「ビットコインやイーサリアムなどの言葉は聞いたことはあるけど、暗号資産ってそもそもどういうものなのかは、よく知らない…。」
そんな方は意外と多いのではないでしょうか?
暗号資産は、インターネットでやりとりされる、通貨のような機能を持つ電子データで、法定通貨(円やドルなど)のような紙幣や貨幣などの実態は存在しません。
この記事では、暗号資産の特徴や取引に関する規制をわかりやすく解説します。
暗号資産などWeb3関連ビジネスへの参入をご検討されている方は、ぜひご参考になさってください。

暗号資産とは?
暗号資産は、インターネット上でやりとりできる財産的価値で、資金決済に関する法律(以下、資金決済法といいます。)において、次の性質をもつものと定義されています。
- 不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨と相互に交換できるもの
- 電子情報処理組織を用いて移転できるもの
- 法定通貨または法定通貨建ての資産ではないもの
もし、業として上記にあてはまるものを発行・販売等をすると、暗号資産交換業に該当し(資金決済法第2条第15項第1号)、暗号資産交換業登録(同法第63条の2)の取得が必要となります。
発行者自身は、暗号資産に該当すると考えていなくても、実態としては暗号資産に該当してしまい、無許可の暗号資産交換業者となってしまうことが考えられます。
そのため、暗号資産該当性を判断することは極めて重要です。
それでは、具体的にどのような場合に暗号資産といえるのでしょうか。
暗号資産は、以下の2種類に大別されています。
- 1号暗号資産
- 2号暗号資産
両者に共通するのは、電子情報処理を用いて移転できるものであり、ブロックチェーン技術によるものが念頭に置かれています。1号暗号資産の典型例はビットコインやイーサリアムです。
1号暗号資産と2号暗号資産の違い
1号暗号資産と2号暗号資産の違いは、下表のとおりです。
1号暗号資産 | 2号暗号資産 |
---|---|
代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができる ②不特定の者と売買(法定通貨との交換)ができる ③電子情報処理組織を用いて移転できる財産的価値(電子的記録) ④法定通貨および通貨建資産でないもの | ①不特定の者を相手に1号暗号資産と相互に交換できる ②電子情報処理組織を用いて移転できる財産的価値(電子的記録) ③法定通貨および通貨建資産でないもの |
暗号資産は、不特定の者への代金の支払いに使用できる点が、特定の者への代金の支払いに使用できる前払式支払手段と異なります。
暗号資産は、法定通貨および通貨建資産でない点が、通貨建ての前払式支払手段や資金移動(為替取引)と異なります。
1号暗号資産に該当するかの判断基準
1号暗号資産の典型例は、ビットコインやイーサリアムといった有名な暗号資産になります。
1号暗号資産該当性については、金融庁から、以下に記載するような「事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)」(16 暗号資産交換業者関係)が公表されています。
①「代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができる」について
「代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができる」ことを判断するに当たっては、以下の要素を踏まえて判断します。
- ブロックチェーン等のネットワークを通じて不特定の者の間で移転可能な仕組みを有しているか
- 発行者と店舗等との間の契約等により、代価の弁済のために暗号資産を使用可能な店舗等が限定されていないか
- 発行者が使用可能な店舗等を管理していないか
より具体的には、社会通念上、法定通貨や暗号資産を用いて購入又は売却を行うことができる物品等にとどまるものについては、「代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができる」ものにはあたらないと考えられています。
例えば、以下のa及びbに該当するような場合です。
a.発行者等において不特定の者に対して物品等の代価の弁済のために使用されない意図であることを明確にしていること
例えば、発行者又は取扱事業者の規約や商品説明等において決済手段としての使用の禁止を明示している、又はシステム上決済手段として使用されない仕様となっていることがこれにあたります。
b.当該財産的価値の価格や数量、技術的特性・仕様等を総合考慮し、不特定の者に対して物品等の代価の弁済に使用し得る要素が限定的であること
例えば、以下のいずれかの性質を有することがこれにあたります。
イ.最小取引単位当たりの価格が通常の決済手段として用いるものとしては高額であること
※「高額」であるか否かは、1000 円以上であるかどうかが基準となります。
なぜなら、一般的に最小取引単位当たりの価格が高額であるほど通常の決済手段として用いられる可能性が低くなるからです。
また、トークンが、発行者等において不特定の者に対して物品等の代価の弁済のために使用されない意図であることが明確化されているものであり、かつ1000 円以上で発行された場合において、事後的に1000 円未満で取引される状況があることをもって直ちに暗号資産に該当するものではありません。
もっとも、一定期間にわたって1000 円未満で取引されるような状況にあれば、「最小取引単位当たりの価格が通常の決済手段として用いるものとしては高額」であることは満たさないこととなります。
そうすると、「発行数量を最小取引単位で除した数量」が「限定的」である場合等を除き、「不特定の者に対して物品等の代価の弁済に使用し得る要素が限定的」とはいえません。
したがって、「代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができる」ものに該当する可能性は高まります。
ロ.発行数量を最小取引単位で除した数量(分割可能性を踏まえた発行数量)が限定的であること
※100 万個以下である場合には、「限定的」といえます。 これは、一般的に発行数量を最小取引単位で除した数量(分割可能性を踏まえた発行数量)が少ないほど通常の決済手段として用いられる蓋然性が小さいと考えられるからです。
aについては、トークンが二次流通することが想定されるのであれば、新規発行時に明示するだけでなく、二次流通時(セカンダリー市場)においても、不特定の者に対して物品等の代価の弁済のために使用されない意図であることを明示するようにしましょう。
ただし、a及びbを充足する場合であっても、法定通貨や暗号資産を用いて購入又は売却を行うことができる物品等にとどまらず、現に小売業者の実店舗・EC サイトやアプリにおいて、物品等の購入の代価の弁済のために使用されているなど、不特定の者に対する代価の弁済として使用される実態がある場合には、同要件を満たす場合があることには注意が必要です。
また、以上のa及びbを充足しないことをもって直ちに暗号資産に該当するものではなく、個別具体的な判断の結果、暗号資産に該当しない場合もあり得ますので注意が必要です。
②「不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる」とは
「不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる」については以下の判断要素に従って判断されます。
- ブロックチェーン等のネットワークを通じて不特定の者の間で移転可能な仕組みを有しているか
- 発行者による制限なく、本邦通貨又は外国通貨との交換を行うことができるか
- 本邦通貨又は外国通貨との交換市場が存在するか
なお、前払式支払手段発行者が発行する「プリペイドカード」や、ポイント・サービス(財・サービスの販売金額の一定割合に応じてポイントを発行するサービスや、来場や利用ごとに一定額のポイントを発行するサービス等)における「ポイント」は、これらの発行者と店舗等との関係では上記①又は②を満たさないので、暗号資産には該当しません。
2号暗号資産該当性の判断基準
2号暗号資産に該当するかで重要になるのが、不特定の者を相手に1号暗号資産と相互に交換できるかどうかの判断です。
不特定の者を相手に1号暗号資産と相互に交換できるについては、以下の判断要素に従って判断されます。
- ブロックチェーン等のネットワークを通じて不特定の者の間で移転可能な仕組みを有しているか
- 発行者による制限なく、1号暗号資産との交換を行うことができるか
- 1号暗号資産との交換市場が存在するか
- 1号暗号資産を用いて購入又は売却できる商品・権利等にとどまらず、1号暗号資産と同等の経済的機能を有するか
なお、1号暗号資産を用いて購入又は売却できる商品・権利等にとどまらず、1号暗号資産と同等の経済的機能を有するかを判断する上では、①での記載を参考にする必要があります。
暗号資産と仮想通貨の違い
暗号資産と仮想通貨に内容的な違いはありません。
暗号資産は、かつて仮想通貨と呼ばれていましたが、2019年5月に施行された資金決済法の改正により、国際標準である暗号資産に呼称が変更されました。
G20などの国際会議で暗号資産という呼称が使われ出したことや、仮想通貨という呼び方が利用者の誤解を招いたことが、呼称変更の理由になったと言われています。
暗号資産に関係する重要な概念
暗号資産の理解を深めるにあたり、以下の2つ概念も理解しておくことが大切です。
- ステーブルコイン
- NFT
一つずつ見ていきましょう。
ステーブルコイン
ステーブルコインとは、取引価格が安定することを目的に、米ドルや金などの資産と連動するように設計された暗号資産の一種です。
米ドルと連動しているUSDC、USDTなどが有名です。日本では、JPYCがステーブルコインを目指して取り組んでいます(JPYCは2024年3月時点では前払式支払手段となっています)。
暗号資産には価格変動のリスクがありますが、ステーブルコインはそのリスクが低く、決済に利用しやすい面があると言われています。
価格を安定させる仕組みの違いによって、次の2つに分類されています。
分類 | 詳細 |
---|---|
デジタルマネー類似型 | 法定通貨の価値と連動した価格で発行され、発行価格と同額で償還を約するもの |
暗号資産型(アルゴリズム型) | アルゴリズムで価値の安定を試みるものや、暗号資産と価値が連動するもの |
デジタルマネー類似型のステーブルコインは、2022年6月3日の改正資金決済法において、電子決済手段と位置付けられました。
デジタルマネー型のステーブルコインを発行・償還する行為は為替取引に該当するため、銀行業の免許又は資金移動業の登録が必要です。
価格が安定していることが大前提のステーブルコインですが、暗号資産型(アルゴリズム型)については、2022年5月にアルゴリズム型ステーブルコインの注目銘柄であった Terra USD(UST)とドルとの連動が外れてしまい、価格崩壊するという事件が生じてしまいました。
NFT
NFTとは、ブロックチェーン技術を用いて発行・取引される唯一性を有する電子データです。
NFTの詳細については、「NFTとは|NFTの法的性質や法規制・ビジネスの法務対応を徹底解説!」をご参照ください。
NFTについては、その設計によっては、暗号資産と近しいものを作ることができるため、その区別が重要になってきます。
先ほど、暗号資産該当性のところでもお伝えしましたが、NFTが暗号資産と判断されないための一つの目安としては、次の3つの点が重要です。
- 発行単価が1000 円以上であるか
- 発行数量が100 万個以下であるか
- 規約や商品説明等において決済手段としての使用の禁止を明示している、又はシステム上決済手段として使用されない仕様となっているか
トークンの機能的な分類
トークンとは、ブロックチェーン技術を用いて発行された電子的な証票です。
今までみてきた暗号資産やNFTもトークンの一種ですが、ここでは、トークンの機能面での分類を3つ確認します。
- ユーティリティトークン
- ガバナンストークン
- セキュリティトークン
ユーティリティトークン
ユーティリティトークンとは、特定のコミュニティー・サービスの利用するにあたって、権利や機能を有する実用性のあるトークンです。
法律上の「暗号資産」ではなく、ポイント的なトークンとして利用されることも多いです。
ガバナンストークン
ガバナンストークンとは、DAO等のブロックチェーンを用いた分散型のポロジェクトにおいて、当該プロジェクトの意思決定へ参加するために用いられるトークンです。
Uniswapというサービスの「UNI」や、MakerDAOの「MKR」などが有名です。
セキュリティトークン
セキュリティトークンとは、有価証券をブリックチェーン上でトークンに紐づけたもので、そのトークンの譲渡により当該有価証券の移転を可能にしたものです。
セキュリティトークンの利用により、新たなweb3ビジネスを開発する企業も多いです。
暗号資産取引所とは|暗号資産販売所との違いは?
暗号資産取引所と暗号資産販売所の明確な違いは、暗号資産の売買を誰と行うのかという点です。
暗号資産取引所
暗号資産取引所とは、暗号資産の取引について、利用者に対して競争売買方式による取引を提供する者を指します。

例えば、取引所で暗号資産を購入する場合は、取引所を利用している他のユーザーから購入する形になるため、ユーザー同士での取引が行われます。
取引所を通じて、希望価格で売りたい人がいた場合に取引が成立し、交換業者に仲介手数料を支払う仕組みです。
暗号資産販売所
暗号資産販売所とは、自らが売買の当事者となって取引を行う者を指します。

例えば、販売所で暗号資産を購入する場合、販売業者が保有しているビットコインを直接購入する形になります。
購入した暗号資産を売るときは、販売業者が決めたレート(価格)で売却し、買値と売値の差額が利益・損失になる仕組みです。
暗号資産交換業とは?
暗号資産交換業は、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことと定義されています(資金決済法2条15項)。
- 暗号資産の売買又は他の暗号資産との交換
- 暗号資産の売買や他の暗号資産との交換行為の媒介、取次ぎ又は代理
- ①及び②に掲げる行為に関して、利用者の金銭の管理をすること
- 他人のために暗号資産の管理をすること(当該管理を業として行うにつき、他の法律に特別の規定がある場合を除く)
すなわち、前章で紹介した暗号資産取引所や暗号資産販売所は、いずれも暗号資産交換業にあたります。
暗号資産交換業者が行える行為を、以下で詳しく解説します。
①暗号資産の売買又は他の暗号資産との交換
暗号資産交換業者は、暗号資産の売買又は他の暗号資産との交換を行えます。
ユーザーに対し、暗号資産の販売を行う暗号資産販売所や、他の暗号資産との交換を行う暗号資産交換所が典型です。
②暗号資産の売買や他の暗号資産との交換行為の媒介、取次ぎ又は代理
暗号資産交換業者は、暗号資産の売買や他の暗号資産との交換行為の媒介、取次ぎ又は代理を行えます。
金融庁が公表している暗号資産に関する事務ガイドラインによれば、以下の項は、原則として媒介に該当するとされています。
- 契約の締結の勧誘
- 契約の締結の勧誘を目的とした商品説明
- 契約の締結に向けた条件交渉
取次ぎ又は代理とは、一般的には、自己の名で、他人のために法律行為をなすことを引き受ける行為と解されています。
③上記①及び②に掲げる行為に関して、利用者の金銭の管理をすること
暗号資産交換業者は、暗号資産の売買又は他の暗号資産との交換、その行為の媒介・取次ぎ又は代理に関して、利用者の金銭を管理できます。
ただし、暗号資産交換業者が、利用者の金銭の管理を行う場合には、次の条件を満たさなければなりません。
- 自己の金銭と分別して管理する
- 信託会社等に信託する
- 金銭の管理状況について定期的に公認会計士等の監査を受ける
④他人のために暗号資産の管理をすること
暗号資産交換業者は、他人のために暗号資産の管理ができます。
暗号資産の管理をする業者をカストディ業者と呼びますが、法改正前にはウォレット業者とも呼ばれていました。
法改正前の呼称のとおり、暗号資産交換業者が、ウォレットを開設し、ユーザーの暗号資産をそのウォレットで管理するのが典型例です。
暗号資産の該当性に関する詳細は、「暗号資産交換業にあたるか?」をご参照ください。
暗号資産交換業の登録方法
暗号資産交換業を行うためには、内閣総務大臣の登録を受なければなりません(資金決済法63条の2)。
登録の申請に際しては、登録申請書を内閣総理大臣に提出します。
申請書の記載事項は、以下のとおりです。
- 商号及び住所
- 資本金の額
- 暗号資産交換業に係る営業所の名称及び所在地
- 取締役及び監査役(監査等委員会設置会社にあっては取締役とし、指名委員会等設置会社にあっては取締役及び執行役とし、外国暗号資産交換業者にあっては外国の法令上これらに相当する者とする。)の氏名
- 会計参与設置会社にあっては、会計参与の氏名又は名称
- 外国暗号資産交換業者にあっては、国内における代表者の氏名
- 取り扱う暗号資産の名称
- 暗号資産交換業の内容及び方法
- 暗号資産交換業の一部を第三者に委託する場合にあっては、当該委託に係る業務の内容並びにその委託先の氏名又は商号若しくは名称及び住所
- 他に事業を行っているときは、その事業の種類
- 取り扱う暗号資産の概要
- 暗号資産交換業の利用者からの苦情又は相談に応ずる営業所の所在地及び連絡先
- 主要株主(総株主の議決権の10%以上の議決権を保有している株主)の氏名、商号又は名称
- 加入する認定資金決済事業者協会の名称
申請書の様式や申請に係るプロセス及び時間的な目安は、以下金融庁の公式ホームページをご参照ください。
参考:暗号資産交換業者に関する各種様式|金融庁 (fsa.go.jp)
参考:新規登録申請の審査等に係るプロセス及び時間的な目安|金融庁 (fsa.go.jp)
なお、日本国外で暗号資産交換業に関する登録を受けている者(外国暗号資産交換業者、外国暗号資産交換業サービス事業者)も、日本で暗号資産交換業を行うためには、内閣総理大臣の登録を受けなければなりません。
暗号資産交換業者が守るべき義務
暗号資産交換業者は、登録後も以下のような様々な規制を受けます。
- 情報の安全管理のために必要な措置を講じなければならない
- 業務を委託する場合は委託先に対する指導その他の措置を講じなければならない
- 広告をするときは法律で定められた事項を表示しなければならない
- 禁止行為に違反してはならない
- ユーザーの保護等に関する必要な措置を講じなければならない
- ユーザーの財産が毀損されるリスクに対して必要な措置を講じなければならない
- 履行保証暗号資産を確保しなければならない
一つずつ確認しましょう。
情報の安全管理のために必要な措置を講じなければならない
暗号資産交換業者は、暗号資産交換業に係る情報の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の当該情報の安全管理のために必要な措置を講じなければなりません。
暗号資産はインターネット上でやりとりできる財産的価値であるため、不正アクセス等により情報漏洩や情報滅失のリスクがあるからですう。
そのため、暗号資産業者には、情報の安全管理義務が課されています。
業務を委託する場合は委託先に対する指導その他の措置を講じなければならない
暗号資産交換業者は、暗号資産交換業に係る業務の一部または全部を第三者に委託するときは、委託先に対する指導その他の措置を講じ、委託した暗号資産の交換業にかかる業務の適正かつ確実な遂行を確保しなければなりません。
広告をするときは法律で定められた事項を表示しなければならない
暗号資産交換業者は、暗号資産業に関する広告をするときは、以下の事項を表示しなければなりません。
- 暗号資産交換業の商号
- 暗号資産交換業者である旨及びその登録番号
- 暗号資産が本邦通貨又は外国通貨ではないこと
- 暗号資産の性質であって、利用者の判断に影響を及ぼすことになる重要なものとして内閣府令で定めるもの
暗号資産は、一般的に価格変動が大きいものが多いですが、ユーザーがそのようなリスクを十分に理解していない場もあります。
そのため、暗号資産交換業者には、上記のような広告に関する規制が課されています。
禁止行為に違反してはならない
暗号資産交換業者(その役員・使用人を含む)は、広告や勧誘、契約締結に際して、以下の行為をしてはいけません。
- 虚偽表示
- 暗号資産の性質等について誤解を招く表示
- 支払手段の目的でなく、専ら利益を図る目的での暗号資産の取引を助長する表示
- その他、利用者保護に欠け、又は暗号資産(仮想通貨)交換業の適正・確実な遂行に支障を及ぼすとして内閣府令で定める行為
暗号資産は、その価格変動が大きいものが多く、ユーザーの中にはそのリスクを十分に把握していない人がいると考えられるため、暗号資産交換業者には一定の規制が課されています。
ユーザーの保護等に関する必要な措置を講じなければならない
暗号資産業者は、ユーザーの保護を図るため、次のような措置を講じなければなりません。
- 暗号資産の性質の説明
- 契約締結前の情報提供
- 取引記録等の提供等
暗号資産取引には特有のリスクが存在するため、ユーザーの保護を図り、業務の適正かつ確実な遂行を確保するために必要な措置を講じなければなりません。
ユーザーの財産が毀損されるリスクに対して必要な措置を講じなければならない
暗号資産交換業者は、ユーザーの金銭を、自己の金銭と分別して管理し、信託会社等に対し金銭信託をしなければなりません。
これは、当該暗号資産交換業者が破綻した場合等に、ユーザーの財産が毀損されるリスクを回避するためです。
自己の金銭と分別して管理する方法は、具体的には、ユーザーの暗号資産を移転するために必要な情報を、常時インターネットに接続していない電子機器・電子記録媒体等に記録して管理する方法と、それと同等の技術的安全管理措置を講じて管理する方法が要求されています。
信託会社等に対する金銭信託の契約の際には、以下のような要件を満たす必要があります。
- 当該事業者が行う暗号資産業の取引にかかるユーザーを元本の受益者とすること
- 受益者代理人は弁護士等をもって充てること
暗号資産交換業者は、金銭の分別管理や暗号資産の分別管理について、定期的に、公認会計士又は監査法人の監査を受けなければなりません。
履行保証暗号資産を確保しなければならない
暗号資産業者は、一定の数量に限り、インターネットに接続している電子機器・電子記録媒体等で暗号資産を管理することが認められています。
ただし、この方法で暗号資産を管理する場合は、同じ種類・同じ数量の暗号資産を自己の暗号資産として保有し(これを、履行保証暗号資産といいます。)、それ以外の自己の暗号資産と分別して管理しなければなりません。
履行保証暗号資産は、常時インターネットに接続していない電子機器・電子記録媒体等に記録して管理する方法と、それと同等の技術的安全管理措置を講じて管理する方法が要求されています。
履行保証暗号資産に不足がないかは、毎営業日の照合確認が必要とされており、不足が生じた場合には、原則5日以内の解消が求められます。
さいごに
ネクスパート法律事務所には、暗号資産などのWeb3に関する専門チームがあります。
専門チームは暗号資産等に関する法務の研鑽を重ね、集積された知見を基にWeb3関連ビジネスに対して、最善のサポートを提供します。
以下のような事項を含め、ブロックチェーン技術を活用したビジネスを全面的にサポートいたします。
- 利用約款や関連契約の作成・レビュー
- 暗号資産に関する法規制や税制を前提としたアドバイスの提供
- 許認可・登録に係る支援や行政対応等
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