協議離婚とは、夫婦の合意によって成立する離婚を指します。もっともシンプルな離婚の方法ですが、相手が話に応じない・離婚条件がまとまらない場合などは成立するまでに時間がかかる恐れがあります。こうした場合は、弁護士に依頼し交渉を進めることも1つの選択肢です。今回の記事では、協議離婚を進める際に弁護士に依頼するメリット、弁護士費用の相場について解説します。
目次
協議離婚を弁護士に依頼するメリット
まずは、協議離婚を弁護士に依頼する3つのメリットについて解説します。
弁護士が代理で交渉してくれる
1つ目のメリットは「弁護士が代理で交渉してくれる」という点です。自分に代わって弁護士が代理交渉してくれるので、相手と直接話す必要がありません。また、弁護士は交渉に慣れているため、養育費や財産分与についても、あなたに有利な解決方法を導いてくれる可能性が高くなります。
お金が絡む問題は相手と揉めるケースも多く、精神的にも大きな負担が掛かります。弁護士に依頼することで、自分で交渉する負担が減り、心強い味方がいるという安心感から、離婚によるストレスを大きく軽減できることも大きなメリットと言えるでしょう。
離婚協議書や公正証書の作成を任せられる
2つ目は「離婚協議書や公正証書の作成を任せられる」という点です。離婚協議書とは、簡単に言えば離婚時の約束事を書面化したもので、書く内容や表現などに決まりはありません。しかし、曖昧なものだと後々トラブルに発展する恐れがあります。
弁護士に依頼して、簡潔で分かりやすい内容に整えてもらうことをおすすめします。また、離婚協議書を公正証書の形で作成し、強制執行認諾条項をつけておけば、万が一慰謝料や養育費の未払いなどトラブルが発生した場合も、いきなり相手の給料や財産を差し押さえられるのです。このように離婚の条件を書面化して証拠を残しておくことで、離婚後の不要なトラブル防止にも繋がります。
調停に進んだ場合も対応してくれる
3つ目は「調停に進んだ場合も対応してくれる」という点です。弁護士は、交渉だけでなく離婚調停や裁判などあらゆる問題に対応できる法律のエキスパートです。そのため、協議離婚が成立せず離婚調停に進んだ場合でも、調停申立書の作成や申立手続き、裁判所とのやり取り、書面の作成など面倒な作業をすべて任せられます。
裁判になった場合でも、離婚に精通した弁護士ならば判決が出た後のことも見通して適切に判断することが可能であり、離婚による日常生活への支障の軽減も期待できます。
・離婚調停の弁護士費用の相場と依頼するメリット
・離婚裁判にかかる費用と弁護士費用の相場
協議離婚の弁護士費用の相場
大まかに言うと、協議離婚に関する弁護士費用は「法律相談料」「着手金」「成功報酬」の3つに分かれます。ここからは、弁護士に依頼した場合にかかる費用の相場について解説します。
法律相談料
弁護士に依頼する場合、法律相談料がかかる場合があります。一般的な相場は30分5,000円程度です。ただ最近では、初回の30分は相談無料にするなどのサービスを実施している法律事務所も増えています。
着手金
着手金とは、結果に関係なく、弁護士に依頼をした時点でかかる費用です。離婚問題の着手金は、交渉や調停の対応など、どのような離婚手続きを弁護士に依頼するかによって金額が異なります。なお、具体的な費用相場は以下の通りです。
協議離婚の交渉 | 30〜40万円程度 |
離婚調停の対応 | 40〜50万円程度 |
離婚訴訟の対応 | 50~60万円程度 |
上記金額はあくまで目安であり、必ずしも相場内の金額が請求されるわけではないので注意しましょう。また、協議離婚の交渉や調停が不成立になった場合、次の段階に移行すれば追加の着手金が必要となります。
成功報酬
成功報酬とは、離婚が成立した、慰謝料や財産分与を獲得できたなど結果の成功程度に応じて支払う費用を指します。成功報酬の費用相場は30〜50万円程度が一般的です。
また、財産分与や養育費、慰謝料を獲得できた場合には、回収できた金額の10〜20%の報酬金を設定している弁護士事務所も多いです。なお、この計算方法は事務所によって異なるため、なるべく費用を抑えたい場合は各事務所の報酬基準を見て探すと良いでしょう。
協議離婚を弁護士に依頼した方が良いケース
以下のようなケースでは、協議離婚する際にできるだけ弁護士に依頼することをおすすめします。
夫婦での話し合いが進まない
まず挙げられるのが、夫婦で意見が合わず、話し合いが進まないケースです。たとえば、相手が離婚に合意してくれない、親権や財産分与などの条件がまとまらない、別居している相手と連絡が取れない、などのケースが考えられます。
このような場合、弁護士に依頼することで、親権や財産分与などについて法的な観点から条件をまとめ、交渉がスムーズに進みます。また、離婚の話し合いの中で相手とのトラブルが予想される場合も、弁護士の必要性が高くなると考えられます。
相手が弁護士を立てた
相手が弁護士を立てた場合、あなたも弁護士に依頼することをおすすめします。相手側だけに弁護士が付いている状態では、離婚の合意や財産分与、慰謝料の請求などあらゆる場面においてあなたが不利になることが考えられます。
離婚調停に進めば、弁護士は相手側の代理人として同席し、相手側の有利な方向に誘導することも可能です。法的知識のない人が1人で弁護士を相手に交渉を進めることは、最終的に多くのことを妥協する結果となりかねません。相手が弁護士を立てた場合は、こちらも弁護士を味方につけて対等な交渉の場に立つことをおすすめします。
慰謝料なども請求したい
離婚や相手の不法行為に対して慰謝料を請求したい場合も、弁護士に依頼することをおすすめします。法的な根拠をもとに弁護士が交渉や請求をしてくれるため、相手が応じてくれる可能性が高くなります。
また、相手の浮気や不倫、家庭内暴力などが離婚事由の場合、証拠の集め方についても的確なアドバイスを受けられます。状況に合わせて、慰謝料の明確な算定などもしてもらえるでしょう。
子どもがいる
離婚時に子どもがいて、特に親権などを獲得したい場合は弁護士に相談すべきでしょう。親権交渉は熾烈な争いが発生することも多く、交渉時から離婚・親権問題に詳しい弁護士に相談していれば、有利に交渉を進められます。
また、子どもと会わせてくれない、養育費が支払われない、など後々のトラブルを防ぐためにも離婚時にしっかりと取り決めをしておくことが重要です。
協議離婚が成立するまでの平均期間
協議離婚は夫婦で話し合い、離婚に合意した上で離婚届を提出すれば成立します。話し合いの進め方にもよりますが、一般的に半年〜1年ほどで成立するケースが多いようです。ただし、養育費や面会交流、財産分与などについて曖昧な部分を残したまま焦って離婚してしまうと、後でトラブルに発展しかねません。早く離婚したいという気持ちもわかりますが、後悔しないようにしっかり離婚条件について考えた上で話し合いを進めていくようにしましょう。
まとめ
今回は、離婚協議の弁護士費用相場と依頼するメリットについて解説しました。特に離婚の事情が複雑な場合や相手が弁護士を立てている場合は、あなたも弁護士の助けを借りなければ不利な状況に陥りかねません。あとで後悔しないためにも離婚・男女問題に力を入れている弁護士に相談して交渉を適切に進めることをおすすめします。