不二子が不二夫と愛子との不貞関係によって不二子らの婚姻関係が破綻させられたと主張して、愛子に対し、慰謝料の支払いを求めた事案である。
愛子は、不二夫の勤務先の元部下であり、不二夫は同勤務先を退職後、愛子のマンションで同居するに至った。
不二夫が不二子に対してH27年12月に離婚を希望するメールを送るまでは、不二子らの婚姻関係は特に問題なく推移していたということができ、婚姻関係が破綻したのは、不二夫が不二子との間で婚姻関係を維持する意思がないことが告知されたこの時点であったといえ、それに対し、愛子らの不貞関係の開始時期はH10年頃であると認められ、愛子としては不二夫との不貞関係を開始継続するにあたり、不二夫らの婚姻関係の破綻を信じるに足りる根拠を有しておらず、不二夫らの婚姻関係が破綻していなかったことを十分に認識し得たといえるとし、不二子らの婚姻関係が約44年もの長期にわたり、そのうち愛子らの不貞関係は少なくとも約17年もの間継続されたものであることからすると、不二子が人生の大半をささげてきたものの価値を大いに損なうものであったといえ、現に不二子は不二夫から離婚をもとめられたからほどなくしてうつ病に罹患して通院を余儀なくされており、不二子が被った精神的苦痛にはほかの同種事案と比して大きいものがあるというべきであり、不二子らには扶養を要する子はいないものの、不二夫が不二子の生活維持よりも愛子との不貞関係を優先させた結果、不二子は住み慣れた自宅を負われ、老後の生活の当てとしてきた不二夫の財産を得られなくなったところ不二子はすでに高齢であり、これまで専業主婦として生活してきたため、不二子においてこれから新たに資産を形成することは期待できないことからすると、愛子に不二夫との婚姻関係を破綻させられたことによって不二子が被る経済的な不利益にも相当なものがあり、金銭評価する際には増額方向で考慮すべき事情であるといえ、慰謝料400万円、弁護士費用40万円の計440万円が相当とされた。
当事者の情報
不貞期間 | 約1年7ヶ月 |
請求額 | 1500万円 |
認容額 | 440万円 |
子供人数 | 2人(44歳、43歳) |
婚姻関係破綻の有無 | 破綻していない |