カサンドラ症候群という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

この記事では、主に以下の点について解説します。

  • カサンドラ症候群とは何か
  • 発達障害を持つ配偶者とカサンドラ症候群の関係
  • カサンドラ症候群を理由に離婚ができるか

カサンドラ症候群とは何か?

カサンドラ症候群はどのような症状を指すのか、結婚生活との関係について解説します。

発達障害を持つ人との関係がうまくいかずに引き起こされる症状

カサンドラ症候群は、発達障害を持つ人との関係がうまくいかずに引き起こされる症状です。

発達障害は脳機能の発達が関係する障害で、広汎性発達障害(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群)や、注意欠陥多動性障害(AD/HD)、学習障害(LD)、トゥレット症候群、吃音症があります。

こうした発達障害を持つ人と関わる際に、関係がうまくいかずに引き起こされる症状がカサンドラ症候群です。

カサンドラ症候群は正式な疾患名ではなく、比較的新しい言葉なので、広く認知されているとは言い難いです。

配偶者が発達障害で気持ちが通じず心身に支障をきたす

配偶者が発達障害であった場合、気持ちが通じずに心身に支障をきたす場合があります。

特に配偶者がアスペルガー症候群(ASD)である場合に、カサンドラ症候群になる傾向があるといわれています。

配偶者がアスペルガー症候群だと頭で理解はしていても、気持ちが通じ合わないことでイライラし、ストレスを感じるからです。

参考までに、アスペルガー症候群の人は、以下のような特徴があります。

  • 言葉の発達の遅れはなく会話は問題なくできる
  • 言葉をそのまま鵜呑みにする
  • 曖昧な表現が理解できない
  • 場の雰囲気を読むことが苦手
  • 想定外のことに対応ができない
  • ちょっとしたことで傷つきやすい
  • 相手の表情等で感情を読み取るのが苦手
  • こだわりが強く自分のルールを崩すことを嫌がる
  • 視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚のいずれかが過敏

カサンドラ症候群で離婚を考える具体的な理由は?

カサンドラ症候群で離婚を考える具体的な理由は、以下の4つだと考えられます。

配偶者に気遣ってもらえず悲しい気持ちになる

配偶者に気遣ってもらえず悲しい気持ちになるからです。

アスペルガー症候群の人は、コミュニケーション障害があるため、他者を気遣うことが難しいです。
例えば自分のことばかり話して相手の話に耳を傾けられないため、自分勝手な人だと思われる傾向があります。

配偶者がこのような対応をとると、自分のことを理解しようとしてくれない、気遣ってくれないと悲しい気分に陥ります。

配偶者の行動に神経をとがらせ疲れる

配偶者の行動に神経をとがらせて心身ともに疲れてしまうからです。

アスペルガー症候群の人はさまざまなタイプがありますが、相手の状況に構わず自分の話をし続けたり、何度も同じことを言ったりするケースがあります。

そのため、親戚の集まりなどで配偶者がそのような行動をとらないように見張っていたり、配偶者の行動にストップをかけたりするのに疲れてしまう場合があります。

配偶者と話し合いができずストレスがたまる

配偶者と話し合いができず、ストレスがたまるからです。

アスペルガー症候群の人の中には、自分の意見を強引に押し付けてくるタイプがあります。

自分の思い通りに事を進めようとするため、夫婦間で公平な話し合いができずストレスが溜まります。

配偶者と苦楽を共有できず絶望する

配偶者と苦楽を共有できずに絶望するからです。

アスペルガー症候群の人の中には、他人に関心がなかったり、会話をしても目を合わさなかったりする人がいます。そのため、他人と楽しみや苦しみなどの感情を共有するのが苦手です。

配偶者に自分の苦しみや楽しみを分かってもらえないため、絶望的な気持ちになってしまいます。

あなたはカサンドラ症候群の可能性がある?

あなたはカサンドラ症候群の可能性があるでしょうか?

チェックリストに当てはまるかどうか、確認をしてみましょう。

心身に不調がある

心身に不調がありますか?

仕事や家事が忙しい、睡眠不足が続いているなど明確な理由がないのになんとなく調子が悪い場合は注意しなければいけません。

理由もなく憂鬱になったり涙が出てきたりするのも心が疲れている証拠で、カサンドラ症候群になる可能性があります。

配偶者の言動にストレスがたまる

配偶者の言動にストレスがたまっていませんか?

自分の意見を押し付け、一方的に自分の話ばかりする配偶者に対してうんざりしているのなら、カサンドラ症候群になる能性があります。

配偶者と会話にならない

配偶者ときちんとした会話をしていますか?

お互いの話に耳を傾け、夫婦の間で建設的な会話が成り立っていますか?配偶者が一方的に自分の話ばかりする、配偶者が会話をしようとしないなど、夫婦間のコミュニケーションがスムーズにできていなければ、カサンドラ症候群になる可能性があります。

配偶者に対して攻撃的になっている

配偶者に対して攻撃的になっていませんか?

配偶者が何を言っても受け入れず、否定的な言葉を放ったり、強い口調で怒鳴ったりしている場合は、カサンドラ症候群になる可能性があります。

配偶者に対して何も期待していない自分がいる

配偶者に対して何も期待していない自分がいませんか?

「こんなことを話してもどうせわかってもらえないだろう…」と会話を拒否している場合、カサンドラ症候群になる可能性があります。

配偶者とのことを誰にも相談ができない

配偶者のことで悩んでいると誰にも相談ができないと悩んでいませんか?

配偶者がアスペルガー症候群であることを隠しておきたい、自分一人が我慢すれば済むことだからと悩みを抱え込んでいるのなら、カサンドラ症候群になる可能性があります。

カサンドラ症候群を理由に離婚はできるか?

夫婦間で合意ができた場合を除き、カサンドラ症候群のみを理由とした離婚請求は認められません。

ただし、裁判所にカサンドラ症候群を発症したことで夫婦関係が破綻し、修復不可能だと認められれば、離婚が認められる可能性はあります。

アスペルガー症候群の配偶者と離婚する際の注意点は?

アスペルガー症候群の配偶者と離婚する際の注意点は以下の2つです。

話し合いで合意できる可能性は低い

アスペルガー症候群の配偶者と話し合いで離婚の合意ができる可能性が低いと考えたほうがよいでしょう。

アスペルガー症候群の配偶者に対して、離婚をしたい理由を説明しても気持ちが伝わらない可能性が高いからです。

アスペルガー症候群の人は、相手の気持ちを慮るのが苦手なので、離婚をしたい気持ちが理解できず、頑なに拒否をするかもしれません。

早い段階で弁護士に交渉を依頼する

アスペルガー症候群の配偶者と離婚を考えているなら、早い段階で弁護士に交渉を依頼しましょう。

発達障害に理解のある弁護士を探せば、配偶者を刺激せずに交渉が進められる可能性があります。

現状に強いこだわりを持つアスペルガー症候群の配偶者が、離婚に合意するのは難しいです。
先の見えない話し合いを続けてストレスを溜めるよりも、早めに弁護士に間にはいってもらい、建設的な話し合いを進めたほうがよいでしょう。

まとめ

配偶者のアスペルガー症候群を理解しようと努力したものの、なかなか難しく自身がカサンドラ症候群になることもあるでしょう。

その場合は、一人で問題を抱え込まずに、親族や信頼できる知人、行政機関で発達障害者の支援を行っているところに相談をしましょう。

努力はしたけれど、これ以上結婚生活の継続が難しいと離婚を決意したら、配偶者に直接離婚を切り出す前に弁護士に相談しましょう。アスペルガー症候群の配偶者との関係をこじらせないように慎重に事を運んだほうがよいからです。

弁護士と相談をしながら、焦らずにじっくりと計画を立てて離婚を進めていきましょう。