「裁判の記録はどのくらいの期間残るの?」
「第三者に不貞裁判したことがバレる?」
不貞裁判を起こされそうな人の中には、裁判の記録が残ると知って不安に思っている人もいるのではないでしょうか。
この記事では、裁判記録が残るデメリットや裁判記録に関するよくある質問について解説しています。
記録が残る以外の不貞裁判のデメリットとその対応策についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
裁判記録が残るデメリットは?
裁判記録が残るデメリットは、民事訴訟事件の記録は原則として誰でも閲覧ができる点です。
裁判が始まると、原告と被告それぞれが、訴状や答弁書、準備書面等の主張書面を裁判所に提出します。証拠があれば、証拠資料も提出するでしょう。さらに、尋問が行われた場合にはその内容を記録した尋問調書が、判決になった場合には判決書が作成されます。
これらは全て、裁判記録として裁判所に保管されます。そして、この裁判記録は、原則として誰でも閲覧が可能です(民事訴訟法91条1項)。
裁判の当事者と全く関係のない第三者(当事者や利害関係人以外の第三者)でも裁判記録を閲覧できる点はデメリットと言えるでしょう。しかし、有名人の事件やテレビ等で報道される著名事件でない限り、裁判の当事者と全く関係のない第三者が裁判記録を見ることはほとんどありません。
なぜなら、裁判記録を見るには、原則として事件番号と当事者双方の氏名の特定が必要だからです(裁判所によっては当事者双方の氏名のみで閲覧できることもあります。)。
つまり、あなた個人の氏名のみで裁判をしているかどうかは調べられません。そして、それらの情報はインターネットでの検索はできず、実際に裁判所に足を運び、運よく該当の事件がその日に裁判をしていた場合に情報を知れるレベルのものです。
したがって、裁判記録が残ることを過度に心配する必要はないでしょう。
裁判記録に関するQ&A3選
裁判記録に関するよくある質問について解説します。
裁判記録が残る期間は?
民事訴訟事件の裁判記録が残る期間については、下表のとおり定められています。
種類 | 保存期間 |
判決原本 | 判決確定から50年 |
和解調書 | 30年 |
その他の書類(訴状・答弁書・準備書面等) | 5年 |
ひとつの事件記録でも、書類によって保存期間が異なります。
例えば、判決で事件が終わった場合、判決原本は50年保管されますが、判決原本以外の書類は5年で廃棄されます。
裁判記録は取下げや和解で終わった場合も残る?
裁判記録は取下げや和解で終わった場合も残ります。
裁判記録は、原告が訴状を裁判所に提出した時点で作成されます。
取下げで終わった場合には、取下げまでに裁判所に提出された書類は5年間保管されます。例えば、訴状だけが提出され、その後すぐに取り下げられた場合でも、その裁判記録は5年間保管されます。
和解で終わった場合には、和解調書は30年、それ以外に裁判所に提出された書類は5年保管されます。
裁判記録が残ることで就職や結婚に影響することはある?
裁判記録が残ることで就職や結婚に影響することはないでしょう。
特定の個人に関して、過去の民事訴訟の有無を調べることはほぼできません。個人名のみで訴訟の有無を調べる方法はありません。
したがって、今後の就職や結婚に影響することを心配する必要はないでしょう。
記録が残るだけじゃない!不貞裁判を起こされるデメリット
記録が残るデメリットは限定的であることがお分かりいただけたと思います。
少しホッとしている人も多いのではないでしょうか。
しかし、不貞裁判を起こされるデメリットには、記録が残ることよりもあなたに影響の大きいデメリットがあります。
- 家族や職場に裁判の事実が知られる可能性がある
- 第三者に裁判を傍聴されることもある
- 解決まで時間がかかることがある
- 給与等を差し押さえられる可能性がある
以下、詳しく見ていきましょう。
家族や職場に裁判の事実が知られる可能性がある
家族や職場に裁判の事実が知られる可能性があります。
裁判になった場合、裁判所から度々書類が送られてきます。
同居している家族がいる場合には、裁判所からの郵便をうっかり見られたことで、家族に裁判の事実が知られる可能性があるでしょう。
裁判所から最初に送られてくる訴状は、原則としてあなたの住所(自宅)に送られます。しかし、不在のまま受け取りされない状態が続くと、あなたの職場(就業先)に送られることがあります。
あなた宛ての訴状が職場に届くことで、職場の人に裁判の事実が知られる可能性があるでしょう。
第三者に裁判を傍聴されることもある
第三者に裁判を傍聴されることもあります。
民事裁判は、原則として公開で行われ、誰でも自由に裁判を傍聴できます。
第三者に裁判の内容を聞かれる可能性があります。
特に、本人尋問では、不貞の内容について詳しく聞かれることから、傍聴人に不貞の内容を知られることにもなるでしょう。
解決まで時間がかかることがある
解決まで時間がかかることがあります。
裁判の場合、事実関係の争いが少なく和解できるケースでも半年程度かかります。判決まで行くケースであれば、1年以上かかることもあります。
裁判期日は、おおむね1か月から1か月半に1度開かれ、本人訴訟の場合には、毎度出廷しなければなりません。
裁判になると解決までの時間がかかることから、精神的・肉体的に大きな負担になるでしょう。
給与等を差し押さえられる可能性がある
給与等を差し押さえられる可能性があります。
あなたに対して慰謝料の支払いを命じる判決が出た場合には、当然あなたには相手方に対して慰謝料を支払う義務があります。
判決に従わず、慰謝料の支払いをしない場合には、相手方はその判決をもとに強制執行の手続きを取れます。
強制執行の手続きをされた場合には、給与や預貯金が差し押さえられる可能性があるでしょう。
強制執行の手続きについて、詳しくは「不貞慰謝料は踏み倒せる?踏み倒した場合のリスクと強制執行について」の記事をご参照ください。
不貞裁判のデメリットを避ける最善策は弁護士への依頼
不貞裁判のデメリットが心配な場合には、交渉での解決を目指すことが大切です。
交渉での解決ができれば、裁判記録が残る心配や第三者に傍聴される心配はなくなります。
そして、弁護士に依頼すれば、交渉で解決できる可能性が高くなります。
なぜなら、相手方も弁護士が相手となれば、過度な慰謝料を要求してくる可能性は低く、法的な根拠や過去の裁判例をもとに適切な慰謝料での示談がまとまりやすくなるからです。
さらに、裁判になっても、弁護士がいることで前章のデメリットのほとんどが軽減されるでしょう。
- 弁護士が代理人となることで裁判所からの書面は弁護士宛に届く
- 本人尋問以外の期日には原則として出廷する必要がない
- 訴訟に慣れている弁護士であれば的確な主張ができ短期間での解決を目指せる
したがって、不貞裁判が起こされる前に弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ
裁判の記録が残る心配をする人は多いかもしれませんが、個人の不貞裁判であれば、事件に全く関係のない第三者が記録を閲覧することはほとんどありません。過度に心配する必要はないでしょう。
裁判記録が残る以外にも、不貞裁判が起こされるデメリットとして次の4つが挙げられます。
- 家族や職場に裁判の事実が知られる可能性がある
- 第三者に裁判を傍聴されることもある
- 解決まで時間がかかることがある
- 給与等を差し押さえられる可能性がある
不貞裁判をご自身で対応しようとすると、これらのデメリットが心配になり、精神的に負担になるでしょう。
不貞裁判が起こされそうな場合には、一度弁護士にご相談ください。不貞裁判が起こされる前に弁護士が介入することで、裁判にならず交渉で解決できる可能性があります。
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