配偶者が不倫しているかもしれないと感じたら、相談先として、探偵と弁護士を思い浮かべる人は多いでしょう。
探偵と弁護士は、どちらも不倫問題に関する専門的な知識を持っている点で共通していますが、その仕事内容は大きく異なります。
では、どちらに相談したらよいのかというと、それはあなたが不倫問題の解決に向けて何を求めているかによります。「配偶者に不倫をやめてもらいたい。」「不倫相手に慰謝料請求したい。」など、何を求めているかは人それぞれです。
あなたの目的に応じて探偵と弁護士を使い分けましょう。
この記事では、主に次のことを解説しています。
- 探偵と弁護士の違い
- 探偵に相談するのがおすすめのケース
- 弁護士に相談するのがおすすめのケース
- 探偵と弁護士のそれぞれの費用相場
ぜひ参考にしてください。
目次
探偵と弁護士の違いとは?
探偵と弁護士の違いを一言で表すならば、探偵は証拠、弁護士は法的措置です。
それぞれの仕事内容について見ていきましょう。
探偵|不倫の証拠を掴む
探偵の仕事内容は、対象者を調査し不倫の証拠を掴むことです。
調査方法は、主に尾行・張り込み・聞き込みの3種類です。
不倫の疑いのある対象者を尾行したり、張り込みをしたりして、不倫相手と一緒にラブホテルに入る瞬間の写真を撮ったり、不倫相手の家に出入りしている動画を撮ったりします。
不倫の決定的な証拠を掴める可能性が高い
探偵の調査では不倫の決定的な証拠を掴める可能性が高いです。
慰謝料請求など法的措置を取る場合、配偶者と不倫相手との間に肉体関係があったことを証明できる証拠が必要です。
自力での証拠収集も可能ですが、限界もあります。
あまり大胆な行動をとると、配偶者に怪しまれてしまうリスクもあります。
探偵は、広範囲にわたって、必要な人数を動員し、何日間にも渡って調査が可能です。どのような証拠が有力か、その証拠が取れる可能性の高いタイミングはいつかを熟知しています。
探偵に調査を依頼することで、不倫の決定的な証拠を掴める可能性が高くなります。
示談交渉や裁判の代理はできない
探偵は不倫の証拠を掴むことが仕事であり、その証拠をもとに慰謝料請求訴訟を提起したり、示談交渉をしたりはできません。探偵には法的な事務を代理する権限がないからです。
探偵の仕事は調査と証拠を掴むことであって、その証拠をもとに何かしらのアクションは取れません。
探偵の調査によって得られた証拠をもとに法的な措置を取りたい場合には、弁護士に依頼する必要があります。
弁護士|法的措置を取る
弁護士の仕事内容は、慰謝料請求などの法的措置を取ることです。
慰謝料請求を依頼した場合には、弁護士は次のようなことを行えます。
- 適切な慰謝料額を判断する
- 相手との接触から示談までの交渉をすべて代理する
- 法的に不備のない示談書を作成する
- 裁判に代理人として出廷する
- 裁判所に提出する書類を作成する
弁護士には法的な措置を代理する権限が与えられています。
弁護士に依頼することで、示談交渉から訴訟になった場合の代理までのすべてを任せられます。
弁護士照会制度を利用した調査・証拠収集ができる
弁護士に慰謝料請求を依頼した場合には、職務遂行に必要な範囲で、23条照会と呼ばれる弁護士会照会制度を利用した調査をしてもらえる場合があります。
弁護士会照会制度は、弁護士法第23条の2に基づき、弁護士会が、官公庁や企業などの団体に対して必要事項を調査・照会する制度です。
例えば、不倫相手の電話番号から氏名・住所を特定できる場合があります。
そのほかにも、宿泊施設に対して、宿泊者の氏名・同宿者の氏名・チェックインの日時・チェックアウトの日時などを照会したりすることで、これらの情報を取得できる場合があります。
弁護士照会制度を利用して、いくつかの証拠を掴めることもあるでしょう。
尾行や張り込みによる証拠収集はできない
弁護士は尾行や張り込みによる証拠収集はできません。
尾行や張り込みによる証拠収集は弁護士の専門外になります。
尾行や張り込みによる証拠収集は、それらのノウハウのある探偵に依頼することになります。
不倫が発覚したら探偵と弁護士のどちらに相談すべき?
探偵と弁護士のどちらに相談すべきかは、あなたが何を求めているかによります。
探偵に相談するのがおすすめのケースと弁護士に相談するのがおすすめのケースを、それぞれ見ていきましょう。
探偵に相談するのがおすすめの3つのケース
探偵に相談するのがおすすめなのは、次の3つのケースです。
- 決定的な証拠を掴みたい
- 不倫相手が誰であるかを特定したい
- 配偶者に不倫をやめさせたい
以下、詳しく見ていきましょう。
決定的な証拠を掴みたい
決定的な証拠を掴みたいケースです。
配偶者の行動が怪しいけれど不倫しているかどうかの確信が持てないという場合や、不倫をしている可能性は濃厚だけれども決定的な証拠が掴めないという場合には、探偵に相談するのがおすすめです。探偵に調査をしてもらうことで、有力な証拠を得られる可能性が高く、不倫をしているかどうかをはっきりできるでしょう。
不倫相手が誰であるかを特定したい
不倫相手が誰であるかを特定したいケースです。
不倫相手の情報が全くないという場合には、探偵に相談するのがおすすめです。
探偵の調査によって、配偶者と不倫相手が一緒に居るところを撮影できる可能性が高く、そこから不倫相手の住所や氏名など個人を特定できる情報も調査してもらえるでしょう。
なお、不倫相手の氏名・住所がわからない場合でも、電話番号が判明している場合には、前章で紹介した弁護士照会制度を利用して、氏名・住所を特定できる可能性もあります。
この場合には、不倫相手の慰謝料請求の依頼も含めて弁護士に相談するのもひとつの方法です。
配偶者に不倫をやめさせたい
配偶者に不倫をやめさせたいケースです。
法的な措置を取るわけではなく、配偶者に不倫の証拠を突き付けて、不倫をやめさせたいという場合には探偵に相談するのがおすすめです。
探偵の調査によって得られた証拠があれば、配偶者も言い逃れはできないでしょう。
不倫をやめさせるために、探偵の証拠を利用することは効果的な手段といえるでしょう。
弁護士に相談するのがおすすめの2つのケース
弁護士に相談するのがおすすめのケースは、次の2つです。
- すでにいくつかの証拠を掴んでいる
- 慰謝料請求をしたい
以下、詳しく見ていきましょう。
すでにいくつかの証拠を掴んでいる
すでにいくつかの証拠を掴んでいるケースです。
肉体関係があったことがわかる決定的な証拠でなくても構いません。
例えば、LINEのやり取りやツーショット写真、食事やホテルの領収書などが挙げられます。
自力で掴んだ証拠がいくつかある場合には弁護士に相談するのがおすすめです。自分では証拠になるとは思っていないものであっても、証拠として使える可能性もあり、そのまま示談交渉に進めることもあります。
示談交渉の場合には、証拠が弱くても、弁護士が交渉することで、相手側が不倫を認め慰謝料の支払いに応じるというケースも少なくありません。
いくつか証拠がある場合には、証拠が十分かどうか弁護士に判断してもらうのがよいでしょう。
慰謝料請求をしたい
慰謝料請求をしたいケースです。
不倫相手に慰謝料を請求したいと考えている場合には、弁護士に相談するのがおすすめです。弁護士に依頼することで、不倫相手との示談交渉から、示談がまとまった際の示談書作成まですべてを任せられます。裁判になった場合も、弁護士が代理人として裁判所に出廷したり、書類を作成・提出したりしてくれます。
慰謝料請求を検討している場合には、まずは弁護士に相談してみるのがよいでしょう。
探偵と弁護士どちらか迷ったらまずは弁護士に相談するのがおすすめ!
探偵と弁護士どちらに相談するのか迷ったら、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
先に弁護士に相談することをおすすめする2つの理由について、詳しく見ていきましょう。
探偵の調査が不要なケースもある
探偵の調査が不要なケースもあるからです。
慰謝料請求は一般的に、不倫の証拠をもとに相手に交渉をするという流れです。
探偵に調査を依頼して証拠を獲得しなくても、既に手元にある証拠で十分であると弁護士が判断した場合には、そのまま示談交渉を開始できることもあります。
証拠が不十分であっても、相手に慰謝料の支払いに応じる姿勢がある場合には、そのまま示談を成立させられることもあります。
探偵は有力な証拠を掴むことが仕事であって、どのような証拠があれば慰謝料請求できるのかを判断するのは弁護士の仕事です。
探偵の調査費用は決して安くはありませんから、まずは弁護士に今ある証拠で十分かどうかを判断してもらうことをおすすめします。
事実関係を整理したうえで今後の方針を検討できる
事実関係を整理したうえで今後の方針を検討できるからです。
不倫に至る経緯や現在の夫婦状況、手元にある証拠などから弁護士と事実関係を整理することで次のようなことがわかる場合があります。
- いくらくらいの慰謝料額を見込めるか
- 今ある証拠で不十分の場合には他にどんな証拠が必要か
- 他に証拠が必要な場合に探偵に調査を依頼した方がよいか
先に弁護士と事実関係を整理することで、獲得できる慰謝料額の見込みを考慮し、そのうえで探偵に調査を依頼するかを検討できます。
探偵に調査を依頼する場合には、必要な証拠を絞って依頼できるでしょう。
先に弁護士に相談することで、効率的に準備を進められるでしょう。
探偵と弁護士に依頼する前に確認すべき3つのこと
探偵と弁護士に依頼する前に確認すべきことは、次の3つです。
- 調査費用の相場
- 弁護士費用の相場
- 獲得しうる慰謝料額
以下、詳しく見ていきましょう。
調査費用の相場
調査費用の相場を確認しましょう。
探偵に調査を依頼した場合にかかる費用相場は、数十万~100万円程度とかなり幅があります。
不倫の有無を確認するためなのか、配偶者に不倫をやめさせるためなのか、慰謝料請求するためなのかなど調査の目的によって、必要な証拠の程度が異なります。
それによって、調査に要する時間や人数が変動することから、費用も大きく変動します。
費用の主な内訳は、次のとおりです。
- 着手金:実際に調査に取り掛かるための費用
- 人件費:調査員にかかる費用(調査の難易度によって人数が異なる。)
- 経費:交通費、車両費、通信費、宿泊費、機材費など
- 手数料:報告書の作成にかかる費用
- その他:追加料金、キャンセル料金、深夜早朝手当など
探偵事務所の多くは、次の3つの費用プランを採用しています。
- 時間料金型|調査にかかった時間で決まる
- 成功報酬型|調査が成功したら費用が発生する
- パック料金型|1時間あたりの費用が安くなる
探偵の費用相場は幅がありますから、まずはいくつかの探偵事務所で見積もりを取ることをおすすめします。
探偵の調査費用について、詳しくは「探偵の浮気調査の費用相場と安くするための4つのポイントを徹底解説」の記事をご参照ください。
弁護士費用の相場
弁護士費用の相場を確認しましょう。
慰謝料請求を弁護士に依頼した場合にかかる費用は、一般的に、獲得した慰謝料額によって異なります。
慰謝料請求を弁護士に依頼した場合にかかる費用の相場は、下表のとおりです。
相談料|30分5,000円
弁護士に相談した場合の相談料です。
相談料の相場は、30分につき5,000円程度です。初回相談が無料の事務所もあります。
法律相談後、正式に依頼した場合は、当日の法律相談料がかからないこともあります。
着手金|交渉の場合:10〜20万円程度・裁判の場合:20〜30万円程度
着手金とは、弁護士に依頼をした場合に、実際に弁護士が交渉に着手するための費用です。
結果の成功・不成功に関わらず、原則として返金されない費用です。
着手金の相場は、以下のとおりです。
- 交渉の場合:10〜20万円程度
- 裁判の場合:20〜30万円程度
なお、慰謝料の請求金額に応じて金額が上がる事務所もあります。
交渉段階から弁護士に依頼したものの、交渉が決裂し裁判に発展した場合は、交渉の着手金とは別に、裁判の着手金が追加で必要となるケースがあります。
報酬金|獲得した慰謝料額の10〜20%程度
報酬金とは、事件が終了したときに支払う費用です。
弁護士に依頼したことによって得られた経済的利益を基準として、それぞれの弁護士(法律事務所)の報酬基準に従い算出します。
報酬金の相場は、獲得した慰謝料額の10〜20%程度です。
ただし、獲得した慰謝料額の20%など一律で定めている事務所や、獲得した慰謝料額に応じて段階的に割合を変えている事務所など、報酬基準はさまざまです。
実費|問題解決のためにかかった費用
実費とは、弁護士が問題を解決するためにかかった実際の費用です。
例えば、交通費や郵便代、証明書の発行手数料が実費に当たります。
日当|1回につき3〜5万円程度
日当とは、事件処理のために弁護士が時間拘束を受けた場合に発生する費用です。
例えば、裁判所に出頭したり、遠隔地に出張したりした場合に日当が発生します。
日当が発生する場合の相場は、1回につき3〜5万円程度です。
弁護士費用の相場について、詳しくは「不倫慰謝料請求を弁護士に依頼するとかかる費用の種類と相場を紹介 」に記事をご参照ください。
獲得しうる慰謝料額
獲得しうる慰謝料額を把握しましょう。
弁護士に相談することで、いくらぐらいの慰謝料額が見込めるかを回答してもらえる場合もあります。
具体的な慰謝料額までは難しくても、ある程度、慰謝料獲得の難易度は教えてもらえる場合があるでしょう。
慰謝料獲得の見込みを知ったうえで、探偵に調査を依頼するのか、弁護士に慰謝料請求を依頼するのかを検討できるでしょう。
まとめ
探偵と弁護士の違いについてお分かりいただけたでしょうか。
この記事で解説したとおり、探偵と弁護士の仕事内容は大きく異なります。
まずは、あなたが何を求めるのかを明確にしてから、相談先を決めましょう。
慰謝料請求を検討しているけれど、今手元にある証拠で十分か判断が難しいという場合にはまずは弁護士に相談してみましょう。弁護士に相談したうえで、より決定的な証拠が必要であるとなったら探偵への依頼を検討するのがよいでしょう。
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