日本は時代遅れ!?不貞相手への慰謝料請求における海外・日本の動向

  • 最終更新日: 2025.02.10

あなたは今、既婚者との不貞関係が相手配偶者にバレて慰謝料を請求され、「不貞慰謝料を請求するなんて時代遅れだ」との考えから、慰謝料の支払いを拒否したいと考えていませんか?

この記事では、不貞相手への慰謝料請求における海外の動向や、日本で請求が認められている理由などについて解説します。

「不貞慰謝料を支払うほかない?」とモヤモヤしているなら、ぜひご一読ください。

日本は時代遅れ!?海外では不貞相手への慰謝料請求を認める国は少ない

海外では不貞相手への慰謝料請求を認めない、あるいは制限する国が多いです。

その理由はさまざまですが、背景には、次のような共通する考え方があります。

  • 不貞行為は夫婦間の貞操義務として処理されるべき問題であり、第一次的に責任を負うべきは不貞をした配偶者だという考え方
  • 性は個人のプライバシーの領域にかかる事柄であり、外部に公開して争うこと自体を避けるべきだとする考え方

そのため、不貞をした配偶者には不貞の責任を追及できても、不貞相手に慰謝料を請求できる国は、日本以外にほぼ見当たりません。

例えば、アメリカの多くの州では、不貞相手への慰謝料請求は原則として認められません

実際に、ニューヨーク州で結婚生活を送っていた日本人夫婦の妻が、日本に帰国後、夫の不貞相手に対して慰謝料を請求しましたが、不貞行為があった時点で夫婦の生活拠点はニューヨーク州にあったと判断し、不貞相手への慰謝料請求はニューヨーク州法上認められないとして、慰謝料請求を認めませんでした(東京地裁平成26年9月5日判決)。

イギリスでは、不貞相手への慰謝料請求を認める法律は1970年に廃止されています。ドイツでは、不貞相手への慰謝料請求は一貫して否定されています。

日本以外の国では、不貞相手への慰謝料請求が認められていないのが現状です。

日本では不貞相手への慰謝料請求が認められている理由

日本では不貞相手への慰謝料請求が認められている理由として、不貞相手への慰謝料請求の根拠を婚姻共同生活の平和の維持に求めていることが挙げられます。

日本でも、不貞相手への慰謝料請求が認められるかどうかについては見解が分かれていますが、最高裁判所は、不貞行為により家庭の生活の平穏が侵害されたことで精神的苦痛を被ったとして、不貞相手への慰謝料請求を認めています(最高裁平成8年3月26日判決)。

最高裁判所の判断から、婚姻共同生活の平和の維持法律上保護されるべき権利や利益だと考えられるため、民法第709条を根拠に、不貞相手への慰謝料請求が認められると考えられています。

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用:民法/e-Gov法令検索

日本では、不貞行為は、平穏な婚姻生活を送る権利や利益を侵害する行為であると考えられているため、不貞の当事者(配偶者と不貞相手)に対する慰謝料請求が認められています

日本でも不貞相手への慰謝料請求が認められなくなる日が来る?

目下のところ、日本で不貞相手への慰謝料請求が認められなくなる可能性は低いでしょう。

もっとも、不貞相手の法的責任については、従来から以下のような見解があります。

  • 不貞相手の責任を認める考え方(肯定説)
  • 一定の範囲に限って不貞相手の責任を認める考え方(制限説)
  • 不貞相手の責任を否定する考え方(否定説)

日本の実務では、肯定説が採用される傾向が強いですが、制限説が採用されるケースも増えつつあります。

そのため、日本の婚姻制度や社会制度等の変化によりグローバル基準にあわせる動きがあれば、不貞相手への慰謝料請求が認められなくなる可能性も否定できません。

日本では肉体関係がある場合は不貞慰謝料を支払うほかない?

日本では、肉体関係がある場合は、原則として不貞慰謝料を支払う必要があります。ただし、肉体関係があっても支払いを拒否できるケースもあるため、支払う義務があるかどうか見極める必要があります。以下で、詳しく解説します。

肉体関係があれば原則として不貞慰謝料を支払う必要がある

肉体関係があれば、原則として不貞慰謝料を支払う必要があります

既婚者と肉体関係を持つ行為(不貞行為)をしたあなたには、相手配偶者が不貞行為によって受けた精神的苦痛を慰謝する責任があるためです。

不貞行為は犯罪ではありませんが、民法上の不法行為に該当します。不法行為によって他人の権利や利益を侵害した場合、生じた損害を賠償する責任を負う(民法第709条)ため、肉体関係があれば、原則として不貞慰謝料の支払義務が発生します。

ただし、肉体関係があっても支払いを拒否できる場合もあるため、支払い義務が発生するかどうか、慎重に見極めましょう。

肉体関係があっても支払いを拒否できるケース

肉体関係があっても支払いを拒否できる主なケースとして、以下の6つが挙げられます。

  • 肉体関係を強要された場合
  • 肉体関係を持った相手が既婚者だと過失なく知らなかった場合
  • 肉体関係を持つ前から相手夫婦の婚姻関係が破綻していた場合
  • 時効が成立している場合
  • 相手配偶者が肉体関係を持った証拠を掴んでいない場合
  • 相手が相手配偶者に対してすでに十分な慰謝料を支払っている場合

いずれかに該当する場合は、慰謝料の支払いを拒否できる可能性があります。

ただし、支払いを拒否できるケースに該当しているからといって、請求を無視してはいけません。請求を拒否するためには、適切な対応が求められます。

不貞慰謝料の支払いを拒否できるケースについて、詳しくは「不倫慰謝料の支払いを拒否できる7つのケースと拒否する場合の注意点」をご参照ください。

不貞慰謝料を請求されたら弁護士に相談しましょう

不貞慰謝料を請求されたら、弁護士に相談しましょう

不貞慰謝料を請求されたら弁護士への相談・依頼を勧める主な理由として、以下の5つが挙げられます。

  • 支払う必要のある慰謝料かどうか適切に判断してもらえる
  • 支払いが必要な場合も減額できるかどうか判断してもらえる
  • 弁護士が窓口となるため相手配偶者と直接やり取りしなくて済む
  • スムーズに交渉を進めやすいため早期解決が期待できる
  • たとえ裁判になっても継続して依頼できる

不貞慰謝料を請求された場合、ご自身でも対応可能ですが、慰謝料を支払う必要があるか、請求金額が妥当か等、判断に法的知識が必要になることも少なくありません

「日本では不貞相手への慰謝料請求が認められるなら、早く解決しないと」と焦って言われるがまま合意すると、支払義務のない慰謝料や不当な要求を受け入れることになりかねません。

弁護士に相談して適切な対処法についてアドバイスをもらい、今後の対応を検討しましょう。

まとめ

海外では不貞相手への慰謝料請求を認める国は少ないです。

日本では、肉体関係があれば、原則として慰謝料を支払う必要があります。

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