離婚を考えて配偶者と話し合いを続けるものの、なかなか合意できない場合は離婚調停で解決を図る方法があります。
離婚調停にかかる平均期間は半年程度に収まることが多いですが、1年以上かかることもあります。
離婚調停は、当事者の話し合いを前提とする手続きですので、ときに相手が離婚調停の期間をわざと長引かせているのではないかと感じる方もいらっしゃいます。

離婚に応じたくない、譲れない条件がある場合に、なんとか時間稼ぎをしたいと考える方もいらっしゃるかもしれません。離婚調停を長引かせるのにメリットはあるのでしょうか?

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離婚調停を長引かせることはメリットよりデメリットの方が大きい

一概には言えませんが、離婚調停を長引かせることは、基本的にメリットよりもデメリットの方が大きいでしょう。

調停が長引くと家庭裁判所へ足を運ぶ時間や手間がかかり、夫婦双方にとって負担になります。精神的にも経済的にもダメージが大きくなる可能性があります。

安易に妥協したり、決めるべき事項を曖昧にしたまま離婚に合意したりするのは賢明ではありませんが、不必要に離婚調停を長引かせることは紛争の激化を招くこともあります。

離婚調停を長引かせるメリットは?

基本的に、離婚調停を長引かせることにメリットはあまりないといえますが、結果として以下のようなメリットが得られることがあります。

相手と納得できるまで話し合いができる

離婚条件などについて、ご自身が納得できるまで話し合いができる点です。

慰謝料、財産分与、養育費など、一度合意してしまったら変更するのが難しくなります。
一つでも納得できないことがある場合、後悔しないように安易に合意せず、粘り強く話し合いを続けたほうがよいでしょう。

配偶者の不貞があった場合は証拠収集に時間がかけられる

配偶者の不貞行為が原因で離婚になった場合などには、証拠収集に時間がかけられます

このような事情で離婚になった場合、できるだけ多くの慰謝料が欲しいと考える方が多いと思います。
そのためには配偶者が不貞をした証拠を集めなければいけませんが、離婚調停が係属している間に、配偶者の不貞を決定づける証拠収集ができることもあります。

婚姻費用が得られる

離婚調停が長引けば、その間、婚姻費用が得られる可能性があります。

婚姻費用は夫婦が別居してから離婚が成立するまで、収入の少ない方が多い方に対して請求ができます。

離婚調停が長引いた結果、離婚成立まで支払われる婚姻費用の総額が増えることがあります。

子どもの監護実績を積んで親権獲得を有利にする

離婚調停が長引けば、子どもの監護実績を積んで親権獲得を有利にできる可能性があります。

別居期間中に子どもの監護をどのように行ってきたかを記録して、裁判所に証拠として提出をすると、親権獲得に有利に働くケースがあります。

離婚調停を長引かせるデメリットは?

離婚調停を長引かせることで生じるデメリットについて、以下でそれぞれ解説します。

精神的な負担が大きくなる

離婚調停が長引けば、当事者間の紛争が激化することがあり、精神的な負担が増えます

調停委員が間に入って話し合うとはいえ、離婚を考えている相手と長期間にわたって話し合いを続けるのは苦痛です。特に両者ともに一歩も引かない状況だと、相手に対して怒りなどの感情が沸き起こるケースも少なくありません。

調停のたびにこうした状況に直面するのは辛いことです。

仕事を休む回数が増える

調停期日は、平日の日中に開かれるため、長引けば長引くほど仕事に支障が出る可能性あります。

離婚調停中であることを同僚に内緒にしておきたくても、何度も休みを取ることで、事情を説明せざるを得ない状況になる可能性があります。

訴訟に移行する可能性がある

離婚調停が長引けば、合意に至る見込みがないと調停不成立となり、訴訟に移行せざるを得ない場合があります。

訴訟になれば、さらに時間がかかります。訴訟になった場合、民法上で定められている離婚事由に該当しなければ、離婚を認める判決がでません。どうしても離婚したいと考えているのに離婚できないことも考えられます。

訴訟になると、判決が出る前に本人尋問が行われることがあります。裁判官や相手の弁護士から質問をされて答えなければならならず、厳しい質問がされる可能性もあります。

それによって精神的ストレスを感じる人は少なくないでしょう。

弁護士費用が嵩む可能性がある

離婚調停が長引くと、弁護士費用が嵩む可能性があります。

依頼する弁護士が所属する事務所の費用体系にもよりますが、弁護士が代理人として裁判所に出頭する場合、日当が発生することがあります。特に遠方の裁判所への出頭が必要な場合は日当が発生することが多いでしょう。調停が長引くと、期日の回数も増えるので、その分日当も嵩みます。

訴訟に移行した場合は、追加の着手金が発生することが一般的で、報酬も調停段階で解決した場合より高くなることもあります。

夫婦のトラブルが公になる

離婚調停で協議を尽くしても夫婦が合意に至らなかったときは、調停は不成立となります。

裁判官の判断により、審判によって夫婦を離婚させるという決定がなされなければ、訴訟による解決をとらざるを得ません。

訴訟になると夫婦のトラブルが公になってしまいます
訴訟は原則公開されるため、離婚でトラブルになっているのを隠しておきたい場合は、デメリットとなります。

まとめ

離婚を決意しただけで相当なストレスになりますが、さらに話し合いがまとまらず離婚調停になれば、精神的負担は増える一方です。

離婚調停が長引けば、本記事で紹介したメリットが得られる場合もありますが、基本的にデメリットのほうが大きいと心得ておきましょう。離婚調停では、可能な限り早く合意を目指すことが重要です。

離婚調停の申立てを考えている方や配偶者から離婚調停を申立てられた方は、ネクスパート法律事務所にご相談ください。

当事務所には、多種多様な離婚案件を手掛けてきた弁護士が在籍しています。スムーズかつ有利に離婚調停を進めるためにご依頼者様に寄り添った対応を心掛けていますので、ぜひ一度ご相談ください。