更新日:2026年8月27日 (木)

公開日:2026年8月27日 (木)

むちうち接骨院だけ通院と後遺障害の関係を解説

むちうち接骨院だけ通院と後遺障害の関係を解説 むちうち接骨院だけ通院と後遺障害の関係を解説

サマリー

交通事故によるむちうちで接骨院(整骨院)に通っているものの、整形外科をあまり受診しておらず、後遺障害等級の認定に影響しないか不安を感じる方は少なくありません。

接骨院の施術者は医師ではないため、後遺障害診断書の作成や医学的な検査資料の面で課題が生じやすいとされています。

この記事では、接骨院だけの通院が後遺障害認定に与える影響とその理由、整形外科との役割の違い、認定手続きの基本的な流れ、そして接骨院だけの通院歴がある場合に検討されやすい対応について解説します。

むちうちで後遺障害認定を受けるための基本的な仕組み

後遺障害

後遺障害等級認定とは、交通事故によるけがが治療を続けても完全には治らず、一定の症状が残ってしまった場合に、その症状の程度を自賠責保険の基準に照らして等級という形で評価する手続きです。

この認定は加害者側の任意保険会社ではなく、損害保険料率算出機構という第三者的な機関が審査を行う仕組みになっています。

むちうちで想定される後遺障害等級

むちうちの場合、想定される等級としては主に14級9号と12級13号が挙げられます。14級9号は「局部に神経症状を残すもの」とされ、他覚的な検査所見がなくても自覚症状に一貫性・連続性が認められる場合に検討される等級です。

一方の12級13号は「局部に頑固な神経症状を残すもの」とされ、画像所見や神経学的検査などによって症状の存在が医学的に裏付けられる場合に検討されることが多いとされています。いずれの等級も、自覚症状だけでなく、それを客観的に支える資料の有無が審査の重要な判断材料となります。

審査で重視される医学的資料

後遺障害等級認定の審査では、医師が作成する診断書や検査結果などの医学的な資料が重視される傾向にあります。

具体的には、事故直後からの経過を示す診療録、MRIやレントゲンなどの画像検査の結果、神経学的検査の所見、そして症状固定時に作成される後遺障害診断書などが審査の対象となります。

これらの資料をどのように準備し、整理していくかが、認定結果に影響を与える一因になり得ると考えられています。

接骨院(整骨院)だけの通院が後遺障害認定に影響するとされる理由

柔道整復師と後遺障害診断書の関係

接骨院で施術を行うのは柔道整復師であり、医師ではありません。柔道整復師は国家資格を有しますが、医師法上、診断書を作成する権限は認められていません。

後遺障害等級の認定を受けるためには、後遺障害診断書という所定の書式を医師に作成してもらう必要があります。

接骨院のみに通院していると、症状固定の時期に整形外科を受診していない、あるいは受診間隔が空いてしまい、後遺障害診断書の作成を依頼できる医師がいないという事態が生じやすくなります。

医学的検査資料が不足しやすい理由

後遺障害等級の審査では、レントゲンやMRIなどの画像検査、腱反射やジャクソンテストなどの神経学的検査の結果が重視される傾向があります。

これらの検査は医療機関でなければ実施できないものが多く、接骨院での施術記録だけでは医学的所見として扱われにくい面があります。

症状の一貫性・連続性を示す記録の重要性

むちうちのように他覚的所見が乏しくなりやすい症状では、自覚症状の推移や一貫性・連続性を裏付ける通院記録が重要な判断材料になるとされています。

接骨院への通院のみでは、こうした医学的な経過の記録が不足しやすく、症状の一貫性や連続性を客観的に示すことが難しくなる場合があると考えられています。

整形外科と接骨院を併用する場合の一般的な注意点

整形外科と接骨院を併用する意義

交通事故によるむちうちの治療では、整形外科への通院を継続しながら、症状緩和のために接骨院を併用するケースが多く見られます。整形外科での医学的な経過観察と、接骨院での施術の両方を受けることで、治療の幅を持たせようとする考え方です。

施術を受ける順序や頻度について明確な決まりがあるわけではありませんが、一般的には整形外科の受診を軸としつつ、接骨院への通院はその合間や補助として位置づけられることが多いとされています。整形外科の受診間隔が極端に空いてしまうと、症状の一貫性や連続性を示す資料が乏しくなりやすい点には留意が必要です。

接骨院だけに偏った通院の注意点

整形外科への通院を全く行わず接骨院だけに偏った通院を続けることは、後遺障害認定の観点から避けたほうがよいと考えられている。

保険会社とのやり取りにおける留意点

また、保険会社とのやり取りにおいても、通院先や頻度が治療費の支払いに関する話題になることがあります。接骨院の施術費用については、保険会社によって対応が分かれる場合があり、整形外科の医師の指示や関与の有無が確認されることもあるとされています。

治療費の支払いに関して保険会社から連絡があった際は、通院状況や施術の必要性について説明を求められることがあるため、自身の通院記録を整理しておくことが望ましいと考えられます。

こうした点を踏まえ、整形外科と接骨院それぞれの通院状況を把握しながら治療を進めることが大切です。

後遺障害認定の手続きの流れと必要書類

症状固定の考え方

後遺障害等級の認定を受けるためには、一般的に「症状固定」という段階を経る必要があるとされています。症状固定とは、治療を継続してもそれ以上大きな改善が見込めなくなった状態を指し、この時点で残っている症状が後遺障害として評価される対象になります。

症状固定の時期は、医師が患者の症状経過や検査結果を踏まえて判断するものとされており、保険会社から治療費の打ち切りを打診されたタイミングと必ずしも一致するとは限りません。むちうちの場合、受傷から一定期間の通院を経てから症状固定とされることが多いとされています。

後遺障害認定に必要とされる書類

チェックリスト

後遺障害等級の認定手続きでは、後遺障害診断書のほか、事故発生状況を示す資料や治療経過に関する診療記録、レントゲンやMRIなどの画像検査資料が一般的に提出書類として求められます。

これらは自賠責保険の審査において、残存する症状の内容や程度を裏付けるための基礎資料として扱われるとされています。

書類の種類 主な内容
後遺障害診断書 医師が症状固定後の自覚症状・他覚所見をまとめた書類
診療報酬明細書等 通院期間や治療内容が確認できる記録
画像検査資料 レントゲン・MRI等の検査結果
事故証明書等 事故発生の事実を示す資料

後遺障害診断書は、症状固定時点での自覚症状や神経学的検査の所見、画像所見などを医師が記載する書類であり、認定審査において中心的な役割を持つとされています。

被害者請求と事前認定の違い

後遺障害等級の認定を申請する方法には、大きく分けて「被害者請求」と「事前認定」の二つがあるとされています。被害者請求は、被害者自身が必要書類を収集し、自賠責保険会社に対して直接申請する方法です。

一方、事前認定は、相手方の任意保険会社が後遺障害診断書などをとりまとめ、自賠責保険への手続きを代行する形で進められる方法とされています。どちらの方法でも審査の主体は自賠責保険であり、提出される医学的資料の内容が重視される点は共通しています。

被害者請求では書類を自分で確認しながら準備できる一方、手間がかかりやすいとされ、事前認定では手続きの負担は軽い一方で、提出資料の内容を事前に十分確認しにくいという指摘もあります。

接骨院だけの通院歴がある場合に検討されやすい対応

症状固定前に整形外科を受診する重要性

接骨院だけの通院を続けてきた場合でも、症状固定と診断される前であれば、整形外科を受診する選択肢が残されています。症状固定後に整形外科を受診しても、それまでの医学的資料の不足を補うことは難しいとされているため、時期は重要な要素になります。

症状固定前に整形外科を受診できるかどうかで、その後の資料の充実度が変わり得る点に注意が必要です。

受診時に整理しておきたい情報

整形外科を受診する際には、これまでの通院状況をあらかじめ整理しておくことが望ましいとされています。いつから症状があり、どのような経過をたどってきたのかを自分なりにまとめ、医師に伝えることで、診察や検査がより的確に行われやすくなると考えられます。

また、自覚症状の内容や強さ、日常生活への影響なども具体的に伝えることで、医師が症状の一貫性を把握しやすくなる場合があります。通院の間隔や頻度についても、これまでの経過を振り返りながら医師に相談し、今後の通院計画を確認しておくことが考えられます。

弁護士への相談という選択肢

接骨院だけの通院歴がある場合の資料の整理方法や今後の対応については、弁護士に相談し確認する方法もあります。弁護士であれば後遺障害認定に必要となりやすい資料の傾向や、手続きの一般的な進め方について助言できる場合があります。

通院状況や症状の記録をどのように整理すればよいか迷う場合は、早めに専門家へ相談し、今後の見通しを確認しておくことも一つの方法として考えられます。

まとめ

接骨院(整骨院)だけの通院は、医師による診断書や医学的所見が不足しやすいことから、後遺障害等級の認定において不利になり得るとされています。柔道整復師は後遺障害診断書を作成できない点が大きな理由の一つです。

整形外科への通院を継続し、画像検査や神経学的検査などの医学的資料を確保しておくことが重要です。

既に接骨院だけの通院が続いている場合でも、症状固定前に整形外科を受診し、通院状況を医師に相談することで対応を検討できる余地があります。

後遺障害認定の手続きや通院方法について疑問や不安がある場合は、弁護士法人ネクスパート法律事務所への相談を検討されるとよいでしょう。

コラム監修者

Shunsuke Teragaki

Shunsuke Teragaki

所属:代表(東京オフィス)

広島県広島市出身。修道高校、慶應義塾大学商学部、青山学院大学法科大学院を卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、個人・法人問わず幅広い分野の相談・交渉に取り組む。ネクスパート法律事務所の代表弁護士として、依頼者に最適な見通しと戦略的な解決策を示すことを信条とし、丁寧かつ粘り強い対応で信頼を築いている。

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