不貞慰謝料は踏み倒せる?踏み倒した場合のリスクと強制執行について

  • 最終更新日: 2024.10.2

不倫をしてしまったあなたは、慰謝料請求に頭を抱えていることと思います。

「慰謝料は踏み倒せる?」「慰謝料を踏み倒したらどうなる?」
このような疑問が頭をよぎるかもしれません。

不倫が事実である以上、慰謝料を踏み倒すのはおすすめしません
慰謝料を踏み倒すことで、後々リスクを抱えることになります。

この記事では、慰謝料を踏み倒した場合のリスクをケース別にご紹介しています。ぜひ参考にしてください。

慰謝料は踏み倒せる?踏み倒した場合のリスクをケース別に解説

慰謝料を踏み倒すのはおすすめしません

慰謝料を踏み倒すことで生じるリスクは、慰謝料の合意をする前と合意をした後、または裁判をした後で異なります。
次の5つの段階に分けて、生じうるリスクを詳しく見ていきましょう。

  • 裁判外で慰謝料を請求されている場合
  • 示談書(合意書)を作成した場合
  • 強制執行認諾文言付き公正証書を作成した場合
  • 裁判で和解が成立した場合
  • 裁判で敗訴した場合

裁判外で慰謝料を請求されている場合

裁判外で慰謝料を請求されている段階で慰謝料を踏み倒すと、裁判を起こされる可能性があります。

あなたが今、書面等何らかの方法で慰謝料請求されている場合には、踏み倒しを考えるのではなく、相手と話し合いをしましょう。
慰謝料の合意前であれば、あなたの事情によっては支払いを免れられる場合や減額できる場合があります。

誠実に対応すれば、いきなり裁判などの法的手続きを取られるリスクを低くできますし、直ちに請求されている慰謝料を支払わなければならないわけでもありません。
しかし、このまま無視し続けると、次で解説しているような裁判強制執行のリスクがあります。

したがって、慰謝料請求されている場合には、相手と話し合いの場を設けましょう。

話し合いをする前に次の2点について確認しておきましょう

  • 慰謝料の支払い義務があるか
  • 慰謝料の金額は妥当か

慰謝料の支払い義務があるか

慰謝料の支払い義務があるかを確認しましょう

慰謝料の支払い義務が生じないケースは、次の4つです。

  • 不倫相手との肉体関係が全くない
  • 不倫相手が既婚者であることを知らなかった
  • 不倫相手に肉体関係を強制されていた
  • 時効が成立する

詳しくは、「不貞慰謝料は減額してもらえる?9つの減額要素と交渉方法を徹底解説」の記事をご参照ください。

慰謝料の金額は妥当か

慰謝料の金額が妥当かどうかを確認しましょう。

慰謝料の金額は、過去の判例によって相場が決まっています
そのため、相場からかけ離れた慰謝料を請求されている場合には、減額できることが多いでしょう。

以下、3つのケースの相場を紹介しますので、参考にしてください。

  • 相手夫婦が離婚しない場合は50〜100万円程度
  • 不貞行為が原因で相手夫婦が別居した場合は150〜200万円程度
  • 不貞行為が原因で相手夫婦が離婚した場合は200〜300万円程度

慰謝料の合意前であれば、交渉次第で支払うべき慰謝料が大きく変わりますから、一度弁護士に相談することをおすすめします。

示談書(合意書)を作成した場合

示談書(合意書)を作成した後に慰謝料を踏み倒そうとすると、裁判を起こされる可能性があります。

当事者間で作成した示談書(合意書)は、原則有効ですから、あなたは合意書のとおり支払いを求められます。あなたが支払いを拒んだ場合、示談書(合意書)には、強制力がありませんから、あなたの財産を差し押さえるためには、相手は裁判手続きを経る必要があります。

つまり、当事者間で慰謝料の支払いを約束し、その内容を記載した示談書(合意書)を作成した場合でも、慰謝料を受け取る側が約束を守らない人から強制的に慰謝料を回収できるわけではありません。これは、弁護士が作成した示談書(合意書)であっても同様です。

裁判で不貞慰謝料請求をする場合は、改めて証拠をもとに、不貞行為があったことを認定することになります。
裁判において、示談書(合意書)は不貞の事実を証明する有力な証拠になるうえ、慰謝料を支払う合意をしている証拠にもなります。したがって、あなたに不利な判決になる可能性が高いでしょう。

裁判で、あなたに対して慰謝料の支払いを命じる判決が出た場合、それでも慰謝料を支払わないでいると強制執行される可能性があります。

したがって、示談書(合意書)を作成した場合は慰謝料を踏み倒すのはおすすめしません。

強制執行認諾文言付き公正証書を作成した場合

強制執行認諾文言付きの公正証書を作成した場合、慰謝料を踏み倒すと、裁判手続きを経ずに強制執行される可能性があります。

強制執行認諾文言付き公正証書とは、[債務者は、本証書記載の金銭債務を履行しないときは直ちに強制執行に服する旨陳述した。]等の記載のある公正証書です。

強制執行認諾文言を記載しておくことで、裁判手続きを経ることなく強制執行ができることから、支払いがされなかった場合に備えて、強制執行認諾文言付きの公正証書で慰謝料の合意をすることがよくあります。

したがって、強制執行認諾文言付き公正証書を作成した場合は慰謝料を踏み倒すのはおすすめしません。

裁判で和解が成立した場合

裁判で和解が成立した場合、慰謝料を踏み倒すと、強制執行される可能性があります。

和解は、話し合いのイメージがありますから、判決とは違い、守らなくても大丈夫では?と考える方もいるでしょう。

裁判が、判決ではなく和解で終わった場合であっても、和解で決められた内容を履行しなかった場合には強制執行が可能です。和解で決められた内容を記載した和解調書には、確定判決と同一の効力があります

したがって、裁判で和解が成立した場合は慰謝料を踏み倒すのはおすすめしません。

裁判で敗訴した場合

裁判で敗訴した場合、慰謝料を踏み倒すと、強制執行される可能性があります。

したがって、裁判で敗訴した場合は慰謝料を踏み倒すのはおすすめしません。

慰謝料を踏み倒した場合、強制執行される可能性!

「強制執行されると聞いたことはあるけれど、具体的にどんな手続きなの?」
強制執行という言葉を耳にしたことがある方は多いと思いますが、実際にどのようなことが自分の身に起きるのかはあまり理解していない方も多いかと思います。

以下では、強制執行の手続きについて解説しています。

強制執行の手続きとは?

強制執行の手続きとは、判決が出たり、裁判上の和解が成立したりしたにもかかわらず、お金を支払ってくれなかった場合に、判決などの債務名義を得た人(慰謝料を受け取る側の人)の申立てに基づいて、強制的に権利を実現する手続きです。

差押えの対象となる財産は?

差押えの対象となる財産には、次のようなものがあります。

  • 給与
  • 預貯金
  • 不動産
  • 自動車
  • その他動産

慰謝料請求の場合は、一般的に、給与・預貯金が差し押さえられることが多いでしょう。

以下では、差し押さえられる可能性の高い給与・預貯金について解説しています。

給与

給与の差押えをする場合、裁判所から債権差押命令が出され、その通知は給与を支給している勤務先に送られます。

給与の場合は、手取り額の1/4、もしくは手取り額が44万円以上の場合33万円を超える部分が毎月差し押さえられることになります。
差し押さえられる給与には、月給だけでなくボーナスや退職金も含まれます。

差押えは、裁判所から勤務先に送られる債権差押命令の通知が届いた時点以降に支給される給与から行われ、慰謝料全額(差押債権目録に記載されている金額)に達するか、債権者が申立てを取り下げるまで毎月差押えが行われます。

預貯金

預貯金を差押えする場合、裁判所から債権差押命令が出され、その通知は債務者が口座を持つ金融機関に送られます。

預貯金の場合は、裁判所から金融機関に送られる債権差押命令の通知が届いた時点に口座に入っている全額(ただし、慰謝料額(差押債権目録に記載されている金額)よりも口座残高が多い場合には、慰謝料額(差押債権目録に記載されている金額)が差し押さえられることになります。

強制執行された場合には、勤務先にバレる可能性も

あなたが慰謝料を支払わないまま、強制執行された場合には勤務先に不倫トラブルを抱えていることや慰謝料の支払いを怠っていることがバレる可能性があるでしょう。

裁判所が給与の差押え命令を出した場合には、給与を支給している勤務先に債権差押命令という通知が送られます。

したがって、少なくとも勤務先の代表者や給与担当者にはバレてしまうでしょう。

失うものが何もなければ慰謝料は踏み倒せるのでは?

強制執行をするには、差し押さえられるめぼしい財産が存在する必要があります。

財産もほとんどなく、働いてもいない場合には、たとえ裁判を起こされたり、強制執行されたりしても、回収できるものがないから踏み倒せるのでは?と考える方もいるでしょう。

たしかに、相手が勝訴判決等を獲得しても、あなたに財産がなければ回収するのは難しいでしょう。
しかし、確定判決または確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利の時効は、10年です。つまり、10年間は差押えをする権利が存続します。

あなたが今、財産もなく、無職であっても、10年間同じ状況が続く可能性は低いでしょう。
支払わない間の遅延損害金も発生しますから、自分には何もないから踏み倒そうと安易に考えることはやめましょう。

慰謝料請求をされている場合には、踏み倒しを考える前に弁護士に相談を

慰謝料請求をされている場合には、踏み倒しを考える前に弁護士に相談することをおすすめします。

慰謝料の減額をしてもらいたいと考えている場合には、弁護士に依頼することで、あなたのケースではいくらぐらいの慰謝料額が妥当であるか減額事由があるかどうかを判断してもらえます。

あなたは不倫をしてしまった立場にありますから、交渉の際に弱い立場になることは避けられないでしょう。あなたひとりで交渉した場合には、相手に言われるがままになる可能性があります。

弁護士に依頼することで、適切な額での交渉を進められ、減額に応じてもらえる可能性が高まります。
減額交渉を弁護士に依頼すべき理由については、「不倫慰謝料の減額を望むあなたにお伝えしたい弁護士に依頼すべき5つの理由」をご参照ください。

まとめ

慰謝料を踏み倒せるのでは?と考えている場合は、その考えを捨てた方が良いでしょう。

この記事で紹介したとおり、慰謝料を踏み倒すのは大きなリスクを伴います。慰謝料を踏み倒すことを考えるのではなく、慰謝料を支払える方法を考えましょう。

慰謝料の合意後であっても、相手に分割払いでの支払いをお願いするのもひとつの方法です。慰謝料の合意前であれば、交渉の余地はいくらでも残されています。

いくら減額ができるのか、どのように交渉したらよいかがわからない場合には、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士としてお手伝いできることがあるかもしれません。

ネクスパート法律事務所では、不貞問題に強い弁護士が在籍しています。仕事が忙しくて相談に行けない人や遠方にお住まいの方のためにオンライン法律相談サービスも実施しています。初回の相談は30分無料ですので、ぜひ一度ご相談ください。

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