります。

したがって、不貞慰謝料を請求された場合に、「自分の責任割合分だけ支払う。」との主張はできません。

不貞行為の慰謝料を自分の責任割合分だけ負担したい!2つの解決策

不貞慰謝料を自分の責任割合分だけ負担したいと考えている方への解決策としては、次の2つの方法が挙げられます。

  • 慰謝料を全額支払った後で不倫相手に求償権を行使する
  • 求償権放棄と引き換えに慰謝料の減額交渉をする

以下、詳しく解説します。

慰謝料を全額支払った後で不倫相手に求償権を行使する

慰謝料を全額支払った後で不倫相手に求償権を行使する方法です。
慰謝料の全額をあなたが支払った場合、あなたは不倫相手に対して、あなたの責任割合分を超えて支払った分を請求する権利を得ます。
この権利が、求償権です。

例えば、慰謝料200万円をあなたが全額支払い、責任割合が5:5だと判断される場合、あなたは不倫相手に100万円を請求できます。

しかし、求償権を行使しても、不倫相手が素直に支払いに応じるとは限りません。
自分も慰謝料を支払い済みだから、求償権は発生しないと主張される可能性もあります。
話し合いでまとまらなければ、裁判を起こす必要が生じ、時間や手間がかかる点がデメリットと言えるでしょう。
不倫相手に対する求償権の行使について、詳しくは「不貞相手に求償権を行使したい!求償権を行使できない場合とは?」の記事をご参照ください。

求償権放棄と引き換えに慰謝料の減額交渉をする

求償権放棄と引き換えに慰謝料の減額交渉をする方法です。
実務でよく用いられる&終局的な解決策として、求償権の放棄を交渉材料に、慰謝料の減額交渉を行う方法があります。
不倫相手の配偶者に対し、「今後、私が不倫相手に求償権を行使することを放棄します。その代わりに、請求額を減額してください。」と交渉します。
不倫相手の配偶者も、慰謝料を受け取った後、後日、求償権行使を巡るトラブルに巻き込まれない点でメリットがあります。
特に、相手夫婦が離婚しない場合、不貞をした配偶者(既婚者側)には慰謝料を請求せず、あなた(独身者側)にのみ慰謝料請求するケースが多いです。
この場合に求償権が行使されると、慰謝料を獲得した家計と同じ家計から求償されたお金を支払うでしょう。
つまり、家計全体でみると、慰謝料の一部を求償されたお金にあてる形になります。
あらかじめ求償権の放棄を合意することで、今後求償権を行使される不安を除去できるメリットがあります。
ただし、相手夫婦が離婚する場合には、メリットがあまりないため、減額交渉が難しい場合があります。

不貞行為の慰謝料を減額交渉するなら弁護士に相談を

不貞慰謝料を自分の責任割合分に減額交渉するなら、弁護士に相談することをおすすめします。
以下、弁護士に依頼するメリットを解説します。

減額できる可能性が高まる

減額できる可能性が高まります。
相手方が提示する金額は、希望額に過ぎません。
弁護士は、過去の裁判例や一般的な相場を正確に把握していることから、個々の事案に応じた適切な相場を判断できます。
求償権放棄を交渉材料に慰謝料の減額を提案する場合も、弁護士が適切に進めることで成功する可能性が高まります。
この方法は、あなたの負担を減らすだけでなく、相手夫婦にとっても一定のメリットのある解決策です。
弁護士が、相手方のメリットについて、説得力のある論理的な交渉を行うことで、減額できる可能性が高まるでしょう。

交渉の精神的負担軽減に繋がる

交渉の精神的負担軽減に繋がります。
不貞問題は、当事者同士が感情的になりやすく、交渉が平行線になることが少なくありません。
相手方から直接連絡を受けることは、あなたにとって精神的負担に繋がるでしょう。
弁護士に依頼すれば、交渉の窓口が弁護士に一本化されるため、あなたが直接相手方とやり取りをする必要がなくなり、精神的な負担を大幅に軽減できます。
弁護士が代理人として冷静に対応することで、話し合いもスムーズに進みやすくなるでしょう。

将来のトラブル回避のための示談書作成まで任せられる

将来のトラブル回避のための示談書作成まで任せられます。
交渉がまとまった場合、その合意内容を明確に記した示談書の作成が不可欠です。
口頭での合意は、後から「言った、言わない。」などのトラブルが生じる可能性が高いからです。
特に、求償権について何らかの合意がされた場合には、将来のトラブルを未然に防ぐために、法的に正確な文言で記載する必要があります。
弁護士に依頼することで、適切な示談書を作成してもらえるでしょう。

まとめ

不貞慰謝料を請求された際に、「自分だけが全額を支払うのは不公平だ。」と感じるかもしれません。
しかし、法的な仕組みを正しく理解することで、あなたには慰謝料を全額支払う義務があることがお分かりいただけたかと思います。
ご自身の負担を減らしたい場合は、次の2つの解決策があります。

  • 不倫相手に求償権を行使する
  • 求償権の放棄を交渉材料に慰謝料の減額交渉をする

慰謝料の減額交渉をお考えの方は、ぜひ一度弁護士にご相談ください。
弁護士に依頼することで、慰謝料を減額できる可能性が高まります。
ネクスパート法律事務所では、不貞問題に強い弁護士が多数在籍しています。
初回の相談は30分無料ですので、お気軽にご相談ください。

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