「配偶者が突然逮捕された。」
「自分も警察に事情を聴かれたり、マスコミで報道されたり、精神的に疲れてしまった。」
「相手のことは信用できないし、なんとか離婚できないものか?」

配偶者が逮捕されたとなると、こんな風に離婚を考える方も少なくないと思います。

そこで、今回は、配偶者が逮捕された場合に離婚できるのか、離婚した場合の財産分与や養育費、慰謝料はどうなるのかについて解説します。

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問題解決に向けて全力でサポートいたします

配偶者が合意すれば協議離婚できる

協議離婚の場合は、どんな事情があっても、夫婦間で合意ができれば離婚できます。

配偶者が逮捕されたことが理由で離婚したいと思った場合でも、相手が合意してくれれば協議離婚ができます。

配偶者が合意すれば調停離婚できる

配偶者が協議離婚に応じず、それでも離婚したい場合、すぐに訴訟は起せません。

離婚には調停前置主義が採用されており、裁判を起こす前に調停で話し合いによる解決を試みることが必要とされています。

そのため、協議離婚ができなかった場合には、家庭裁判所に離婚調停(実務上は「夫婦関係調整調停」と呼ばれます)を申立てる必要があります。

調停では、主に調停委員の仲介により、夫婦間で離婚について話し合いを行います。

その結果、離婚に合意できた場合には、調停成立となり、離婚できます。調停離婚も原因は特に問われません。

合意できなかった場合には、調停は不成立で終了となります。調停不成立になっても、どうしても離婚したい場合には、離婚裁判の提起を検討することとなります。

配偶者が合意しない場合裁判離婚できるか?

以下では、逮捕された配偶者が離婚に合意しない場合に、裁判離婚できるかについて解説します。

裁判離婚できるケースは限られている

民法上、裁判で離婚できる原因は、以下の5つに限定されています。

  1.  配偶者に不貞な行為があったとき
  2.  配偶者から悪意で遺棄されたとき
  3.  配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  4.  配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  5.  その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

配偶者が逮捕された場合には、⑤に該当すれば、裁判離婚が認められることとなります。

配偶者の逮捕を理由に裁判離婚できるケース

配偶者逮捕されたことを理由に裁判離婚できるのは、具体的には以下のようなケースとなります。

配偶者の逮捕がDVや子どもに対する虐待による場合

配偶者の逮捕がDVや子どもに対する虐待による暴行や傷害を理由とする場合には、婚姻を継続しがたい重大な事由があるときに該当するとして離婚がしやすくなるでしょう。

そもそも離婚原因があることは離婚を請求する配偶者が立証する必要があるのですが、DVや虐待はなかなか証拠が残らず、そのためにDVや虐待を理由とする離婚はしにくい面があります。

しかし、DVや虐待による暴行や傷害を理由に配偶者が逮捕された場合には、供述証拠や現場検証の記録など、DVや虐待をされたことの証拠が残るため立証が可能となり、離婚がしやすくなります。

配偶者の逮捕が重大犯罪の嫌疑を理由とするものである場合

例えば配偶者が不同意性交罪や殺人罪などの重大犯罪の嫌疑をかけられて逮捕された場合は、離婚が認められる可能性があります。

重大犯罪の嫌疑で逮捕された場合には、大きく報道されたり、家族にも捜査機関の捜査が及んだりする可能性があります。そのため、従前と同様の生活を維持していくことは困難なケースや婚姻生活を継続することについて精神的な苦痛を負うケースが少なくなく、婚姻の継続が困難になる可能性があるからです。

配偶者の逮捕が理由で離婚する場合の親権者は?

配偶者の逮捕が理由で離婚する場合、子どもの親権はどうなるのかが問題となります。

配偶者が逮捕されただけでは、子どもの親権が認められないとまではいえません。

しかし、逮捕理由が子どもに対する虐待の場合には、配偶者に親権が認められる可能性は極めて低いでしょう。

配偶者の逮捕が理由で離婚する場合の財産分与はどうなる?

財産分与は、婚姻中に夫婦の協力により得た共有財産を離婚時に分配することです。

財産分与の対象には、預貯金や住宅などのプラスの財産だけでなでなく負債も含まれます。

配偶者が逮捕されたことを理由に離婚する場合も、もちろん法律上は財産分与ができます。

しかし、実際に配偶者が逮捕されている場合には配偶者の財産を確認できないことも多く、急いで離婚したい場合には離婚後に財産分与を請求するという方法を採る必要が生じます。

しかし、離婚から時間が経つほど、財産が減少していることも少なくありません。

なお、財産分与は離婚後2年以内に請求する必要があります。

配偶者が逮捕された場合の財産分与は、場合によっては期待どおりの結果に行かないこともあります。

配偶者の逮捕が理由で離婚する場合に養育費は請求できるか?

子どもの養育費の金額は、子どもの人数と年齢、権利者と義務者の年収の相関関係で決まります。

配偶者が逮捕されても、それだけで養育費を免除することの理由にはなりません。

しかし、配偶者が逮捕された場合には、罪状によっては勤務先を解雇される場合もあります。そうすると配偶者の収入が大きく減少し、場合によってはそのまま服役することとなり、収入がゼロに等しい状況になることもあります。

そのため、期待していたよりも低い金額の養育費しかもらえない場合や、養育費自体をもらえない場合も生じます。

配偶者の逮捕を理由に慰謝料を請求できるか?

配偶者が協議や調停で、慰謝料の支払いに合意するのであれば、慰謝料を受け取れます。

しかし、配偶者が慰謝料の支払いを拒否した場合、単に配偶者が逮捕されたというだけでは慰謝料は請求できません。

配偶者が逮捕されただけで、それにより自身の利益が害されていないのであれば、請求の根拠を欠くからです。

しかし、例えば、配偶者の逮捕の理由がDVだった場合には、DVをされたことを理由に慰謝料の支払いを受けられます。

重大犯罪の逮捕が離婚理由の場合には、それによるマスコミ報道や捜査機関による取調べなどにより精神的苦痛を被ったのであれば、慰謝料を請求できるケースもあるでしょう。

慰謝料の相場は、50万円から300万円程度と考えられます。

さいごに

配偶者が逮捕された場合、相手が応じなくても裁判で離婚できる場合がありますが、財産分与や養育費を受け取ることが事実上難しいこともあることがお分かりいただけたと思います。

配偶者が逮捕されたケースで離婚を検討している方は、是非一度ネクスパート法律事務所にご相談ください。

協議離婚するための交渉や調停での対応、離婚裁判の提起までご相談を承っております。

配偶者から財産分与や養育費、慰謝料を受け取れるのか、受け取れる場合に金額の見込みについてもお話しいたします。

どうぞお気軽にご相談にいらしてください。