別居はしていたものの婚姻関係は破綻していない一方で、婚姻関係に関して悪意かつ有過失があったとみなされて慰謝料40万円が認められた事例

不二子が愛子に対し不二夫との不貞行為に及んで婚姻生活の平穏を害され著しい精神的苦痛を受けたとして慰謝料等の支払いを求めた事案である。


不二夫はH22.11月頃福岡に転勤することとなり単身赴任となった。愛子は、H24年頃不二夫のアシスタントと経理補助を行うパートとして勤務するようになり知り合い、遅くともH26年12月頃までに親族関係について相談することが可能な程度親しい関係となり、H28年1月ころまでには交際を始めて、不二夫の両親に愛子を交際相手として紹介した。


不二夫の単身赴任後、不二子は年3、4回の頻度で不二夫の元を訪れ、1年のうち半年以上を福岡で過ごすようになり、週末の外食・外出も珍しくなく、不二夫の出張に伴い旅行することもあったが、一方で不二夫は不二子の下を訪れる機会は乏しく、一人暮らしを快適に感じていた。H24年10月頃不二夫から不二子に離婚を求めたが、不二子が号泣したためそれ以上具体的な話はしなかったが、H25年ころには同居が難しいことを示し、H26年7月ころには行政書士が作成した離婚協議書を不二子へ郵送し、同12月に不二夫は離婚届を置いて帰宅した。


H25年2月を別居開始の前提とし、別居期間は2年11カ月であるが、同居期間は10年4カ月に及んでおり、別居期間自体が直ちに婚姻関係が破綻したと認めることは困難であり、不二夫が、不二子の婚姻生活における態度、価値観に不満を抱いてはいたものの不二子が婚姻関係の修復のための努力を払っていたことに照らせば、不二夫の婚姻関係の継続に向けた意思が乏しかったと認められることを考慮しても、その婚姻関係は、平成28年1月の時点で破綻の危機に瀕していたと認められるにとどまり、既に破綻していたとまではなお認めるに足りないとされた。

愛子らの交際が、遅くともH28年1月までに始めたことは当事者間に争いがなく、愛子は当初不二夫が婚姻していたことを知っており、不二子との婚姻関係の状況について十分状況を把握することを試みた形跡が窺われないことに照らせば過失が認められ、賠償責任を負うとし、その精神的損害は40万円とし、弁護士費用4万円の計44万円が相当とし、調査費用は調査費用の支出が愛子の不法行為から通常生じる損害に当たると認めることは困難であるとし認められなかった。

当事者の情報

不貞期間約半年
請求額440万円
認容額44万円
子供人数
婚姻関係破綻の有無既に破綻していたとまではなお認めるに足りない

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