更新日:2026年8月2日 (日)
公開日:2026年8月2日 (日)
酔っ払いで後日警察から連絡や逮捕は?問われる責任と不安解消の対応
サマリー
酔った勢いで人とトラブルになったり、警察に保護されたりした後、「後日警察から連絡が来るのではないか」「ある日突然逮捕されるのではないか」と不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、酔って警察の世話になったからといって、必ず後日逮捕されたり処罰されたりするわけではありません。
もっとも、飲酒中に暴行や傷害、器物損壊などのトラブルを起こしていた場合や、被害者が後日被害届を提出した場合には、警察から事情聴取や呼び出しを受ける可能性があります。
また、当日は単に保護されただけだと思っていても、後日になって警察から連絡が来るケースもあるため、今後の流れについて正しく理解しておくことが大切です。
この記事では、酔って警察沙汰になった場合に後日連絡が来るケースや逮捕の可能性、前科が付くケース、警察から呼び出しを受けた際の対応について解説します。
なお、単に泥酔して保護されたにすぎない場合と、飲酒中に暴行や器物損壊などの行為をした場合とでは、その後の対応や法的リスクは大きく異なります。
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酔っ払いでトラブル…その場で逮捕されなくても後日警察は来る?

お酒を飲んでトラブルを起こした場合、その場で警察官に逮捕されなかったとしても安心はできません。
被害者が後日被害届や告訴を提出した場合や、警察が独自に捜査を開始した場合には、後日警察から連絡や呼び出しを受けることがあります。
また、事案の内容によっては後日逮捕される可能性もあります。
現行犯逮捕されなかったからといって、事件として扱われないとは限りません。
もっとも、警察から連絡や呼び出しがあったからといって、直ちに逮捕されるわけではありません。
実際には任意で事情聴取が行われるケースも少なくありません。
防犯カメラや目撃証言から身元が特定されることがある
その場から立ち去った場合でも、防犯カメラ映像や目撃者の証言などから身元が判明することがあります。
近年では、駅や繁華街、飲食店などに多数の防犯カメラが設置されており、捜査の重要な資料として活用されています。
また、店舗従業員や居合わせた客、通行人などの証言から氏名や住所が判明するケースもあります。
こうした証拠をもとに警察が捜査を進め、後日事情聴取や呼び出しを行うことがあります。
被害届が提出されると後日連絡が来ることもある
トラブル直後には被害者が被害届を提出していなくても、後日被害申告が行われることがあります。
例えば、
- 酔って人を殴った
- 店の備品を壊した
- 他人と口論になり暴力を振るった
といったケースでは、後日になって被害者が警察へ相談することがあります。
その結果、警察から事情聴取のための連絡が入る場合があります。
「酔っていて記憶がない」は通用する?刑事責任能力の有無について
酔った状態でトラブルを起こした場合、「何をしたのか覚えていない」「記憶がないなら責任を問われないのではないか」と考える方もいるかもしれません。
しかし、酔っていたことや記憶がないことだけを理由に、刑事責任を免れることは通常ありません。
法律上、自分の行動を判断したり制御したりする能力が完全に失われた「心神喪失」の状態であれば責任を問われない可能性がありますが、自らの意思で飲酒した結果として酩酊状態になった場合には、責任能力が認められることが一般的です。
そのため、「覚えていない」という主張のみで法的責任を免れることは難しいといえるでしょう。
泥酔していても原則として刑事責任は免れない
刑法第39条では、心神喪失者の行為は罰しないと定められています。
心神喪失とは、精神障害などによって物事の善悪を判断したり、自らの行動を制御したりする能力が失われた状態をいいます。
しかし、自らの意思で飲酒し、その結果として泥酔状態になった場合には、「自分で飲酒を選んだ以上、その結果についても責任を負うべき(原因において自由な行為)」という考え方が採られるため、責任能力が否定されることは通常ありません。
そのため、酔った勢いで暴行や器物損壊などの行為に及んだ場合でも、後日警察から事情聴取を受けたり、刑事責任を問われたりする可能性があります。
責任能力が問われない例外的なケースとは
泥酔による行為で責任能力が問題となるのは、極めて例外的なケースです。
例えば、他人に無断でアルコールや薬物を摂取させられた結果として正常な判断能力を失った場合や、病的酩酊など特殊な事情が認められる場合には、責任能力の有無が争点となることがあります。
また、服用していた医薬品とアルコールの相互作用によって予期しない精神状態に陥った場合なども、個別事情によっては検討の対象となることがあります。
もっとも、実際に責任能力が否定されるケースは非常に限られており、多くの場合は飲酒による酩酊状態であっても刑事責任が問われることになります。
酔った勢いで犯しやすい犯罪と問われる罪

アルコールは判断力や感情のコントロールに影響を与えるため、普段であれば取らないような行動につながることがあります。
飲酒時のトラブルは単なる迷惑行為で済まない場合もあり、刑事事件として捜査や処罰の対象となる可能性があります。
また、その場では警察沙汰にならなかったとしても、後日被害届や告訴が行われることで捜査が始まるケースもあります。
ここでは、酔った勢いで起こりやすい犯罪と、それぞれに問われる可能性のある罪について解説します。
他人への暴力で問われる「暴行罪」と「傷害罪」
飲酒によって気が大きくなり、口論から相手に手を出してしまうケースは少なくありまん。
相手に怪我がなくても、胸ぐらをつかむ、殴りせかかる、物を投げつけるといった行為は暴行罪に該当する可能性があります。
その結果として、相手が打撲や切り傷などの怪我を負った場合には、より重い傷害罪が成立する可能性があります。
また、相手が家族や配偶者であっても、暴力行為が犯罪として扱われる可能性があります。
被害者が後日警察へ相談したり被害届を提出したりした場合には、後日警察から事情聴取のための連絡を受けることもあります。
店舗や他人の所有物を壊した場合の「器物損壊罪」
飲食店の備品を壊したり、他人の自転車を破損させたりする行為は、器物損壊罪に該当する可能性があります。
器物損壊罪は、物理的に壊す行為だけでなく、その物の効用を失わせる行為も含まれます。
例えば、食器に放尿するなどして本来の用途で使用できなくした場合も問題となることがあります。
器物損壊罪では、被害者による告訴がなければ起訴できません(親告罪)。
そのため、被害者が警察へ被害を申告したうえで告訴を行うかどうかが重要になります。
また、被害弁償や示談が成立した場合には、告訴が行われない、あるいは取り下げられることもあります。
親告罪については、以下の記事で詳しく解説しています。
親告罪とは?趣旨や罪の一覧、弁護活動について解説
警察官への暴行や抵抗で成立する「公務執行妨害罪」
泥酔状態で通報を受けて駆け付けた警察官に暴力を振るったり、職務質問や保護の際に抵抗したりすると、公務執行妨害罪が成立する可能性があります。
この罪は、公務員が適法な職務を執行する際に暴行または脅迫を加えた場合に成立します。
例えば、職務中の警察官を突き飛ばしたり、保護や制止を振り切るために暴力を加えたりする行為が該当する場合があります。
公務執行妨害罪は現行犯逮捕につながることも少なくありません。
また、その場で逮捕されなかった場合でも、警察官の供述や防犯カメラ映像などをもとに後日捜査が行われ、事情聴取や呼び出しを受ける可能性があります。
痴漢や抱きつきなどの行為は「不同意わいせつ罪」
アルコールの影響で性的な衝動を抑えられず、痴漢や無理な身体接触などの行為に及んでしまうケースもあります。
これらの行為は、不同意わいせつ罪に該当する可能性があります。
不同意わいせつ罪は、相手の同意がない状態でわいせつな行為をした場合に成立する犯罪です。
「自分も酔っていた」「相手が明確に拒否していなかった」といった事情だけで違法性が否定されるわけではなく、具体的な状況を踏まえて判断されます。
また、被害者が後日被害申告を行った場合には、事件化して警察から連絡や呼び出しを受ける可能性もあります。
飲酒していたことだけを理由に刑事責任を免れることは通常なく、事案の内容によっては逮捕や起訴につながる可能性があるため注意が必要です。
酔っ払いで後日警察に逮捕されたら…その後の手続きの流れを解説

飲酒トラブルの後、「その場では何もなかったのに、ある日突然警察が自宅に来た」というケースもあります。
被害者から被害届や告訴が提出されたり、防犯カメラ映像や目撃証言などから身元が特定されたりした結果、後日逮捕(通常逮捕)に至ることがあるためです。
実際に逮捕されると、一定期間にわたって身柄を拘束され、警察や検察による取り調べを受けることになります。
ここでは、後日逮捕された場合の一般的な刑事手続きの流れを解説します。
逮捕後48時間以内に行われる警察での取り調べ
逮捕されると、まず警察署へ連行され、身体拘束のもとで取り調べを受けます。
警察は、逮捕から48時間以内に被疑者の身柄と事件に関する書類を検察官へ送致(送検)するか、または釈放するかを決定しなければなりません。
この期間中には、事件の経緯や当時の状況などについて事情を聴かれ、供述調書が作成されることがあります。
なお、被疑者には黙秘権や弁護人選任権などの重要な権利が保障されており、供述を強制されることはありません。
検察官送致後、24時間以内に勾留請求の要否が判断される
警察から事件の送致を受けた検察官は、身柄を受け取ってから24時間以内に、被疑者を釈放するか、裁判官に勾留を請求するかなどを判断します。
検察官が、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがあると判断した場合には、裁判官に対して勾留請求を行います。
裁判官は被疑者本人からも話を聞いたうえで、勾留を認めるかどうかを判断します。
なお、逮捕から送致、勾留請求までの最大72時間は、家族であっても自由に面会することはできず、原則として弁護士のみが接見できます。
起訴・不起訴が決定されるまでの最大20日間の勾留期間
裁判官が勾留を認めると、被疑者は原則として10日間、警察署の留置施設などで身柄を拘束されます。
さらに、捜査上の必要がある場合には、検察官の請求により最大10日間の勾留延長が認められることがあります。
そのため、逮捕後は最長で20日間にわたり身柄拘束が続く可能性があります。
検察官は、この勾留期間中に捜査結果を踏まえ、被疑者を刑事裁判にかける「起訴」とするか、裁判にかけない「不起訴」とするかを判断します。
不起訴となれば釈放されますが、起訴された場合には、その後も刑事裁判に向けた手続きが続くことになります。
警察が動く前に検討したい対応|酔っ払いトラブル後の不利益を抑えるために
飲酒トラブルを起こしてしまい、「後日警察から連絡が来るのではないか」「逮捕されるのではないか」と不安を抱えている方もいるでしょう。
もっとも、事案によっては、被害回復や反省の意思を示すための対応を早期に行うことで、その後の手続きや処分判断において考慮される可能性があります。
ここでは、飲酒トラブルを起こしてしまった場合に検討したい主な対応について解説します。
被害者との示談成立による被害回復
飲酒トラブルで被害者がいる場合には、示談による被害回復が重要となることがあります。
被害届が提出される前に示談が成立した場合には、被害者の処罰感情が和らぎ、事件化に至らない可能性もあります。
また、すでに被害届や告訴が提出されている場合であっても、示談成立は反省や被害回復の事情として捜査機関や裁判所に考慮されることがあります。
特に器物損壊罪のような親告罪では、被害者が告訴を取り下げることで起訴できなくなる場合もあります。
もっとも、加害者本人が直接連絡するとトラブルが悪化するおそれもあるため、弁護士を通じて交渉を進めることが一般的です。
刑事事件の示談交渉については、以下の記事で詳しく解説しています。
示談交渉とは?刑事事件の示談の流れや注意点・示談金相場を徹底解説
自首を検討する場合は要件を理解することが重要
捜査機関が犯人を特定する前に、自ら犯罪事実を申告して捜査機関に出頭することを自首といいます。
刑法上、自首が成立した場合には刑が減軽される可能性があります。
また、自ら出頭して事情を説明することにより、反省の意思を示す事情として考慮されることもあります。
ただし、すでに捜査機関が犯人を特定している場合などは、自首として認められないことがあります。
そのため、自首を検討する場合には、事前に弁護士へ相談したうえで適切な対応を検討することが重要です。
もっとも、自首が常に有利な結果につながるとは限らず、事案によっては慎重な判断が必要です。
今後の対応に不安がある場合は弁護士への相談も有効
飲酒トラブルを起こしてしまった場合には、早い段階で弁護士へ相談することも有効な選択肢です。
弁護士は、今後予想される刑事手続きの流れや、警察から連絡があった場合の対応方法について助言を行います。
また、被害者との示談交渉を代理したり、自首を検討している場合に法的な観点からアドバイスしたりすることも可能です。
さらに、捜査機関へ提出する資料の準備や、反省状況・再発防止策の整理などをサポートできる場合もあります。
早期に相談することで、状況を整理しながら適切な対応方針を検討しやすくなるでしょう。
「酔っ払い 警察後日」に関するよくある質問(FAQ)
ここでは、酔って警察沙汰になった後のことについて、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。
酔って警察に保護されただけの場合、前科はつきますか?
泥酔して路上で寝込むなどして警察に保護された場合、保護自体は犯罪に対する処分ではないため、それだけで前科がつくことはありません。
警察による保護は、本人の安全確保や事件・事故の未然防止を目的として行われる行政上の措置です。
もっとも、保護の際に警察官へ暴力を振るったり、職務を妨害したりした場合には、公務執行妨害罪などの犯罪が成立する可能性があります。
その場合には、逮捕や刑事処分につながることがあります。
警察からの呼び出しはいつ頃、どのような形で来ますか?
警察からの連絡時期は、事件の内容や証拠収集の状況などによって異なります。
事件発生から数日後に連絡が来る場合もあれば、数週間から数か月後に連絡が来る場合もあります。
一般的には、まず電話で警察署への出頭を求める連絡が行われることが多いでしょう。
もっとも、事案の内容によっては、捜査員が自宅を訪問して事情を聴いたり、逮捕状に基づいて後日逮捕が行われたりするケースもあります。
示談をしたいのですが、示談金の相場はいくらくらいですか?
示談金の金額は、事件の内容や被害の程度、被害者の処罰感情などによって大きく異なります。
また、治療費や慰謝料の有無、被害回復の状況などによっても金額は変動するため、一律の相場を示すことは困難です。
示談金額だけでなく、謝罪方法や再発防止策などが重視されるケースもあります。
そのため、適切な示談条件や進め方について判断するためにも、弁護士へ相談することをおすすめします。
まとめ
酔っ払ってトラブルを起こした場合、その場で警察が介入しなかったとしても、後日、事情聴取や呼び出しを受ける可能性があります。
さらに、「酔っていて覚えていない」という事情だけで刑事責任を免れることは、原則としてありません。
飲酒時のトラブルによって後日の捜査や処分に不安を感じている場合には、被害者との示談交渉、自首の検討、弁護士への相談など、早い段階で適切な対応を取ることが重要です。
取るべき対応は事案の内容や状況によって異なるため、不安がある場合には専門家へ相談しながら進めるとよいでしょう。
なお、警察からまだ連絡が来ていない段階であっても、後日事情聴取や呼び出しが行われる可能性があるため、安易に「もう大丈夫」と判断しないことが大切です。
ネクスパート法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が多数在籍しています。
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ぜひ一度ご相談ください。
コラム監修者
Shunsuke Teragaki
所属:代表(東京オフィス)
広島県広島市出身。修道高校、慶應義塾大学商学部、青山学院大学法科大学院を卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、個人・法人問わず幅広い分野の相談・交渉に取り組む。ネクスパート法律事務所の代表弁護士として、依頼者に最適な見通しと戦略的な解決策を示すことを信条とし、丁寧かつ粘り強い対応で信頼を築いている。