不倫相手と別れたのに慰謝料請求された場合の支払義務の有無と対処法

  • 最終更新日: 2025.02.10

あなたは今、相手配偶者の要求に従い不倫相手と別れたのに、慰謝料を請求されて困惑していませんか?

この記事では、不倫相手と別れたのに慰謝料請求された場合に支払う義務はあるかどうか、慰謝料を請求しないと言ったのに請求された場合の対処法などについて解説します。

「(夫または妻と)別れるなら慰謝料は請求しない」と言ったのに請求されたら納得がいかないでしょうが、まずは落ち着きましょう。この記事をご一読いただき、今後の対応を検討いただければと存じます。

不倫相手と別れたのに慰謝料請求された!支払う義務はある?

相手配偶者の要求に従い不倫相手と別れた後に慰謝料請求された場合でも、不倫が不法行為に該当するときは、原則として支払う義務が生じます。ただし、相手配偶者からの関係解消の要求時に、「別れるなら慰謝料を請求しない」等と約束されていた場合には、慰謝料を減額ないし拒否できる可能性があります。

原則として慰謝料の支払い義務が生じる

不倫相手と肉体関係を持った場合は、原則として慰謝料の支払い義務が生じます

既婚者であると知りながら肉体関係を持つ行為(不貞行為)は、民法第709条の不法行為に該当するためです。
不貞行為によって平穏・円満な夫婦生活を送る権利や利益を侵害したり、精神的苦痛を負わせたりした場合、あなたはその損害を賠償する責任を負います

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用:民法/e-Gov法令検索

不倫相手と別れても、相手配偶者の権利や利益を侵害した事実や、相手配偶者が被った精神的苦痛はなかったことにはなりません。慰謝料は不法行為によって被った精神的苦痛を慰謝するための金銭であり、不倫相手と別れたからといって慰謝料の支払い義務は消えません

不倫慰謝料を請求された場合の対応方法については、「不倫慰謝料請求されたら|慰謝料の請求額によって対応を変えるべき理由」をご参照ください。

請求しない旨の約束や合意がある場合は減額・拒否できる可能性がある

慰謝料を請求しない旨の約束や合意がある場合は、慰謝料を減額・拒否できる可能性があります

「慰謝料を請求しない」という意思表示は、慰謝料請求権の放棄したものと評価できるためです。慰謝料請求権を放棄すると、原則として、慰謝料を請求できなくなります。

相手配偶者から書面やLINE、メールなどで「(夫または妻と)別れるなら慰謝料を請求しない」などと意思表示された場合には、支払いを拒否できる可能性があるでしょう。

口頭の意思表示でも減額交渉の材料となり得ます。ただし、口約束の場合は、後に「そんなことは言っていない」と主張を翻す可能性があるため、相手配偶者が「慰謝料を請求しない」と意思表示した客観的な証拠がなければ大幅な減額は難しいでしょう。

なお、「慰謝料を請求しない」以外でも、「許す」や「宥恕する」などと言われた場合も、慰謝料を減額・拒否できる可能性があります。

慰謝料を請求しないと言ったのに請求された場合の対処法

「慰謝料を請求しない」と言ったのに請求された場合の対処法として、主に以下の3つが挙げられます。

  • 相手配偶者の主張・請求額・証拠の有無を確認する
  • 慰謝料を請求しない旨の約束・合意の存在を主張して減額交渉する
  • 紛争の蒸し返しを防ぐために示談書を作成する

予想に反して慰謝料を請求された場合でも、安易に無視をせず、適切な対応を心がけましょう。

相手配偶者の主張・請求額・証拠の有無を確認する

慰謝料を請求されたら、相手の主張・請求額・証拠の有無を確認しましょう。

相手配偶者の認識が事実と異なっていたり、あなたの責任を超える高額な慰謝料を請求されたりしている場合もあるためです。

例えば、相手配偶者から送付された請求書に、身に覚えのないことが記載されているケースも少なくありません。記載内容が事実かどうか確認し、相手がどのような理由で慰謝料を請求しているのかを明確に理解することが重要です。

不倫の内容・程度に鑑みて、請求額が妥当かどうかも確認しましょう。あなたが請求されている金額は、あくまでも相手配偶者の希望額です。相場を超える高額な慰謝料を請求されるケースもみられるため、請求額が妥当かどうか適切に判断する必要があるといえます。

不倫慰謝料の相場や金額を決める要素については、「不倫(不貞行為)の慰謝料相場と過去の判例」をご参照ください。

相手配偶者が不倫の証拠を持っているかどうかの確認も重要です。不倫の証拠がない場合、あなたが不倫の事実を否定すれば、相手配偶者が責任を追及することは難しいでしょう。たとえ裁判になったとしても、慰謝料が認められる可能性は低いです。

慰謝料を請求されたら、相手の主張・請求額・証拠の有無などをしっかり確認しましょう。

慰謝料を請求しない旨の約束・合意の存在を主張して減額交渉する

相手配偶者が「慰謝料を請求しない」と言っていたにも関わらず、後日、慰謝料を請求された場合は、慰謝料を請求しない旨の約束・合意の存在を主張して減額を交渉しましょう。

慰謝料を請求しない旨の約束・合意をしたことがわかる書面やLINEなどの証拠がある場合は、相手配偶者が慰謝料請求権を放棄したことを理由に、支払いを拒否できる可能性があります。

口約束で証拠がない場合でも、慰謝料を減額できるかもしれません。「(夫または妻と)別れるなら慰謝料を請求しない」と言ったのであれば、相手の夫婦関係が破綻していない可能性があるためです。不倫によって相手夫婦が離婚した場合の慰謝料相場は200300万円程度と高額になりますが、離婚しない場合の慰謝料相場は50100万円程度です。夫婦関係が破綻していないことを理由に、減額交渉できる余地があるといえるでしょう。

慰謝料を請求しない旨の約束・合意の存在を主張して、支払い拒否や減額するよう交渉できないか検討してみましょう。

紛争の蒸し返しを防ぐために示談書を作成する

紛争の蒸し返しを防ぐために、示談書を作成することをお勧めします。

示談の際に口頭での合意のみで済ませてしまうと、慰謝料を支払った後に、トラブルが再熱するおそれがあるためです。

合意内容を書面化しなかったことで、慰謝料を支払った後に不利な条件を追加されたり、追加の慰謝料を要求されたりするケースも少なからずあります。

当事者の合意内容を記載した示談書を作成しておくことで、解決後のトラブルを未然に防止しやすくなります

示談書の書き方については、「不倫慰謝料に関する示談書の書き方と作成時のポイント・注意点を解説」をご参照ください。

ご自身での対応に不安があれば弁護士に相談を

ご自身の対応に不安があれば、弁護士に相談することをお勧めします。

「慰謝料を請求しない」と言ったのに請求された場合、冷静に話し合いをするのは難しいでしょう。感情が昂ったまま反論してしまうと、脅迫まがいな発言をしてしまったり、不用意な発言をしてしまったりして、状況をより悪化させることになりかねません。

弁護士に相談・依頼すれば、相手配偶者とのやり取りをすべて弁護士に一任できるため、冷静に交渉を進められます。ご自身では気付けなかった減額要素を見つけ出して、減額するよう交渉してもらえる可能性も高まります。

弁護士に相談・依頼すれば、主張すべきポイントや最善の解決策などのアドバイスをもらえるため、あなたが納得できる結果を得やすくなるでしょう。

まとめ

慰謝料を請求しないと言ったのに請求された場合、「請求を無視したい」との思いが頭をよぎるかもしれません。しかし、慰謝料請求を無視すれば訴訟を提起されて、最終的にあなたの財産を強制執行されるおそれがあります。慰謝料を請求されたら、まずは相手配偶者の主張や請求内容を確認しましょう

「減額交渉をしたいがどうすればいいかわからない」「相手配偶者と交渉したいが自分で対応する自信がない」などの悩みを抱えているなら、ぜひネクスパート法律事務所にご相談ください。

ネクスパート法律事務所は、不倫問題に関する累計10,000件を超えるご相談をお受けしています。豊富な経験と解決ノウハウを有する弁護士が、あなたを全力でサポートいたします。初回相談は30分無料です。お問い合わせはLINE・メールで24時間受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

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