【景品表示法】フィットネス事業者の「確約計画」の認定

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「受け放題」表示が問題に

令和7年12月16日、消費者庁はフィットネスクラブを運営する事業者が申請した確約計画を認定しました。

本件は、ヨガやマシンピラティス、よもぎ蒸しなどのサービスについて「全部受け放題」「月々1,980円~」と表示していた事案です。実際には、表示されたサービスの全てを受けられるわけではありませんでした。

この表示は、景品表示法第5条第2号有利誤認表示)に違反する疑いがあるとされました。確約手続は、違反の有無を認定せずに事業者が自主的に是正措置を講じる制度です。

本記事では、事案の概要、確約手続の仕組み、企業が注意すべきポイントを解説します。

事案の概要

ここでは、消費者庁が問題とした表示について説明します。

問題となった表示

当該事業者は、自社運営店舗およびフランチャイズ店舗を通じてフィットネスサービスを提供しています。

令和6年3月14日から令和7年7月31日までの間、自社ウェブサイトにおいて次のような表示をしていました。

  • 「ヨガ・マシンピラティス・よもぎ蒸しなど 全部受け放題」
  • 「月々1,980円~で ここまでできる!」

これらの表示から、月額1,980円(税抜)でヨガ、マシンピラティス、よもぎ蒸しなどの全てのサービスが受けられると読み取れる内容でした。

実際の取引条件

しかし、実際には表示されたサービスの全てを受けられるわけではありませんでした

表示と実際の取引条件に乖離があったため、景品表示法第5条第2号の有利誤認表示に該当する疑いがあるとされました。

景品表示法における「確約手続」とは

ここでは、本件で用いられた確約手続の制度について説明します。

確約手続の概要

確約手続は、景品表示法に違反する疑いのある行為について、事業者が自主的に是正措置を講じる制度です。

消費者庁は、違反被疑行為があると判断した場合、事業者に通知します。通知を受けた事業者は、60日以内に是正措置計画(確約計画)を提出できます。

消費者庁が確約計画を認定すると、措置命令や課徴金納付命令は行われません

確約計画の認定要件

確約計画が認定されるには、次の2つの要件を満たす必要があります。

  • 措置内容の十分性
    違反被疑行為とその影響を是正するために十分な内容であること
  • 措置実施の確実性
    措置が確実に実施されると見込まれること

措置命令との違い

確約手続には、次の特徴があります。

  • 違反の有無は認定されない
  • 事業者が自主的に是正措置を講じる
  • 計画が履行されない場合は認定が取り消され、措置命令の対象となりうる

認定された確約計画の内容

ここでは、当該事業者が提出し、認定された確約計画の内容を説明します。

認定された確約計画には、次の措置が含まれています。

  • 取締役会決議
    違反被疑行為を行っていないことの確認と、同様の行為を行わない旨を決議
  • 消費者への周知
    違反被疑行為の内容を一般消費者に周知
  • 再発防止措置
    同種の行為が再び行われることを防止するための各種措置
  • 会費の一部返金
    違反被疑行為を行っていた期間に会員となった者に対する返金
  • 履行状況の報告
    上記措置の履行状況を消費者庁に報告

消費者庁は、これらの措置が措置内容の十分性と措置実施の確実性の両方を満たすと判断し、確約計画を認定しました。

企業が注意すべきポイント

ここでは、本件から企業が学ぶべき点を説明します。

「受け放題」「全部」表示に注意

本件では、「全部受け放題」と表示しながら、実際には全てのサービスを受けられなかったことが問題となりました。

「受け放題」「使い放題」「全部」といった表示をする場合は、対象となるサービスや条件を明確に示す必要があります。

価格表示と提供内容の整合性に注意

「月々○○円~」という価格表示をする際は、その金額で実際に何が利用できるのかを正確に伝える必要があります。

サブスクリプション型サービスでは、プランごとの違いや制限事項を消費者が理解できる形で表示することが求められます。

ウェブサイト表示の長期間継続リスク

本件では、問題となる表示が約1年4か月にわたって継続していました。

ウェブサイトの表示は長期間残りやすいため、定期的な見直しと、表示内容と実際のサービス内容の整合性確認が重要です。

まとめ

本件は、フィットネスサービスの「受け放題」表示が景品表示法に違反する疑いがあるとされた事案です。

当該事業者は確約手続を利用し、消費者への周知や会費の一部返金を含む確約計画を提出しました。消費者庁はこの計画を認定し、措置命令は行われていません。

サブスクリプション型サービスの広告においては、価格と提供内容の整合性を確保し、消費者が誤解しない表示を心がけることが重要です。

景品表示法に関するご相談は、当事務所までお問い合わせください。

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