夫婦間で離婚自体には同意ができていても子どもがいる場合には、親権や養育費、そして面会交流などを争点に対立することが多く、協議が決裂することがあります。協議が前進しない場合には、家庭裁判所へ調停を申し立てることも解決方法の1つです。
この記事では「面会交流調停」にスポットを当てて、有利に進めるコツや弁護士に依頼する場合の費用相場およびメリットについて解説します。
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目次
面会交流調停を有利に進めるには
「面会交流調停」とは、別居期間中や離婚後に養育・監護をしていない親側が子どもとの面会調整を家庭裁判所に求める手続きです。正式には「子の監護に関する処分調停事件」と呼ばれています。面会交流調停はあくまでも調停の手続きであり、不成立に終わることもあります。不成立の場合は離婚調停と同様に審判に移行します。(関連:面会交流調停とは|申立ての流れや調停で聞かれること)
面会交流調停では、子を養育・監護している親とそうではない側の親の双方の意見を調停委員がヒアリングし、面会交流の方法や頻度を決めています。離婚に至っていない方が別居中で子どもに面会できていない場合にも利用できる調停であり、離婚協議と並行しながら面会交流調停を行うことも可能です。
面会交流調停は弁護士に依頼をせずにご自身で対応することも可能ですが、有利に調停を進めるにあたっては弁護士の存在が強い味方となります。では、弁護士の存在がどんなメリットをもたらすでしょうか。ポイントは以下の3つです。
参考URL:裁判所 面会交流調停
調停委員を味方に付ける
面会交流調停に至っている場合、前段階である協議の時に双方の意見が衝突していることがよくあります。ご自身にとって有利な条件で面会交流調停を成立させたい場合には、調停委員を「味方に付ける」ことが大切です。
調停は申し立てた側・申し立てられた側の双方の意見をヒアリングします。ご自身にとって有利に進めたいという気持ちが先行し過ぎると、調停委員に感情的に話をしてしまう方もいます。
しかし、子どもを思う気持ちをわかりやすく説明するためには理路整然と意見をまとめることも重要です。弁護士に依頼すると調停に臨む姿勢やノウハウを教えてもらうことができ、伝えたい気持ちを整理することができます。また、調停の当日に緊張をし過ぎない練習をすることも可能です。
証拠に基づいた主張をする
面会交流調停においては「証拠の提出」と「証拠に基づいた主張」も重要です。調停委員は証拠と主張を確認しながら面会交流の頻度や回数を提案します。しかし、面会交流は調停に至っても拒否を主張することも可能です。
面会交流を拒否したい場合、DVやモラハラの証拠や子どもへの虐待があった事実などを証拠として提出し、拒否を主張する必要があります。弁護士に依頼をすると、証拠の作成をサポートし、主張に関してもアドバイスを行い調停当日も付き添いを行ってくれます。
・面会交流を拒否できる正当な理由とは|拒否されたらどうすればいい?
面会交流以外に関しても相談できる
面会交流調停に至っている場合、離婚の協議を進めていたり、将来的な離婚を目指して別居をしていたりする場合が多いでしょう。弁護士は離婚したい方・離婚したいと言われた方のいずれの立場であっても依頼を受けることができます。
弁護士に依頼をすると、面会交流調停以外に関しても相談ができ、離婚や養育費、財産分与などの相談もまとめて依頼することができます。
面会交流調停を弁護士に依頼するメリット
面会交流調停を弁護士に依頼するメリットをもう少し詳しく解説しましょう。主なポイントは以下の2つです。
的確な主張ができる
面会交流調停自体はご自身で臨むことも可能ですが、弁護士に依頼をすると「的確な主張」ができるというメリットがあります。証拠の作成から意見の主張まで全面的にサポートをするので、調停委員に対して好印象を与えることが可能です。
また、相手方の主張にとても冷静ではいられないような内容が出てきたとしても、弁護士がいることで落ち着いて感情を整理したうえで、反論をすることができます。調停全般を有利に進めるために、弁護士が心強い味方になってくれるのです。
自身の負担が減る
面会交流調停に臨む場合、調停に付随する色々な連絡や証拠の作成などに対応する必要があります。調停を申し立てる側の場合には、必要な書類を整える必要もあります。
弁護士に依頼をすると、裁判所への連絡窓口となり調停の期日調整なども行ってくれます。また、相手方や相手方の弁護士との連絡にも対応してくれます。本来調停は大きな負担となるものですが、弁護士がいることで大幅に減らせるのです。
面会交流調停の弁護士費用の相場
面会交流調停を有利に進めたい場合には弁護士へ依頼されることがおすすめですが、気になるのはその費用でしょう。では、面会交流調停の弁護士費用相場とは一体どのぐらいなのでしょうか。
面会交流調停の弁護士費用の相場は30~60万程度
面会交流調停の弁護士費用はトータルで30~60万程度とされています。この費用は着手金・報酬金・実費・日当・報酬金などを含みます。別途離婚など別のご依頼をされる場合には、別事件としての費用が加算されます。
弁護士によって費用の相場には開きがあるので、気になる場合にはまず複数の弁護士に法律相談を行い、費用の確認をされることがおすすめです。離婚の別事件をご依頼される場合には、新たな着手金が必要な場合もあれば、面会交流や離婚に関してまとめて事件を受任した上で費用請求する弁護士もいます。
費用の請求は事件の難易度によって変動することもありケースバイケースです。離婚や面会交流に関しては初回法律相談が無料の弁護士も多く、比較検討をされる際にご活用しやすくなっています。
アフターケアの費用も含んでいる
弁護士費用の請求は高額に感じるかもしれませんが、面会交流調停後のアフターケアに関しても費用のうちに含まれています。
例として、面会交流が決定したら、うまく軌道に乗るまで相談に応じて、相手方への連絡窓口を継続してくれるなどのケアがあります。相手方が面会交流に応じてくれない場合には、裁判所への履行勧告などもサポートしてくれます。
弁護士なしで面会交流調停はできる?
上記で解説のとおり、弁護士費用に関しては数十万単位でご用意いただくことが一般的です。弁護士費用が負担に感じる場合には、弁護士なしで面会交流調停に臨むことも可能です。
自分だけで申し立てることも可能
面会交流を求めて調停を申し立てたい場合には、ご自身で申立てを行うことができます。申立てに必要な書式は裁判所のホームページに公開されており、家庭裁判所の窓口でアドバイスを受けながら書類を作ることも可能です。(参考:裁判所 面会交流調停の申立書)
ご自分で申立てされる場合の基本的な流れは以下のとおりです。
- 面会交流調停の申立てに必要な書類を作る
- 家庭裁判所へ申立てを行う (※相手方の住所地を管轄する家庭裁判所が基本です)
- 調停の初回期日に臨む
- 複数回の調停に臨む
- 調停成立 もしくは 不成立 (※不成立の場合は審判へ移行します)
弁護士に依頼しない場合にかかる費用
弁護士に依頼をしない場合には、面会交流調停にどのぐらいの費用が必要でしょうか。面会交流調停の申立て自体に必要な費用は、家庭裁判所に求められる費用のみです。証拠の提出によってはコピー代金などの細かな雑費が発生します。
- 収入印紙1200円分(子ども1人につき)
- 連絡用の郵便切手(家庭裁判所によって異なります)
まとめ
この記事では面会交流調停を有利に進めるためのコツや弁護士の費用について詳しく解説を行いました。面会交流調停を有利に進めていくためには、申立て前の段階から弁護士へ相談を行い、証拠の作成準備などを行うことがおすすめです。
また、申し立てられた側も無視をすることは得策ではなく、むしろ不利な立場に置かれることになります。弁護士のサポートを受けながら反論の機会に備え準備を整えていくことが望ましいでしょう。