配偶者がいるのに不貞行為をした、あるいは配偶者のある人と交際し、不貞行為に及んだ人は、弁護士に相談・依頼ができるのでしょうか?
この記事では、不貞行為をした側が弁護士に相談すべきケースや、弁護士費用の相場について解説します。
目次
不貞行為した側も弁護士に依頼できる?
ここでは、不貞行為をした側も弁護士に依頼できるのかどうかについて解説します。
不貞行為した側も弁護士への相談・依頼が可能
不貞行為をされた側はもちろん、不貞行為をした側も弁護士へ相談・依頼ができます。
不貞行為をした側の方の中には、慰謝料を請求されるなど、具体的に法的な手続きが発生しなければ弁護士に相談・依頼できないと考える方もいらっしゃるでしょう。自責の念から、弁護士に相談・依頼するのを躊躇する方も少なからずいらっしゃいます。
不貞行為をした側も、弁護士に以下のような相談をしたいと考えることがあるでしょう。
- 不貞行為をしたけれど離婚はしたくない
- 不貞行為をした側だけど離婚をしたい
- 不貞行為の相手とトラブルになった
このようなお悩みも、弁護士に相談・依頼できます。
不貞行為した側の弁護士費用相場
弁護士への相談・依頼を考えたとき、気になるのは弁護士費用です。
不貞行為をした側が弁護士に相談・依頼するのは、主に慰謝料の減額交渉のみを依頼する場合と慰謝料の減額交渉とともに離婚の話し合いも含めて依頼する場合の2パターンがあります。
慰謝料の減額交渉のみを依頼する場合の弁護士費用の相場は、以下のとおりです。
- 法律相談料:30分5,500円~1万円程度
- 着手金:10万円~30万円程度
- 報酬金:減額できた金額の10~20%程度
- 実費:数千円~1万円程度
離婚の話し合いも含めて依頼する場合の弁護士費用の相場は、以下のとおりです。
費目 | 協議離婚 | 調停離婚 | 裁判離婚 |
法律相談料 |
30分5,500円~1万円程度 ※初回相談料無料の事務所もあり |
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着手金 | 15~30万円程度 | 25~40万円程度 | 30~50万円程度 |
報酬金 | 15~30万円+経済利益の10~20%程度 | 25~40万円+経済利益の10~20%程度 | 30~50万円+経済利益の10~20%程度 |
実費 | 1~3万円程度 | 1~3万円程度 | 3~5万円程度 |
弁護士費用は事務所によって異なるため、事前に確認しましょう。
不貞行為した側が弁護士に相談すべきケースは?
ここでは、不貞行為をした側が弁護士に相談すべきケースについて解説します。
不貞相手の配偶者から慰謝料請求された
不貞相手の配偶者から慰謝料を請求されたら、すぐに弁護士に相談しましょう。
高額な慰謝料を請求されたら、「支払えない!」と動揺してしまうこともあるでしょう。不貞行為をした後ろめたさから、請求額をそのまま払わなければいけないと考えてしまいがちですが、決してそうではありません。
不貞行為の慰謝料には相場の金額があり、それよりも高額な慰謝料を請求された場合は、減額交渉ができます。弁護士なら過去の裁判例をもとにして適正な慰謝料を算出できるので、支払うべき慰謝料額を減額できる可能性があります。
相手も弁護士を立てて慰謝料を請求することが多いので、弁護士を相手に一人で対応するのは難しい面があります。不利な状況に陥らないためにも、弁護士に依頼することをおすすめします。
不貞行為の相手とトラブルになった
不貞関係を解消した後、不貞相手とトラブルになるケースも少なくありません。別れ話をしたところ、「不貞行為を家族や職場にバラす」と脅されたり、「(配偶者がいるのに独身と偽っていたことがバレて)貞操権侵害で訴える」と言われたり、トラブルの種類は様々です。
こうしたトラブルが起きてしまうと、当事者間で冷静に話し合うことは極めて難しいので、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。弁護士が代理人として間に入ることで、感情的になっている相手も落ち着いて話ができる状況になりますし、トラブル解決に向けて具体的な案を提示できます。
不貞相手とのトラブルは、放置していると要求がエスカレートするおそれがあります。事が大きくなる前に弁護士に相談・依頼をしましょう。
不貞行為した側からの離婚請求・離婚調停の申立ては認められない?
ここでは、不貞行為した側からの離婚請求と離婚調停の申立ては認められないのかどうかについて、解説します。
配偶者が合意すれば離婚できる
民法763条は「夫婦は、その協議で、離婚をすることができる」と規定しています。そのため、不貞行為をした側からの離婚請求でも、相手方配偶者が離婚に合意すれば、離婚できます。
不貞行為した側からの離婚は認められにくい
相手方配偶者が離婚に合意しない場合は、裁判で離婚を請求します。裁判では、不貞行為をした側からの離婚請求は認められない傾向にあります。婚姻関係を破綻させる原因を作った側が離婚を請求することは、信義誠実の原則に反するものと考えられるからです。
不貞行為をした側からの離婚が認められる場合は?
裁判では、不貞行為をした側からの離婚請求は認められないのが原則ですが、例外的に、下記のような事情をすべて満たしたときは、離婚請求が認められる可能性があります。
長期間にわたって別居している
夫婦の別居が、両当事者の年齢や同居期間との対比において相当の長期間に及ぶ場合は、婚姻関係が破綻していると認められる可能性があります。
夫婦間に未成熟子がいない
夫婦の間に未成熟子がいないことも、有責配偶者からの離婚請求が認められるための条件の一つです。未成熟子とは、親から独立して生計を営めない子で、未成年と同義ではありません。
未成熟子がいる場合、裁判では、不貞行為をした側からの離婚請求が否定される傾向があります。
ただし、不貞行為をした側が十分な養育費を払うなど、子や相手方配偶者に配慮することで離婚が認められる場合があります。
離婚によって相手が過酷な状況にならないこと
配偶者に不貞行為された上に、離婚請求までされたら、通常相手側は、精神的にも経済的にも厳しい状況に置かれます。そのような状況で、不貞行為した側の離婚請求が認められてしまうのはあまりにも理不尽です。離婚をすることで、相手が精神的、社会的、経済的に過酷な状況に置かれるなら、不貞行為をした側からの離婚請求は認められません。なぜならこれが認められてしまったら、社会通念上、信義に反するからです。
不貞行為をした側からの離婚請求が認められるには、相手への慰謝料や財産分与など、離婚後の生活に困らないように十分配慮しなければいけません。
不貞行為した側に弁護士ができること、弁護士へ相談・依頼するメリット
ここでは、不貞行為した側に弁護士ができることや相談・依頼するメリットについて解説します。
慰謝料請求に対して、適正な金額かアドバイスができる
不貞行為をした側は、不貞相手の配偶者から慰謝料請求されることがあります。相手方配偶者は感情的になっているので高額な慰謝料を請求しがちですが、弁護士は請求された金額が適正かどうかアドバイスできます。
代理人となって、相手方と交渉ができる
弁護士は、依頼者の代理人として相手方と交渉ができます。不貞相手の配偶者と直接顔を合わせるのが気まずいときも、弁護士が間に入ることで、精神的な負担から解放され、建設的な話し合いが期待できます。
不貞相手が別れ話に応じてくれないなど、トラブルを抱えている場合も、弁護士に交渉の代理を依頼することで、冷静に話し合いができ、解決への道筋が立てられます。
裁判になった場合、代理人となって対応を任せられる
離婚したいと思っていても相手が合意しない場合は、裁判で決着をつけるしかありません。そうなったときも弁護士に依頼すれば、代理人として対応を任せられます。不貞行為した側からの離婚請求を認めてもらうには、かなりハードルが高い条件があります。しかし、条件を満たさなくても、様々な事情が考慮され、離婚請求が認められることもあります。弁護士であれば、裁判で離婚請求が認められるかどうかの見通しを立てられます。
離婚請求が認められる可能性が低い場合には、どのような条件を提示すれば早期に相手方配偶者に離婚に応じてもらえるかの検討も可能です。
まとめ
不貞行為によってトラブルを抱えたら、できるだけ早めに弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
男女間のトラブルは、こじれると重大な事件を引き起こす可能性があります。不貞行為をしたことがバレるのが恥ずかしいからと、頑なに一人で解決しようとせず、弁護士のサポートを受けながら解決を目指しましょう。
ネクスパート法律事務所では、不貞行為をした側の方からのご相談や、慰謝料減額交渉のご依頼を積極的に受け付けております。不貞行為による慰謝料請求等にお悩みの方は、当事務所にご相談ください。