自己破産における復権とは?復権の種類や確認・証明方法も解説! - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

自己破産における復権とは?復権の種類や確認・証明方法も解説!

自己破産すると、破産者にはいくつかの制限が生じます。この制限が解除され、元の状態に戻ることを復権といいます。

この記事では、自己破産における復権について、次のとおり解説します。

  • 自己破産における復権とは?
  • 復権の方法
  • 自己破産から復権までの期間

破産手続中の制限の内容を正しく理解する助けになれば幸いです。

相談無料。取立てストップ。借金問題は弁護士の力で解決・減額できます! お困りの方は今すぐご連絡ください。

0120-949-229
メール相談フォームはこちら

自己破産における復権とは?

破産手続きの開始により、破産者はいくつかの法的な制限を受けます。破産手続開始によって生じる制限を解除し、権利を回復することを復権といいます。

ここでは、自己破産における法的な制限を紹介します。

自己破産における法的な制限

自己破産手続中は、次の4つの制限を受けます。

  • 資格の制限
  • 居住の制限
  • 通信の秘密の制限
  • 民法上の資格の制限

ひとつずつ説明します。

資格の制限

自己破産すると、破産手続きの開始により一定の資格を使用・取得できなくなります。

資格制限を受ける代表的な職業は、次のとおりです。

  • 弁護士・司法書士・行政書士・公認会計士・税理士等
  • 警備員・警備業者
  • 生命保険募集人・損害保険代理店
  • 旅行業務取扱管理者・旅行業者
  • 宅地建物取引主任者・宅地建物取引業者

さらに、以下の任務につくことも制限されます。

  • 後見人・保佐人・補助人
  • 遺言執行者

居住の制限

自己破産手続中は、住居の移動に裁判所の許可が必要です。

住居の移動には、次の行為が含まれます。

  • 引っ越し
  • 宿泊を伴う旅行
  • 宿泊を伴わない遠隔地への旅行

裁判所の許可を得なければ、その行為は、免責不許可事由に該当します。

なお、同時廃止事件の場合には、破産手続きは開始と同時に廃止されるので、原則として居住の制限は受けません。ただし、住民票を移動した場合は、裁判所への報告が必要です。

通信の秘密の制限

管財事件では、通信の秘密が制限されます。具体的には、破産手続中、破産者あての郵便物はすべて破産管財人に転送され、閲覧されます。

郵便物が転送される理由は、債権者の申告漏れや財産隠しを防ぐためです。

復権の方法

これらの制限のうち、住居の制限・通信の秘密の制限は破産手続終了により解除されますが、資格制限を解除するためには復権が必要です。では、いつどのように復権するのでしょうか?

ここでは、復権の方法を解説します。

当然復権|手続きが不要

法律で定められた事由が発生した場合に、当然に復権することを当然復権といいます。

当然復権が認められる事由には、次の4つがあります。

  • 免責許可決定が確定したとき
  • 破産手続同意廃止決定が確定したとき
  • 破産手続開始決定から10年経過したとき
  • 個人再生で再生計画認可決定が確定したとき

ひとつずつ説明します。

免責許可決定が確定したとき

免責許可決定が確定すると当然に復権します。

破産手続同意廃止決定が確定したとき

破産手続同意廃止とは、破産債権者の全員の同意している場合等に、破産者の申立てによって、破産手続きを廃止することです。この決定が確定した場合も当然復権が認められます。

同意廃止が認められるためには、次のいずれかの要件を満たさなければなりません。

  • 配当を受けられる破産債権者の全員が破産手続廃止に同意している場合
  • 不同意債権者に対して裁判所が相当と認める担保を供している場合

ただし、配当しないことに同意する債権者は極めて稀ですので、実務上、同意廃止で破産手続きが終了するケースはほとんどありません。

破産手続開始決定から10年が経過したとき

破産手続開始決定から詐欺破産罪の有罪確定判決を受けることなく10年が経過すれば、当然復権となります。

つまり、免責が得られなかった場合も、破産手続開始決定から何事もなく10年過ごせれば、復権が認められます。

個人再生で再生計画認可決定が確定したとき

自己破産で免責が得られず個人再生した場合、再生計画認可決定が確定したときに復権します。

ただし、再生計画に基づく履行を怠った等により再生計画が取り消された場合は、復権も取り消されます。

申立てによる復権|手続きが必要

当然復権が認められない場合でも、申立てにより復権が認められることがあります。

裁判による復権(破産法256条1項)

自己破産で免責が得られなかった場合でも、次のケースで返済義務の全てを免れたときは、裁判所に復権を申立てられます。

  • 借金を完済した
  • 借金の消滅時効が完成し、援用した
  • 債権者が借金の返済を免除してくれた

裁判所は、復権の申立てを官報に公告します。3ヶ月以内に即時抗告がなされなければ、復権の決定がなされます。

復権の効果

復権の効果は人の資格に関する法令の定めるところによります。したがって、各資格の法令を確認する必要があります。

資格を使った仕事・職業に就ける

復権すれば、自己破産による資格制限が消滅しますので、再び資格を使った仕事・職業に就けます。新たに資格を取得することも可能です。

復権を確認・証明する方法

当然復権を確認・証明する方法として、次のものがあります。

身分証明書を申請する

本籍地のある市区町村役場で、身分証明書を申請すれば、復権(破産者に該当しないこと)を確認できます。

身分証明書とは、次の事項を証明する公的書面です。

  • 禁治産または準禁治産の宣告の通知を受けていないこと(2000年3月31日までの間)
  • 後見の登記の通知を受けていないこと
  • 破産宣告または破産手続開始決定の通知を受けていないこと

自己破産から復権までの期間

自己破産手続きで、復権までの期間はどのくらいかかるのでしょうか?

ここでは、自己破産から復権までの期間を解説します。

免責許可が得られた場合

免責が得られた場合の自己破産から復権までの期間は、概ね3~6ヶ月程度です。複雑な事案では1年程度かかるケースもあります。

免責許可が得られなかった場合

免責が得られなかった場合は、自己破産から復権まで10年かかることがあります。

まとめ

自己破産手続中に課せられた制限は、多くのケースで免責許可決定確定により解除されます(当然復権)。

復権しても借金できるようになるわけではありません。自己破産すると、5~10年は信用情報機関に事故情報が登録されるからです。復権によって信用情報は回復しません。

自己破産で制限される内容に不安がある方や、ご自身の生活にどのような影響があるのか気になる方は、弁護士に相談しましょう。

相談無料。取立てストップ。借金問題は弁護士の力で解決・減額できます! お困りの方は今すぐご連絡ください。

0120-949-229
メール相談フォームはこちら