同性間の性行為であっても婚姻関係を破綻する原因になることは明らかであり、行為を契機として離婚調停に至ったことを認め慰謝料100万円を認めた事例

不二夫が、愛子が不二子と不貞行為を行ったため、不二夫と不二子の婚姻関係が破綻の危機に瀕していると主張して愛子に対して慰謝料等の支払いを求めた事案である。

愛子は、不二子と肉体関係を持ったことはなく、愛子は女性であるからそもそも不貞行為には該当しない、不二夫と不二子の夫婦関係は既に破綻していた等と主張し、争った。

愛子と不二子は愛子が勤めていた職場に不二子が派遣社員として派遣されてきたことから知り合い、メールのやりとりをするなどして親しく交際するようになったこと、愛子と不二子は二人で会った際、抱擁をしたり、接吻をするようになり、また、互いに性的な興奮を求めあう肉体関係を持つようになったと認められる。

愛子は、同性間のデイ的関係は不貞行為には該当せず、配偶者に対する不法行為には該当しないと主張したが、同性間の肉体関係が不貞行為に該当するかはともかくとしても、同棲者であっても既婚者と性器に触れることなどによって相手の性欲を刺激・興奮させる等の肉体関係を持った場合には、他方の配偶者は精神的に強い衝撃を受け、従来の夫婦関係が継続することに困難に感じる事態に至るであろうことは通常に想定し得ることであって、婚姻関係における平穏を害し、婚姻関係を破綻させる原因となる行為であることは明らかであるから、同性の者であっても既婚者であることを知りながら肉体関係を有することは、社会的相当性を逸脱した違法な行為であって不法行為と評価すべきとし、不二夫は愛子と不二子の肉体関係を知るに至り、愛子に慰謝料請求したが、合意には至らず、その後不二子が自宅を出て別居し、離婚調停を申し立てたことからすれば、不二夫らの婚姻関係は、愛子らの肉体関係を知ったことから夫婦間の亀裂が蹴って嫡となり実質的に破綻するに至ったと認められ、不二夫の受けた精神的苦痛を慰藉するためには慰謝料100万円、弁護士費用10万円の計110万円が相当とされた。

当事者の情報

不貞期間約8ヶ月
請求額330万円
認容額110万円
子供人数
婚姻関係破綻の有無破綻していたとまでは認められない

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