すでに支払った和解金150万円の返還を求めたが、慰謝料として認められ、返還されなかった事例

本件は、不二夫が、愛之助が不二子と不貞をしたとして、愛之助との間で300万円の支払を内容とする和解契約を締結したが、そのうち150万円しか支払われていないとして残金150万円の支払を求めるとともに、和解契約後の愛之助の行動により精神的苦痛を受けたとして、100万円の慰謝料の支払を求める事案です。

また、愛之助がこれに対し、上記和解契約について公序良俗違反による無効、強迫取消しを主張し、また仮に有効であっても支払義務が免除されているから、すでに支払った和解金150万円は不当利得であるとして、不二夫に対し、150万円の返還を求めるという事案です。

①公序良俗違反について

愛之助と不二子は、同じ職場に勤務していたことをきっかけに交際に発展しました。愛之助は不貞関係にはなかった、不倫は肉体関係を伴わない交際まで含むものとして、不貞とは異なるものと理解していたなど主張しましたが、それらの主張は採用されず、また、慰謝料として、300万円という金額が暴利行為といえるほどに高額とはいえないとして公序良俗違反は認められませんでした。

②強迫について

愛之助は、不二夫から「ぶっ殺す」等の言動で脅迫されたと主張しましたが、その言動に及んだのが事実としても、
・不二夫は愛之助と不二子が車内にいる現場を目撃したというのであるから、ある程度感情的になること自体は不自然でなく、多少不穏当な発言があったとしてもそこから直ちに愛之助を畏怖させる意思までは認定できない
・和解契約書はファミリーレストランで作成されたのであるから、周囲には客や店員がいたはずであり、客観的にも大声を上げる等の粗暴な言動には及びにくい状況であった
などの状況から強迫により和解がなされたものとは認定されませんでした。

③和解金の支払は免除されたかについて

支払免除については曖昧な内容のショートメールがやりとりされているだけであり、その後間もなく不二夫は和解金の支払を求めていることなどから、確定的に免除の意思表示がなされたものと認めることはできないとされました。

④不二夫に対する慰謝料が発生するか

愛之助が和解金の支払をせず不二夫と連絡を絶つなどしたことは、単なる和解契約上の債務の不履行にすぎず、それ自体が新たに不法行為を構成するものとは考えがたいとし、100万円の請求は認められませんでした。

当事者の情報

不貞期間約2か月
請求額300万円
認容額150万円
子供人数3人
婚姻関係破綻の有無無し

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