配偶者が異性の家に出入りしていたり、あなたの留守中に自宅に異性を招いていたりしたら、不貞行為を疑う人は多いでしょう。
家の出入りだけで不貞行為は認定されるのでしょうか?
この記事では、主に以下の事項について、詳しく解説します。
- 家の出入りは不貞行為にあたるか
- 家の出入りで不貞行為を疑う場合の証拠集めのポイント
ぜひご一読ください。
目次
家の出入りは不貞行為にあたる?
家の出入り自体は、不貞行為にあたりません。
不貞行為とは、配偶者以外の人と性交渉(性交類似行為を含む)をすることです。
異性の家に出入りしたからといって性交渉をしたとは限りません。
以下のような理由から、異性の家に出入りすることもあるでしょう。
- 悩み事を相談する
- 宅飲みをする
- 共通の趣味を楽しむ
家の出入り自体は、不貞行為にはあたりません。
家の出入りで不貞行為を疑う場合の証拠集めのポイント
家の出入りで不貞行為を疑う場合、出入りの頻度・時間帯・状況をできるだけ詳細に押さえることが大切です。
LINEやメールのやり取りなど他の証拠と組み合わせれば、不貞行為があったと認められる可能性があります。
出入りの頻度・時間帯・状況をできるだけ詳細に押さえる
出入りの頻度・時間帯・状況をできるだけ詳細に押さえましょう。
以下のような事実を証明できるものは、不貞行為を推認させる証拠の一つとなり得ます。
- 何度も家に出入りしている
- 宿泊や長時間滞在している
- 親密な様子が見られる男女が2人きりで滞在している
家に出入りする証拠が複数あれば、頻繁に出入りしていることが証明しやすくなります。
家に入る時・出る時の時間が分かる写真や動画を入手できれば、どのような時間帯に・どれほどの時間滞在したのか証明できるでしょう。
家の出入り時に手を繋いだり、腕を組んだりしている写真や動画も入手できれば、2人が親密な関係であることも証明しやすくなります。
家の出入り時でなくても、2人で手を繋いで歩いている場面やハグをしている場面を押さえた写真や動画は、2人が親密な関係にあることの証拠となり得ます。
証拠を集める際は、出入りの頻度・時間帯・状況をできるだけ詳細に押さえましょう。
LINEやメールのやり取りなど他の証拠と組み合わせる
LINEやメールのやり取りなど他の証拠と組み合わせることで、不貞行為があったと認められるかもしれません。
家に出入りした日に性交渉をしたことを匂わせるやり取りをしていれば、不貞行為があったと推認される可能性が高まります。
好き・愛している等の愛情表現は不貞行為の証拠としては弱いですが、2人が親密な関係にあることを証明する際に役立つかもしれません。
LINEやメールのやり取りは、できるだけ確保しておくと良いでしょう。
性交渉をしたことを匂わせるやり取り以外にも、以下のようなものは不貞行為の有力な証拠となり得ます。
- 裸や下着姿で家にいることが分かる写真や動画
- 性交渉をしたことが分かる動画や音声データ
家に出入りしているだけでなく、ラブホテルに行ったり、2人きりで旅行に行ったりしていることも考えられます。カーナビやドライブレコーダーの履歴、SNS等からも証拠を得られる可能性があるため、確認してみることをお勧めします。
不貞行為の証拠については、「浮気の証拠になるもの13選と自力で証拠を集めるポイント・注意点」で詳しく解説しています。
不貞行為が認められずとも家の出入りで慰謝料が認定される可能性も
不貞行為が認められなくても、家の出入りで慰謝料が認められる可能性もあります。
実際に、不貞行為は認められないものの、数か月以上にわたり月に1回以上の頻度で原告宅に出入りする行為は、婚姻共同生活の平和を侵害する行為だと判断され、慰謝料の支払いが認められた事案があります(東京地裁令和5年9月28日判決)。
原告(X)が、被告(Y)と原告の妻(A)との不貞行為もしくは不貞を疑われる行為を繰り返したことにより、XとAとの婚姻関係を破綻させたとして、Yに対し、不貞行為に基づく損害賠償請求として慰謝料の支払いを求めた事案です。
XはAと婚姻後、Aとともにマンションの一室(X宅)を購入して同居しています。
Xは、X宅の風呂場でYが置き忘れた男性用の洗面用具を発見しました。XはAの不貞を疑い、X宅のマンションのゲストルームの利用履歴を調べたところ、Aが月に複数回の頻度でゲストルームを利用していたことが判明しました。
YとAは月に1回以上の頻度で、X宅で2人きりで過ごすようになり、以下のような行為をしています。
- Yは、Xの不在時に、Aの提案によりX宅のシャワーを浴びていた
- Yは、Aの予約により、X宅のマンションのゲストルームに複数回宿泊していた
- Yは、Aの誕生日の翌日にAにネックスレスを送った
- Aは、YをXの自宅に出入りさせたことやゲストルームに宿泊させたことを隠していた
上記行為により、XはAに対する不信感が拭えず、その後の婚姻関係の修復も困難となり離婚を決意して別居し、X宅もAとともに売却しています。
裁判所は、裁判所は、YとAに性交渉をする機会・状況があったと推認されるものの、双方が否認していることなどから、不貞行為の存在は認めませんでした。
しかし、社会通念上、Xの留守中にX宅にYが出入りしてシャワーを浴び、Aと2人きりで過ごしたことを知ったXが、不貞行為を疑い、嫌悪感や不信感を抱くのは当然です。
裁判所は、上記の行為によりXとAの婚姻共同生活の平和を侵害され、婚姻関係が破綻し、Xは精神的苦痛を被ったと認められるため、不法行為が成立すると判断しました。
YがAと性行為をしたとは認められないものの、YのX宅への訪問期間や頻度、XとAの婚姻関係が破綻に至ったこと等の事情に照らし、Yに対し、慰謝料80万円の支払いを命じました。
家の出入りが原因で別居・離婚をご検討中の方は弁護士に相談を
家の出入りが原因で別居・離婚を検討するなら、弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士に相談すれば、あなたの手元にある証拠で不貞行為の存在を主張・立証できるか検討してもらえます。
不貞行為の立証が難しい場合でも、家の出入りなど不適切な交際態様によって、夫婦関係の維持が困難になった場合には慰謝料が認められる可能性があります。
弁護士に相談すれば、相手に慰謝料を請求できるかどうか適切に判断してもらえるため、泣き寝入りを防げるかもしれません。
家の出入りが原因で別居・離婚を検討するなら、弁護士への相談も視野に入れてみてください。
不貞行為がない場合の慰謝料請求の可否については、「不貞行為なしで精神的苦痛を理由に慰謝料請求できる?慰謝料相場は?」をご参照ください。
まとめ
家の出入り自体は不貞行為にはあたりません。
家を出入りした証拠に加え、性交渉を匂わせるLINEやメールのやり取り等の他の証拠があれば、不貞行為があったと判断される可能性はあります。
あなたが不貞行為を疑っていることが配偶者にバレたら事態が悪化することも懸念されるため、家の出入りの証拠を収集する場合は、慎重な行動を心がけましょう。