更新日:2026年9月13日 (日)

公開日:2026年8月5日 (水)

離婚調停とは?手続きの流れ・費用・期間の目安と進め方を解説

離婚調停とは?手続きの流れ・費用・期間の目安と進め方を解説 離婚調停とは?手続きの流れ・費用・期間の目安と進め方を解説

サマリー

配偶者との話し合いがまとまらない場合や、相手が協議に応じてくれない場合、家庭裁判所での離婚調停の申立てが選択肢となります。しかし、調停がどのような流れで進むのか、費用や期間がどの程度かかるのか分からず、不安を感じる方も少なくありません。調停は調停委員を介して合意形成を目指す手続きであり、制度の概要や進め方を事前に把握しておくことが大切です。この記事では、離婚調停の仕組みや手続きの流れ、申立てにかかる費用や期間の目安、落ち着いて臨むためのポイントについて解説します。

離婚調停とは?協議離婚・裁判離婚との違いと話し合える内容

離婚調停の基本的な仕組みと調停前置主義

離婚調停(正式名称:夫婦関係調整調停)は、家庭裁判所において調停委員を介し、夫婦が離婚に向けた話し合いを行う公的な手続きです。裁判のように厳格な証拠調べによって勝ち負けを決める場ではなく、当事者双方の合意形成による解決を目指します。

日本の法制度では「調停前置主義」が定められており、原則としていきなり離婚裁判(訴訟)を起こすことはできず、まずは家庭裁判所での調停を経る必要があります。

中立的な立場である調停委員会(家事審判官と男女各1名の調停委員などで構成)が間に入ることで、当事者同士では感情的になってまとまらない話し合いを、一定の秩序を保ちながら進めることが期待されます。

協議離婚・裁判離婚との位置づけの違い

離婚の手続きには、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3つの種類があります。調停離婚は、当事者間の話し合いによる協議離婚と、裁判所が判決を下す裁判離婚の中間に位置づけられます。

手続きの種類 話し合いの場 結論の決定方法 第三者の関与
協議離婚 当事者間(自宅等) 双方の合意 なし
調停離婚 家庭裁判所 双方の合意 調停委員・裁判官
裁判離婚 家庭裁判所(法廷) 裁判官による判決 裁判官

協議離婚は時間や費用を抑えやすい一方、力関係に偏りがあると不利な条件を受け入れてしまう懸念があります。一方、裁判離婚は判決に強制力がありますが、厳格な立証責任や長期の審理を伴います。調停離婚は、合意ベースでありながら公的機関が関与するバランス型の手段といえます。

調停で話し合われる主な論点と離婚条件

離婚調停では、単に離婚するかどうかだけではなく、離婚後の生活基盤や子どもの養育に関わる諸条件について幅広く協議が行われます。

  • 財産分与:婚姻期間中に夫婦で築いた共有財産の清算
  • 慰謝料:不貞行為や暴力など有責行為による精神的苦痛への損害賠償
  • 年金分割:婚姻期間中の厚生年金記録の分割割合
  • 親権・監護権:未成年の子どもを引き取り養育する側の決定
  • 養育費:子どもの生活や教育に必要な費用の分担額と支払い方法
  • 面会交流:離れて暮らす親と子どもとの交流頻度や実施方法

これらの条件について双方が納得して合意に至ると「調停調書」が作成されます。調停調書には確定判決と同一の効力があるため、養育費や金銭の支払いが滞った場合には強制執行(差押え等)の申し立てが可能になります。

離婚調停の手続きの流れと期間・期日回数の目安

離婚調停は、家庭裁判所への申立てから始まり、複数回の期日を経て最終的な結論に至ります。手続きの大まかな流れや要する期間をあらかじめ把握しておくことで、見通しを持って準備を進めやすくなります。

申立てから調停終了までの全体的な流れ

離婚調停とは?手続きの流れ・費用・期間の目安と進め方のポイントを解説

調停を開始するには、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所へ申立書や添付書類を提出します。提出方法は裁判所窓口への持参のほか、郵送による提出も可能です。

申立てが受理されると、数週間から1か月程度で裁判所から双方へ「調停期日通知書」が届きます。第1回期日は、申立てからおおむね1か月から1か月半後に指定されるのが一般的です。

  1. 家庭裁判所への申立て(申立書等の提出)
  2. 裁判所から期日通知書の送達(第1回期日の指定)
  3. 第1回調停期日の実施(双方からの事情聴取)
  4. 次回期日の調整と複数回の期日実施(おおむね月1回ペース)
  5. 調停の終了(成立・不成立・取下げ)

調停期日当日の進み方と所要時間

調停期日当日は、当事者双方が別々の控室で待機し、申立人と相手方が交互に調停室へ呼ばれて調停委員と面談を行います。原則として相手方と直接顔を合わせずに手続きが進められます。

1回あたりの調停期日に要する時間は、全体でおおむね2時間程度とされています。それぞれの面談時間は20〜30分程度ずつで、交互に話を聴取しながら双方の主張や希望条件の整理が行われます。

調停期日は原則として平日の日中に開かれるため、仕事や育児との調整を計画的に進めることが大切です。

解決までの期間と期日回数の目安

離婚調停が終了するまでにかかる期間は、半年から1年程度が一つの目安とされています。期日は約1か月に1回の頻度で指定され、平均して3回から6回前後の期日が開かれるケースが多い傾向にあります。

項目 一般的な目安
解決までの全体期間 約半年〜1年程度
期日の実施回数 平均3〜6回程度
期日の実施頻度 約1か月に1回ペース
1回あたりの所要時間 約2時間前後(交互に面談)

双方が離婚自体には合意しており条件面の整理のみを行う場合は早期に終了することもありますが、財産調査や親権をめぐる対立がある場合には1年以上に及ぶこともあります。

調停の終了パターン(成立・不成立・取下げ)

離婚調停は、複数回の話し合いを経たのち、主に以下の3つのいずれかの形で終了を迎えます。

調停成立

双方が離婚および附帯条件について合意に達した場合、調停が成立します。裁判所によって「調停調書」が作成され、この調書は確定判決と同様の効力を持ちます。調書をもとに離婚届の提出が可能となり、金銭の不履行があった場合には強制執行の手続きをとることも可能です。

調停不成立(不調)

話し合いを重ねても意見の隔たりが大きく、合意の見込みがないと調停委員会が判断した場合には、不成立(不調)として終了します。その後も離婚を希望する場合は、次の段階として裁判(離婚訴訟)の提起を検討することになります。

調停取下げ

申立人は、調停の途中であっても申立てを取り下げることが可能です。調停外で当事者間の協議離婚が成立した場合や、一度手続きを取りやめて別居を継続しながら様子を見たい場合などに選択されることがあります。

離婚調停の申立てに必要な書類と費用の目安

離婚調停を申し立てる際には、裁判所所定の申立書類と、役所などで取得する公的書類を揃えて提出する必要があります。事前に必要な書類や費用の内訳を把握しておくことで、手続きをスムーズに進めやすくなります。

申立書類の準備と添付書類の取得方法

申立に必要な「夫婦関係調整調停申立書」や「事情説明書」などの書式は、家庭裁判所の窓口で入手できるほか、裁判所のウェブサイトからダウンロードして印刷することも可能です。

書類を作成する際は、感情的な表現に終始するのではなく、婚姻時期や別居開始時期、破綻に至った経緯、希望する離婚条件などを時系列に沿って客観的かつ簡潔に記載することが重要とされています。

公的な添付書類としては、夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)の提出が求められます。本籍地のある市区町村の窓口や郵送のほか、マイナンバーカードを用いたコンビニ交付に対応している自治体もあります。また、年金分割を求める場合の「年金分割のための情報通知書」など、協議内容に応じた書類の提出が必要となるケースもあります。

家庭裁判所に納める実費の目安

離婚調停の申立て自体にかかる裁判所への実費は、数千円程度(目安として3,000円前後)とされています。主な内訳は、申立手数料としての収入印紙と、裁判所からの書類送付に用いられる連絡用郵便切手(予納郵券)です。

費用の項目 金額の目安 備考
申立手数料(収入印紙) 1,200円 申立書に貼付して納付
連絡用郵便切手(予納郵券) 1,000円前後 裁判所ごとに金額・組み合わせの指定あり
戸籍謄本取得費用 1通あたり450円程度 役所の窓口・郵送・コンビニ交付等で取得
交通費など 実費 期日当日の裁判所への出頭交通費

弁護士費用の相場と公的支援制度

調停手続きを弁護士に依頼する場合、実費とは別に弁護士費用が発生します。一般的な相場としては、依頼時に支払う着手金が20万円〜30万円程度、解決時に支払う報酬金が30万円〜50万円程度とされることが多いですが、事案の難易度や各法律事務所の料金体系によって異なります。

経済的な事情により費用の支払いに懸念がある場合は、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助制度を利用できる可能性があります。一定の収入・資産要件を満たす場合に、無料法律相談を受けられたり、弁護士費用の立替払い制度を利用できたりする場合があります。

申立てに必要な書類や費用は事案に応じて変動するため、事前に確認を行い計画的に準備を進めることが大切です。

離婚調停を落ち着いて進めるためのポイントと準備

離婚調停は当事者間の合意を目指す話し合いの場ですが、十分な事前準備を行わずに臨むと、緊張や混乱から希望が十分に伝わらないことがあります。

経緯の時系列整理と希望条件の優先順位付け

調停期日では、婚姻から破綻に至るまでの経緯について調停委員から詳細を尋ねられます。結婚生活の出来事や相手の言動、夫婦関係が悪化したきっかけなどを年表形式のメモに整理しておくと、当日に落ち着いて説明しやすくなります。

また、離婚条件については「譲れない条件」と「状況に応じて調整できる条件」をあらかじめ分類しておくことが大切です。すべての条件で妥協しない姿勢をとると話し合いが停滞しやすいため、現実的な落としどころを想定しておくことが円滑な合意形成につながります。

客観的な証拠の準備と冷静な説明姿勢

調停での主張を裏付けるためには、客観的な資料を事前に揃えておくことが有用です。不貞行為やDV・モラハラを理由とする場合は写真やメッセージ履歴、診断書や日々の記録などが資料となります。財産分与に関しては、通帳の写しや保険証券などの一覧化が役立ちます。

調停委員に対して説明を行う際は、相手への怒りや不満から感情的になるのを避け、事実関係を論理的に伝える態度を心がけましょう。

感情的な非難を重ねるのではなく、客観的な事実と自身の希望を明確に説明する姿勢が調停委員の理解を得るうえで重要です。

相手と顔を合わせたくない場合の安全配慮の申出

DVや激しいモラハラを受けていたなどの事情により、裁判所内で相手方と遭遇することに強い不安がある場合は、家庭裁判所へ事前の安全配慮を申し出ることができます。

調停手続きでは原則として別々の控室が用意されますが、事前の相談により出頭時間をずらしたり、裁判所内の移動動線を分離したりする配慮が検討される場合があります。不安がある場合は、申立時や期日前のできるだけ早い段階で裁判所書記官へ事情を伝えて相談してください。

離婚調停における弁護士相談のメリットとよくある質問

Q. 離婚調停を弁護士に相談・依頼するメリットは何ですか?

申立書や主張書面の作成代行、証拠資料の整理を任せられる点に加え、調停期日に同席してその場で助言を受けられる点が主なメリットとされています。自身の意向を法的観点から整理して調停委員へ論理的に伝えやすくなるため、不利な条件で合意してしまうリスクの低減につながります。

相手方がすでに弁護士を立てている場合や、モラハラ等により対等な話し合いが困難な場合、親権や財産分与で激しく対立している場合には、弁護士への相談を検討することが実務上有力な選択肢とされています。

Q. 指定された調停期日に出席できない場合や無断欠席した場合はどうなりますか?

急病や仕事の都合などやむを得ない事情で期日への出頭が難しい場合は、事前に家庭裁判所の担当書記官へ連絡し、日程変更について相談することが可能です。

正当な理由なく無断欠席を繰り返すと、調停が不成立として終了する可能性があり、その後の離婚訴訟などの手続において裁判所の心証形成に影響を及ぼすおそれがあります。

Q. 離婚調停が長期化しやすいのはどのようなケースですか?

親権をめぐって双方が譲らず家庭裁判所調査官による調査が行われる場合や、相手方が預貯金・不動産などの財産を開示せず調査に時間を要する事案では、解決までに1年以上の期間を要する傾向があります。

一方で、離婚すること自体には双方が合意しており、金銭条件の調整のみが主な争点である場合には、数回程度の期日で合意に至るケースも見られます。

Q. 調停期日の場で調停委員に対して避けるべき行動はありますか?

自分に有利な状況を作ろうとして事実と異なる説明をすることや、感情的になって声を荒らげ、相手方を過度に非難するような言動は避けるべきとされています。

虚偽の申告や攻撃的な態度は調停委員からの信頼関係に影響を与える要因となり得るため、事実関係を時系列に沿って客観的に整理し、落ち着いた態度で伝える姿勢が大切です。

Q. 離婚調停に関して費用を抑えて相談できる窓口はありますか?

収入や資産が一定の基準以下である場合には、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助制度による無料法律相談を利用できる場合があります。また、市区町村が定期的に実施する自治体の無料法律相談会を活用する方法もあります。

民間の法律事務所でも、離婚問題に関する初回相談を無料で行っているところがあるため、自身の状況や希望に合わせて相談先を検討してみるとよいでしょう。

まとめ

離婚調停は、家庭裁判所の調停委員を介して夫婦双方が納得のいく合意形成を目指す公的な手続きです。当事者同士では感情的になって話し合いが進まない場合でも、一定のルールのもとで冷静に条件を話し合うことができます。

調停を円滑に進めるためには、申立書の作成や添付書類の準備、主張を裏付ける客観的な資料の整理など、事前の準備が重要になります。

手続きの進め方や離婚条件の妥当性、調停期日での受け答えなどに不安がある場合は、法律問題を取り扱う弁護士への相談を検討することも選択肢の一つです。事案に応じた適切なアドバイスを受けることで、見通しを持って手続きに臨みやすくなります。

コラム監修者

SHIZU ISHIDA

SHIZU ISHIDA

所属:東京オフィス

広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。

弁護士詳細を見る

関連記事を見る

女性の離婚でお金と子どもの知識を解説

2024.08.30

離婚準備

女性の離婚でお金と子どもの知識を解説

妻の不倫で離婚したら親権はどうなる?判断基準や手続きを解説

2026.04.21

親権・面会交流

妻の不倫で離婚したら親権はどうなる?判断基準や手続きを解説

配偶者の借金を理由に離婚できる?借金の扱いと手続きを解説

2024.11.27

離婚原因

配偶者の借金を理由に離婚できる?借金の扱いと手続きを解説

熟年離婚とは?特徴やメリット・デメリット、注意点を解説

2022.05.03

熟年離婚

熟年離婚とは?特徴やメリット・デメリット、注意点を解説

悪意の遺棄で離婚は成立する?該当する行為や慰謝料を解説

2022.03.31

慰謝料

離婚原因

悪意の遺棄で離婚は成立する?該当する行為や慰謝料を解説

PREV
NEXT