あなたは今、「不倫慰謝料を請求されたけどシングルマザーで慰謝料を支払う余裕なんてない!どうすればいいの?」と焦りや不安でいっぱいになっていることでしょう。
シングルマザーとして自分一人で子どもを育てている場合、経済的に余裕がないケースも少なくありません。日々の生活だけで精一杯で慰謝料なんて支払えないから請求を無視しよう、との考えが頭をよぎっているかもしれません。
不倫慰謝料を請求されたら、請求を無視することはやめましょう。請求を無視すると交渉ができないと判断され、裁判になる可能性があります。裁判になれば、最終的に給料や預貯金などの財産を差し押さえられるおそれがあります。
この記事では、シングルマザーであるため慰謝料を支払えない場合の対処法などを解説します。
目次
不倫慰謝料を請求された!シングルマザーを理由に減額できる?
シングルマザーであることは、原則として慰謝料の減額事由になりません。
不倫慰謝料は、不倫により相手配偶者が負った精神的苦痛に対して支払うものであり、あなたがシングルマザーであるかどうかは考慮されないためです。
ただし、シングルマザーで経済的に余裕がない場合、慰謝料の減額を交渉する余地があります。
慰謝料の金額は、不倫の期間や回数、不倫による離婚の有無、収入や資産など、さまざまな事情を総合的に考慮して決められます。そのため、シングルマザーで経済的に余裕がない場合は、慰謝料を減額する事情となる可能性があります。
減額に応じるかどうかは、相手配偶者の意向次第ですが、シングルマザーで経済的に余裕がない場合は、慰謝料を支払う余裕がないことを正直に伝えてみましょう。
150万円以上の慰謝料を請求された場合は、弁護士に減額交渉を依頼するのがおすすめですが、ご自身で交渉する場合は、「不倫慰謝料の減額交渉を自分で進めるための6つのヒント」をご参照ください。
シングルマザーであるため慰謝料を支払えない場合の減額交渉以外の手段は?
シングルマザーであるため慰謝料を支払えない場合の減額交渉以外の手段として、主に以下の3つが挙げられます。
- 分割払いの交渉をする
- 親族等に援助をお願いする
- 自己破産を申し立てる
以下で詳しく解説します。
分割払いの交渉をする
シングルマザーであるため慰謝料を支払えない場合、分割払いの交渉をしましょう。
慰謝料の支払いは基本的に一括です。しかし、収入や預貯金などの資産が乏しい場合など、慰謝料を一括で支払えないケースも少なくありません。とはいえ、慰謝料を支払うために借金をすることは賢明ではありません。借金をして慰謝料を一括で支払ってしまうと、今後の生活が苦しくなるおそれがあります。
慰謝料を一括で支払うのが難しい場合は、分割払いにしてもらえるよう交渉しましょう。
ただし、分割金の支払いが滞った場合、残額の一括支払いを要求されたり、最終的に財産を差し押さえられたりするおそれがあります。分割払いが認められたら、確実に支払いを続けましょう。
親族等に援助をお願いする
シングルマザーであるため慰謝料を支払えない場合、親族等に援助をお願いすることも検討しましょう。
子どもとの今後の生活を守るため、親や親戚に正直に事情を説明し、慰謝料に充てる金銭の援助をお願いするのもひとつの方法です。
ただし、慰謝料の支払義務はあなたに発生しているものであり、親や親族が代理で支払う義務はありません。
援助をお願いする際は、誠意ある頼み方を心がけましょう。
自己破産を申し立てる
シングルマザーであるため慰謝料を支払えない場合、自己破産を申し立てるのも選択肢のひとつです。
高額の慰謝料を請求されて減額に応じてもらえない場合や、すでに借金がある場合など、どうしても慰謝料を支払えない状況である場合、今後の生活のためにも、自己破産を視野に入れてもいいかもしれません。
不倫に基づく慰謝料は、原則として自己破産すると免責されます。
ただし、自己破産にはデメリットもあります。
自己破産は、どうしても慰謝料を支払えない場合の最終手段としてお考えください。
シングルマザーで慰謝料を請求された方からのよくある質問4つ
シングルマザーで慰謝料を請求された方からのよくある質問として、以下の4つを紹介します。
シングルマザーの場合、不倫慰謝料の額はいくらぐらいになる?
不倫慰謝料の相場は、それぞれの事情により異なりますが、数十万円〜200万円程度です。
シングルマザーに対して慰謝料の支払いが命じられた2つの判例を紹介しますので、慰謝料額の参考にしていただければと存じます。
シングルマザーに対して慰謝料100万円の支払いが命じられた事例
原告が、シングルマザーである被告と原告の夫の不貞行為により婚姻関係が破綻して離婚することになったとして、不法行為による損害賠償として500万円の支払いを求めた事例です(東京地裁平成29年11月15日判決)。
裁判所は、被告と原告の夫との不貞行為より前から原告の夫によるDVなどで婚姻関係は決して円満とは言いがたい状態であったものと認め、原告が離婚によって被った不利益と精神的苦痛の重さを十分に斟酌し、シングルマザーに慰謝料100万円の支払いが命じられました。
シングルマザーに対して慰謝料150万円の支払いが命じられた事例
原告が、シングルマザーである被告と原告の夫の継続的な不貞行為により夫婦関係が悪化し多大な精神的苦痛を被ったとして、不法行為による損害賠償として300万円の支払いを求めた事例です(東京地裁平成28年8月10日判決)。
裁判所は、被告と原告の夫が不貞行為を持った時点で婚姻関係が破綻していたと信じていたとは認められないとして、被告の不法行為責任を認めました。
被告と原告の夫との子どもをもうけた事実、原告から苦情や警告を受けながらも関係を継続した事実などにより被告が被った影響は多大なものであったと認められ、シングルマザーに慰謝料150万円の支払いが命じられました。
奥さんから請求された慰謝料を不倫相手に払ってもらってもいい?
相手配偶者があなただけに慰謝料を請求した場合、不倫相手にも支払いを要求できます。
ただし、不倫は当事者2人の共同不法行為ですので、その責任は当事者2人が連帯して負います。
そのため、不倫相手が慰謝料の全額を支払った場合やあなたより多く支払った場合は、求償権を行使して不倫相手の負担を超える部分の返還請求をされる可能性があります。
不倫相手に認知や養育費を請求すると慰謝料額がさらに増額される可能性はある?
不倫相手に認知や養育費を請求した結果、相手配偶者にあなたの妊娠・出産の事実が発覚することで、慰謝料額が増額する可能性はあります。
認知請求・養育費請求そのものが、慰謝料の支払い義務を発生させるものではありませんが、不倫による妊娠・出産の事実は、慰謝料の増額事由になり得るためです。
不倫による妊娠・出産の事実がある場合、高額な慰謝料を請求されるおそれがあります。認知や養育費の請求をするかどうかは、慎重に検討することをお勧めします。
認知を請求しない代わりに慰謝料請求を取り下げてもらう交渉はできる?
認知を請求しない代わりに慰謝料請求を取り下げてもらうよう交渉はできます。
ただし、認知は子どもの権利であるため放棄はできませんし、子どもの権利を母親であるあなたが交渉材料にするのは適切ではないでしょう。
そもそも不倫は、夫婦生活の平穏を侵害する不法行為です。不法行為に基づく慰謝料を請求されているのにも関わらず、認知を請求しない代わりに慰謝料請求を取り下げてほしいと交渉することで、かえって交渉が難航することも考えられます。
あなたとは話し合いができないと判断され、訴訟を提起されるおそれもあります。
交渉が難航する可能性が高いため、交渉前に弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ|不倫慰謝料の減額・分割交渉は弁護士に相談を!
シングルマザーが不倫慰謝料を請求された場合、慰謝料を支払うつもりはあっても現実的に支払いが難しい場合も少なくありません。
不倫慰謝料を請求されたら、減額・分割交渉について弁護士に相談することをおすすめします。弁護士は交渉のプロです。あなたの状況を適切に判断し、減額・分割交渉をスムーズに進めてくれることでしょう。
ネクスパート法律事務所は、初回相談は30分無料です。あなたの不安や悩みを、ぜひお気軽にご相談ください。