人前で怒鳴ったり人格を傷つけるような発言をしたり、夫婦間のモラハラ行為が問題になることがあります。

この記事では、生活費をくれない夫はモラハラにあたるのか、そのような夫に対してどのように対処すればよいのか、解説します。

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生活費をくれない夫はモラハラにあたるか?

収入を得ている一方配偶者が、収入がない、または収入の少ない他方配偶者に対して生活費を渡さないことは、モラルハラスメント(以下、モラハラ)に該当し得ます。

生活費を全く渡さない、もしくは明らかに不足する額しか家計に入れない行為は、経済的DVと評価される可能性がありますが、経済的に追い詰められると、精神的にも追い詰められることが多いからです。

経済的DVがモラハラの一態様として行われることもあります。
モラハラの加害者は、被害者の自尊心を破壊し判断力を奪い、逆らえない心理状態に追い込んで、優位な立場を確立しようとするところに特徴がありますが、経済的DVは、まさに自分が優位に立つための手段となり得るからです。

したがって、生活費をくれないことは、経済的DVモラハラと評価される可能性があります。

なお、収入が多い配偶者は他方の配偶者に対して生活費を渡す義務があり、生活費を渡さないことは、法律上の離婚原因である悪意の遺棄にも該当し得ます。

生活費をくれないモラハラ夫の特徴は?

生活費をくれないモラハラ夫の特徴として、主に以下の5つが挙げられます。

自由に使えるお金を渡したくない

妻が自由に使えるお金を渡したくないと考えているタイプです。

例えば、妻が自由に使える現金を持つことに拒否感を示し、生活費を全くわたさない、あるいは極端に少ない生活費しか渡さないようないケースです。

経済的な自由を制限することで、友人に会ったり、実家に帰省したりする等の行動を制限し、妻を自分の支配下に置きたいと考えている人に多く見られます。

環境の変化によって生活費が増加することを理解していない

生活費がいくらかかるかを把握しておらず、生活環境の変化によって生活費が増加することを理解していないタイプです。

例えば、子どもが中学校へ入学すれば、塾や部活でお金がかかるようになります。それまでの生活費ではやっていけず、見直しを迫られますが、このタイプはそういった事情に一切耳を傾けない傾向があります。

過度の節約を求める

過度の節約を求めるタイプです。

何にいくら使ったと毎日細かく報告を求め、本当に必要な買い物だったのかなど、しつこく責めてくる場合もあります。

暑いのに冷房をつけるのを禁じたりするなど、理不尽な要求をしてくるケースもあります。

配偶者に働くことを許さない

配偶者が外で働くことを許さないタイプです。

女性は家のことだけをしていればいいという古い考え方、妻が稼がなければ生活が成り立たないと思われるのが嫌だという考えが根底にある人です。

中には極度に嫉妬深く、妻を支配し、家庭の外に出したがらないタイプもいます。

自分が稼いだお金であることを必要以上に誇示する

自分が稼いだお金であることを必要以上に誇示するタイプです。

「誰のおかげで生活できていると思っているんだ、俺の金だ!」というのが口癖だったり、常に自分が優位に立ち、存在を大きく見せようとしたりする傾向があります。

生活費をくれないモラハラ夫への対処法は?

まともに生活費をくれないモラハラ夫に対して、妻はどのように対処すればよいでしょうか?以下でそれぞれ解説します。

夫婦で話し合う

まずは夫婦で話し合うのが重要です。

夫婦は、互いの生活水準を同等に保持すべき義務があります。したがって、収入を多く得ているほうが他方に対して生活費を支払う義務があることを夫に対して訴えましょう。

その際には、月々に必要な生活費を見える化したほうがよいです。食費、光熱費、医療費、教育費など、月にかかったお金を表にして、一目でわかるようにしましょう。
無駄遣いをしていない点を客観的に数字で示すのは、有効な方法です。

生活費の増額に応じない場合は、働くことも視野にいれましょう。
子育てや介護で仕事ができない環境でなければ、「生活費をくれないなら外で働きたい」と夫に対して訴えるのも一つの方法です。

公的機関に相談する

夫婦で話し合いをしても解決せず、夫が生活費の増額に応じない場合は公的機関へ相談しましょう。
以下は無料で相談に応じてもらえる機関ですので、参考にしてください。

公的機関名

ホームページ

詳細

DV相談プラス DV相談プラス|内閣府 DVのお悩みひとりで抱えていませんか? (soudanplus.jp) 内閣府が設置する相談窓口です。相談内容によって適切な窓口に電話を転送してもらえます。
女性センター 全国女性センターマップ | ウィメンズアクションネットワーク Women’s Action Network (wan.or.jp) 各自治体が自主的に設置している相談窓口です。

地域によって男女共同参画センター、婦人館という名称となっている場合もあります。

女性の人権ホットライン 法務省:女性の人権ホットライン (moj.go.jp) 法務局が開設している窓口です。家庭でのDVやモラハラに関する相談が受けられます。
法テラス 法テラス トップページ (houterasu.or.jp) 法テラスは国が開設した法的トラブルの相談窓口です。

弁護士に相談する

生活費をくれない夫との離婚を視野に入れているのなら、弁護士に相談をしましょう。

夫と一緒にいるのがつらい、夫が帰宅する時間になると具合が悪くなるなどの症状があれば、早急に離れて別居することをおすすめします。

たとえ別居しても夫婦である以上、収入の多い方は他方に生活費を渡す義務があります。弁護士に依頼をすれば、代理人として夫に生活費(婚姻費用)の支払いをするように交渉ができます。

それでも夫が生活費の支払いに応じない場合は、家庭裁判所に婚姻費用分担調停を申し立てます。
調停を申し立てるにあたっては、申立書のほかに審理のために家庭裁判所が求める書類を提出しなければいけません。

弁護士であれば、代理人とし手続きを任せられます。

生活費をくれないモラハラ夫への婚姻費用請求を弁護士に依頼するメリット

生活費をくれないモラハラ夫への婚姻費用分担請求の申立てを弁護士に依頼するメリットは、以下の3点です。

夫に言い負かされずに対等に話し合いができる

弁護士に依頼し代理人として対応すれば、夫に言い負かされず対等に話し合いができます。

モラハラをする夫が相手だと、「威圧的な話し方をされるので怖くて自分の意見が言えない」、「弁が立つので結局言い負かされてしまう…」と諦めている人もいるのではないでしょうか。

弁護士に依頼すれば、言いたいことをすべて託せますし、夫に屈することなく思っていることを伝えられます。

早期に適正額を受け取れる可能性が高まる

弁護士に依頼すれば、夫から早期に生活費の適性額を受け取れる可能性が高まります。

夫婦で話し合いをしている時点では軽く受け止めていた夫も、弁護士が代理人として登場したら、妻の本気度を思い知ると思います。

モラハラの加害者は、被害者に対し、あたかも自分が法律に詳しいかのように振る舞うこともありますが、弁護士であれば根拠のない理屈に言いくるめられることもありません。

弁護士が間に入って論理的に交渉することで、早期に適正な婚姻費用を受け取れる可能性があります。

婚姻費用以外の法的問題の解決も併せて依頼できる

弁護士に依頼すれば、婚姻費用以外の法的問題の解決も併せて依頼できます。

夫に見切りをつけて離婚したいと考えても、夫がすんなりと承諾するとは限りません。モラハラの加害者は、異常に勝ち負けにこだわる傾向があるため、支配下に置いていたはずのあなたから離婚を申し出られたら、言葉巧みにあなたを言いくるめて、支配をさらに強めようとする可能性があります。

このような場合、弁護士が間に入って論理的に交渉することで、離婚がまとまる可能性があります。

慰謝料請求や財産分与、子どもの親権問題など離婚に付随する問題についても、納得できる解決を目指してサポートしてくれるでしょう。

まとめ

適正な生活費を渡してもらえないことは経済的に追い詰められるだけでなく、身体的暴力をふるわれることと同じように精神的に追い詰められていくものがあります。たとえ夫婦であってもお金の話はしづらいと遠慮している人がいるかもしれませんが、もらっている生活費が適正かどうか、確認をしてみましょう。

昨今は物価や光熱費が上がるなど、厳しい生活を強いられている人がほとんどです。こうした状況を踏まえて、夫婦で生活費の金額を話し合うのは重要なことです。夫が適正な生活費をくれない、生活費の増額を依頼しても拒否されるといった悩みをお持ちの方は、記事の中で触れた公的機関に相談することも検討してみてください。

生活費をくれないモラハラ夫との離婚別居中の婚姻費用の請求を考えている人は、ネクスパート法律事務所にご相談ください。当事務所には離婚案件を多数手がけてきた弁護士が在籍しています。

納得できる離婚ができるように全力で交渉に務めますので、ぜひ一度ご相談ください。