不倫慰謝料の請求をされた!払えない場合はどうすればいいの?

  • 最終更新日: 2024.04.24

不倫をしたことに対して慰謝料を払え!と言われ、慰謝料なんて払えない、どうしよう…とパニックに陥っているあなたは、今どんなことを考えているでしょうか。
不倫をした自分が悪いから慰謝料を支払わなければいけないことは分かっているけどお金がないと困っていますか?それとも相手から誘ってきたのに私が慰謝料を払うのはおかしいのでは…と疑問に思っているかもしれませんね。

この記事では、不倫相手の配偶者から慰謝料を請求され、困っているあなたに下記の4つの点をお伝えします。

  • 慰謝料を支払えない場合の対処法
  • 慰謝料請求されたときのNG行動
  • 不倫相手の配偶者が、あなたの親に慰謝料請求した場合の対処法
  • 慰謝料が払えない場合、弁護士に相談・依頼するメリット

私たちは、これまで10,000件以上の不倫慰謝料に関するご相談をお受けしてきました。
不倫慰謝料を支払えないのに弁護士に相談できるわけがない!と思うかもしれませんが、必ずしもそうではありません。弁護士に依頼するためには高額なお金が必要だと思い込み一人で解決を試みたものの、さらなるトラブルに発展してしまう場合もあります。

一人で問題を抱え込まず、まずは法律家の視点で述べている本解説を最後まで読んでみてください。

慰謝料を支払えない場合の対処法

あなたが不倫をしていたのが事実であれば、慰謝料を支払う資力がなくても原則支払いは免れません。
なぜならば不倫は夫婦間の貞操義務に反する違法な行為で、民法では不倫をされて精神的苦痛を味わった人は、配偶者や不倫相手に対して慰謝料請求ができるからです。

そのため、不倫をしたあなたが慰謝料請求をされたときにとるべき行動は、自分自身で相手方とやり取りするか、弁護士に依頼して対応を任せるかの2択となります。

自分で対応するにしても弁護士に依頼するにしても、慰謝料が支払えない場合の対処法は下記の5つとなります。ない袖は振れないので下記に挙げる対処法をよく読んで、どれを選択するのがベストか進むべき道を決めましょう。

慰謝料を減額してほしいと交渉する

慰謝料請求をされた際に確認しなければいけないのは、相手が請求している慰謝料が適切な金額かどうかです。あまりにも高額な慰謝料を請求されているのであれば、減額の交渉ができるかもしれません。

減額交渉をする際に決められたルールはありません。慰謝料を請求してきた相手に対して、電話・メール・書面など可能な方法で連絡を取りましょう。もし書面で送る場合、相手にきちんと届いたかどうか不安であれば、特定記録郵便を利用するといいかもしれません。

ただし、相手方が慰謝料を〇月〇日までに支払わなければ会社にバラすと言っている場合は、内容証明郵便を利用して返事をしたほうがいいでしょう。

いずれの方法を選択しても、不倫が事実であれば正直に認めてきちんと謝罪をし、その上で慰謝料減額の相談をしましょう。謝罪もなくいきなり減額交渉をすると相手が不快に感じ、交渉に応じてくれなくなります。その点は細心の注意を払ってください。

そして相手方の理解が得られ慰謝料減額について合意ができれば、必ず示談書を作成しましょう。口約束だけでは減額に応じた覚えはないと言われてしまう可能性があります。トラブル回避のために示談書作成は必須なので、合意した内容をもれなく記載した正確な示談書を作成しましょう。

なお、減額が望めるパターンは下記の5つです。なぜ減額が望めるのか、それぞれ解説します。

請求された慰謝料が相場よりも高い

不倫慰謝料の相場は、50万円から300万円といわれています。ずいぶん幅があるな…と思うかもしれませんが、下記に示したようにあなたと不倫相手の関係によって離婚や別居になった場合婚姻生活を継続する場合で、慰謝料の相場に差が出ます。

往々にして不倫相手の配偶者は感情的になっているので、相場よりも高い金額を請求しがちです。下記を参考にして請求された金額が妥当かどうか判断してください。

なお、当サイトで「不倫(不貞行為)の慰謝料相場と過去の判例」について述べた記事がありますので、参考にしてください。

不倫期間が短い、回数が少ない

一度だけの関係だった場合など、不倫期間が短い場合は慰謝料が減額できる傾向にあります。被害者の精神的苦痛は不倫期間の長さや回数と比例すると判断されるので、不倫期間と回数は慰謝料に影響を与えます。

ただし、何年以上であれば長い、何年以下であれば短いという明確な線が引かれているわけではありません。過去の判例によると、不倫期間が2~3か月であれば短期間、肉体関係を持った回数が1~3回程度なら少ないと判断する傾向にあります。

相手から積極的に誘ってきた

不倫相手が独身だと嘘をついて誘ってきたり、仕事上の立場を利用して半ば強制的に関係を迫ったりするなどの事実があれば、慰謝料を減額できる可能性があります。例えば会社の上司から執拗に誘われて、断ると仕事上面倒なことになると考えて応じてしまったパターンです。

また不倫相手が、夫婦関係はすでに破綻していると積極的に誘い、実際に夫婦関係が破綻していた場合は、慰謝料を支払わなくてもよい可能性があります。言葉を選ばずに相手方に連絡をしてしまうと、慰謝料の支払い義務を認めたと判断されるかもしれません。この場合は相手に連絡を取る前に弁護士に相談したほうがよいでしょう。

相手夫婦の婚姻期間が短い

不倫相手の婚姻期間が短い場合、配偶者の不倫によって受けた精神的苦痛が小さいと判断されます。婚姻期間が3年以下であれば短いと判断され、この場合は慰謝料の減額が望めます。

慰謝料を支払う資力がない

慰謝料を支払う資力がないからといって支払いが免除されるわけではありません。しかし、150万円請求されたけれど100万円なら支払える場合、減額交渉ができる可能性があります。

慰謝料の分割払いを交渉する

慰謝料は基本的に一括払いが求められますが、請求された慰謝料を一括で支払える人は少ないでしょう。誠意を持って謝罪し、分割払いの交渉をすれば相手方が応じてくれる可能性があります。

しかし、相手方にとって分割払いを認めることは、リスクを背負うことになります。最も大きなリスクは、途中で支払いが滞ることです。
相手方はリスクを避けるために、毎月何日までにいくら支払うといった支払い期限や金額を設けること以外に、下記の条件を提案してくる可能性が高いです。

強制執行認諾文言をつけた公正証書の作成をする
強制執行認諾文言をつけた公正証書を作成することで、支払いが滞った場合に裁判をしなくてもあなたの預貯金や給与などの財産を回収できます。

連帯保証人を立てる
相手方からすれば、不倫慰謝料を一括で支払えず分割払いを交渉するあなたの資力を信じるわけにはいきません。確実に支払いをしてもらうために、あなたの親を連帯保証人にすることを条件に提示してくる可能性が高いです。

遅延損害金の発生を条件に入れる
慰謝料の分割払いが滞った場合に備えて、3%以上の遅延損害金の発生を条件にする可能性があります。

期限の利益の喪失条項をつける
期限の利益の喪失条項とは、期日までに決められた金額を支払わなかった場合、残額を一括払いで支払うことです。未払いの回数や金額で条件を定めることが多く、例えば下記のように定められます。
例:支払いを2度遅滞し、未払い額が〇〇円に達したら、期限の利益を喪失し、残額及び未払いからの遅延損害金を一括払いする。

あなたにとっては厳しい条件になるかもしれませんが、提案を拒否すると分割払いの交渉が決裂するかもしれません。
相手の立場で考えてみれば、分割払いを認めることはいつまでも不倫相手とのつながりが続くことになり、心情的に気持ちの良いものではありません。分割払いという要求を認めてもらうには、ある程度相手の気持ちに寄り添った態度で交渉に臨みましょう。

不倫相手に対して慰謝料の肩代わりを依頼する

不倫は自分一人ではできません。不倫相手にも責任がある共同不法行為ですので、不倫相手もあなたとともに慰謝料を支払う連帯責任があります。つまり当事者のどちらか一方が不倫慰謝料を全額支払っても法的に問題はありません。
あなたに慰謝料を支払う資力がないなら、不倫相手に慰謝料を肩代わりするように依頼してみましょう。

不倫相手に対して慰謝料の求償権を行使する

求償権とは、共同不法行為者(この場合は、不倫をしていた当事者の二人)の一方が自分の責任部分を越えて慰謝料を支払った場合もう一方に責任を超過した分の請求ができることです。

例えば、不倫相手の配偶者があなただけに慰謝料全額の支払いを求め、あなたが全額を支払った場合は超過した分を不倫相手に請求できます。

求償する場合の負担割合は、お互いに5割とすることが多いですが、配偶者がいながら不倫をした人の負担割合を多くするように判断されることもあります。不倫相手が積極的に誘ってきたなどの理由があれば、不倫相手の負担額を多くできるかもしれません。不倫をした当事者同士で負担割合を話し合って合意することも可能なので、慰謝料の支払いについてしっかり話し合いをしましょう。

親に立て替え払いをお願いする

請求された慰謝料をどうしても支払えない場合、可能であれば親に借金を申し出て、立て替え払いをお願いしましょう。不倫をしたことで親に叱られると思いますが、不徳の致すところと反省し謙虚に受け止めましょう。
ただし、同じ借金でも消費者金融などからお金を借りると、のちのち別のトラブルが生じる可能性があるのでやめましょう。

自己破産を申し立てる

自己破産とは、借金の返済ができなくなった人が支払いの免除を求めて裁判所に申し立てする手続きです。裁判所から免責決定されれば、残りの借金が免除されます。判例(東京地方裁判所平成15年7月31日)では不倫慰謝料は基本的に免責されるとしています。

ただし、自己破産をすれば官報に掲載されたり、ブラックリストに登録されたりするなどのデメリットもありますので、安易に自己破産を選択するのは適当ではありません。

慰謝料請求されて払えない時にしてはいけないことは?

ここでは、不倫相手の配偶者から慰謝料を請求されたとき、支払いができないからといって、やってはいけないNG行動を紹介します。

それぞれ解説していきましょう。

慰謝料請求を無視する

慰謝料を支払えないからといって、請求を無視してはいけません。

支払えないのだから、どのように対応していいか分からずに無視をする人や、不倫相手が半ば強引に誘ってきたのに、なぜ私が慰謝料を支払わなければならないのだと逆ギレする人もいるかもしれません。しかし理由がなんであれ、不倫が事実ならばその時点でアウトです。慰謝料請求を無視すれば、

  • 不倫相手の配偶者が裁判で解決しようとする
  • 誠意がないと判断され、示談交渉がスムーズに進まない

上記のような事態になるおそれがあります。特に裁判に発展した場合は、あなたが慰謝料請求した際に無視をしたことが、不倫に対して反省をしていないととらえられる可能性があります。ただでさえ感情のもつれがある不倫相手の配偶者との関係なのですから、慎重に対応しましょう。

衝動的に借金をする

慰謝料を請求され、早く問題を解決したいために怪しい金融機関から衝動的に借金をするのはやめましょう。不倫相手の配偶者とのトラブルを解決できても、想定外の利息をとられてしまうなど、借金で首がまわらなくなり別のトラブルを抱える可能性があります。

感情的な対応をする

不倫に対する慰謝料を請求されると、誰もが驚きと不安で感情的になってしまうと思います。人間は、できないことを目の前にすると、パニックに陥ります。慰謝料を支払えないという現実を目の当たりにし、パニックに陥った結果、相手に対して不適切な行動や言動をとるなど、感情的な対応をするのは絶対にやめましょう。

慰謝料が払えないあなたの代わりに、相手方が親に請求したらどうなる?

あなたに慰謝料を支払う資力がなく、不倫相手の配偶者があなたの親に慰謝料請求をする可能性も考えられます。そうなった場合、親はどのような対応をすればよいのでしょうか?

親に慰謝料の支払い義務はない

成人しているあなたが犯した過ちのために、親が慰謝料を支払う義務はありません。不倫相手の配偶者が親に請求すると言ってきても、冷静に親は関係ないので支払う義務はないことを伝えましょう。

親に支払い義務が生じるパターンは?

場合によっては、あなたの親に支払い義務が生じます。不倫と無関係な親が、慰謝料を支払わなければいけないパターンは下記の2つです。

慰謝料の支払いに対して連帯保証人になった場合

慰謝料の分割払いを不倫相手の配偶者に交渉する際に、相手方は万が一、あなたが支払えなくなるリスクに備えて連帯保証人を立てるように要求してくる可能性が高いです。あなたが慰謝料の支払いを滞らせると、連帯保証人になった親に支払い義務が生じます。

不倫をした子が未成年

不倫をした子が未成年だった場合、示談交渉などの契約行為をするには親の同意が必要となります。つまり不倫相手の配偶者との交渉に必ず親が関与しなければいけません。そして未成年には慰謝料を支払う資力がないことがほとんどですから、親が代わりに支払うことになります。

ただし、この場合、親は未成年に手を出した不倫相手に対して刑事責任を問おうとするかもしれません。婚姻を継続するなら、不倫相手の配偶者はこうしたリスクを考え、親に対して慰謝料を請求する可能性が低いと考えられます。

親に慰謝料が請求された場合の注意点

子が不倫したことで、不倫相手の配偶者から慰謝料請求をされた親は、さぞかし慌てふためくことでしょう。とにかく早く支払って解決しなければ…と相手方に言われるがまま慰謝料を支払ってしまうかもしれませんが、これは得策ではありません。
提示された慰謝料が相場を上回っているかもしれませんし、減額できる要素があるかもしれません。相手方が親に慰謝料を請求してきたら、急いで対応をせずに第三者に相談することを提案しましょう。

不倫慰謝料が支払えない場合、弁護士に相談・依頼するメリットとは

ここまで、不倫慰謝料が支払えない場合についての対処法について述べてきました。すでにお気づきかもしれませんが、どの方法を取るにしても、一人で不倫相手の配偶者とやりとりするのはとても大変なことです。

慰謝料が支払えず、減額や分割払いの交渉をする場合、早期に問題を解決したいのなら、弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。特に相手方が弁護士に対応を依頼しているなら自分一人で解決しようと思わず、弁護士に相談したほうがよいです。

ここでは、弁護士に相談・依頼する4つのメリットについて解説します。

慰謝料を支払えないのに、弁護士に依頼できるわけない…と思う人がいるかもしれません。しかし初回の相談を無料で行う法律事務所もありますので、あきらめずに下記の解説を最後まで読んでください。

不倫相手の配偶者と直接交渉が避けられる

弁護士が間に入ることで、不倫相手の配偶者と直接交渉が避けられます。不倫相手の配偶者はあなたに対して悪い印象しかないでしょうし、それはあなたも同じでしょう。顔を突き合わせて示談交渉をするのは、とてもつらい時間を過ごすことになりますし、場合によってはお互いがエキサイトして、話し合いがまとまらないかもしれません。

しかし弁護士が間に入れば冷静に話し合いが進められますし、早期解決が望め、何よりも精神的な負担が軽減されます。

不倫相手の配偶者が減額に応じてくれる可能性が高くなる

慰謝料が支払えないあなたにとって、最も重要なのは慰謝料を減額してもらうことです。しかしあなたが直接相手と交渉をしたとして、どの程度減額してもらえるのか疑問です。

不倫慰謝料の減額交渉に長けた弁護士であれば、相手方の気持ちを逆なですることなく上手く交渉ができ、減額に応じてもらえる可能性が高まります。具体的には、150万円以上の慰謝料を請求されているなら、すぐに弁護士に相談をしましょう。

正確な示談書の作成を任せられる

慰謝料の減額交渉や分割払いの交渉をした場合、示談書の作成が必須となります。ただし相手方と取り決めをした内容をもれなく示談書に記載しなければ意味がありません。弁護士に依頼すれば正確な示談書の作成を任せられます。

調停や訴訟になった場合、代理人を任せられる

相手方との交渉が上手くいかず減額交渉などがまとまらない場合は、調停訴訟になる可能性があります。調停や訴訟になると書面の作成や証拠の収集をしなければいけません。こうした作業を一人で行うのは大変難しいですが、弁護士に依頼することで手続きの対応を任せられます。

まとめ

ここまで、不倫慰謝料を請求されて払えない場合の対処法を紹介しました。慰謝料請求をされて驚き、払えないからどうしようと落ち込んでいたと思いますが、少しは光が見えてきたでしょうか。それともまだ不安な気持ちはぬぐえないでしょうか。

厳しいことを言いますが、不倫をしてしまったあなたが悪いのは明らかです。しかし過ぎてしまったことを悔やんでも仕方がありません。事がこじれないように前を向いて解決していくしかないのです。そしてそんな時は、誰かの力を借りることを考えてみましょう。

当法律事務所は、不倫などの男女トラブルの対応を得意とする弁護士が多数在籍しています。あなたの不倫を責めたり、説教をしたりすることはありません。問題解決のために寄り添い、最後までサポートをいたします。初回の相談は無料ですので、どのような対応をとることがベストなのかを知るために、一度相談してみてください。

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