不倫裁判を起こされる前に読んでわかる裁判の流れとあなたのすべき行動

  • 最終更新日: 2024.04.24

不倫が原因で「裁判を起こす」と言われたあなたは、「裁判になったらどうしよう」「裁判で何をしたらいいのだろう」という不安や疑問で頭がいっぱいではありませんか?

そんなあなたに、不倫問題の案件を数々取り扱ってきた弊所の記事を読んでほしいです。

この記事は裁判の流れや、あなたがこれからどのような行動をとるべきなのかを記載しています。
そのため、あなたの不安や疑問を解消できるかもしれません。

裁判は以下の図のような流れで行われ、適切な段階で適切な行動をとる必要があります。

あなたが不倫裁判の当事者に「いつなっても大丈夫」と前向きな気持ちになれるよう、裁判のどの段階でどのような対応を取るべきかを参考にしてみてください。

不倫で裁判に発展しやすい3つのケース

「訴えてやる」と言われて裁判に発展しやすいケースとして、次の3つのケースがあります。

  1. 話合いによって条件が合わず交渉決裂したケース
  2. 相手の請求を無視したケース
  3. 不貞の明確な証拠をつかまれているケース

話合いによって条件が合わず交渉決裂したケース

話合いによって条件が合わず交渉決裂したケースは、裁判に発展しやすいです。

なぜなら、請求者が自己の請求を実現するために訴えを起こすからです。

具体例として、慰謝料請求をする側(請求者)の示した要求額と請求された側(被請求者)が妥当と考える額認識に齟齬があり、話合いがまとまらないという場合があげられます。

相手の請求を無視したケース

相手の請求を無視したケースも裁判に発展しやすいです。

なぜなら、請求された人(あなたの立場)が請求を無視した場合、請求者がとるべき手段は訴訟しかないこと、裁判開始後も請求された人が無視を貫く場合、請求者の要求が認められる判決を獲得しやすいことから、請求者が裁判を起こす動機が生まれやすいためです。

不貞の明確な証拠をつかまれているケース

不貞の明確な証拠をつかまれているケースも裁判に発展しやすいです。

なぜなら、請求者側が有利な証拠を保有しているため、請求者が勝訴の可能性が高いと見込み、裁判を起こしやすいからです。

上記3つのケースに該当する場合には、「2. 裁判が始まる前にやるべき3つの行動」を参照し、具体的な行動をとるべきです。

もし、上記のケースに該当しない場合であっても裁判に発展してしまうこともあります。そのため、万が一裁判を起こされた場合に備えて本記事を参考にしてください。

裁判が始まる前にやるべき3つの行動

裁判が始まる前にやるべきこととして、次の3つのことが挙げられます。

  • 話合いができるか模索する
  • 弁護士に相談する
  • 裁判で必要となる費用を準備する

この3つの行動は、裁判が始まる前に同時並行して行いましょう。

話合いによって解決ができるか模索する

裁判が始まる前に話合いによって解決できないかを模索するべきです。

なぜなら、裁判は時間と労力がかかり、当事者に負担が大きいため、裁判外での紛争解決が望めるのであれば、そちらを優先した方が良いからです。

不倫裁判の平均的な期間は、半年から1年程と言われています。

裁判が始まってしまうと解決に長期的な時間がかかってしまいます。また、不倫裁判は当事者の感情を刺激しやすい性質があり、精神的な疲労を抱えやすいですし、証拠の収集や裁判手続きの期日に追われるなど忙しい日常生活に加えてさらにやることが増え、労力がかかります。

ですから、なるべく裁判以外で解決できる道があれば、そちらを優先した方がよいです。

相手方と話合いができる場合は、当事者のみで直接話合いをするのではなく、弁護士など中立な第三者を介して話合いをした方が良いです。

他方で、話合いができない場合には、裁判に発展しやすいため裁判の準備をしましょう

弁護士に相談する

裁判に発展しやすいケースでは弁護士に相談すべきです。

理由の1つ目は、裁判に発展するケースでは弁護士に依頼する当事者が圧倒的に多いからです。

上図のように、地方裁判所における不倫裁判事件で当事者の一方又は双方が弁護士を立てる割合は92.7%であり、当事者のほとんどの方が弁護士に依頼して裁判を行っています(日本弁護士連合会「弁護士白書2022年版」99頁参照)。
そのため、あなた自身が裁判手続きを行っても相手方は弁護士が代理人である可能性が高く、弁護士の方が上手であるがために敗訴してしまうという残念な結果をもたらす危険があります。

理由の2つ目は、法的に適切な行動をとることができるからです。

請求者が不倫を原因とする請求を行う場合、不倫関係にあったことの立証は請求者である、あなたの相手方がしなければなりません。そのためあなたの相手方は、あなたと不倫相手が不貞関係にあったことについての証拠を収集することに注力しています。

反対に請求されているあなた側は、相手に不利な証拠をつかまれてしまうと、相手の請求が認められやすくなってしまうため、証拠を自ら渡してしまうような法的に不利な言動を避けなければなりません。

もっとも、自身の言動が法的に有利か不利かという判断を行うことは裁判例の知識がある人でなければできません。そのため、不倫裁判のノウハウを有している弁護士に相談することで法的に適切な行動をとることができます。

ネクスパート法律事務所は、不倫に関する法律トラブルを数多く受任した実績があり、解決ノウハウが充実しています。弁護士に依頼しても利益が見込める150万円以上の請求を受けている方で、不倫裁判のトラブルにお困りの方はお気軽にお問い合わせください。
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裁判で必要となる費用を用意する

不倫裁判で必要となる平均的な費用は、約40万円~80万円といわれています。
もっとも、事件によってはそれ以上の費用が掛かる場合もあります。

裁判に備えて、平均費用は準備しておきましょう。

裁判で必要となる費用には、主に次の二つがあります。

  • 裁判にかかる費用
  • 弁護士費用

裁判にかかる費用のうち訴訟費用は、あなたが裁判手続きを受けるために国に納める費用です。

弁護士費用は、弁護士に訴訟手続きを代理してもらうために必要となる費用です。

【裁判で必要となる費用の項目・詳細・金額】

不倫裁判の手続きの流れと対応

裁判手続きの流れは、以下の図の通りです。

あなたが弁護士に訴訟を代理してもらえば訴状の受領、本人尋問を除いてほとんどの手続きは弁護士が行ってくれます。
そのため、訴状の受領、尋問手続き以外の手続きはなんとなくイメージが掴める程度の認識でよいです。

訴状の受領

あなたの相手方が訴えの提起をし、裁判所がこれを受理すると下のような訴状があなたに送られてきます。

訴状を受領したら、以下の二つを行いましょう。

口頭弁論期日呼出状、答弁書催告状の内容(第1回口頭弁論期日・答弁書提出期限)を確認しましょう

口頭弁論期日呼出状には、裁判所に出廷する期日が書かれており、あなたやあなたの代理人弁護士は指定された期日に原則として出廷する必要があります。

出廷のし忘れを防ぐため、必ず確認してください。
出廷ができない場合については、「3.3 第1回口頭弁論期日」を参照してください。

答弁書催告状は、答弁書の提出期日が書いてあるものです。
こちらも提出期限を守るために必ず確認しましょう

口頭弁論期日呼出状、答弁書催告状の内容を確認せず、「放置しておけば裁判所も請求者も何もできないだろう」「訴状に書かれていることは嘘ばかりだから相手にしないで無視しよう」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、絶対に無視や放置はしないでください

なぜなら、無視や放置を続けると、請求者の主張した事実を認めたとみなされてしまい、裁判に負けてしまう可能性が極めて高くなるからです。裁判に負けると、裁判所が認めた認容額を支払わなければなりません。さらに認容額を支払わない場合、強制執行をかけられ、債権、動産、不動産などの財産が差し押さえられてしまいます。

不倫裁判に強い弁護士に相談しましょう

次に、不倫裁判に強い弁護士に相談し、代理人となってもらいましょう。
なぜなら、被告の本人訴訟は敗訴率が高いからです。

上図のように、地方裁判所で扱われた裁判で原告(あなたの相手の立場)が弁護士を立て、被告(あなたの立場)が弁護士を立てなかったケースでは、被告の敗訴率が91.2%でした。他方で、被告が弁護士を立てた場合の敗訴率は、被告のみが弁護士を立てた場合は32.4%、双方が弁護士を立てた場合は67.3%でした(司法研修所「本人訴訟に関する実証的研究」(司法研究報告書第64輯第3号))。

統計からわかるように、弁護士を立てることであなたの敗訴率は減少します
よって、訴状が届いた段階で弁護士を立てていない場合は、不倫裁判に強い弁護士をたてましょう。

答弁書の提出

答弁書とは、訴状に記載された相手の主張を認めるか否か等の意見を表明する文書です。

答弁書の提出はあなたの義務であり、提出期限があります。

もっとも弁護士を立てていれば、答弁書は弁護士が作成しますので、あなたは弁護士に答弁書の提出期限や呼出期日を伝え、ヒアリングに応じるだけでよいです。

仮に弁護士を立てない判断をした場合でも、答弁書は法律文書であるため、弁護士に助言をもらいながら作成したほうがよいです。

ヒアリングの際、以下の3つの事実があれば弁護士に必ず伝え、事実を裏付ける証拠を準備しましょう
なぜなら、相手の請求が認められなくなる可能性があるからです。

  1. 不倫相手が既婚者であることを知らなかったこと、かつ、既婚者でないと信じたことに不注意がなかったこと
  2. 不倫相手の夫婦生活がもともと破綻していたこと
  3. 相手と肉体関係を持ったことがないこと、もったとしても合意がなかったこと(脅迫や強制性行に及んでいる場合)

このほかの場合でも、相手の請求額を減額できる事実があればその事実も伝えましょう。

減額できる事実については不倫慰謝料の減額を狙えるケースと狙えないケースを参考にしてください。

第1回口頭弁論期日

1回口頭弁論期日にあなたが行うべきことはありません。

期日は訴状とともに同封されている口頭弁論期日呼出状に記載されています。
第1回口頭弁論期日の日程はあなたの相手方と裁判所で調整された日程であり、あなたとしては都合のつかない日かもしれません。

しかし、残念ながらあなたがこの期日を変更してほしいと申し立てても期日を変更してもらえるケースはほとんどありません。
なぜなら、期日の決定には裁判所の広い裁量がありますし、容易に期日変更を認めてしまうと裁判の円滑な進行を妨げてしまうため、これを防止する必要があるからです。

ですが、期日に出廷できなくとも答弁書を提出しておけば出廷して答弁書の内容を述べたことと同じ取扱いとなりますから弁護士が答弁書の提出をしていれば何も問題はないでしょう。

第1回口頭弁論期日の流れは以下の通りです。

一見手続きが多いと思われたかもしれませんが、形式的な手続きが多く、実際には約5分程度で終わってしまうことも少なくありません。

訴状の陳述、答弁書の陳述

訴状の陳述はあなたの相手が行い、答弁書の陳述はあなたの弁護士が行います。

訴状の陳述も答弁書の陳述も全文を読み上げるのではなく、「陳述します」と裁判所に伝えることによって終了します。

証拠の取調べ

証拠の取調べは裁判所が行うため、当事者は特に何もしなくてよいですが、あなたが提出した証拠の原本(契約書など)を持っている場合は、裁判所が原本を取調べるため、持参してください。

取調べ対象となる証拠はあなたの相手が提出した証拠とあなたが提出した証拠です。

もっとも、裁判官が各証拠を取調べることまではせず、取調べたという事実を作るための形式的な手続きです。

訴状・答弁書に関する内容確認等

訴状・答弁書に関する内容確認は訴状・答弁書に疑問点がある場合に一方当事者が他方当事者に質問して確認する手続きです。

裁判所が当事者に対して訴状・答弁書に記載されている事実について質問をすることもあります。

当事者への質問といっても、あなたの弁護士が回答することがほとんどであるため、あなたが質問に答える必要はありません。

次回以降の進行確認及び次回期日の指定

次回以降の進行確認では、今後当事者が提出すべき書面や検討すべき事項を確認します。これは今後の訴訟全体の進行に見通しを立て、訴訟の円滑を図ることを目的として行われます。

これも相手の弁護士、あなたの弁護士、裁判所との間でおこなわれるため、あなたは特に何もしなくてよいです。

裁判所の統計に基づくと、次回期日までの平均期間は約1.9月といわれています(裁判所「地方裁判所における民事訴訟事件の審理の状況」(2021)20頁参照)。もっとも、複雑な事案であれば約2か月後に指定されることもあります。

第2回目以降の口頭弁論期日

第2回目以降の口頭弁論期日は第1回に指定された日に行われます。

2回目以降の期日においては、相手方の弁護士とあなたの弁護士が準備書面や証拠関係書類等を出し合い、攻撃と防御を行っていきます。よって、あなたが期日に何かアクションを起こす必要はありません

口頭弁論に回数の制限はないため、裁判官の裁量で何回も行われることもありますが、平均の口頭弁論回数は2.4回との統計がでています(裁判所「地方裁判所に終える民事訴訟事件の審理の状況」(2021)20頁参照)。

和解勧告

和解勧告とは、裁判所が当事者に対して和解を勧めることを言います。

和解が成立すると裁判は終了します。

裁判所の統計によると、令和2年において訴訟が終了した裁判のうち、和解が成立した事案は全体の35%にも及びます。

あなたの立場はもともと訴訟をしたくてしているのではなく、訴えを起こされたために訴訟をせざるを得ない立場です。訴訟が長引くと時間、労力、お金が意図せずに奪われていきます。そのため、和解に応じることで一刻も早く紛争解決したいと考える方は和解に応じた方が良いです。

また、和解案で妥協できる場合にも和解に応じた方が良いです。

上記と異なり、和解条件に納得できない場合や原告の請求を退けるための有効な主張ができる場合には和解に応じるべきではないでしょう。
裁判所の提示する和解案は裁判所の心証を開示する機会でもあり、その内容は判決内容に近いです。そのため、和解案に応じない立場をとる場合は、和解案よりもあなたに有利な判決がでることは想定しがたいという点に留意した方が良いです。

尋問手続期日

尋問手続きは、証人や当事者を尋問する手続きを言います。尋問手続きは必ず行われるものではなく裁判所が適当と認める場合に行われます。

流れは以下の通りです。

当事者尋問期日が指定された場合、あなたは出廷し、あなたの弁護士から主尋問を、相手の弁護士から反対尋問を、裁判所から補充尋問を受けることになります。

当事者尋問は多くの場合、証人尋問が行われた後に期日が設けられることが多いです。

尋問期日にしてはいけないことは、以下の3つです。

  1. 正当な理由なく尋問期日に欠席すること
  2. 正当な理由なく宣誓や陳述を拒むこと
  3. 虚偽の陳述をすること

なぜなら、上記1および2を行ってしまうと相手の主張した事実が真実と認められてしまうからです。3を行うと偽証罪とまではなりませんが、過料の制裁措置を取られる可能性があります。

主尋問、再主尋問は、あなたの弁護士による尋問です。
そのため、一般的には事前に弁護士と質問や回答に関する打ち合わせをして、準備することができます。弁護士と打ち合わせをし、なるべく万全な準備を心がけましょう。

反対尋問は相手又は相手の弁護士による尋問です。よって、あなたに不利にならないよう慎重に答える必要があります。

反対尋問での注意点は、以下の4点です。

①覚えていないことは「記憶にございません」といいましょう
覚えていないことを想像して答えたり、曖昧に答えてしまったりすると、裁判官の心証が悪くなり、あなたに不利となります。答えなければという誠実な心は大切ですが、覚えていないことは「覚えていません」と答えることも素直で誠実な対応です。

②質問内容を理解できないときは、改めて質問してもらいましょう
質問内容を理解したうえで回答することで、質問の趣旨から外れた回答をしてしまうことを防止できます。

③相手の挑発に乗らないようにしましょう
相手がしてくる尋問が挑発的な内容である場合もあります。これはあなたの冷静さを失わせることを目的とする戦略です。そのため、挑発的な発言をうけてもぐっとこらえて冷静な対応を心がけましょう。

④文書を示して質問されてもすぐ回答しなくてもよいです
尋問中に相手から文書を示されることがあります。文書を示されると焦ってしまいがちですが、すぐに回答する必要はありません。何に関する文書でどういう内容が書かれているものなのかをきちんと理解してから回答しましょう。あなたのペースで大丈夫です。

補充尋問は裁判長や陪席裁判官による尋問です。補充尋問は必ずあるわけではないですが、裁判官が必要と判断した場合に裁量で行われます。

補充尋問も反対尋問と同様の注意点を意識して答えましょう。

判決言渡期日

判決は、裁判所による最終的な判断のことをいいます。

判決は裁判所の心証が固まった段階で出されます。判決においては、結論を示す主文、当事者の主張、判断の理由等が記載されています。判決書が判決言渡し後、速やかに当事者双方に送達されます。

当事者は特に行うことはなく、必ずしも判決が出される期日に出廷しなければならないというわけではありません。

判決確定又は上訴

判決が下されたあと、判決に不満がある場合は上級裁判所に控訴することができます。控訴は判決が送られた日の翌日から2週間以内に行われなくてはならないため、控訴したい場合には早めに弁護士に伝えましょう

また、控訴期間が経過すると判決が確定します。

判決が確定すると、あなたは判決の内容に従った行動をとらなければなりません

相手の請求が認められた場合には、請求額を支払う必要があります。請求に応じない場合には強制執行をかけられる可能性があり、財産が差し押さえられることも考えられるため、注意してください。

さいごに

裁判は大変です。

特に不倫の裁判は時間と労力がかかるほか、感情が刺激される場面も多く、精神的ストレスを抱えてしまう方も沢山いらっしゃいます。
そのため、この記事を通して、あなたが裁判でどのように行動すべきかを明確にでき、裁判のハードルが下がったと感じていただけたら幸いです。

これから、裁判という大きな山が待ち構えているかもしれませんが、自身のこれまでの行動を省みながら、前向きに進んでいかれることを祈っています。

もし、150万円以上の慰謝料請求を受けている方がいらっしゃいましたら、不倫トラブルの解決ノウハウをもつネクスパート法律事務所までご相談ください。最後まで丁寧なサポートをさせていただきます。

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