離婚時には今後の生活のためにも円滑に財産分与を行い、双方が納得のいく着地点を目指すことが大切です。しかし、夫婦で作り上げた財産を分ける際には問題点も多いです。

では、適正に財産分与を行うためにはどうすれば良いのでしょうか。この記事では財産分与時の相談のポイントや、問題点を押さえるコツを解説します。

どうして離婚時に財産分与をするの?

離婚をする際には親権や養育費などお子様に関する決め事もありますが、今後の生活について踏まえると財産分与も決して無下に扱うことはできません。

預貯金や車、保険などを夫婦間で財産分与をする際には、冷静に話し合って決めていく必要があります。いくらご自身の名義の貯金であっても、夫婦生活の中でやりくりをして蓄えてきたものなら公平に清算する必要があります。

また、夫婦間では収入差がある方も多数おられます。例として挙げると、子どもがまだ小さく、専業主婦としてご自宅に居られる妻の場合は、明らかに収入面では夫に劣ってしまいます。

そこで、現在は離婚時の財産分与について、収入差によって決めるのではなく「2分の1ルール」の下で公平に清算することが一般的です。家事労働も労働ですから、きちんと主張して公平に清算を行わなければ離婚後の生活が困窮してしまいます。新たな人生のスタートのためにも、公平な財産分与は必須なのです。

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財産分与の4つの問題点

離婚についてネットや書籍を使って情報を得ようとすると、必ず「財産分与」に関する記述が見つかるでしょう。それだけ離婚時における財産分与はとても難しいからです。財産分与はトラブルが起きやすく、専門用語や税務についても知識が必要です。では、どのような問題点を押さえておくとトラブルを防げるのでしょうか。そこで、4つの問題点をご紹介します。

①対立する

離婚に至った夫婦ですから、すでにネガティブな感情が夫婦の間には横たわっている状態です。

このように対立した間柄がお金や財産、あるいは借金について今後どう扱うべきか話し合おうとすると、感情的な言い合いになってしまい前向きな解決に至らないことがあります。

特にお二人のみで協議中ですと財産に関することが発端となり紛争化するケースが多いです。また、先にご紹介したようにご夫婦間で収入格差がある場合、収入が大きかった方が財産分与に強硬な姿勢を見せることも後を絶ちません。

②相手方財産の把握が難しい

相手方の預貯金や保険、へそくり等をすべて把握することは至難の業です。

しかし適正な財産分与を行おうとすると、相手の財産については調べる必要があります。しかしそれでも隠されてしまうと全てを知ることは難しいでしょう。貸金庫を契約して隠す、会社のデスクに隠す等の対応をされてしまったらなかなか見抜くことはできません。

また、財産分与には該当しない「特有財産」と呼ばれる財産もあります。

夫婦の一方が婚姻前からもっている財産、および婚姻中自分の名義で取得した財産。戸主の制度のあった旧制当時は、家族が自己の名において得た財産についても、この語を用いた。
引用元:特有財産とは – コトバンク

例えば婚姻関係になる前に貯蓄していた預貯金や取得していた不動産については、特有財産とみなすので離婚時に財産分与をする必要がありません

しかし、一般的な方ですと何が特有財産で、何が特有財産ではないかを知ることは難しいでしょう。そのため無理やり財産分与を相手方から求められる、特有財産のため分与をしないと主張されるなどのトラブルが想定されます。

③正しい評価方法がわからない

例えば1,000万円の預貯金を夫婦間で2分の1ルールに沿って割ろうとすると、均等に500万ずつで解決できます。しかし、住宅ローンを返済中の共同名義の土地と建物はどう扱うべきでしょうか。

また、夫婦が資金を出し合って購入したファミリーカーを片方の方が継続して乗る場合、財産分与はどうするべきでしょうか。このように夫婦の共同財産は単純に割り切れるものばかりではありません。場合によっては夫婦で作ってしまった借金についてもシビアに向き合う必要があります。

また、子ども名義で預貯金や保険を形成している場合も夫婦で作った財産とみなすため、評価を行いどう扱うか協議をする必要があります。

④税務処理が難しい

原則として離婚時の財産分与には課税されないのですが、不動産の扱いは別途に分けて考える必要があります。

譲渡所得税や登記登録免許税など思わぬ課税を経験する方もいます。しかし、税金に対する知識が無ければ財産分与で発生する税金には備えをしていない方も多いのです。

以上4つの問題点をご紹介しました。ポイントをしっかり押さえることが円満な財産分与のコツです。

財産分与は誰に相談をすべき?

離婚における財産分与の問題点を踏まえると、今からご自身で離婚協議に挑まれる方はご不安な気持ちを抱えたかもしれません。では、もしも離婚をする場合には誰に相談をすべきでしょうか。

①弁護士

離婚時の財産分与はもちろんのこと、協議や調停、訴訟も包括的にカバーして受任できるのが弁護士の強みです。

特に離婚は財産分与だけで問題が終わるわけではなく、親権や面会交流、場合によってはDVや不貞による慰謝料請求なども視野に入れて対応する必要があります。

こうした離婚時に多いトラブルを弁護士の場合は依頼者に代わって代理人として対処します。相手方が財産を隠していると考えられるケースでは弁護士が証拠の収集をアドバイスすることもありますし、弁護士会照会や調査嘱託などの手段で開示を求めていくことも可能です。

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②行政書士

離婚分野では行政書士の広告を見かける機会もあります。行政書士は主に離婚協議書の作成を担っており、円満な離婚協議が当事者間ですでに終わっており、最終段階として離婚協議書の作成を依頼することが一般的です。

但し、財産分与や養育費、慰謝料などへの法的アドバイスは行えず、紛争化した場合の調停や訴訟についても法律上対応できないので注意が必要です。

③司法書士

司法書士のメイン分野は登記に関することのため、離婚時に不動産の移転登記について相談をする方が多いでしょう。また、認定司法書士の場合は訴訟額が140万以下のケースで受任をすることが出来ます。但し、離婚請求の訴額は160万のため受任が出来ません。

この他に、財産分与を含めた離婚問題については民間の離婚アドバイザーやカウンセリング、自治体の夫婦問題相談所なども相談先に挙げられます。

しかし、調停や訴訟、相手方との交渉などは弁護士分野に限られています。また、プライバシーの取り扱いも徹底された法律家への相談が望ましく、離婚問題を包括的に依頼する場合は弁護士に相談をすることがおすすめです。

財産分与や離婚の相談はいつすべき?

離婚は大きな人生の節目となるため、踏み切る際にはとても勇気がいるものです。夫や妻の不倫に悩んでも、関係修復も含めて今後の人生をどうするべきか悩んでしまうでしょう。

では、財産分与や離婚の相談はどのようなタイミングで弁護士にすべきなのでしょうか。弁護士への相談は出来るだけ早く行うことが大切です。そこで、よくある2つのタイミングを解説します。

①離婚が脳裏をよぎったら

弁護士への法律相談は「離婚が脳裏をよぎった」段階がおすすめです。離婚には子どもの有無や現在の財産状況、緊急性の高いトラブルの有無や不貞行為など様々な出来後を踏まえて判断する必要があります。

まずは離婚を考えた段階で一度弁護士にアドバイスをもらうことで、感情論ではない視点を持つことが出来ます。特に財産分与を行う際には相手方の財産を把握していく必要があるので、事前に弁護士からどのように調べるべきかアドバイスをもらいましょう。

②協議が決裂しそう・してしまったら

温厚に離婚問題を話し合っていても、相手方が財産分与に納得しないなど、協議が決裂することもよくあります。また、どうやって分与をするのか二人では結論が出ないこともあるでしょう。

特に住宅ローンがある場合には、金融機関への対処やローンの返済などについても細かく協議を行う必要があります。このような場合も速やかに弁護士に相談しましょう。調停に移行する前に弁護士に相談し、調停委員への対応策も準備をすることが大切です。

まとめ

財産分与を始め、離婚問題は頭を悩ませる問題が山積みです。でも多くの方々が弁護士のアドバイスの元で円満に離婚問題を解決しています。また、紛争に一人で立ち向かうことはストレスも多く、大切な生活も脅かされてしまいます。出来るだけ早期に弁護士に相談し、離婚問題と乗り越えましょう。