生活保護受給者である不倫相手に慰謝料請求する前に知ってほしいこと

  • 最終更新日: 2024.10.8

一生添い遂げると誓い合った配偶者の不倫を知ってしまったら、怒りや悲しみなどのネガティブな感情に支配されてしまうでしょう。
それでもなんとか気持ちに折り合いをつけ、不倫相手に慰謝料を請求して新たにスタートしようと決めたのに、不倫相手が生活保護受給者だったら戸惑ってしまうのも無理もありません。

この記事では、生活保護を受給している不倫相手に慰謝料請求をしてもいいのか悩んでいるあなたに知ってほしい情報を紹介しています。
まずは落ち着いてこの記事を読んでいただき、今後の対応について考えていただければと存じます。

不倫相手が生活保護受給者だった!慰謝料を請求してもいい?

不倫相手が生活保護受給者でも、慰謝料を請求できます

慰謝料は、不倫によって被った精神的な苦痛に対して支払われる金銭です。
以下の5つの条件を満たしている場合、不倫慰謝料請求が認められる可能性が高いでしょう。

不倫相手に慰謝料請求できる主な条件について、詳しくは「不倫の慰謝料請求できる4つの条件と慰謝料請求が難しい4つのケース」をご参照ください。

上記の条件を満たしている場合は不倫慰謝料請求が認められる可能性が高いですが、生活保護受給者に対して請求する場合は、請求前に知っておいていただきたいことがあります。
次章で詳しく解説しますので、ぜひ読んでみてください。

生活保護を受給している不倫相手に慰謝料請求する際に考慮すべきこと

生活保護を受給している不倫相手に慰謝料請求する際に考慮すべきこととして、以下の3つが挙げられます。

以下で、詳しく解説します。

生活保護費は差押えができない

生活保護を受給している不倫相手に慰謝料請求する際に考慮すべきこととして、生活保護費は差押えができないことが挙げられます。

生活保護制度とは、生活に困窮している人に食費・水道光熱費・住居費などの必要な費用を支給することで、保護を受ける人の生活を守るための制度です。生活保護を受ける人の生活を守るため、生活保護費は差し押さえられることがないよう、法律で定められています(生活保護法第58条)。

ただし、ここでいう生活保護費は、生活保護費を受給する権利(債権)を指すため、受給者の口座へ振り込まれて預金債権となった場合については、預金債権を差し押さえられることがあります。

生活保護費は差押えができないことを念頭に置いて、生活保護を受給している不倫相手に慰謝料を請求するかどうか検討しましょう。

慰謝料請求にかかる手間・時間・費用が無駄になる可能性がある

生活保護を受給している不倫相手に慰謝料請求する際に考慮すべきこととして、慰謝料請求にかかる手間・時間・費用が無駄になる可能性があることが挙げられます。

預貯金や不動産などの財産は差し押さえの対象となりますが、生活保護受給者が差し押さえるほどの預貯金を蓄えている可能性は低いでしょう。一定の残高がある預貯金を差し押さえても、それが生活保護費の受取口座であり、生活保護費しか入金されていないような場合には、債務者(不倫相手)による差押禁止財産の範囲変更の申立てにより、差し押さえの効力が否定されることもあります。

不動産や自動車、宝石などの換価できる財産を持っていることも考えにくいです。

そのため、弁護士に慰謝料請求を依頼したり、訴訟や強制執行などの裁判所の手続きを利用したりしても、慰謝料を回収できない可能性が高いでしょう。不倫相手から慰謝料を回収できなければ、慰謝料請求にかかった手間や時間が無駄になるだけでなく、費用倒れになるおそれもあります。

慰謝料を回収できず慰謝料請求にかかる手間・時間・費用が無駄になる可能性があることを念頭に置いて、生活保護を受給している不倫相手に慰謝料請求するかどうか検討しましょう。

不倫相手は実質無料で弁護士をつけられる可能性がある

生活保護を受給している不倫相手に慰謝料請求する際に考慮すべきこととして、不倫相手は実質無料で弁護士をつけられる可能性があることが挙げられます。

不倫相手が生活保護を受給している場合、法テラスの民事扶助制度を利用する可能性があります。
法テラスの民事扶助制度とは、経済的に余裕のない人が法的トラブルにあったときに無料で法律相談を行ったり、弁護士等の費用を立て替えたりする制度です。
参考: 無料法律相談・弁護士等費用の立替 | 法テラス (houterasu.or.jp)

生活保護受給者が法テラスの民事扶助制度を利用した場合、立替費用の返済は以下のようになります。

  • 生活保護受給中の返済は猶予される
  • 事件終了後も生活保護を受給していれば返済の免除申請ができる

そのため、生活保護受給者である不倫相手が事件終了後も生活保護の受給を継続する場合には実質無料で弁護士をつけられる可能性があります。

不倫相手が法テラスの民事扶助制度を利用して弁護士をつけた場合、あなたが弁護士をつけずに自身で交渉するのであれば、弁護士との知識や経験、交渉力の差が表れ、交渉をスムーズに進められないことが懸念されます。

不倫相手は実質無料で弁護士をつけられる可能性があることを念頭に置いて、生活保護を受給している不倫相手に慰謝料請求するかどうか検討しましょう。

生活保護を受給している不倫相手から慰謝料を回収するための工夫

生活保護を受給している不倫相手から慰謝料を回収する方法として、以下の2つが挙げられます。

以下で、詳しく解説します。

支払方法について柔軟に対応する

生活保護を受給している不倫相手から分割払い等の申し入れがあれば、それに応じるのもひとつの方法です。

月々の支払いは少額になることが見込まれるため、支払期間は長期に及ぶことでしょう。

しかし、生活保護を受給している不倫相手から一括で慰謝料を回収できる可能性は低いため、相手から分割払いの申し入れがあれば、少しずつであっても支払ってもらうのもひとつの方法といえます。

連帯保証人をつけてもらう

分割払い等に応じる場合には、連帯保証人をつけてもらうのもひとつの方法です。

相手から申し入れがあっても、分割払いは将来支払いが滞るリスクがあります。連帯保証人をつけてもらえば、不倫相手が支払えなくなった場合も連帯保証人に返済するよう請求できます。生活保護を受給している不倫相手から慰謝料の分割払いの申し入れがあれば、連帯保証人をつけてもらうことを検討してみましょう。

もっとも、不倫相手本人の資力・収入からして到底履行できない無理な分割払いを約束させる一方で、保証人をつけさせることは適切ではないと考えられるため、不倫相手が確実に履行を確保できる条件を検討することが大切です。

離婚する場合は配偶者への慰謝料請求も検討を

配偶者と離婚する場合は、配偶者への慰謝料請求も検討してみましょう

不倫は当事者2人の共同不法行為のため、連帯して損害を賠償する責任を負います。そのため、慰謝料は不倫相手だけでなく、配偶者にも請求できます

例えば、慰謝料として200万円を請求する場合の方法として、以下のようなケースが挙げられます。

  • 不倫相手に対して100万円、配偶者に対して100万円請求する
  • 不倫相手に対して200万円請求する
  • 配偶者に対して200万円請求する

不倫相手が生活保護を受給している場合、慰謝料を請求しても回収できないケースは少なくありません。

配偶者と離婚するのであれば、配偶者に対して慰謝料を請求することも検討してみてください。

まとめ

配偶者の不倫相手が生活保護受給者だった場合も慰謝料を請求できますが、慰謝料請求に費やした時間や労力、費用を無駄にする可能性があります。

不倫相手に慰謝料請求することで更なる苦しみを生み出しかねないため、冷静な判断を心がけましょう。

不倫が原因で離婚するから配偶者に慰謝料を請求したいとお考えなら、ぜひネクスパート法律事務所にご相談ください。
ネクスパート法律事務所は不貞問題に関する累計10,000件を超えるご相談をお受けしているため、慰謝料請求に精通した弁護士が多数在籍しております。初回相談は30分無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

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