更新日:2024年4月8日 (月)

公開日:2024年4月8日 (月)

法人破産の弁護士費用と予納金の相場|手続きの流れも解説

法人破産の弁護士費用と予納金の相場|手続きの流れも解説 法人破産の弁護士費用と予納金の相場|手続きの流れも解説

サマリー

資金繰りの悪化や債務超過に直面し、法人破産を検討している経営者の方にとって、手続きにかかる費用や事業終了後の生活は大きな懸念材料となります。

法人破産を申し立てる際は、弁護士費用のほかに裁判所へ納める予納金などの準備が必要となるため、事前に全体の目安を把握しておくことが重要です。

この記事では、法人破産にかかる弁護士費用や予納金の相場、申立てから終結までの手続きの流れ、代表者個人への影響などを解説します。

法人破産にかかる弁護士費用の相場と内訳

法人破産の手続きを弁護士に依頼する際にかかる費用は、主に「法律相談料」「着手金」「報酬金」「実費」で構成されています。

全体の費用感は一律ではなく、会社の事業規模や負債総額、債権者数などによって大きく変動するのが一般的です。

費用の項目 一般的な金額の目安 費用の概要
法律相談料 30分あたり5,500円〜1万1,000円程度 手続きの方針や見通しを弁護士に相談する費用(初回無料の事務所もあり)
着手金 50万円〜100万円程度 破産申立ての準備など業務に着手する際に発生する費用
報酬金 50万円程度〜 破産手続きが終結した際に発生する成功報酬
実費 数千円〜数万円程度 郵便切手代や登記事項証明書の取得費用、交通費などの実費

法律相談料

弁護士へ法人破産の進め方や方針を相談する際に発生する費用です。一般的な相場は30分あたり5,500円から1万1,000円程度とされています。

事務所によっては、初回の相談を無料としている場合もあります。

債務の状況や事業継続の可否について早期に状況を把握するためにも、事前に相談料の有無を確認しておくと安心です。

着手金

着手金は、結果の成否にかかわらず、弁護士が事件処理を開始する段階で支払う費用です。

債権者への対応窓口の引き受けや申立て書類の作成など、破産準備に着手するために充当されます。

法人破産における着手金の相場は50万円から100万円程度が目安とされています。

ただし、債権者の数が膨大な場合や、複数の事業所・テナントの明渡しを要するなど業務が複雑になる場合は、相場以上の金額が設定されることもあります。

報酬金

報酬金は、裁判所での破産手続きが終結した段階で支払う成功報酬です。

法人破産における報酬金は、最低でも50万円程度が設定されるケースが一般的です。

法律事務所によっては、着手金のみで報酬金を定めない体系をとっている場合や、回収・処分できた財産の額に応じて加算される場合もあります。

契約前に報酬金の発生条件や計算基準を明文化して確認することが大切です。

実費

実費は、弁護士が申立て準備や裁判所・債権者とのやり取りを進める中で実際に支出する費用であり、原則として依頼者の負担となります。

主な内訳としては、各債権者や裁判所へ書類を送付するための郵便切手代、会社や所有不動産の登記事項証明書の取得費用、引継予納金の振込手数料、必要に応じた交通費や日当などが挙げられます。

案件の規模にもよりますが、概ね数千円から数万円程度が必要です。

負債総額や債権者数、財産関係の複雑さによって弁護士費用の総額は変動するため、委任契約を結ぶ前に見積もりや費用体系を十分に確認することが重要です。

弁護士費用以外に必要な裁判所費用(予納金など)

法人破産の手続きを進めるにあたっては、弁護士費用のほかに、申立てを行う裁判所へ直接納付する諸費用が必要となります。

裁判所に納める費用には、申立手数料や郵券代、官報公告費用のほか、破産管財人の報酬等に充てられる引継予納金が含まれます。

申立時にかかる基本費用(手数料・郵券・官報公告費)

破産手続開始申立ての際には、申立手数料として1,000円分の収入印紙を申立書に貼付して納めます。

また、裁判所が債権者等との連絡に使用する予納郵券(郵便切手)の提出も必要です。

金額や組み合わせは裁判所ごとに異なりますが、東京地方裁判所の場合は4,200円分(大型合議事件の場合は6,000円分)などと定められています。

さらに、破産手続きの開始や終結などは国の機関紙である官報に掲載されるため、官報公告費用の予納も求められます。

この費用も管轄裁判所により若干異なりますが、東京地方裁判所では1万4,786円となっています。

管財事件における引継予納金の基準

法人の破産手続きは、財産の換価処分や債権者への配当、債務の調査などを行う破産管財人が選任される「管財事件」として扱われるのが一般的です。

管財事件では、破産管財人の職務に対する報酬や管理費用の原資として「引継予納金」を裁判所に納めなければなりません。

金額は申立人の負債総額や事案の複雑さ、会社の規模などに応じて裁判所が判断します。

例として、東京地方裁判所における通常管財事件の負債総額に応じた予納金基準は下表のようになっています。

負債総額 引継予納金の基準額(東京地裁)
5,000万円未満 70万円
5,000万円以上1億円未満 100万円
1億円以上5億円未満 200万円
5億円以上10億円未満 300万円
10億円以上50億円未満 400万円
50億円以上100億円未満 500万円
100億円以上 700万円〜

少額管財制度による予納金の負担軽減

東京地方裁判所をはじめとする一部の裁判所では、管財事件の手続きを簡略化・迅速化して予納金額を抑える「少額管財制度」が運用されています。

少額管財制度が適用される場合、引継予納金の最低額が20万円程度まで減額されるケースがあり、通常管財と比べて裁判所費用の負担を抑えられる可能性があります。

ただし、少額管財制度は弁護士が申立代理人として就任し、財産関係や負債状況の事前調査が十分に行われていることを前提とした制度です。

事案の規模や財産状況によっては適用されない場合もあります。

法人破産の申立て手続きの流れと必要書類

法人破産の手続きは、事前の準備から裁判所への申立て、管財人による清算処理を経て終結するまでに複数の段階を踏むのが一般的です。

債権者対応や従業員への対応、財産の保全などを円滑に進めるため、全体のスケジュールと必要書類を事前に把握しておくことが大切です。

相談から終結までの手続きの流れ

  1. 相談と方針決定・委任契約の締結:法人の負債や資産状況を確認し、破産申立ての方針を検討します。取締役会等の決議(または同意)を経て正式に依頼を行います。
  2. 受任通知の発送と事業停止:弁護士が債権者に受任通知を発送して窓口となります。支払停止日を設定し、事業停止や従業員への説明、賃貸物件の明渡しや契約解除などを順次進めます。
  3. 破産手続開始の申立てと債務者審尋:申立書類を管轄の裁判所に提出します。必要に応じて裁判所による債務者審尋が行われ、代表者から事業内容や破産に至った経緯などが聴取されます。
  4. 破産手続開始決定と破産管財人の選任:要件を満たしていると認められると、裁判所から開始決定が出され、破産管財人が選任されます。開始決定後は管財人との面談や引継ぎが行われます。
  5. 財産の調査・換価と債権者集会:破産管財人が法人の資産を換価・回収し、負債を調査・確定します。裁判所で開かれる債権者集会には法人代表者も出席します。
  6. 配当と破産手続の終結:換価された財産から各債権者への配当が行われます。配当が完了すると破産手続終結決定がなされ(配当財産がない場合は破産手続廃止決定)、法人の清算が完了します。

事業停止や従業員の解雇、在庫や什器の保管などは、混乱を招かないようタイミングを見極めて計画的に進めることが求められます。

申立てに必要な主な書類と添付資料

法人破産の申立てにあたっては、裁判所所定の申立書面に加えて、会社の事業実態や財務状況を客観的に示す多くの添付資料を揃える必要があります。

分類 主な書類・資料
申立書類 破産手続開始申立書、債権者一覧表、財産目録、代表者の陳述書(報告書)など
組織・権限関係 商業登記の全部事項証明書(発行から3か月以内)、取締役会議事録または取締役の同意書、委任状など
財務・税務関係 直近2期分の貸借対照表・損益計算書、確定申告書・決算報告書の控え、清算貸借対照表など
資産・契約関係 過去2年分の預貯金通帳の写し、不動産登記事項証明書、賃貸借契約書、車検証・自動車価格査定書、有価証券や保険関係書類の写しなど

法人が所有する資産の種類や事業規模、係属中の訴訟の有無などによって提出を求められる資料は異なるため、状況に応じた準備が必要です。

法人破産が会社や代表者個人に与える影響

法人破産が会社や代表者個人に与える影響

法人破産を選択した場合、会社組織そのものや会社の債権債務関係は法的に整理され、最終的に消滅します。

一方で、法人の代表者個人に対してどのような法的効果や影響が及ぶのかについては、法人と代表者の関係性や契約内容によって異なります。

法人格の消滅と会社の債務の行方

個人の自己破産手続きでは、破産手続開始後も本人が存在し続けるため、残った債務の支払い義務を免除するための「免責決定」を受ける必要があります。

しかし、法人の場合は破産管財人による清算手続きが終結すると法人格そのものが消滅します。

権利義務の帰属主体である法人が消滅することに伴い、法人名義の債務も当然に消滅するため、法人破産においては免責手続き自体が存在しません。

なお、破産手続開始決定によって会社は解散しますが、清算の目的の範囲内では手続き終結まで法人格が存続し、管財業務が完了した時点で完全に消滅する流れとなります。

原則として代表者個人の財産には影響しない

法律上、法人と代表者個人は全く別の独立した人格として扱われます。

そのため、会社が多額の負債を抱えて破産したとしても、原則として代表取締役などの個人が会社の債務を肩代わりして支払う義務はありません。

代表者個人が所有している不動産や預貯金などの個人財産が、会社の破産手続きの中で強制的に処分されることも原則としてありません。

代表者が連帯保証人になっている場合の影響

中小企業においては、金融機関からの融資やオフィスの賃貸借契約などにおいて、代表者個人が会社の債務を連帯保証しているケースが多く見られます。

会社が破産手続きに入り主債務を履行できなくなると、債権者は連帯保証人である代表者個人に対して一括請求を行うのが一般的です。

代表者個人が自身の資産や収入でその保証債務を完済できない場合は、法人破産と同時に代表者個人についても自己破産や個人再生などの債務整理を申し立てる検討が必要になります。

そのほか、代表者が会社に損害を与えていた場合や、破産直前に特定の債権者に偏った弁済を行った場合などは、管財人から責任追及や否認権の行使を受ける可能性がある点にも留意が必要です。

法人破産を弁護士に依頼するメリットと相談のタイミング

法人破産を弁護士に依頼するメリットと相談のタイミング

法人破産の手続きでは、契約関係の整理や多岐にわたる書類の収集など、複雑な事務処理が必要となります。

これらを経営者自身だけで進めることは労力面でも精神面でも大きな負担となりがちです。

弁護士に申立てを依頼することで、申立書類の作成や裁判所・破産管財人との連絡調整を一任でき、手続きを円滑に進めやすくなります。

債権者や従業員への適切な対応とトラブル防止

事業停止や破産の局面では、取引先を含む債権者への対応や従業員の解雇手続きなど、慎重な対応が求められる場面が数多く存在します。

対応を誤ると深刻なトラブルに発展し、その後の手続きに支障をきたすおそれがあります。

弁護士が代理人として就任することで、債権者からの連絡窓口を一本化できるほか、従業員への説明や手続きの進め方についても法的な観点から助言を受けられます。

少額管財制度の利用による費用負担の軽減

東京地方裁判所をはじめとする一部の裁判所では、手続きを簡略化して予納金を低額に抑える「少額管財制度」が運用されています。

少額管財制度は弁護士が申立代理人を務める場合に利用が検討される仕組みであり、適用された場合は裁判所に納める引継予納金の負担を抑えられる可能性があります。

資金が残っている段階での早期相談が重要

法人破産を申し立てるためには、弁護士費用のほか裁判所への予納金など一定の手続き費用を確保しておく必要があります。

完全に資金が枯渇してしまうと、費用の工面が難しくなり、適切な清算手続きを選択できなくなるおそれがあります。

手元に資金が残っている段階で早めに弁護士へ相談することが、円滑な清算手続きと生活再建に向けた重要なポイントとなります。

また、早い段階で相談を行うことで、破産以外の選択肢も含めて状況に応じた方針を検討できる余地が広がります。

資金繰りや事業継続に不安を感じた際は、できるだけ早い時期に弁護士へ相談することをご検討ください。

コラム監修者

Shunsuke Teragaki

Shunsuke Teragaki

所属:代表(東京オフィス)

広島県広島市出身。修道高校、慶應義塾大学商学部、青山学院大学法科大学院を卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、個人・法人問わず幅広い分野の相談・交渉に取り組む。ネクスパート法律事務所の代表弁護士として、依頼者に最適な見通しと戦略的な解決策を示すことを信条とし、丁寧かつ粘り強い対応で信頼を築いている。

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